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【2026年最新】福岡の公示地価から読み解く家を売却するタイミング

福岡市の不動産市場は、過去10年以上にわたって価格上昇を続けてきました。毎年発表される公示地価を見ても、都心部を中心に住宅地・商業地ともに高い水準を維持していることから、所有する物件の資産価値が上がっているという方も多いのではないでしょうか。

しかし、最新の市場動向を見ると、福岡市および福岡県の不動産市場は転換期を迎えつつあることが分かります。これには、物件価格の高騰に実需層の購買力が追いつかない状況だけでなく、住宅ローン金利の上昇というネガティブ要因も重なっています。

売却で後悔しないためには、公示地価が示すマクロなデータだけでなく、所有する物件の資産価値を正確に把握し、最適なタイミングを見極めることが重要です。

本記事では2026(令和8)年の地価公示の動向を基に、福岡の不動産市場の現在地と今後の見通しを解説します。

この記事で分かること

  • 福岡県の公示地価の動向
  • 福岡の不動産市場が上昇を続けてきた要因
  • 2026年以降の不動産市場における懸念点
  • 売り出し価格と成約につながる反響価格の違い
  • 家の売却を判断する6つのポイント

もくじ

福岡県における公示地価の動向と推移

JR博多駅

公示地価は、国土交通省が毎年3月に公表するその年の1月1日時点における全国の標準地の土地価格であり、一般の土地取引や相続税評価・固定資産税評価の目安などとして活用されます。

はじめに、2026(令和8)年の全国的な公示地価の動向を確認しておきます。

エリア 前年比上昇率(%)
住宅地 商業地
全国平均 2.1 4.3
東京圏 4.5 9.3
大阪圏 2.5 7.3
名古屋圏 1.9 3.3
地方圏
(地方四市)
0.9
(3.5)
1.6
(6.4)

(※)地方四市:札幌市・仙台市・広島市・福岡市
参照:令和8年地価公示の概要|国土交通省

全国平均で住宅地・商業地ともに上昇傾向が続いており、特に、東京圏と大阪圏では高い上昇率を示しています。

福岡市を含む地方四市の住宅地の上昇率は3.5%と、地方圏全体(0.9%)を牽引している状況です。ここからは福岡県の住宅地の地価動向について詳しく解説していきます。

福岡県の公示地価と変動率

福岡県全体では、住宅地の前年比変動率は3.7%と上昇基調を維持しています。ただし、地域によって動向には差があります。

具体的な数字で確認するため、福岡市内の区別、および福岡市以外の市町村別の住宅地平均価格と前年比変動率をまとめました。

■福岡市

区名 平均価格(円/m2) 前年比変動率(%)
東区 152,700 5.9
博多区 273,300 7.6
中央区 593,100 6.7
南区 238,000 6.8
西区 162,400 7.9
城南区 197,800 6.7
早良区 271,100 7.7
福岡市平均 258,100 7.0

参照:令和8年地価公示の概要|福岡県

福岡市全体の前年比上昇率は7.0%で、県内平均(3.7%)を大きく上回っています。 特に西区や早良区、博多区など、居住環境の整ったエリアが全体を押し上げています。

■福岡市以外

市町村名 平均価格(円/m2) 対前年変動率(%)
北九州市57,9001.2
大牟田市22,6000.1
久留米市59,8001.8
直方市23,3000.6
飯塚市26,5002.3
田川市20,5000.5
柳川市26,4000.6
八女市17,7000.5
筑後市47,2005.2
大川市19,9000.3
行橋市35,2000.7
豊前市19,900▲1.1
中間市28,7000.0
小郡市58,2002.3
筑紫野市102,3002.5
春日市168,9004.3
大野城市160,1005.6
宗像市39,4002.9
太宰府市95,0005.0
古賀市81,8004.9
福津市65,1005.3
宮若市16,7000.0
嘉麻市9,1000.7
朝倉市33,9003.0
みやま市18,5000.9
糸島市54,5005.2
那珂川市89,4004.7
宇美町73,4006.1
篠栗町90,3008.3
志免町94,3005.3
須恵町74,1003.1
新宮町102,2004.7
久山町47,8008.7
粕屋町100,5004.7
芦屋町26,2001.2
水巻町38,8003.3
岡垣町36,6001.5
遠賀町31,5001.5
小竹町11,100▲0.9
鞍手町17,8000.6
桂川町19,7001.7
筑前町31,8008.9
大刀洗町27,3002.1
広川町24,0000.6
添田町9,200▲1.0
川崎町13,500▲0.4
苅田町36,8000.4
みやこ町9,800▲2.4
吉富町15,700▲0.7
築上町15,100▲2.0

参照:令和8年地価公示の概要|福岡県

福岡市以外では、古賀市や久山町、筑前町など、福岡市へのアクセスが良好な近郊エリアで高い上昇率を記録している一方、豊前市やみやこ町など一部では下落も見られ、地域による二極化が表れている状態です。

福岡市内の公示地価・変動率ランキング

福岡市内における公示地価をさらに深掘りするため、ここでは、住宅地の地点の「価格上位10地点」と、「変動率上位10地点」の2つの視点から解説します。

■平均価格上位10地点

順位 所在 平均価格(円/m2) 前年比変動率(%)
1 中央区大濠1-13-26 1,490,000 13.7
2 中央区今泉2-1-40 1,020,000 9.7
3 中央区薬院4-17-20 979,000 10.2
4 中央区赤坂2-2-11 950,000 8.1
5 中央区草香江2-12-16 787,000 7.8
6 中央区大宮2-4-31 769,000 11.8
7 早良区西新2-11-9 766,000 9.1
8 早良区高取2-5-10 726,000 9.0
9 中央区荒戸3-5-51 717,000 7.3
10 中央区今川1丁目25区486番 644,000 6.3

参照:令和8年地価公示の概要|福岡県

価格上位10地点のうち8地点が中央区に集中しており、大濠・今泉・薬院といった都心エリアの資産価値が突出して高いことが分かります。

■変動率上位10地点

順位 所在 平均価格(円/m2) 前年比変動率(%)
1 中央区大濠1-13-26 1,490,000 13.7
2 南区大楠3-26-10 466,000 12.0
3 西区姪の浜5-4-15 357,000 11.9
4 早良区次郎丸4-12-32 188,000 11.9
5 中央区大宮2-4-31 769,000 11.8
6 城南区荒江1-12-19 260,000 11.6
7 西区橋本2-20-11 177,000 11.3
8 南区井尻2-2-29 246,000 11.3
9 東区箱崎6-11-1 406,000 11.2
10 東区箱崎1-26-1 308,000 11.2

参照:令和8年地価公示の概要|福岡県

変動率上位10地点では、中央区以外にも、南区・西区・早良区・城南区・東区と市内全域にわたるエリアがランクインしています。都心部の価格高騰を受け、実需層の購買意欲が利便性の高い周辺エリアへも波及していることがうかがえます。

特に高い上昇率を記録しているのが、天神・博多に直通する地下鉄空港線沿線(中央区大濠、西区姪の浜)と、博多駅延伸により利便性が向上した地下鉄七隈線沿線(早良区次郎丸、城南区荒江、西区橋本)です。これらのエリアでは前年比11%を超える上昇率となっています。

福岡市地下鉄空港線、七隈線博多駅

福岡市内の公示地価と変動率の推移

過去10年間のデータを振り返ると、福岡市の住宅地が長期にわたって上昇トレンドを維持してきたことが分かります。

平均価格(円/m2) 前年比変動率(%)
2017年 133,200 3.5
2018年 140,600 4.3
2019年 150,100 5.3
2020年 161,800 6.8
2021年 168,500 3.3
2022年 180,100 6.1
2023年 196,300 8.0
2024年 217,200 9.6
2025年 239,800 9.0
2026年 258,100 7.0

