「木造アパート」と聞くと、一般的には家賃が安いイメージがある半面、古い建物が多く、耐震性が不安といった印象を抱く人もいるのではないでしょうか。
しかし、木造物件には家賃以外にもさまざまなメリットがあり、デザイン性や居住性に優れた物件も数多く存在します。
今回は「木造」を検索候補から外すべきではない理由について、木造アパートの基本的な特徴や意外な一面を紹介します。
木造の物件家賃・賃料6万円以下の快適物件
木造アパートの特徴

まずは、木造アパートの基本的な特徴について、メリットとデメリットの両面から詳しく見ていきましょう。
木造アパートのメリット
木造アパートには以下のようなメリットがあります。
メリット
- 賃料が比較的に安い
- デッドスペースが少ない
- 天然の調湿効果がある
木造アパートのもっとも大きなメリットは、やはり家賃を抑えやすい点にあります。木造アパートはその他の工法と比べて建築コストを抑えやすいため、広さや設備などの条件に恵まれていても、比較的に安く貸し出している物件が多いです。
また、木造は鉄骨造や鉄筋コンクリート造と違い、柱や梁を見せずに済みます。その分だけ室内の空間がきれいに確保されるため、家具が置きたい場所に設置しやすく、使いやすいのが特徴です。
さらに、木材は通気性や吸湿性に優れており、季節に合わせて快適な住空間を保つ役割を持っています。夏場には余分な湿気を吸収して室内の湿度を下げ、反対に冬場には適度な水分を放出して、室内の乾燥を防ぐ性質を備えているのです。
木造アパートのデメリット
一方、木造アパートには以下のようなデメリットもあります。
デメリット
- 建物の保温性が低い
- 気密性が低い
- 遮音性が低い
メリットの裏返しでもありますが、木造は通気性に優れる分、保温性や気密性は低いのが難点といえます。マンションなどの鉄筋コンクリート造物件に比べると、外気の影響を受けやすく適度な室温を保つのが難しいため、冷暖房効率が下がってしまうのです。
また、木材はコンクリートと比べて密度が低いため、遮音性が低いのもデメリットです。集合住宅である以上、マンションでも生活音などが気になってしまう場面は決して少なくありませんが、木造アパートではより音の問題が気になりやすいといえます。
木造の物件 家賃・賃料6万円以下の快適物件先入観で「木造」を部屋探しの条件から外すべきでない理由

