内見は、契約前に物件の状態を確認できる重要な機会です。

気になる物件が見つかったときには、入居申し込みを行う前にでき得る限り内見を行って、本当に希望に沿っているかどうかを確かめるのが一般的です。

しかし、さまざまな事情から内見が難しいケースもあります。今回は内見せずに賃貸物件を借りるときの注意点や対処法を見ていきましょう。

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内見をしないで借りるリスク

 

前提として、納得のいく部屋探しをするためには、やはり内見を行うことが大切です。ここではまず、内見をしないで契約した場合、どのようなリスクが発生するのかについて整理しておきましょう。

 

インターネット上に公開されている不動産情報の写真や図面は、必ずしも実際の状況をそのまま表しているとは限りません。

 

写真が撮影されてから年月が経過していたり、写真そのものが広く見えるように広角レンズで撮られていたりするケースも考えられます。

 

また、図面に記載されているよりも実際には柱が飛び出ている、収納が思っていたより狭いといったケースもあります。そのため、内見せずに入居すると、イメージと現実のギャップに戸惑ってしまうこともあるでしょう。

 

不動産情報からは、オートロックやエアコン、追い焚き機能、宅配ボックスなど、導入されている設備の種類は確認できるものの、実際の状態までは分かりません。

 

内見せずに入居をすると、期待していた設備が思っていたより劣化していたり、窓や扉の立て付けに不具合が生じていたりと、思ってもみない欠点が見つかることもあります。

 

部屋の条件のなかでも、騒音や日当たりといった項目は、現地に足を運んでみないと判断が難しいといえます。

 

騒音については、大通りから離れているなどのおおまかな状況は推察できますが、部屋の防音性や隣人や周辺の生活音などは現地に行ってみないと把握できません。

 

日当たりについても、地図などで周辺の建物の様子を調べることはできますが、実際の状況は現地で確認するのがもっとも確実です。加えて、部屋のニオイも内見をしてみなければ分かりません。

賃貸物件の内見ができないケース

 

これまで解説したように、内見はできる限り行うべきといえますが、場合によっては難しいこともあります。

 

ここでは、内見できないケースについて見ていきましょう。

 

好立地の人気が集まる物件では、内見の予約をとる間もなく、すぐに契約が決まってしまうケースがあります。

 

特に有名な建物やデザイナーズマンションなどでは、空きが出るとすぐに入居者が決まってしまうことも多いです。

 

賃貸物件のなかには、退去予定の入居者がまだ住んでいる段階から、新たな入居者の募集をスタートするケースもあります。

 

まだ前の入居者が住んでいたり、ハウスクリーニングが行われていたりする場合は、すぐに内見させてもらうのは難しいといえます。

 

新築物件では、建物が完成する前から入居者の募集をかけるのが一般的なので、基本的には内見をせずに賃貸借契約まで進めることとなります。

 

この場合は、完成予想図などを基に、間取りや設備をチェックし、入居するかどうかを判断します。

 

急な転勤や遠方への引越しなどでは、現地に足を運ぶのが現実的に難しいケースもあります。仕事などでなかなか時間がとれない人も同様です。

 

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内見できないときの対処法

 

内見がどうしても難しい場合には、状況に応じたいくつかの対処法があります。ここでは、具体的な方法を紹介します。

 

前の入居者が住んでいて内見ができない場合は、不動産会社を通して、同じ建物の別の部屋を見せてもらえないか聞いてみるといいでしょう。

 

もちろん、まったく同じ状態ではないかもしれませんが、設備の種類や部屋の防音性などは確認できるので、借りる部屋の様子もイメージしやすくなります。

 

前の入居者が住んでいる場合でも、交渉次第では部屋の状態を見せてもらえる可能性があります。ただし、直接働きかけることはできないので、不動産会社を通じて確認をする必要があります。

 

新築工事中・リフォーム中などでそもそも室内に入ることができないという場合でも、現地まで足を運ぶことでさまざまな情報を得られます。

 

周辺環境や日当たり条件、騒音、駅からのルート、道路の人通りや街灯の数など、建物の外からでも意外に重要な情報は得られます。

 