参照:地価公示区別平均価格及び対前年変動率(住宅地)|福岡市

2017年に133,200円だった平均価格は、2026年には258,100円に達し、10年間で資産価値が約2倍に拡大しました。

ただし、注目すべきは、ピークだった2024年(9.6%)以降、2025年は9.0%、2026年は7.0%と2年連続で上昇幅が縮小している点です。この変化の背景には、建築費・土地価格の高騰に加え、住宅ローン金利の上昇が購買意欲を抑制し始めていることがあります。

価格自体は過去最高水準にあるものの、市場の勢いは転換期を迎えつつあるといえるでしょう。

福岡の不動産価格が上昇を続けてきた要因

2023年に延伸した福岡市地下鉄七隈線

福岡市の不動産価格は、なぜ10年以上にわたって上昇を続けてきたのでしょうか。ここでは、価格上昇を支えてきた主な要因を3つ解説します。

人口流入と単身世帯の増加による堅調な居住需要

福岡市の不動産価格を支える重要な要因は、都市部を中心とした安定した居住需要です。

福岡県全体では人口減少が続いていますが、福岡市などの中心部には若年層の流入が続いており、世帯数は毎年増加しています。なかでも顕著なのが進学・就職を機とした単身世帯の急増で、コンパクトな間取りの物件を中心に賃貸需要が高まっている状況です。

実際、LIFULL HOME'Sマーケットレポートでは、福岡市の単身向け物件の掲載賃料は前年比+23.1%、ファミリー向け物件は+19.4%と、いずれも東京23区(単身向け:+13.0%・ファミリー向け:+14.2%)を上回る上昇率を記録しています。

高い賃料水準と低い空室率は投資用物件の収益性を高め、居住用不動産の価格全体を押し上げる要因にもなっています。

「天神ビッグバン」「博多コネクティッド」など大規模再開発の影響

博多コネクテッドによる博多駅前の再開発ビル

福岡市の不動産価格を持続的に押し上げているのが、国家戦略特区を活用した都心部の大規模再開発です。代表的なプロジェクトとして「天神ビッグバン」と「博多コネクティッド」を紹介します。

■天神ビッグバン

天神ビッグバン対象エリアとプロジェクトの位置図

引用:天神ビッグバン|福岡市

天神エリアでは従来、近接する福岡空港の影響で適用される航空法により、建物の高さに厳しい制限がありました。天神ビッグバンは、国家戦略特区に指定されたことによって高さ制限を緩和し、市が独自にデザイン性や緑化に優れたビルに容積率を最大50%加算するというインセンティブを設けて民間投資を促進するプロジェクトです。2015年2月の開始から2025年3月末までに建築確認申請数は93棟に達し、うち74棟がすでに竣工しています。

■博多コネクティッド

博多コネクティッド対象エリアとプロジェクトの位置図

引用:博多コネクティッド|福岡市

博多駅周辺では、地下鉄七隈線の延伸や駅前通りの再整備と連動し、容積率などの規制緩和によって先進的なビルへの建て替えと歩行者ネットワークの拡大を推進しています。2019年1月の開始から2025年3月末までの建築確認申請数は32棟、竣工棟数は26棟です。

このような先進的なビルの集積は、優れたオフィス環境を求める優良企業の流入を促します。その結果、高所得者層の職住近接ニーズを喚起し、天神周辺および地下鉄沿線の住宅地価を底上げする要因となっています。

地下鉄七隈線延伸など交通アクセスの向上

福岡市地下鉄 橋本駅

福岡市の不動産価格を直接的に押し上げているもう一つの要因が、交通インフラの整備です。

特に大きな影響を与えているのが、2023年3月に開業した地下鉄七隈線の博多駅延伸です。これまで天神南駅が東側終点だった七隈線が九州最大のターミナル駅である博多駅に直結したことで、沿線から都心へのアクセス性が大幅に向上しました。実際の公示地価でも、始発駅がある西区の橋本駅周辺や、早良区の次郎丸駅周辺では前年比11%を超える上昇率を記録しています。

