7月より日本での発売開始

欧州で10万台以上の販売実績を誇るスマートロック製品「danalock」。スマートフォンで鍵の開閉が可能になる欧州で10万台以上の販売実績を誇るスマートロック製品「danalock」。スマートフォンで鍵の開閉が可能になる

スマートフォンのアプリを利用して、鍵の開錠・施錠が行える「スマートロック」製品が続々と登場している。「1兆円市場」にも成長するとみられ、ソニーやドコモといった大手企業も製品投入に乗り出している。

そうした中で、欧州で10万台以上の販売実績を誇るスマートロック「danalock(ダナロック)」が7月より日本で販売されることが発表された。

日本での販売を取り扱うのは、モノとモノが相互制御するIoT(Internet of Things)機器の輸入販売を手がける株式会社M2モビリティー。開発元の代表を招いての製品発表会が行なわれたので取材をしてきた。近頃続々と登場している国内スマートロック製品とどのような違いがあるのだろうか?

合鍵が作れない!そんな“困った”もなくなる?

シェアードキー機能を使えば、スマホ上から簡単に第三者へ鍵の権限を譲渡することができる。もちろん、期限なども細かく設定できるシェアードキー機能を使えば、スマホ上から簡単に第三者へ鍵の権限を譲渡することができる。もちろん、期限なども細かく設定できる

そもそも「スマートロック」とは、どのようなものなのだろうか? 簡単に言ってしまえば、従来の鍵を使わずスマホで自宅の鍵を開けたり、閉めたりできる電子キー製品だ。それだけでは、ふーん、と聞き流してしまいそうだが、具体的な使用場面を考えてみると便利さが見えてくる。

今回発表された「danalock」の機能から、具体的な使用場面を想定してみよう。

まず1つ目の機能が「ハンズフリー」機能だ。これは、事前にスマホ側で設定をしておくとドアの前に立った際に、鍵に触ることなしに自動で開錠できるしくみだ。大きな荷物で両手がふさがっているような場面でも、荷物を一旦置いて鍵を探すことなしに、スムーズに家の中に入ることができる。

鍵を開けた後、一定時間が経つと自動的にドアをロックする「オートロック」機能もある。外出時に鍵をかけたかどうか心配になり、もう一度家まで戻るといったことはなくなるはずだ。

そして、電子キーならではの便利さを感じるのが「シェアードキー(共有キー)」機能だ。アプリを入手してもらう必要はあるが、第三者にも簡単にSNSなどで鍵の権限を渡すことが可能になる。例えば、実家の家族が遊びにくるのに買い物が長引いて家に戻るのが遅れそう。そんな時にもパッとスマホ上から権限を送って、先に入っていてもらうことが可能になる。

もちろん、権限の譲渡は期限設定が可能で、利用が終わればすぐに無効にできるため、セキュリティ上も安心だ。

最近の鍵はセキュリティ上高度な作りになっているため、なかなか合鍵を作れなかったりする。働くお母さんなどは、急に子供が熱を出して保育園から呼び出される場面は多い。実家に助けを求めたくても肝心の合鍵が実家にないということもしばしば。秘密の鍵の保管場所を示し合わせたりもするが、やはりセキュリティ上不安だったりもする。

こうした困った場面というのも、スマートロックであれば解決できることは多いはずだ。

ドアの変更は不要!後付けでの装着が可能に

右がスタンダードモデルで1万9,800円(税抜き)、左がJacob Jansenモデルで2万5,800円(税抜き)。モデルの違いは機能や仕様の違いはなく、デザイン性によるもの。6月10日よりAmazon.co.jpで先行予約が開始される右がスタンダードモデルで1万9,800円(税抜き)、左がJacob Jansenモデルで2万5,800円(税抜き)。モデルの違いは機能や仕様の違いはなく、デザイン性によるもの。6月10日よりAmazon.co.jpで先行予約が開始される

では、どうしたら自宅にスマートロックを導入することができるのか? 「danalock」は後付け型で、サムターンと呼ばれるドアの内側の部分を交換して装着できる。シリンダー部分はそのままのため、もちろん従来の鍵も利用することが可能だ。内側のみに機器を取り付けることから、外からはスマートロックが装着されていることは判別できない。

