
私は3年前に埼玉県から沖縄に移住しました。最初に住んでいたのは、お風呂に浴槽のないマンション。1月の平均気温が約17度の沖縄は、アメリカ文化の影響もあり、シャワーしかない家も珍しくありません。
しかし南国といっても冬は寒いもの。「やっぱり冬は温かいお風呂につかりたい」という思いを捨てきれず、引越し先を探すことにしました。そんなときに偶然にも米軍ハウスに出合い、現在はアメリカンな暮らしを満喫しています。
この記事では米軍ハウスに住む私が、特徴や魅力、米軍ハウスのある街についてご紹介します。おしゃれな家やアメリカの暮らしに興味がある人は、ぜひ参考にしてください。
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米軍ハウスとは?

米軍ハウスの魅力を語る前に、まずは米軍ハウスとはどんな家なのかということから解説していきたいと思います。
米軍ハウスとは
米軍ハウスとは、文字どおり米軍で働いている人向けの家です。第二次世界大戦後、日本に駐留していた既婚の米軍関係者が家族と一緒に暮らすための家として、基地の外に米軍ハウスが建てられました。
扶養家族住宅という意味のDependents Housing(デペンデントハウス)、基地外にある家という意味のオフベースハウス、外人住宅といった呼び方もされています。米軍ハウスといえば平屋の一戸建て住宅をイメージする人が多いかと思いますが、特に明確な定義はありません。
2階建ての一軒家やテラスハウス、マンションなど、さまざまなタイプの米軍ハウスがあります。基本的に若い人や赴任したての人は、米軍基地内の「米軍住宅」に住むのがルール。そのため、基地の外にある米軍ハウスに住めるのは長年所属している人で主に既婚者です。
ファミリー向けなので2LDK以上の間取りが多く、日本の住宅よりもやや広めにつくられています。
米軍ハウスの歴史
1945年の第二次世界大戦終戦後、民間企業によってつくられ始めた米軍ハウス。東京都福生(ふっさ)市や神奈川県横須賀市などの米軍基地の周辺で、急速に増えていきました。
福生のお店
ピーク時には、福生市周辺だけでも2,000棟以上の米軍ハウスが建てられたそうです。しかし、1960年ごろになると在日米軍の規模が縮小され、基地の外にある米軍ハウスに住む人が減少しました。その結果、米軍ハウスが日本人にも貸し出されるようになったのです。
東京と埼玉の県境にある埼玉県入間(いるま)市には、1954年に「磯野住宅」と呼ばれる米軍関係者向けの住宅街が開発されました。磯野住宅も米軍属の撤退に伴い長らく空き家となっていましたが、「ジョンソンタウン」としてリニューアル。おしゃれなカフェや雑貨店などが多く集まる人気スポットとなりました。
沖縄県浦添(うらそえ)市にも、ジョンソンタウンと同じように観光スポットとなった「港川ステイツサイドタウン」という外国人住宅街があります。レトロでおしゃれな米軍ハウスは、住宅としてだけではなくテナントとしても人気です。
港川のレトロな外国人住宅
一方で、米軍ハウスの建設ラッシュから70年ほどたった今、建物の老朽化によって取り壊しが進んでいます。アメリカの街として栄えた福生市も、現在は200棟以下まで減ってしまったそうです。米軍ハウスはさらに希少性が高いものとなっていくでしょう。
米軍ハウスの間取り
米軍ハウスの間取りは、日本の一般的な住宅とはまったく異なります。まず、玄関のドアを開けるとすぐにリビングルームが広がり、壁を挟んでダイニングキッチンがあります。そしてリビングルーム、ダイニングキッチンのほかに寝室が2〜3部屋という間取りです。
古い米軍ハウスは70〜80m2ぐらいの面積が中心でしたが、新しい建物だと100m2以上の家も増えています。バスルームが各寝室についている間取りが多いのも、米軍ハウスの特徴です。
玄関前にはポーチや物置、駐車場が2台分ある米軍ハウスも多く、広い庭付きの家も少なくありません。アメリカと日本の生活スタイルの違いが、間取りや設備にも表れています。
米軍ハウスの内装
米軍ハウスの内装はシンプルです。外壁は淡い水色やグリーンの家も見かけますが、室内の壁は白が中心。余計な装飾はありません。ドアにはモールディング(凹凸のある装飾)が施されていたり、ガラスがはめ込まれていたり、建築材料のひとつひとつがおしゃれです。