福岡市地下鉄 次郎丸駅

また、東区の箱崎エリアでは、九州大学箱崎キャンパス跡地のスマートシティ構想と連動したインフラ整備への期待から、地下鉄箱崎線沿線を中心に需要が拡大中です。

交通利便性の向上は沿線の居住価値を高め、新たな居住需要を生み出します。こうした動きが、福岡市全体の地価上昇を下支えする要因となっています。

2026年以降の不動産市場が抱える懸念点

福岡市では、過去10年以上にわたり地価の上昇が続いてきましたが、2026年以降の不動産市場は転換期に入りつつあります。

ここでは、適切な売却タイミングを見極めるうえで押さえておくべき、3つの懸念点を解説します。

地価上昇率の鈍化と実需層の購買力の限界  

2026(令和8)年の公示地価から読み取れる懸念点の一つが、地価上昇のスピードの鈍化です。福岡市および近郊エリアの前年比変動率は、軒並み上昇幅が縮小しています。

エリア 2025年 変動率 2026年 変動率
福岡市 9.0% 7.0%
筑紫野市 5.0% 2.5%
古賀市 10.0% 4.9%
福津市 7.9% 5.3%
粕屋町 7.4% 4.7%
新宮町 7.3% 4.7%

参照:令和8年地価公示の概要|福岡県

上昇率が鈍化している背景には、物件価格の高騰によって実需層の予算が限界に達しつつある状況があります。福岡県の調査報告でも、建築費や土地価格の高騰により、エリアによっては一戸建住宅やマンションの売れ行きが鈍化していると指摘されており、買い手の購買力がついてこられなくなっているのが実態です。

利便性の高い都心部と周辺エリアにおける価格の二極化

今後の福岡市の不動産市場では、都心部の堅調な資産価値維持と郊外・一般層向け市場の調整局面という二極化が進むことがすでに鮮明になりつつあります。

中央区や博多区などの都心部には再開発や企業誘致といった需要の裏付けがあるため、今後も資産性が維持されやすいでしょう。大濠公園周辺では地価が過去10年間で2.5倍(1m2あたり149万円)に達するなど、高額帯の物件は依然として好調に推移しています。

一方、物件価格の高騰によって一般層向けのマンションや一戸建ては売れ行きが鈍化しており、特に郊外の物件は住宅ローン金利の上昇による影響を受けやすい状況です。流動性の低下や価格調整に直面するリスクも否定できません。

所有する物件が今後も需要を維持できるエリアに該当するのか、それとも金利上昇などで下落リスクを抱えるエリアに該当するのかの見極めが重要です。

ローン金利上昇による買い控えリスク

2026年以降の不動産市場における懸念材料として、住宅ローン金利の上昇があります。日本銀行の利上げを背景に金利が上昇局面に入ったことで実需層の購買力が限界に近づき、購買心理にブレーキがかかりつつあります。

住宅ローン金利の上昇は購入者の毎月の返済額に直結し、金融機関からの借入可能額を減少させます。実質的な購入予算が縮小するだけでなく、「今後の動向を見極めたい」という心理的な買い控えも誘発しやすい状況です。

購入を見送る層が増えれば住宅市場全体の取引件数が減少し、特に郊外の物件や一般的な実需層をターゲットとした価格帯では、値下げ競争が起こる可能性も否定できません。

売り出し価格と反響価格のギャップ

ここでは、実際の販売活動で利用する不動産ポータルサイト「LIFULL HOME’S」の価格データも確認しておきましょう。

以下の表は、福岡市のファミリーマンションと一戸建ての掲載価格(売り出し価格)と実際に問合せがあった「反響価格」を比較したものです。

2025年3月 2026年2月
ファミリー
マンション
掲載価格 3,135万円 3,710万円
反響価格 2,706万円 3,541万円
429万円 169万円
一戸建て 掲載価格 4,224万円 4,399万円
反響価格 2,788万円 3,673万円
1,436万円 726万円

参照:LIFULL HOME'Sマーケットレポート 2026年2月(価格動向)