仕組みは後ほど詳しく解説しますが、不動産会社によっては、ビデオ通話などを活用したオンライン内見を行っていることもあります。

 

代わりに担当者が室内へ入って状況を確認してくれるので、さまざまな理由で足を運べないときには、とても有効な手段です。

 

前の入居者がまだ住んでいる、あるいは建物が未完成の場合、いきなり契約を結ぶのではなく、先行申し込みを行うという方法もあります。

 

これは、内見よりも前に入居の申し込みを行い、内見を行ってから、改めて契約するかどうかを検討するという方法です。

 

ここからは、先行申し込みの具体的な仕組みについて見ていきましょう。

先行申し込み

 

先行申し込みとは、内見よりも先に入居申し込みを行うことを指します。

 

通常の流れからすれば、内見をしてから入居申し込み、入居審査へと進むのが一般的ですが、先行申し込みでは先に申し込みと入居審査を済ませておくのが特徴です。

 

この方法であれば、建物が完成したり、前の入居者が退去したりしたタイミングで優先的に内見をさせてもらえます。

 

基本的に内見をして問題がなければそのまま契約手続きを進めるのが前提となっていますが、内見後にもし何か問題が見つかれば、キャンセルすることも可能です。

 

一方、ほかの申込者が内見を行わずに先に契約をした場合は、そちらが優先されてしまう可能性もあります。そのため、先行申し込みはあくまでも「確実な予約ではない」と考えておくほうが無難です。

 

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オンライン内見

 

遠方で足を運べないときには、オンライン内見やIT重説の仕組みを活用することで、スムーズに契約までの手続きを進められます。ここでは、それぞれの具体的な仕組みを解説します。

 

オンライン内見とは、ビデオ通話などを使うことで、遠隔地からでも内見ができるサービスを指します。コロナ禍で非対面型のやりとりが重要視されたことにより、オンライン内見を取扱う不動産会社は増えてきています。

 

オンライン内見では、実際に不動産会社の担当者が現地に足を運んでくれるので、映してもらいたいポイントを細かくリクエストすることも可能です。

 

また、その物件の騒音や日当たり、ニオイといった現地でしか分からない状況も詳しく教えてもらえます。

 

さらに、依頼をすれば洗濯機や冷蔵庫置き場の幅、収納スペースのサイズなどを採寸してもらうことも可能です。

 

一方、どうしても画質の粗さや手ブレが生じてしまうので、自分で足を運ぶ場合と比べれば正確性に欠けると感じられる面もあるでしょう。

 

また、すべての不動産会社で対応しているわけではないため、利用するためには「オンライン内見対応」や「Web内見可」といった表示のある会社を選ぶ必要があります。

 

IT重説とは、賃貸借契約を結ぶ前に行われる重要事項説明をオンラインで行う方法のことです。

 

部屋の状態や物件のルールといった重要事項の説明は、もともと宅地建物取引士によって対面で行うこととされていましたが、2017年10月からはパソコンなどの通信端末を用いて行うことも可能になりました。

 

IT重説のもっとも大きなメリットは、現地へ行かなくても契約の手続きを進められるようになった点にあります。

 

オンライン内見と組み合わせれば、遠隔地でもスムーズに部屋探し・入居手続きが行えるため、遠方の部屋を借りる際にはとても便利です。

 

一方、IT重説もすべての不動産会社が取扱っているわけではないため、事前に対応状況を調べておく必要があります。

 

また、専用のアプリをインストールしたり、通信環境も整える必要があったりするため、不慣れな人は準備に時間がかかってしまうこともあるでしょう。

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  • 写真や図面と実際の状況が異なる場合があるので、内見はできる限り行う
  • 騒音や日当たり、ニオイなど、内見しなければ分からない条件もある
  • 内見なしで借りる場合には、内見できない理由に応じた対処法を考える
  • 完成前の物件などで内見してから入居を判断したい場合は、先行申し込みもひとつの方法
  • 遠方などで現地に行けない場合は、オンライン内見やIT重説を活用するのも有効

 

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更新日: / 公開日:2016.03.23