
自宅を売却後も住み続けられる「リースバック」で、近年契約を巡るトラブルが問題となっています。こうした状況を受け、国土交通省は取引の適正化に向けた新しい対策を実施することを発表しました。
本記事では、リースバック取引の現状と、国土交通省が発表した新たな取り組みについて解説します。
この記事で分かること
- リースバック取引で高齢者を中心にトラブルが増加
- 国土交通省は不動産事業者向けガイドライン作成を検討
- 消費者向けには「指差し確認チェックリスト」などの提供を予定
もくじ
リースバックに関するトラブルは年間200件超。契約者の約7割が70歳以上
全国の消費生活センターなどに寄せられる、リースバックに関するトラブル相談は増加傾向にあり、2024(令和6)年度には242件に達しました。
トラブルの増加を受け、国土交通省と国民生活センターは連携して注意喚起を行っています。
国民生活センターが2025年7月に発表した報告書では「長時間勧誘され契約をしてしまった」(80歳代 男性)や、「生活に困っていたので契約をしたが家賃が値上げされ支払えなくなった」(70歳代 女性)などの深刻な事例が紹介されています。
契約者の約7割が70歳以上を占めており、解約には違約金が発生するケースもあることから、契約時にはリースバックのメリットだけではなくデメリットについても十分に確認することが必要です。
リースバックの【相談事例】
- 家族がリースバック契約を締結したが、売却で受け取る資金と支払う家賃を計算すると数年で資金不足となる契約となっており取り消したい。
- 契約後に契約内容を家族に相談したところ、周辺相場と比較して売却額が低廉かつ家賃が高額であることに気がついた。
- リースバックの認識で自宅を売却したため、買い戻しを求めたところ買戻し特約が無く売却義務はないと言われた。
- 契約前、修繕費等は買主(宅建業者)負担と説明を受けた。あらためて契約書を見ると売主(消費者)負担となっていた。
リースバック取引に関する相談受付などの状況。国土交通省 最近の不動産政策に関する取組について~不動産業ビジョン2030に基づく取組状況について~より
出典:国土交通省 最近の不動産政策に関する取組について~不動産業ビジョン2030に基づく取組状況について~
国土交通省のガイドライン案は?
リースバックは、「売買契約」と「賃貸借契約」が一体となった取引です。宅地建物取引業法では、不動産事業者が消費者の判断に重要な影響をおよぼす事実を故意に伝えない「事実不告知」を禁止しています(宅建業法 第47条第1号)。
国土交通省は、この「事実不告知」の対象として、リースバック特有の禁止事項を明確化するガイドライン案の策定を進めています。今後は、不動産事業者が以下の事項などについて故意に伝えない行為が禁止される予定です。
重要事項説明義務の対象事項以外で明確化することを検討する事項
【売買契約に係る事項】
・売買価額
【賃貸借契約に係る事項】
・賃料の額
・賃料の増額に関する事項
【その他】
・消費者の不利益となりうる特約に関する事項
国土交通省は、賃貸借契約に関連する事項の一例として「賃料の額や賃貸借契約の期間、更新の有無、解約となる事由などについて故意に事実を告げない行為」を禁止事項として明確化することを検討しているとしています。
国土交通省は、これらをガイドラインなどを通して周知徹底し、不動産事業者に告知を義務付け、指導・監督を強化していくとしています。
住宅のリースバックに係る取引の性質・内容。国土交通省 最近の不動産政策に関する取組について~不動産業ビジョン2030に基づく取組状況について~より
出典:国土交通省 最近の不動産政策に関する取組について~不動産業ビジョン2030に基づく取組状況について~
出典:国土交通省 第43回不動産部会・配布資料 参考資料
消費者向けには「指差し確認チェックリスト」とPIO-NET登録情報の活用
国土交通省は、消費者保護の目的で、契約時に確認できる「指差し確認チェックリスト」などの啓発資料の提供を進めています。実際に発生した高齢者の被害事例なども共有し、合わせて不動産事業者にも周知の上、取引でも活用するよう指導していくことが予定されています。
また、全国消費生活情報ネットワークシステム「PIO-NET(パイオネット)」の情報活用が具体的な取り組みとしてあげられています。
PIO-NETは、国民生活センターに寄せられた相談情報を蓄積しているデータベースです。 国土交通省は、対象の不動産事業者を所管する地方整備局等と情報を共有・連携し、必要に応じて聞き取りなどの実施を検討するとしています。
まとめ
リースバック取引でトラブルが増加しています。これを受け、国土交通省は取引の適正化に向けた対策を強化。
不動産事業者に対し、売買価額や賃料の増額事項など、消費者に不利益となる重要事項を故意に伝えない「事実不告知」を禁止するガイドライン案を策定予定です。
消費者向けには「指差し確認チェックリスト」などを提供し、慎重な契約を促していくとしています。
リースバック取引を含め、不動産売却を検討される際は、信頼できるパートナーを見つけることが極めて重要です。
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記事執筆
LIFULL HOME'S 不動産売却査定 編集部
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