ファミリーマンションについては、掲載価格がこの1年間で上昇しましたが、反響価格もそれに追随しており、価格のギャップは429万円から169万円へと縮小しています。マンションに対する需要が依然として強く、買い手が予算を引き上げている状況を示しているといえるでしょう。

一方で一戸建ての掲載価格は4,300万円前後で高止まりしており、反響価格との間には依然として726万円という大きな乖離があります。1年前(1,436万円)よりも縮小したものの、売り出し価格と買い手が検討する価格に大きな差がある状況です。

福岡市内の不動産相場は上昇傾向が続いているとはいえ、実勢価格とかけ離れた売り出し価格を設定すると、売却活動が難航するリスクが高まります。

家を売るタイミングを判断する6つのポイント

不動産の売却で後悔しないためには、市場の動きだけでなく、物件そのものの価値やご自身の状況など、多角的な視点から判断することが必要です。

ここでは、売却時期を見極めるための6つのポイントを解説します。

1. 不動産相場の動向

家を売るタイミングを判断するうえで大切な指標が、不動産相場全体の動向です。

福岡市の公示地価(住宅地)は過去10年以上にわたって上昇を続けており、現在は歴史的な高値圏にあります。

福岡市の地価公示における住宅地平均価格推移

引用:福岡市の地価公示における住宅地平均価格推移|福岡市

しかし同時に、上昇率の鈍化や金利上昇による買い控えリスクなどもあります。相場が冷え込み、価格が下落局面に入ってからでは、希望価格での売却は困難になります。

所有する物件の立地条件から客観的な市場価値を把握したうえで、売却のタイミングを判断することが大切です。

2. 築年数による資産価値の変化

築年数も家を売るタイミングを判断する指標の一つです。建物は経年劣化するため、築年数が古くなるほど資産価値も下落していきます。

一戸建て(木造)の場合、税法上の法定耐用年数が22年と定められており、市場でも築20年を超えてくると建物の価値はほぼゼロと見なされるのが一般的です。そのため、建物の価値も含めて売却したい場合は、築20年前後が一つの目安となります。

マンション(RC造)は、一戸建てよりも耐用年数が長い分、価値の下落スピードも緩やかです。不動産流通機構(レインズ)のデータなどを見ると、築30年程度までは成約価格は下がり、それ以降は下げ止まる傾向があります。

3.住宅ローン金利の状況

現在は日銀の政策転換などによって金利上昇が現実的なリスクとして意識されている段階です。買い手が「今の金利水準なら希望の物件を買える」と考えているうちは市場に活気がありますが、本格的な金利上昇が続けば実需層の需要が急速に落ち込む可能性があります。

金利の先高観が広がっている状況下では、買い手の購買力が維持されているうちに売却に踏み切る判断も必要といえるでしょう。

4.譲渡所得税の税率と特例の適用期限

不動産の所有期間によって売却時の税金(譲渡所得税および住民税)の税率が変わる点も判断ポイントの一つです。

不動産を売却して利益(譲渡所得)が出た場合、売却した年の1月1日時点での所有期間を基準に、税率が以下のように分かれます。

  • 短期譲渡所得(所有期間5年以下):税率 約39.63%
  • 長期譲渡所得(所有期間5年超) :税率 約20.315%

さらにマイホーム(居住用財産)の場合、所有期間が10年を超えると一定の要件を充足すれば「軽減税率の特例」が適用され、譲渡所得6,000万円以下の部分についての税率が約14.21%まで下がります。

また、居住用財産を譲渡〔売却〕した場合など、一定の場合は特別控除の特例もあります。

福岡市のように地価が大きく上昇しているエリアでは、購入時よりも高く売れて利益が出るケースもあるでしょう。所有期間が現在どの区分に該当するかを確認し、必要に応じて税理士への相談をも通じて、税引後の手取り額が有利になるタイミングを狙う必要があります。

参照元:土地や建物を売ったとき|国税庁

5.ライフステージの変化

家族や自身のライフステージの変化も、売却タイミングを判断する基準です。

住宅は資産であると同時に、日々の生活の拠点でもあります。相場の高騰の中で売却利益の最大化を狙うあまり、生活スタイルに合わなくなった家を維持することは、大きな負担になりかねません。

