2026年の金利環境で「借り換えの常識」がどう変わったか
かつては「フラット35から変動へ借り換えれば金利が1%以上下がる」ケースが珍しくありませんでした。しかし政策金利が1.0%まで引き上げられた現在、変動金利も年1%前後まで上昇しています。昔の目安をそのまま当てはめると判断を誤りかねない理由を、最新データで整理します。
借り換えで得する人・損する人を分ける具体的な判断軸
残りの返済期間・ローン残高・金利差という従来の3つの目安を、2026年の金利水準に合わせてアップデートします。諸費用まで含めた試算例と、自分がどちらのタイプかを確認できるチェックリストで、感覚ではなく数字で判断できるようになります。
意外と知られていない借り換えの落とし穴
返済額の急増を抑える仕組みが借り換え先の商品によっては付いていないこと、借り換え審査が新規借入と同じ厳しさであること、そして今は「変動から固定へ」逆方向に動く人が増えているという市場の変化まで。申し込む前に知っておきたい注意点をまとめます。

毎月きちんと返済しているのに、ニュースで「住宅ローン金利上昇」の文字を見るたびに、自分の選択は正しかったのかと不安になる。フラット35で返済中の方から、そんな声を耳にすることが増えました。

「全期間固定だから金利上昇の影響は受けないはず。でも、変動金利の人はもっと低い金利で返しているらしい。今からでも借り換えたほうが得なのでは?」

この迷いには、はっきりとした答えがあります。ただしそれは「借り換えるべき」「やめるべき」という単純な二択ではなく、あなたのローンの残高・残期間・契約金利と、2026年の金利水準を突き合わせて初めて出る答えです。その突き合わせ方を、ここから順番に確認していきましょう。
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まず押さえたいのは、フラット35から変動金利への借り換えを取り巻く環境が、この数年で様変わりしたという事実です。

日本銀行は2024年3月にマイナス金利政策を解除して以降、段階的に利上げを進め、政策金利は2026年6月に1.0%まで引き上げられました。2026年7月末の金融政策決定会合では据え置かれたものの、市場では追加利上げの可能性も意識されています(出典:日本銀行「金融政策に関する決定事項等」)。

 

この影響で、住宅ローン金利は固定・変動ともに上昇しました。2026年8月のフラット35(返済期間21年以上・融資率9割以下)の最低金利は年3.29%と、3%台に乗っています(出典:住宅金融支援機構【フラット35】「最新の金利情報」)。一方、民間金融機関の変動金利も上昇が続いており、主要都市銀行ではおおむね年1%前後(優遇後)の水準です(出典:住宅金融支援機構「“金利のある世界”でどう変わる?これからの住宅ローン選びを考えよう」)。

低金利期には、フラット35の契約金利が年1.5〜2%前後、変動金利が年0.4〜0.6%前後という組み合わせが一般的で、借り換えれば1%以上の金利差を得られるケースが多くありました。元記事が書かれた2019年当時はまさにその環境です。

 

ところが今は状況が逆転しつつあります。たとえば2019〜2021年頃にフラット35を年1.2〜1.4%程度で契約した人の場合、現在の変動金利(年1%前後)に借り換えても、得られる金利差は0.2〜0.4ポイント程度にとどまります。金利差が小さいうえ、変動金利は今後さらに上がる可能性があるため、「借り換えれば確実に得」とは言えなくなっているのです。

とはいえ、変動金利の人気が崩れたわけではありません。住宅金融支援機構「住宅ローン利用者の実態調査(2026年1月調査)」によると、2025年4月〜9月に住宅ローンを借り入れた人のうち変動型を選んだ人は75.0%と、依然として多数派です。同時に、日銀の利上げを受けて「住宅ローン選択などに変化があった」と答えた人は49.7%にのぼり、借入額を減らす・返済期間を調整するなど、金利上昇を前提にした行動も広がっています(出典:住宅金融支援機構「住宅ローン利用者の実態調査」)。

 

つまり「変動は依然として固定より低いが、以前ほどの圧倒的な差ではなく、上昇リスクも現実のものになった」—これが2026年の前提条件です。この前提のうえで、借り換えのメリット・デメリットを見ていきましょう。

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フラット35は借入時の金利が完済まで続く全期間固定型です。契約時期によっては、現在の変動金利より高い金利で返済を続けている場合があり、その差の分だけ借り換えメリットが生まれます。

 

特にメリットが出やすいのは、フラット35の金利が比較的高かった時期(おおむね年1.8%以上で契約した層)です。現在の変動金利との差が0.8ポイント以上あれば、諸費用を差し引いても総返済額を数百万円単位で減らせる可能性があります。

毎月の返済額が数千円〜1万円台下がるだけでも、年間では数万〜十数万円の余裕が生まれます。この余裕を教育費のピークに備えた貯蓄や、金利が低いうちの繰り上げ返済に回せば、金利上昇リスクへの備えにもなります。「浮いたお金を何に使うか」まで決めてから借り換えると、効果を実感しやすくなります。

フラット35の団体信用生命保険(団信)は機構団信への加入が基本ですが、民間金融機関の住宅ローンでは、がん保障や全疾病保障付きの団信を金利上乗せなし、または小さな上乗せで選べる商品が増えています。借り換えは、保障内容を今のライフステージに合わせて見直すきっかけにもなります。ただし団信は新たに健康状態の告知が必要になるため、この点は後述のデメリットと表裏一体です。

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諸費用は数十万円〜100万円超。「金利差」だけでは判断できない

借り換えは、新しい金融機関でローンを組み直し、その資金で今のフラット35を一括返済する手続きです。このとき、主に次の費用がかかります。

費用項目目安
事務手数料(定率型の場合)借入額×2.2%程度(3,000万円なら約66万円)
抵当権の抹消・設定費用(登録免許税+司法書士報酬)十数万〜20万円程度
印紙税(電子契約なら不要の場合あり)約2万円
フラット35側の完済手続き費用金融機関により異なる

残高3,000万円クラスの借り換えなら、総額で80〜100万円前後を見込んでおくのが現実的です。金利差で浮く利息がこの費用を上回らなければ、借り換えは「手間をかけて損をする」結果になります。

変動金利には、金利が上がっても一定期間は毎月返済額を据え置く仕組み(いわゆる5年ルール・125%ルール)を設けた商品が多くあります。ただし、フラット35からの借り換えという文脈で本当に確認すべきなのは、仕組みの中身よりも次の2点です。

 

1つめは、この仕組みはすべての変動金利商品に付いているわけではないこと。一部のネット銀行などでは採用しておらず、金利上昇が即座に毎月返済額へ反映されます。「変動金利=返済額は急に増えない」と思い込んだまま借り換え先を選ぶと、想定と違う商品を契約してしまいかねません。

 

2つめは、仕組みがある商品でも返済額が変わらない間、利息の負担そのものが減るわけではないこと。据え置きの裏側では利息の割合が増え、元金の減りが遅くなります。金利上昇の影響が「見えにくくなるだけ」で、消えるわけではないのです。

 

全期間固定という「金利が動かない契約」を手放して乗り換える以上、借り換え先の商品性は申込前に必ず確認してください。据え置きの仕組みや未払利息のリスクなど、変動金利そのものの詳しい仕組みは「変動金利についてきちんと理解していますか」で解説しています。

フラット35は勤務形態や物件の技術基準を重視する一方、民間ローンの審査は年収・勤続年数・健康状態・返済負担率をより厳格に見ます。転職直後、収入減、健康状態の変化(団信の告知事項に該当する既往歴など)があると、審査に通らない、あるいは希望の優遇金利が受けられないことがあります。「借りている実績があるから通るだろう」という思い込みは禁物です。

見落とされがちですが、金利上昇局面の今、変動金利の上昇を警戒して変動から全期間固定(フラット35)へ借り換える動きも出てきています。これから固定を手放して変動に乗り換えるということは、その逆張りをする意味を理解しておく必要があるということです。「変動のほうが金利が低いから」という理由だけでなく、「今後金利が上がっても家計が耐えられるか」「上がったら繰り上げ返済で対抗できる資金があるか」まで考えて初めて、変動への借り換えは合理的な選択になります。

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借り換えの古典的な目安は「金利差1%以上・ローン残高1,000万円以上・残りの返済期間10年以上」でした。この目安自体は今も参考になりますが、2026年の環境では次のように読み替えるのが実態に合っています。

判断軸従来の目安2026年版の考え方
金利差1%以上1%以上あれば有力候補。0.5%前後なら諸費用と金利上昇リスク次第で微妙。0.3%以下は原則見送り
ローン残高1,000万円以上変わらず。ただし残高が大きいほど金利上昇時の打撃も大きい点を意識
残りの返済期間10年以上変わらず。ただし期間が長いほど「変動が上がる時間」も長いことを忘れない
追加の視点変動が今後1%上がっても返済できる家計か/繰り上げ返済の余力があるか

ポイントは、金利差のメリットと「残高×残期間」の大きさは、そのまま金利上昇時のリスクの大きさでもあるということです。従来の目安は「メリットが出る条件」だけを見ていましたが、変動金利が実際に上がり始めた今は、リスク側も同じ物差しで測る必要があります。

具体的な数字で確認してみましょう。※以下は元利均等返済・ボーナス払いなしの簡易試算で、金利は完済まで変わらない前提です。実際の条件では結果が異なります。

 

前提:2020年にフラット35(年1.3%)で3,500万円・35年借入 → 現在の残高約3,000万円・残期間29年。年1.0%の変動金利に借り換え

  • 借り換えない場合の残り利息:約600万円
  • 借り換えた場合の残り利息:約460万円(毎月返済額は約4,000円減)
  • 利息軽減額:約140万円 − 諸費用約90万円 = 実質メリット約50万円

29年かけて約50万円。しかもこれは「変動金利が29年間一度も上がらない」前提です。仮に借り換え後に政策金利の引き上げが変動金利に0.3ポイント転嫁されれば、金利差は消え、メリットはほぼゼロになります。

 

一方、契約金利が年2.0%前後の場合は景色が変わります。同じ残高・残期間で年1.0%に借り換えると利息軽減は約480万円となり、諸費用を引いても約390万円のメリット。変動金利が多少上がっても優位を保ちやすい水準です。「自分の契約金利が今の変動金利よりどれだけ高いか」が、すべての出発点になります。

申し込みの前に、次の8項目を確認してみてください。上の5つに多く当てはまるほど借り換え向き、下の3つに1つでも当てはまる場合は慎重な検討が必要です。

 

【メリットが出やすい条件】

  • 現在のフラット35の金利が年1.8%以上である
  • ローン残高が1,500万円以上ある
  • 残りの返済期間が15年以上ある
  • 変動金利が1%上昇しても家計収支が赤字にならない
  • 金利上昇時に繰り上げ返済できる予備資金(生活防衛資金とは別)がある

【立ち止まるべきサイン】

  • 現在の金利と借り換え先の変動金利の差が0.5ポイント未満
  • 転職・独立・収入減など、直近で審査に影響しそうな変化があった
  • 教育費のピークなど、今後10年で家計の余裕が細る時期が控えている

なお、金利タイプごとの特徴を基礎から整理したい方は、「住宅ローンは変動金利と固定金利どちらがいい? 違いや選び方を解説」もあわせてお読みください。

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チェックリストで「微妙」という結果になった方も、打てる手がないわけではありません。むしろ選択肢を横に並べて比べることで、借り換えの位置づけがはっきりします。