先ほども解説したように、木造アパートには家賃以外のメリットもいくつかありますが、構造上のデメリットが存在するのも事実です。
また、木造アパートに対して「地震に弱い」「何となく古くさい」といったイメージを持ち、「家賃はお得でも借りるのは不安」と感じてしまう人もいるでしょう。
しかし、木材は古くから住まいの建材として活用されてきた伝統があり、工法やデザイン性もますます進化を続けています。ここでは、木造を検索条件から外すべきでない理由として、抱きがちな先入観と実際のギャップについて解説します。
木造アパートの耐震性は築年数で異なる
木造アパートはマンションと比べて耐震性が低いと考えられがちですが、実際のところは建てられた年数によって大きな差があります。その理由は、「1981年の耐震基準の変化」と「2000年の建築基準法の改正」です。
耐震基準の変化とは、1981年から施行された「新耐震基準」のことです。それまで施行されていた旧耐震基準と比べて、新耐震基準はさらに大きな地震に耐えうる水準となっており、導入を機に住宅の耐震性が大きく向上しました。
2000年の建築基準法改正とは、木造建築物の構造を見直す法改正のことです。具体的な内容は、基礎の規定、柱や筋交いを固定する金物の指定、耐力壁の配置の規定などであり、木造住宅の耐震性を高める重要な転機となりました。
これらの改正を経て、木造住宅の耐震性は着実に向上しているため、単に「木造=耐震性が低い」と考えるよりも「築年数で性能が異なる」と考えておくことが大切です。
遮音性は物件ごとの個体差が大きい
木造アパートの気になるデメリットのひとつに遮音性の低さが挙げられますが、こちらも技術の向上によって、着実に解消されてきています。
たとえば、壁内の遮音材を増やして隣室からの遮音性を高めたり、クッション性の高い床材を導入して上下階の振動を抑えたりといった工夫が凝らされているアパートも増えています。
反対に、鉄筋コンクリート造のマンションであっても、隣室との仕切り壁が石こうボードで設けられていれば、木造アパートと同じように音漏れが生じてしまうケースがあります。また、隣室との間取り配置や窓の厚さなどによっても、生活音の聞こえ方には大きな差が生まれます。
このように、実際の遮音性は建物の構造だけではなく、物件ごとのつくりによっても左右されます。そのため、遮音性については内見時に確認することが大切です。
予算内で借りられる物件の候補が広がる
冒頭で解説したように、木造アパートは何といっても家賃を安く抑えられるのが魅力です。それでは、マンションと比べて具体的にどのくらい安くなるのでしょうか。
たとえば、LIFULL HOME’S「家賃相場」で東京都のワンルーム、1K、1DKの平均家賃をリサーチすると、マンションとアパートでは以下のような違いが生まれました。
| マンション | アパート |
|---|---|---|
千代田区 | 11.36万円 | 8.55万円 |
新宿区 | 10.03万円 | 7.52万円 |
世田谷区 | 9.33万円 | 7.70万円 |
杉並区 | 8.63万円 | 7.10万円 |
江戸川区 | 7.18万円 | 6.44万円 |
立川市 | 6.42万円 | 5.83万円 |
八王子市 | 5.35万円 | 5.19万円 |
※2022年1月時点、LIFULL HOME’S「家賃相場」で駅徒歩10分以内にある物件の平均賃料を軸に算出
データはあくまでも平均値ですが、エリアによってはマンションとアパートで25%近くの差が生まれるところもあります。
デメリットさえ気にならなければ、木造アパートも検索候補に入れることで、予算内で借りられる物件の選択肢は一気に広がります。
イメージとは違う? 最先端の木造アパートの実情

木造アパートと聞くと、一般的には2階建ての小規模な集合住宅をイメージすることが多いでしょう。しかし、木材には建材としての幅広い可能性があり、近年では新しい概念を持つ木造の賃貸住宅も次々と生まれています。
たとえば、最新の設備が導入された高機能木造住宅が代表例です。木造でありながら耐震性・耐火性に優れ、スタイリッシュな外観を持ちながらも木の温かみを感じられる点が、ほかの物件にはない独特の魅力となっています。
もうひとつの例が、都心部を中心につくられている木造の3階建てアパートです。3階建ては2階建てと異なり、建築する際に正確な構造計算が義務化されているため、より高い耐震性能を持つ物件が多いのが特徴です。
このように、木造アパートのなかには、イメージを覆すような新しい特徴を持つ物件も増えてきています。先入観にとらわれず、木造にも視野を広げてみると、意外な掘り出し物件が見つかることもあるでしょう。
木造の物件 家賃・賃料6万円以下の快適物件木造アパートを探すときに押さえておくべきコツ

木造アパートを探すときには、できるだけ物件の取扱数が豊富なサイトで探すことが大切です。これまでも紹介したように、木造にはさまざまなタイプの物件が存在しているので、できるだけ幅広い選択肢から部屋探しを進めることが肝心です。
また、気になる物件が見つかったときも、すぐに契約を決めてしまうのではなく、できるだけ複数の物件を内見しながら比較するようにしましょう。
前述のように物件によって遮音性などの性能が異なり、実際に見てみなければ分からない条件も数多くあるため、できるだけ現地に足を運んでチェックすることが大切です。
さらに、治安や騒音、振動といった周辺環境や、ほかの居住者のマナーによっても住み心地には大きな違いが生まれます。そのため、気になるポイントがあれば、不動産会社の担当者にも尋ねながら情報収集をするといいでしょう。
まとめ
- 木造は家賃が安く、通気性や調湿性に優れているのがメリット
- 気密性や遮音性は、鉄筋コンクリート造などに比べて低くなりやすい
- 耐震性能は築年数によって異なるので、木造だからといって必ずしも低いとは限らない
- 遮音性は物件のつくりや間取り配置などによっても異なる
- 先入観にとらわれずに幅広い候補から部屋探しをして、実際に物件を内見しながら比較することが大切
公開日:










