アレルギー性の住宅病の社会問題化とともに、室内環境を健康に保つ機能を持つ、「天然由来の壁仕上げ材」に注目が集まってきています。有害化学物質を吸着し、湿度を調節するだけでなく、耐久性や耐火性にも優れた天然の壁仕上げ材は、エコリフォームを実現する建築材料といえそうです。
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この記事のポイント(3行まとめ)

 

100%天然の壁仕上げ材は有害化学物質を強力に吸着固定する
粘土質を含むフランス産の石灰岩から作られる「NHL」は強アルカリ性の性質を持ち、シックハウス症候群の原因となる酸性のホルムアルデヒドを内部で中和・固定して放散させない高い空気環境改善効果を持っています。
詳しくは、「<a href=”#table_of_content_1″>自然素材として注目されるNHLの壁</a>」をご覧ください。

 

NHLは窓を開放した後に室内の湿度を緩やかに一定へと安定させる
乾燥した冬や高湿度の夏に行われた調湿特性の実験では、窓を開放して一時的に変化した室内の湿度を、NHLが持つ高い吸放湿性能によって人間の快適な基準へとゆるやかに回復・安定させることが実証されています。
詳しくは、「<a href=”#table_of_content_4″>高い吸湿性能も実証済み</a>」をご覧ください。

 

天然スイスしっくいは半永久的に明るい純白の美しい壁をキープできる
調湿性や化学物質の吸着力などNHLと似通った高い環境性能を持ちながら、最大の違いとして非常に明るい白色の輝きを放ち、その美しい白さが半永久的に変わらないため、DIYでの壁塗りや個性的な住まい演出にも最適です。
詳しくは、「<a href=”#table_of_content_5″>いつまでも白く美しいスイスしっくいの壁</a>」をご覧ください。

 

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「エコな部屋を借りる」で取り上げた「畑の付いているエコアパート」の1室でも壁に採用されていた「NHL(=Natural Hydraulic Lime、天然水硬性石灰)」は、フランス産の100%天然の壁仕上げ材です。粘土質を含む石灰岩から作られたNHLは、古代ローマ建築にも使用された「セメントのルーツ」といえる存在で、室内環境を健康に保つさまざまな機能があります。

  • 空気中のCO2を吸収しながら硬化し、時間をかけて元の石灰岩に戻る
  • 調湿性能が高い。外気の湿度が高いときには吸湿し、湿度が低く乾燥したときには水分を放出。室内の湿度を安定した状態に保とうとゆるやかに働く
  • 強アルカリ性である

※ホルムアルデヒドなどの揮発性化学物質を強力に吸着固定する力をもつ。(揮発性化学物質のほとんどが酸性なので、強アルカリ性のNHLに吸着された後、内部で中和されて固定されてしまう)

※消臭性に優れている。(強アルカリ性はダニ・カビの発生も抑え、さらに死滅させる効果を持っている)

これらの機能の中でも、特に特徴的な「ホルムアルデヒドなどの化学物質を吸着する」という機能についての興味深い実験データがあります(図7-1)

実験内容:試験体を密閉した袋内に入れ、ホルムアルデヒド100ppmを添加。ガス濃度は検知管で測定し、24時間ごとに5回、72時間後1回、ガスを再添加する作業を繰り返した。

結果としては、比較対象のタイル系健康壁材と比べて、吸着後の放散が少ないことが見受けられます。さらに濃度1ppmの実験では24時間で約0.1ppmまで低下することが確認されています。

ちなみに1ppmとは塗りたてのペンキ程度の濃度。現場でもペンキを塗装した直後にNHLを施工すると、揮発臭が無くなるという報告があるといいます。

なお、厚生労働省が定める室内濃度指針値では、ホルムアルデヒドの基準値は0.08ppm以下とされています。NHLを施工することで、室内の化学物質濃度をこの安全基準の目安へと近づけ、健康的な空気環境を維持する効果が期待できます。

図7-1:NHLが持つ化学物質の吸着性能

図7-1:NHLが持つ化学物質の吸着性能

そのほか、乾燥している冬にNHLの調湿特性を実験したものがこちら(図7-2)です。床から1500mmの高さの湿度を計測しました。この結果を見ると、窓開放後、一旦下がった湿度が緩やかに一定の湿度へと回復しているのが分かります。また、逆に高湿度の夏には、湿度を下げる効果が確認されているそうです。室内の湿度を一定に保つ、NHLの性質がはっきりとわかります。

工学院大学中島研究室調べ。乾燥している冬にNHLの調湿特性を実験。床から1500mmの高さの湿度を計測。窓開放後、一旦下がった湿度が緩やかに一定の湿度へと回復している。逆に高湿度の夏には、湿度を下げる効果が確認されているそうだ。

