地域調査が開始。地域統計の精度が向上

2018年7月18日、観光庁は訪日外国人消費動向調査の2018年1-3月期の調査結果(2次速報)を発表した。従来の調査に加えて、今回より初となる地域調査を公表している。また、近年急速にクルーズ客※が増加していることから、クルーズ調査も新たに調査対象とした。クルーズ客は、2010年の調査開始時にはごくわずかだったものの、2013年には約20万人、2015年には約100万人となり、さらに2017年には約250万人にまで増加している。クルーズ客の消費額は一般客と比較して少額であるなど傾向が異なるため、消費動向を正確に把握することを目的に新しく追加された。

2018年4-6月期の調査結果(1次速報)によれば、2018年4-6月期の訪日外国人旅行者数は828万人、訪日外国人旅行消費額は1兆1,233億円と推計される。うち、一般客の旅行消費額は1兆960億円、クルーズ客の旅行消費額は273億円。訪日外国人(一般客)1人当たり旅行支出は14万4千円であった。速報ではあるものの、昨年同時期の旅行者数722万人、1兆776億円と比較して大きく成長しており、インバウンドが好調であることがわかる。

※「クルーズ客」は船舶観光上陸許可者、「一般客」はクルーズ客以外の訪日外国人。

観光庁【訪日外国人消費動向調査】2018年4-6月期の調査結果(1次速報)より、【図表1】訪日外国人旅行消費額と旅行者数の推移を参照して作成。<br>2018年4月までは暫定値、同年5~6月は推計値を使用している観光庁【訪日外国人消費動向調査】2018年4-6月期の調査結果(1次速報)より、【図表1】訪日外国人旅行消費額と旅行者数の推移を参照して作成。
2018年4月までは暫定値、同年5~6月は推計値を使用している

訪問率1位は大阪府、2位東京都、3位千葉県

「地域調査」の結果から、2018年1-3月期における訪日外国人の都道府県別訪問率を見ていこう。

訪問率が高かった順に、大阪府39.1%、東京都37.2%、千葉県29.6%、京都府26.8%、福岡県12.0%であった。主要空港のある近辺で訪問率が高くなる傾向にある。全体の4割近くが大阪を訪れており、東京都の訪問率を超えている。大阪が海外から人気の観光地であることが分かる。

訪日外国人の1人当たり旅行中支出は、北海道が全国で最も高く10万9千円、続いて東京都9万7千円、長野県7万7千円、沖縄県6万9千円、大阪府6万4千円であった。

地域調査では、都道府県ごとの訪問率、平均泊数、1人当たり旅行中支出が発表されている。この3つの項目全てで、上位10位以内にランクインしたのは、北海道(訪問率11.7%で6位、平均泊数は5.1日で2位、1人当たり旅行中支出が109,607円で1位)、東京都(訪問率37.2%で2位、平均泊数は4.3日で6位、1人当たり旅行中支出が97,047円で2位)、沖縄県(訪問率7.5%で8位、平均泊数は3.8日で7位、1人当たり旅行中支出が69,027円で4位)だった。

観光庁【訪日外国人消費動向調査】2018年1-3月期の調査結果(2次速報)より、【図表2】都道府県別にみる訪日観光客の訪問率、平均泊数および1人当たり旅行中支出を参照して作成<br>
地域調査の対象はクルーズ客を除いた一般客。観光・レジャー目的の一般客を集計している観光庁【訪日外国人消費動向調査】2018年1-3月期の調査結果(2次速報)より、【図表2】都道府県別にみる訪日観光客の訪問率、平均泊数および1人当たり旅行中支出を参照して作成
地域調査の対象はクルーズ客を除いた一般客。観光・レジャー目的の一般客を集計している

20歳代に人気の大阪府、個人旅行の割合が多いのは広島県

地域別調査では、訪日外国人の属性や旅行の手配方法などにより、訪問先も異なることが分かる。まずは属性別に見ていこう。

20歳代の訪日外国人旅行者の訪問割合が多いのは大阪府で40.1%、次いで東京都37.3%、福岡県35.3%だった。東アジアからの訪問割合が高い順に、福岡県96.5%、沖縄県95.0%、大阪府82.2%だった。

旅行形態別に見ると、団体ツアーを利用した訪日外国人の割合が多い順に静岡県62.2%、山梨県55.5%、愛知県52.9%、富山県51.3%で、4県は過半数以上を団体ツアー客が占めている。個人旅行の割合が顕著に多いのが広島県で91.7%であった。広島県は欧米豪からの訪日客が43.3%と、東アジアの32.3%を超えており、訪日外国人全体の7割が東アジアからの訪問であることを考えると、他の都道府県と比較して特徴的である。

日本滞在中に船舶を利用した割合が多かったのは、瀬戸内地方の各県で、割合が多かった順に、香川県37.3%、愛媛県31.0%、徳島県28.1%、山口県23.8%、広島県20.0%、岡山県18.7%であった。

台風21号の影響により関西国際空港、北海道胆振東部地震により新千歳空港が被災した。関西国際空港の乗降客数は約2,800万人と日本で3番目に多く、また新千歳空港は約2,300万人と日本で5番目であり、天災により日本の主要空港に立て続けに被害が出てしまった(国土交通省 平成29年空港管理状況調書より)。
今後の防災対策に加えて、空の玄関口である空港での、災害時における外国人観光客向けのアナウンスやサポートも同時に検討・進められる必要があるだろう。

観光庁【訪日外国人消費動向調査】2018年1-3月期の調査結果(2次速報)より、【図表3】都道府県別にみる訪日観光客の属性及び旅行内容 国籍・地域、20歳代の割合を参照して作成<br>
地域調査の対象はクルーズ客を除いた一般客。観光・レジャー目的の一般客を集計している観光庁【訪日外国人消費動向調査】2018年1-3月期の調査結果(2次速報)より、【図表3】都道府県別にみる訪日観光客の属性及び旅行内容 国籍・地域、20歳代の割合を参照して作成
地域調査の対象はクルーズ客を除いた一般客。観光・レジャー目的の一般客を集計している
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2018年 09月30日 11時05分