取付け用のプレートは、日本向けに国内の建築用錠前シェア6割近く(※1)「を誇る「美和ロック」の錠に対応したものが同梱されている。今後対応する錠の製品一覧は近日中に公開される予定だ。

「danalock」のタイプは2種類、スタンダードモデルと欧州で人気の高い工業デザイナー「Jacob Jansen(ヤコブ・イエンセン)」がデザインしたモデルになる。取り付け後は、スマートフォン側のアプリで設定を行っていけば、様々な設定が可能になる。

ちなみに、利用できるスマホの使用はiOS 7以降、Android 4.3以降のBLE(Bluetooth Low Energy)通信をサポートしていることが条件になる。また、鍵の開錠・施錠には必ずサーバーへの通信が必要になるため、スマホ側の通信環境がない場合には使えない。バッテリー切れといった場合のためにも、予備として通常の鍵も持ち歩く必要はあるだろう。

スマホを持たない子供や高齢者、ガラケーユーザーに向けた小型リモコン「キーフォブ」。会議室や共有スペースでの利用を想定した暗証番号入力タイプの「キーパッド」などオプション製品も今後販売を予定しているという。

(※1)美和ロック株式会社 HP(2015年6月現在、掲載情報) 

強固なセキュリティと実績があるからこその完成度

販売元のPoly Control社 社長 Henning Overgaard氏。創業者でもある。2002年にビルオートメーションシステム会社として創業したが、2012年よりスマートロック製品の開発・販売に事業を集中させている販売元のPoly Control社 社長 Henning Overgaard氏。創業者でもある。2002年にビルオートメーションシステム会社として創業したが、2012年よりスマートロック製品の開発・販売に事業を集中させている

発表会では、販売元のPoly Control社 社長 Henning Overgaard氏が「2年以上の実績があり、既に第二世代の製品を投入していること」を強調していた。これが同製品の強みでもあるという。

例えば、danalockのハンズフリーの機能では、スマホのGPSがdanalockの半径200m以内にはいったことを検知し、さらにBLEの即位範囲(半径約5m)に入った場合にのみ自動開錠が行われる。自宅にいるときに勝手に扉が開くことがないようにするためだ。

こうした範囲の規定も、実際に利用者のデータを分析しながら最適値を求めているのだという。つまり、実績を積みながら改良を重ねた結果を既に第二世代として完成させているのが同製品の強みなのだ。

またHenning Overgaard氏がもっともスマートロック製品で大切なものとして挙げていたのが「セキュリティ」だ。DanalockではBLEを利用しているが、通信上のセキュリティを強化するため、独自のプロトコルを採用しているという。こうした点も同製品を安心して利用できる理由の一つになるだろう。

欧州展開では、近く家電向けの近距離通信機能の実装も予定しており、単に鍵の開閉機能だけではなく、照明やエアコンのコントロールなどとも連携していくという。

日本独自のサービスも展開予定

株式会社M2モビリティー 代表取締役社長 橋本清治氏。スマートロック製品のほか、各種パスポートリーダー、HEMS、テレマティクスなどIOT分野に特化した製品を取り扱っている株式会社M2モビリティー 代表取締役社長 橋本清治氏。スマートロック製品のほか、各種パスポートリーダー、HEMS、テレマティクスなどIOT分野に特化した製品を取り扱っている

danalockでは、日本展開にあたり今後様々なサービスや連携機能なども検討されている。

M2モビリティー 代表取締役社長 橋本清治氏は「欧州では、基本的には購入者が各家庭でdanalockの取り付けを行っていますが、日本では取り付け工事サービスも展開していきます」という。Danalockの販売自体は7月よりAmazonを通じて行われるが、早い段階で鍵の取り扱い業者による取り付けサービスのセット販売も行われるそうだ。

また、同社ではIoT機器を多く取り扱う同社の強みを利用し、防犯、見守り、遠隔監視などの機能も充実させ、既存のスマートロック製品との差別化を図っていきたいとしている。

今後、鍵を巡るトレンドはスマートロックの登場で様変わりをしそうだ。現状では便利な鍵の開閉システムとしてのスマートロック。ただし今後は、家電製品との連携、さらに防犯、見守りサービスなどへの発展が期待できそうだ。

2015年 06月21日 12時27分