床はフローリングの家もあれば、コンクリートの家もあります。シンプルな内装なので、ミッドセンチュリーやレトロ、ナチュラルなど幅広いインテリアを楽しめるでしょう。
米軍ハウスに住んだ理由

実は、引越し先を探しているときは米軍ハウスに住むつもりはなく、一般的な日本人向けのマンションを探していました。そんな私がなぜ米軍ハウスに住むことになったのか、そして住んでみて分かった魅力をお伝えします。
米軍ハウスに住んだきっかけ
私が住んでいる地域は、沖縄の中でも米軍基地が多い中部エリアです。米軍ハウスは身近にたくさんありますが、あくまでも米軍関係者向けの家がほとんど。
日本人向けの賃貸募集に米軍ハウスはあまり掲載されません。しかしある日引越し先を探していると、新着物件の中に広くて素敵な雰囲気の部屋を発見。内見したら、間取りや面積、立地もちょうどよくて気に入ったため、入居を決めました。その物件がたまたま米軍ハウスだったのです。
私はこうして、偶然にもマンションタイプの米軍ハウスに住むことになりました。 マンションタイプの米軍ハウスはアメリカ人しか住んでいないケースがほとんどですが、中には日本人もアメリカ人もどちらも住んでいるマンションもあります。
米軍ハウスの魅力
米軍ハウスの魅力は、リビングの広さと内装です。わが家は子どもたちがリビングで過ごすことが多いのですが、家族みんなが集まっても窮屈に感じません。
リビングは本来みんなでくつろぐ場所ですが、以前のマンションはリビングが狭く、居心地がよくありませんでした。しかし米軍ハウスに引越してリビングが広くなってからは、同じ空間にいても適度な距離感が保てるので快適です。また、内装がシンプルなのでどんな家具でも合わせやすいところが、米軍ハウスのいいところです。
米軍ハウスの室内
以前住んでいたマンションから持ってきた家具をそのまま使っていても、特に違和感はありません。何を置いてもさまになるので、これからどんなインテリアにしていこうかとワクワクしています。リビングで過ごす時間が多い人やインテリアが好きな人は、米軍ハウスでの暮らしが合うでしょう。
実際に暮らして分かった米軍ハウスのメリット・デメリット

以前のマンションが狭かったこともありますが、私は米軍ハウスに住み始めて生活の質が格段に向上したように感じています。それは、丁寧な暮らしをするようになったことと、アメリカ文化に日々触れていることが理由です。しかし、住むまでは気づかなかった問題点もありました。
ここからは、具体的にどのような変化があったのか、住んでみて分かったデメリットについても、詳しくお話しします。
米軍ハウスに住むメリット
米軍ハウスに住むメリット(1)とにかくおしゃれ
おしゃれな米軍ハウスに住み始めてからは、丁寧に暮らすようになりました。「せっかくおしゃれな部屋なのに汚れていたら台無しだ!」と思い、以前よりもこまめに片付けや掃除をしています。
料理にしても、「おしゃれな雰囲気の家に合うように」とキレイなお皿に盛り付けるなど、暮らしに対する意識が変わりました。環境に合わせて人は変化するものです。素敵な家に住めば、ふさわしい暮らしをしようと行動が変化することを、身をもって知りました。
米軍ハウスに住むメリット(2)アメリカで暮らしている気分を味わえる
米軍ハウスのある街に住んでいると、日々アメリカの文化に触れる機会があり、まるでアメリカで暮らしているかのうような気分を楽しめます。レストランにはチップを入れる箱が置いてあるし、スーパーでも英語の案内があるのは当たり前。公園に行けば、ベビーカーを押しながらランニングする人をたくさん見かけます。
ベビーカーを押しながらランニングすることをバギーランといって、アメリカでは一般的なエクササイズになっていますが、初めて見たときは驚きました。ちなみに、バギーランで使うのは普通のベビーカーではなく、頑丈そうな三輪のベビーカーです。
米軍ハウスのある街での暮らしは、あらゆる場面で日本の文化との違いに出合えるので、多くの刺激を受けています。
同じマンションや身近なところにアメリカ人がいるため、「英語がしゃべれたら」と思うことが増えました。最近は少しずつですが、英会話の勉強にも挑戦しています。米軍ハウスでの暮らしは環境の変化が大きいため、私のように思わぬところで生活にいい変化が表れるかもしれません。
米軍ハウスに住むデメリット
魅力だらけの米軍ハウスですが、デメリットもいくつかあります。
米軍ハウスに住むデメリット(1)お風呂が多い
まずは、お風呂が多いことです。わが家にはお風呂が2つあるのですが、掃除が面倒なので1つしか使っていません。使っていない方の浴室は、物置として利用しています。
正直なところ、「浴室じゃなくてクローゼットだったらよかったのに」と思ってしまいました。家の面積によってはお風呂が3つあるような米軍ハウスもありますが、多くの日本人の生活様式とは合わないように感じます。また、古いタイプの米軍ハウスは、浴室とトイレが一緒になっているケースがほとんどです。
米軍ハウスに住むデメリット(2)アメリカ仕様
米軍ハウスに住んで困ったことがもうひとつ。洗濯機の水栓がアメリカの家電用だったので、日本の洗濯機のホースをつなげられませんでした。
洗濯機の水選
大慌てで管理会社に相談すると「コネクターを付ければ問題ない」といわれ、ホームセンターへ駆け込み事なきを得ました。キッチンにビルトインのオーブンが設置されているのですが、温度は英語表記だし操作もしづらいので、1回しか使っていません。
米軍ハウス備え付けのオーブン
当然のことではありますが、米軍ハウスはアメリカ仕様です。そのため、日本の家電類が合わない、備え付けの家電が使いにくいといった小さな問題が起きる可能性を考慮しておくとよいでしょう。
米軍ハウスがある街

米軍ハウスに住んでみたいと思ったら、米軍基地がある街で賃貸住宅の情報を探してみましょう。青森県の三沢基地や山口県の岩国基地、長崎県の佐世保基地など日本各地に米軍基地はありますが、特に米軍ハウスが多く集まるエリアをいくつか紹介します。
米軍ハウスが多く集まるエリア(1) 東京都福生市
東京都の西側に位置する福生市は多摩川や多摩地域の山々に囲まれていて、自然とアメリカンカルチャーがあふれる街です。
市内にある横田基地は、航空自衛隊とアメリカ空軍が配置されています。横田基地に面した通りはベースサイドストリートと呼ばれていて、輸入物のインテリアショップや古着屋、アメリカンな飲食店がずらり。福生インターナショナルフェアという、アメリカの文化を感じられるようなイベントも開催されています。
米軍ハウスが多く集まるエリア(2)神奈川県横須賀市・厚木市・座間市
神奈川県には10ヶ所以上の米軍基地や関連施設があります。中でも米軍ハウスが多いのは、横須賀市や厚木市、座間市です。港町である横須賀市なら、海が見える米軍ハウスも見つかるかもしれません。
「外交官の家」や「エリスマン邸」などの西洋館、赤レンガ倉庫など、異国情緒漂う街並みで人気の横浜市にも、米軍ハウスが立ち並ぶエリアがあります。 数は多くはありませんが、逗子や葉山方面にも米軍ハウスが点在しているようです
米軍ハウスが多く集まるエリア(3)沖縄県本島南部〜中部
沖縄中部
日本でもっとも多くの米軍基地が集まっている沖縄県は、福生市や横須賀市に比べても賃貸に出ている物件数が多い場所です。中でも米軍基地が多いのは本島の南部〜中部。
浦添(うらそえ)市、宜野湾(ぎのわん)市、うるま市、沖縄市、中城村(なかぐすくそん)、北谷町(ちゃたんちょう)、嘉手納町(かでなちょう)、読谷村(よみたんそん)あたりで探せば、米軍ハウスがたくさん見つかるでしょう。
築年数の古い平屋から新しいマンション、一戸建てまでさまざまなタイプの米軍ハウスがあります。関東は木造が多いですが、沖縄は台風が多く湿気によってシロアリが発生しやすいため、コンクリート造の米軍ハウスがほとんどです。築年数が古いにもかかわらず、モダンな雰囲気を併せ持っています。
米軍ハウスでアメリカンカルチャーを満喫しよう
在日米軍向けにつくられた米軍ハウスは、広いリビングとおしゃれな雰囲気が魅力の住宅です。日本の住宅とは異なる内装とつくりは、さまざまなインテリアにも合います。
米軍ハウス周辺には外国人が多く住んでいるため、日本にいながらアメリカで暮らしているような気分を楽しめるのもメリットです。
しかし、1900年代半ばの建設ラッシュ時に建てられた米軍ハウスは、老朽化によって続々と取り壊されています。現在、特に関東では昔ながらの米軍ハウスは貴重です。米軍ハウスに住んでみたい人は、空室を見つけたらすぐに内見・申し込みをするのがおすすめです。
記事執筆
かっしー
間取り図大好きな宅建士ライター 家やインテリアが大好きで宅建士の資格を取得。自身が運営するウェブメディア「沖縄トラベル」を中心に、住宅関連の記事執筆もしているウェブライター。