通常、賃貸物件では、オーナーが建物全体を所有しているアパートやマンションの一室を借りるケースが一般的です。その場合、「区分所有」という言葉は聞いたことがない人も多いでしょう。

しかし、分譲マンションの区分所有者が自身の住戸を「分譲賃貸」という形で貸し出すケースもあります。

今回は、区分所有の基本的な仕組みを解説したうえで、分譲賃貸のメリットやデメリットを詳しく紹介します。

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「区分所有」とは、建物全体ではなく、分譲マンションのように複数戸で構成された建物の一部を所有することです。

 

法律上、区分所有が成立するためには、「構造上の独立性」と「利用上の独立性」の2つの要件を満たす必要があります。

 

区分所有の成立要件

■構造上の独立性:各戸が壁など(ふすまや障子・間仕切りなどは含まない)で完全に遮断されている

 

■利用上の独立性:各戸がほかの部分から完全に独立した状態でも用途を果たす

たとえば、分譲マンションは、上下や左右の住戸が壁などで完全に区切られており、なおかつそれぞれが一つの住戸として利用可能です。そのため、区分所有が成立します。

 

また、2つの要件を満たす建物であれば、分譲マンションに限らず、オフィスビルや店舗などでも区分所有が成り立ちます。

 

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一般的に、区分所有が関係するのは、分譲マンションなどを購入した場合です。賃貸アパートや賃貸マンションの場合は、建物全体を貸主が所有していることが多いため、基本的に区分所有は関係しません。

 

ただし、例外的に賃貸物件でも区分所有が関係するケースがあります。それが、「分譲賃貸」です。

 

分譲賃貸とは、分譲マンションの区分所有者が、自分の部屋を貸し出す物件を指します。「転勤などで住めなくなった」「もともと投資目的で購入した」など、賃貸市場に出す理由はさまざまです。

 

分譲賃貸は通常の賃貸マンションと比べて、どのような違いがあるのでしょうか。ここでは、メリット・デメリットの両面から詳しく見ていきます。

 

分譲賃貸の主なメリットとして挙げられるのは、次のとおりです。

  • 構造や設備の質が高め
  • 耐震性・防音性に優れている
  • 広さや間取りのバリエーションが豊富
  • 防犯性が高い
  • 入居者のマナーがよいケースが多い

分譲賃貸は、長期所有を前提に建てられているため、構造や設備の質が高い物件が多いのが特徴です。

 

耐震性・防音性に優れた物件が多く、広さや間取りのバリエーションも豊富なため、家族構成やライフスタイルに合った物件を見つけやすいのも魅力です。

 

また、セキュリティ面が充実している点も分譲賃貸の大きなメリットです。

 

たとえば、「24時間警備員が常住している」「オートロックや防犯カメラなどの基本的なセキュリティ設備が整っている」「ピッキングされにくい防犯性の高い鍵を採用している」など、安心して暮らせる環境が整っています。

 

分譲マンションでは、長期的に居住することを前提とした区分所有者が多いため、落ち着いた住環境が保たれやすい特徴があります。所有物件として大切に暮らす意識が高いため、入居者同士のマナーは比較的よい傾向です。

 

分譲賃貸は、建物の構造や設備、防犯面で多くのメリットがある一方で、注意しておきたいデメリットもいくつかあります。

  • マンション全体の規約と貸主が決めたルールをどちらも守る必要がある
  • 家賃が高め
  • 物件数が少ない
  • 対応が遅れる場合がある
  • 定期借家契約の場合がある

分譲賃貸では、マンション全体の規約(管理規約)と、貸主が個人で定めたルールをどちらも守らなければなりません。

 

たとえば、マンション全体ではペットの飼育を認めていても、貸主がペット不可としている場合、貸主側のルールが優先されます。契約前に、両方のルールを確認しましょう。

 

分譲賃貸は、設備やセキュリティが充実している分、一般的な賃貸物件と比べて家賃が高くなる傾向があります。

 

また、貸主が住宅ローンの返済を続けているケースが多く、毎月の返済額よりも家賃が高く設定されるのが一般的です。

 

分譲賃貸は、必ずしも貸し出すことを前提に購入されているとは限らないため、全体の物件数は少ない傾向にあります。希望のエリアで分譲賃貸のマンションを探すのは難しい場合も多いでしょう。

 

分譲賃貸の貸主は、賃貸マンションのオーナーとは異なり、必ずしも賃貸経営に慣れているわけではありません。そのため、入居の手続きや契約のやりとりなどがスムーズに進まないことがあります。

 

入居後に設備の故障などのトラブルが生じた場合も、対応のマニュアルや仕組みが整っていないケースが多く、対応が遅れる可能性があります。

 

トラブルを避けるために、あらかじめ連絡手段や緊急時の対応について、貸主と十分に話し合っておくことが大切です。

 

また、定期借家契約の場合もあるため、注意が必要です。定期借家契約とは、あらかじめ契約期間が決められており、期間満了後に更新ができず、そのまま退去しなければならない契約のことです。

 

たとえば、オーナーが海外出張で数年間不在にする間だけ自宅を貸し出すというケースなどで設定されることがあります。

 

入居者は、契約期間終了後に次の物件を探さなければなりませんが、期間を定めていない分譲賃貸マンションと比べると、賃料は低めに設定されることが多いです。

 

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分譲賃貸は物件数が少ないため、効果的に探すには工夫が必要です。

 

LIFULL HOME’Sでは、最初から分譲賃貸物件に絞り込んで検索でき、手早く条件に合う物件を探すことが可能です。

 

分譲賃貸物件

 

分譲賃貸にどのような物件があるのか気になる方は、ぜひ特集ページから希望のエリアの情報をチェックしてみてください。

 

ただし、分譲賃貸では定期借家契約を採用している物件も多いため、契約内容や契約期間には十分注意しましょう。

 

定期借家契約では、基本的に契約期間満了後は退去することになりますが、状況によっては再契約という形で入居を継続できる可能性もあります。

 

以下の理由で貸主が定期貸家契約を採用している場合、借主次第では再契約が可能になるでしょう。

貸主が定期貸家契約を選ぶ主な理由

  • マナーが悪い入居者をスムーズに退去させるため
  • 退去を促す際に立ち退き料が発生しないようにするため

定期借家契約の物件を借りる際は、再契約ができるのかどうかも事前に確認しておくのがおすすめです。

区分所有とは?

 

建物全体ではなく、分譲マンションのように複数戸で構成された建物の一部を所有することを指します。分譲マンションの一戸を購入した場合、その住戸が区分所有の対象となります。

賃貸と区分所有の関係性とは?

 

一般的な賃貸物件は、アパート・マンション全体をオーナーが所有しているため、区分所有は関係ありません。ただし、分譲マンションの区分所有者が自身の住戸を貸し出す場合、区分所有された物件を「分譲賃貸」という形で借りられるケースがあります。

分譲賃貸の特徴は?

 

一般的な賃貸マンションと比べて、建物の構造や設備のグレードが高い物件が多く、セキュリティ面も充実しているのが特徴です。一方で、家賃は比較的高めに設定される傾向があり、定期借家契約の物件も多いため、賃料や契約内容を十分確認することが大切です。

 

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