手元資金に余裕があるなら、諸費用ゼロで確実に利息を減らせる一部繰り上げ返済は有力な代替案です。フラット35は繰り上げ返済手数料が無料(インターネット経由なら10万円から可能)で、期間短縮型を選べば利息軽減効果も大きくなります。「借り換えの諸費用90万円」を繰り上げ返済に回した場合と、借り換えた場合の総返済額を比べてみると、意外な結論が出ることもあります。

残高や金利の条件が中途半端で借り換えメリットが出にくい場合、少し視野を広げて「今の家に住み続ける前提」自体を点検してみる価値もあります。家族構成が変わった、通勤形態が変わったという方なら、売却して住み替えることでローン総額そのものを圧縮できるケースもあるからです。判断材料として、まずは自宅周辺の物件がいくらで取引されているかを眺めてみると、資産としての現在地がつかめます。

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借り換えは「金利差×残高×残期間−諸費用−金利上昇リスク」という複数の変数を同時に扱う判断です。この記事のチェックリストで方向性をつかんだら、実際の数字は自分の条件でシミュレーションしてみましょう。

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フラット35から変動金利への借り換えは、低金利期には「ほぼ確実に得」な選択でした。しかし政策金利1.0%・変動金利1%前後という2026年の環境では、契約金利が高めの人には依然として大きなメリットがある一方、金利差が小さい人にとっては諸費用倒れや金利上昇リスクのほうが重い、二極化した選択になっています。

 

判断を先送りすること自体にもコストがあります。金利差が十分にある人が「面倒だから」と放置すれば、その間も本来減らせたはずの利息を払い続けることになりますし、金利がさらに動けば、今なら成立する借り換えの条件が崩れてしまうかもしれません。逆に、条件が合わないのに雰囲気で借り換えてしまえば、固定金利という「安心」を数十万円払って手放すことになります。

 

だからこそ、最初の一歩は契約書を開いて「自分の金利・残高・残期間」を書き出すこと。そのうえで最新の金利水準と見比べれば、この記事のチェックリストがそのまま使えます。数字を整理した先で迷いが残るなら、中立的な立場の専門家に無料で相談できる窓口を使うのも手です。

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各金融機関の住宅ローンを比較したい方は、こちらも役立ちます。

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Q1. フラット35から変動金利への借り換えで、金利差はどのくらいあれば得になりますか?

A. 2026年の環境では、金利差1%以上が有力なライン、0.5%前後がボーダー、0.3%以下は原則見送りが目安です。ただし残高・残期間・諸費用によって損益分岐点は変わるため、必ず自分の条件でシミュレーションしてください。従来の「1%ルール」は、金利上昇リスクを織り込んだうえで使うことが大切です。

 

Q2. 借り換えの諸費用はどのくらいかかりますか?

A. 事務手数料(借入額×2.2%程度が主流)、抵当権の抹消・設定費用、印紙税などを合わせ、残高3,000万円クラスで総額80〜100万円前後が目安です。手数料が定額型の商品を選ぶと初期費用を抑えられる場合がありますが、その分適用金利が高くなることが多いため、総返済額で比較しましょう。

 

Q3. 変動金利に借り換えた後、金利が上がったらフラット35に戻すことはできますか?

A. フラット35には借換融資の制度があるため、条件を満たせば変動金利からフラット35へ再度借り換えることは可能です。ただし、そのたびに諸費用と審査が発生するうえ、金利上昇局面では「戻りたい」と思った時点の固定金利は今より高くなっている可能性が高い点に注意が必要です。「上がったら戻せばいい」を前提にせず、最初の借り換え判断の段階で金利上昇に耐えられるかを確認しておきましょう。

 

Q4. 借り換えの審査に落ちることはありますか?

A. あります。借り換え審査は新規借入と同様に、年収・返済負担率・勤続年数・健康状態(団信の告知)などが審査されます。フラット35は団信加入が任意ですが、多くの民間ローンでは団信加入が融資の条件です。転職直後や健康状態に変化があった場合は、事前審査で確認してから本格的に動くのが安全です。

 

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更新日: / 公開日:2019.05.10