経済から読み解く住宅ローン

アベノミクスと呼ばれる経済政策によって、リーマンショック時には一時7,000円台だった株価も2014年に入り倍増を維持しています。

景気が回復をするのは誰もが嬉しいこと。

しかし、好景気になると皆がお金を使い出し、需要が高まるため、物の値段が上昇したり、金利が上昇するともいわれます。
そのため、住宅購入を考えている人にとって不動産価格の上昇や住宅ローン金利の動向が気になるところです。

いまのところ、過去のフラット35(旧公庫)固定金利の推移を見ても、全体的に住宅ローン金利は下がり続けています。

大きな要因の1つは金利上昇を抑えている国や日銀の政策にあります。景気が悪いと誰もお金を借りようとしないため、お金を借りやすいように意図的に金利を低くしながら、銀行の資金を潤沢にさせています。 しかし、この金利を抑えて銀行の資金を潤沢にする政策は一種のドーピングのような政策であり、国の信用不安を起こすリスクもはらんでいます。

一見、住宅ローン金利をはじめとする金利の下降や据え置きは喜ばしいことのように感じますが、このように景気の動向と金利は、切っても切れない関係。単純に、喜んでばかりもいられません。

従って、景気が回復すれば、この金利を抑えて銀行の資金を潤沢にする政策をやめることになり、金利は上昇する可能性が高くなります。
しかし、日本の不況の元凶である物の値段も給与も下がり続け、誰も物を買わないために更に不景気が加速していくデフレスパイラルを未だに脱していませんでした。
そこでデフレスパイラルから脱却させる政策であるアベノミクスが誕生したわけです。
続いては、今日の経済を語るうえで欠かせない、自由貿易について解説しながら、こうした動向が国内に及ぼす影響と、アベノミクスが現状打開にどう寄与するのかを説明します。

01-640x520
フラット35の金利

自由貿易とアベノミクスの関係とは?

今日、世界は自由経済が主流。自由経済の意味する所は、国が経済を操作するのではなく、民間企業の競争によって自由に経済を営んでいこうということです。
現代の自由経済の特徴は、国境を超えた経済のさらなる自由化にあります。今話題のTPPなどもその一環です。こうした取り組みの結果、貿易経済が活性化します。
しかし一方で、昔であれば対岸の火事であったはずの海外の不景気も、自国にも飛び火する状況となりました。ギリシャの財政破綻問題やリーマンショックが全世界を震撼させたのは記憶に新しいところでしょう。
今やたった1つの国、たった1つの会社の問題すら無視できない世の中なのです。
そのため、民間企業による自由経済を尊重させながらも、完全に自由競争に委ねていては自国の経済を守っていくことができない懸念が生じています。

そのような自由経済の中で、民間企業が国内外でより活発に経済活動を営み、世の中全体を好況に導けるよう、政策を通じて支援する動きが起きています。「アベノミクス」も、そのような潮流から生まれた経済政策です。 アベノミクスの経済政策はよく3本の矢と称されますが、ここで今一度、それぞれの「矢」を簡単に振り返ってみましょう。

1本目の矢 金融緩和  銀行に沢山のお金を溢れさせて、金利を低くして民間にたくさん借りてもらいましょう。
2本目の矢 財政出動  自由経済だけに任せないで、国からたくさん仕事(公共事業)を出して働く場を提供しましょう。
3本目の矢 成長戦略  規制緩和・グローバル化を進め、多くの人が新しい産業を創出しましょう。

不景気の元凶であるデフレスパイラルから抜け出すためには、物価を緩やかに上昇させ、給与を上げ、皆が消費し、企業が設備投資をしていく必要があります。
1本目の矢ではお金を借りやすくすることに対する対策、2本目の矢では給与(仕事)を上げて皆の消費を促す対策、3本目の矢では国内外の企業のビジネスチャンスを増やすことで設備投資を推進させるための対策です。

これらの対策を同時に行うことで、デフレスパイラルから脱却することを目指しているのがアベノミクスという経済政策の内容です。
では次に、これらの現況を踏まえた上で、アベノミクスが成功した場合、失敗した場合に分けて、今後の住宅ローン金利にどのような影響が出てくるかを考えてみます。

アベノミクスが成功すれば住宅ローン金利は上がる!?

02-300x231
金利は上がる!?

これまで順調に効果が出ていると思えるアベノミクスが今後も奏功した場合、住宅ローン金利はどのように動くのでしょうか。アベノミクスの第一目的は「脱デフレ・良いインフレを実現する」こと。
デフレとは一般的に物の値段が下がり、給与が下がり、お金の価値が上がる現象で、お金を使わないで貯金した方が得になります。
そこで、これを逆さまにして、お金を使ったほうが得になる状況をつくり、良いインフレを実現させようという狙いです。

では、「良いインフレ」とはなんなのか。それは、物の値段が上がるとともに給与も上がる現象。インフレとは値段が上がりお金の価値が下がることです。
インフレになるということは、当然、土地や住宅等の不動産の価格も上昇していきます。
不動産価格が上昇し始めると、誰もが「早く不動産を買わなくては、いずれ手に入らなくなるかも!」という焦りにつながります。つまりは社会全体の傾向として、今すぐお金を使った方が得である、という状態になるわけです。

社会全体がお金を使った方が得!という良いインフレになると、個人消費が増え、企業の設備投資が増え、企業が成長していくことで社員の給与も上げることにつながり、更なる個人消費が促進していくことになり景気が回復していきます。

このように良いインフレが続いて、景気が回復すると、住宅取得など大型出費の需要も高まり、多くの人がお金を借りるようになります。
ではこの状況がさらに進むと、どうなるでしょう。
今度は逆に、過度なインフレ(物価上昇)を抑えるために「金融緩和の引き締め」、そして「政策金利の引き上げ」を行います。
政策金利とは、日銀が銀行に貸出をするときの金利です。
金利は需要と供給のバランスで市場が決めている部分もあるため、需要の高まりとともに徐々に金利も上昇していくのです。
政策金利の引き上げは即、変動型の住宅ローン金利の引き上げを意味しますので、住宅購入などで長期ローンを組む予定の方は、今後の国内経済の変化に目を向けておく必要があります。

アベノミクスが失敗!?それでも金利は上昇?

03-300x249
アベノミクスが失敗したらどうなるの?

では、もしアベノミクスが失敗してしまった場合、住宅ローン金利はどうなるのでしょうか。

その場合、高い確率でデフレに舞い戻ると考えられます。

不動産の価値も下がり、会社の価値である株価も下がって行き、会社の業績が悪くなり、折角上がり始めてた物価や給与やボーナスも徐々に下がっていくでしょう。

誰もお金を使わず、借りなくなるため、国としては金利を低く抑える政策を続けたいのは山々ですが、前述の通り、この政策は国の信用を下げる危険性をはらんでおり、いつまでも続けるわけにはいきません。

そのため、金利は確実に上がっていくことになり、住宅ローン金利も同様に上昇していくでしょう。

住宅ローン金利の視点でアベノミクスを捉えると、良いインフレを目標にする経済政策は、住宅ローン金利の上昇につながる政策といえますし、仮に失敗しても住宅ローン金利は上昇してしまう可能性があるということになります。

関連記事

住まい購入初級編!変動金利と固定金利の違いは?住宅ローンの基本と選び方のポイント
超低金利時代。「ああ、迷う!」住宅ローンの金利は変動と固定どっちがいいの?
買える物件金額を知りたい! 住宅ローンシミュレーションの方法を学ぼう
住宅ローンの借り換えをするときに知っておきたい!借り換えのメリットとデメリット
開業して間もない自営業。ある秘策で乗り切った【住宅ローン審査体験談】

(2014/04/14)