NHLは石灰岩ですから、それ自体は当然不燃です。独居老人世帯などの室内や、住宅密集地の外壁に効果的に使用すれば、防火対策上のメリットも期待できるでしょう。また、植物繊維など、空気層を持つ骨材(セメントの場合の砂の役割に相当)を混ぜることで断熱性能を高めることもできます。

図7-2:NHLが持つ吸湿性能

図7-2:NHLが持つ吸湿性能

アレルギー対策や湿気対策として、100%天然素材の壁仕上げ材は非常に高い効果を発揮します。室内環境を健康的に改善したいとお考えなら、まずは専門の会社へ相談し、実際の施工費用やプランの見積もりを比較してみるのがおすすめです。

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NHLと同様に天然素材の壁仕上げ材に「天然スイスしっくい」があります。調湿性能や化学物質吸収力などの室内環境を快適、健康に保つ性能はNHLと非常に似通ったものがあるようです。

大きな違いは色。NHLの薄いベージュ色に対して、天然スイスしっくいは非常に明るい白色で、それが半永久的に変わらない点が特徴です。

施主がDIYで塗った自宅マンションの壁の写真。青い天然顔料で着色してある。壁と天井の角など複雑な形状をした部分でも慣れてくれば十分可能だとか

施主がDIYで塗った自宅マンションの壁の写真。青い天然顔料で着色してある。壁と天井の角など複雑な形状をした部分でも慣れてくれば十分可能だとか

  • 強アルカリ性のスイス産石灰
  • 陶土やセルロース繊維などの天然素材の骨材を調合してあり、水を混ぜて練るだけで施工できる壁仕上げ材として商品化されている
  • 非常に明るい白色で、それが半永久的に変わらない
  • 内壁・外壁に使用でき、着色も可能

天然スイスしっくいは、その美しい白さを長く保てるだけでなく、水を混ぜて練るだけで施工できる扱いやすさから、DIYリフォームの素材としても人気があります。実際の施工事例やデザインのバリエーションを見て、理想のお部屋のイメージを膨らませてみましょう。

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この他、最近注目されている100%天然由来の壁仕上げ材には、帆立貝などの貝殻を焼成して作った商品などがあります。調湿性能や化学物質吸収力などの性能にはそれぞれ差があるでしょうが、ほぼ同様の室内環境性能を持っていると考えてよさそうです。注意したいのは、接着剤などの化学物質を含まないかどうか。また、こうした天然素材100%の壁仕上げ材の室内環境性能は、塗る厚みによって効果も変わってきます。

これらの仕上げ材で壁や天井などを覆ってゆくだけで、室内環境を健康に変えられるのですから、エコリフォームの手法として大いに注目したい建材です。また、着色したりテクスチャーの変化を加えることで、壁全体をオブジェのように仕上げることができるので、個性的な住まいの演出も可能です。

近年では、中古マンションや中古一戸建てを購入し、入居前に体への優しさにこだわった自然素材の壁へとリノベーション・リフォームする若い世代やファミリー層が増えています。まずは信頼できるリフォーム会社を見つけ、マイホームの悩みを解決する最適なプランを提案してもらうことから始めてみませんか。

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建築家不破博志さんが開発した手法「NHL籾殻の版築」で仕上げられた中古マンションの壁(奥のベージュ色)。地層のように固められた表情が芸術品のような趣を放っている

建築家不破博志さんが開発した手法「NHL籾殻の版築」で仕上げられた中古マンションの壁(奥のベージュ色)。地層のように固められた表情が芸術品のような趣を放っている

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A.1 ホルムアルデヒドなどの揮発性化学物質の多くは酸性の性質を持っています。これに対して、フランス産の100%天然壁仕上げ材であるNHLは「強アルカリ性」の性質を持っているため、壁に付着した化学物質を強力に吸着したあと、内部で中和して閉じ込めてしまう(固定する)ことができるからです。

A.2 はい、あります。NHLは粘土質を含む石灰岩を原料とした100%天然の素材であるため、それ自体が不燃材料です。そのため、万が一の火災に備えたい住宅密集地の外壁や、室内環境を安全に保ちたいお部屋の壁・天井に施工することで、高い防火対策上の効果やメリットが期待できます。

A.3 室内の調湿性能や化学物質の吸収力といった快適・健康に保つための基本性能は非常に似通っています。2つの最大の違いは「色」にあり、NHLが薄いベージュ色であるのに対して、天然スイスしっくいは非常に明るい白色をしており、そのまぶしい白さが半永久的に変わらないという美しい特徴を持っています。

A.4 施工性(塗りやすさ)を向上させるために、合成樹脂などの接着剤(化学物質)があらかじめ混ざっている製品でないかをしっかり確認することが大切です。また、これら天然素材の吸湿・吸着といった室内環境性能は、壁に塗る「厚み」によっても効果が変わってくる点に注意が必要です。

更新日: / 公開日:2013.03.10