具体的には、以下のようなライフステージの変化が挙げられます。

  • 子どもの成長と独立による部屋の余剰
  • 転勤や転職による居住地の変化
  • 結婚や出産による家族構成の変化
  • 親の介護 など

生活にこのような大きな変化が生じた場合は、必要以上に売却価格にこだわって機会を逃すよりも、生活環境の最適化を優先した判断も大切です。

6.不動産取引が活発になる時期

家を売るタイミングとして、需要が高まる時期を意識することも重要です。不動産市場には繁忙期があり、売りに出す時期によって買い手の反応や売却スピードが変わります。

一般的に、年間で売れやすいのは1月〜3月です。4月からの新生活に向けて住み替え需要がピークに達し、サイトへのアクセス数や内覧の申し込みも急増します。引越し期限が決まっている買い手も多いため、値下げ交渉が少なく希望価格で売却しやすい時期です。次いで需要が高まるのが、秋の転勤・異動シーズンに当たる9月〜10月です。

ただし、売却活動には平均して3~4ヶ月程度かかるため、計画的に不動産会社への査定依頼などの準備を進めておく必要があります。

最も不動産市場が活況となる1月〜3月や第2の繁忙期9月〜10月は需要が高まるといえるでしょう

まとめ

福岡市の不動産価格は、天神ビッグバンや博多コネクティッド、地下鉄七隈線の延伸といった大規模な都市整備に支えられ、過去10年以上にわたり上昇傾向を続けてきました。

ただし、物件価格の高騰によって実需層の購買力はすでに限界に近づいており、住宅ローン金利の上昇というネガティブ要因も重なっています。福岡市・福岡県の不動産市場は、エリアや物件が持つポテンシャルを見極め、戦略的に売るフェーズへと移行しつつあります。

このような市場環境で不動産売却を成功させるには、まず所有する物件の客観的な価値を正確に把握することが不可欠です。

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記事執筆

吉満 博(よしみつ ひろし)” class=吉満 博(よしみつ ひろし)

不動産ライター/不動産コンサルタント
宅地建物取引士/ファイナンシャルプランニング2級技能士/住宅ローンアドバイザー
大学で建築を専攻後、ゼネコンおよびハウスメーカーにて、オフィスビルから一戸建て・アパートの設計業務に従事。意匠設計や法規制、構造などの専門的知識を習得。 その後、自身の住宅購入をきっかけに不動産会社を独立開業。売買仲介の実務を行う傍ら、ライフプラン作成を軸とした提案で多くの顧客をサポート。 現在は自身の実務やサイト運営の経験を活かして、不動産を中心に金融・相続など幅広くライターとして活動するほか不動産売買のコンサル業務を行う。これまでに執筆・監修した記事は700本を超える(2025年12月現在)

記事監修

冨田 健” class=冨田 健(とみた たける)

不動産鑑定士、税理士、公認会計士。慶應義塾中等部・高校・大学卒業。大学在学中に当時の不動産鑑定士2次試験合格、卒業後に当時の公認会計士2次試験合格。大手監査法人・ 不動産鑑定業者を経て、独立。全国43都道府県で不動産鑑定業務を経験する傍ら、公的な鑑定評価、相続税関連や固定資産税還付請求等の不動産関連の税務業務、ネット記事等の寄稿や講演等を行う。特技は12 年学んだエレクトーンで、平成29年の公認会計士東京会音楽祭では優勝を収めた。 令和3年8月には自身二冊目の著書「不動産評価のしくみがわかる本」(同文舘出版)を上梓し、令和7年9月に改訂版を刊行。 令和5年春、不動産の売却や相続等の税金について解説した「図解でわかる 土地・建物の税金と評価」(日本実業出版社)を上梓。Yahoo!エキスパートとしても記事・コメントを執筆している。
公式HP https://tomitacparea.com/