建築途中の「古新築」は新築だった
建築途中の「古新築」物件、Mさんのお宅を見に行く。
Mさんの建築現場は都内の閑静な住宅街。
「閑静な住宅街」というのはよく使われる表現だけど、Mさんのお家周辺の「閑静」ぶりといったらない。「閑静オブ閑静」だ。閑静度を測れる閑静計があったら、間違いなく100%を指すと思う。
最寄りの駅を降りてしばらく歩くと見えてきた。
「おおー!建築現場だ~」
今は足場が組まれ、シートで覆われて外からはあまりよく見えない状態だ。
手前の道路側に向いて、店舗になる部屋が見える。
ハワイのパン屋さんのイメージを形にしたショーケースもあった。
「あれ?でも、古新築…?」
今の時点では古っぽい感じはないな、むしろ新築そのものだ、
と思ったのだが、良く考えたらそれは当たり前。
だってこのお家は新築だから。
今作っているのは、お家の中身の部分なわけで、
この段階で古く見えたらそれは変だもんね。
今後、普通の新築とはちょっと違うなにかが見えてくるのだと思う。
家の外側は、屋根ができあがり、サッシが取り付けられ、防湿シートを貼った状態。
家の中はこれから断熱材を入れるなど、内装の下地工事の段階だ。
探しに探して手に入れた逸品とは
Mさんご夫婦も今日は打ち合わせのためにいらしていた。
今日は主に電気のスイッチの位置を再確認するのだそう。
お二人は、アメリカのアンティーク雑貨を置いたカフェのオーナー、
もしくはその店の常連さん、といった雰囲気の若いご夫婦だ。
私「ここまであっという間でしたか?」
Mさん奥様「んー…大変だったところもありました」
私「どんなところが?」
Mさん奥様「こだわりは特に無いんですが、
家について希望があれば、なんでも私たちに選ばせてもらえるんです。
勿論(建築家の)大川さんのオススメも聞けますが、
例えば、照明とか、床の仕上げとか、タイルの色とか。
とても楽しいんですが、こだわるときりがないので、どこで決断するかが大変でしたね。」
なーるほど。とっても楽しそうな悩みですね。
なかでも絶対コレ!と探しに探して手に入れた逸品があるそうだ。
コレです!と箱から出して見せてくださったのは…。
新品じゃないほうがカッコいいもの
Mさんご主人「コレです!」
私「…………」
キラキラした金色の円形の物体。厚みはなく、3方に穴があいている。
直径は5~6センチ。
中央には同じく金色の、球状のものがはまっている。
…なんだろう、これは…。わからないけど、ご主人こだわりのアイテムなのだからまずは褒めなくては。
私「わあ、キレイな金色ですね!ピカピカでステキ!」」
ご主人「いえ、ほんとは手垢で汚れた色が欲しかったんですけど…」
私「汚れてたほうがいい?」
これは、なにかと言うと家の呼び鈴。ピンポン。
でも「ピンポン♪」とは鳴らずに「ブザ~~~~ッ!」という音がするブザーだそうだ。
ご主人「アメリカンハウスについているような、このブザーにしたかったんです。」
なるほど、見たことあります。
”ブザ~~~~~ッ!”
”はい?”
”ロサンゼルス警察のジョンソンです。息子さんは?”
アメリカの犯罪ドラマで、聞き込みに行くシーン。
犯罪が起こりそうな町の家についているブザーはこういうイメージだ。
(※あくまでも私個人の感想です)
新品は金色で輝いているが、真鍮製なのでどんどん深い色に変わってく。
Mさんご主人は、このブザーを探して葉山のお店まで買いに行ったのだそうだ。
(東京都内から車で2時間くらい)
でも、使い込んでいい色になったユーズドは売り切れ。
仕方なく新品を購入し、これから使い込んでいい色になっていくのを楽しんでいくそうだ。
今、新築の家につけるとしたらほぼ100%がモニター付きのインターホンだと思うけど
Mさん宅はシンプルな、シンプルすぎるブザー。
「ボクは、特にこだわりはないんです」
…なんて言ってらしたけど、何をおっしゃいますやら。
こだわりない人はブザー求めて葉山まで行きませんよ!
後から聞いた話だが、この真鍮の円形はブザーの押す部分。
いわば顔なのだけど、ブザー本来の機能を果たすためには
実はその本体(音を鳴らす部分)が必要。
こちらは建築家の大川さんが秋葉原を歩き回り、探し回ってやっと発見。
そして、真鍮のブザーがめでたくMさん宅の玄関に設置されたのだそうだ。
こだわりってステキ。でもやっぱりちょっと手がかかる。
手をかけることが好きな人が、こだわれる人なのかもしれないな。
近所にできたらワクワクするお店
Mさんのお宅は、道路側がお店になっている。
奥様がパイのお店を開く予定なのだ。
「ハワイで見かけたパン屋さん」をイメージしたショーケースに
パイを並べ、お客さんがテイクアウトで購入する。
お店の位置は、住居スペースよりもぐっと低い位置にある。
道を歩く人の目線と変わらない高さで接客ができる。
今はシートで囲んであるので、中はよく見えないけど、
きっとここを通るご近所さんは、
「わ、なんかかわいいお店ができるかも!」と、
ワクワクしていることだと思う。
お店の部分だけ、真っ赤な色に塗る予定だ。
閑静な住宅街の中のかわいいパイのお店。
ご近所でない私でも、想像するだけでワクワクだ。
次回はお店に塗る赤いペンキの話と建具の話。
新築なのに新築っぽくみえないこだわりを紹介します。
公開日:





