訪日リピーターは年々増加、2017年は1,761万人と推計

2017年の訪日外国人旅行者数は、前年の2,404万人から19.3%増の2,869万人となり、5年連続で過去最高を更新。2020年に4,000万人という目標に対して、順調に推移している。(観光庁:平成30年版観光白書より)

今後も訪日外国人旅行者の増加を目指すにあたり、日本をまだ訪れたことのない観光客の誘致と、リピーターの醸成は重要なポイントとなるだろう。観光庁が2018年3月20日に発表した平成29年訪日外国人消費動向調査 トピックス分析より、リピーターの動向を振り返りたい。

2017年の訪日外国人のうち、61.4%が訪日回数2回目以上のリピーター。リピーター割合はおおむね6割程度で推移している。2017年の訪日リピーター数は1,761万人で、年々増加しており、2011年の401万人と比較すると、4倍以上の増加となった。

リピーターを国籍別に見ると、最も多い順に韓国(30%、約370万人)、台湾(25%、約310万人)、中国(18%、約230万人)、香港(13%、約160万人)だった。この近隣4ヶ国でリピーターの86%を占める。4ヶ国同様の傾向として、訪日回数が増えると30代以上の割合が増加、1人あたりの旅行支出※が増加する。特に、訪日回数10回以上の「訪日ヘビーリピーター」は、国ごとの支出の大小はあるものの、初回と比較し2~4割程旅行支出が増加するようである。

※「1人当たり旅行支出」はパッケージツアー参加費に含まれる日本国内収入分が含まれている

訪日回数別1人当たり旅行支出(平成29年)観光・レジャー目的<br>観光庁平成29年訪日外国人消費動向調査トピックス分析を参照して作成訪日回数別1人当たり旅行支出(平成29年)観光・レジャー目的
観光庁平成29年訪日外国人消費動向調査トピックス分析を参照して作成

リピーター割合が多いのは台湾80%、香港83%

続いて、国別にリピーター割合を見ていく。2017年、韓国からの訪日外国人のうち、2回以上の訪日リピーター割合は64%、訪日回数10回以上のヘビーリピーターは9%だった。台湾の訪日リピーター割合は80%、ヘビーリピーターは15%で、香港の訪日リピーター割合は83%、ヘビーリピーターは20%。中国の訪日リピーター割合は36%、訪日ヘビーリピーターは4%となっている。特に、香港と台湾のリピーター割合が多いことがわかる。

訪日回数の増加に伴い、リピーターの行動にも変化が見られる。韓国、台湾、香港からの観光客は、訪日回数が増えるにつれて地方(千葉県・埼玉県・東京都・神奈川県・愛知県・京都府・大阪府・兵庫県以外)への訪問率が増加する。また、日本での行動では、訪日回数が増えるほどに「日本の酒を飲むこと」、「温泉入浴」を実施した人の割合が増加した。訪日回数が増えるにつれ、訪問先に広がりが見られ、"コト消費"の割合が増えていることが分かる。

中国からの観光客は、4ヶ国で比較するとリピーター割合が低いものの、1人当たり旅行支出は初回訪問で平均22.1万円と4ヶ国で最も多い。前述の通り、訪日外国人数は年々増加と好調なものの、一方、1人当たりの支出額は2015年の17.6万円をピークに、2016年は15.6万円、2017年は15.4万円と2年連続で減少している。あと一歩、訪日客数だけでなく支出額も増加していくには、1人当たり支出額の大きいイギリスやイタリア、中国などの誘致も鍵となりそうだ。

訪日回数別今回したこと(観光・レジャー目的)※複数回答<br>観光庁平成29年訪日外国人消費動向調査トピックス分析を参照して作成訪日回数別今回したこと(観光・レジャー目的)※複数回答
観光庁平成29年訪日外国人消費動向調査トピックス分析を参照して作成

地方インバウンド増加に寄与するリピーターの獲得に期待

2011年1月にJR青森駅前にオープンした、青森市文化観光交流施設「ねぶたの家 ワ・ラッセ」。2018年2月、インバウンド対策としてQRコードで紹介内容が閲覧できる翻訳機を導入2011年1月にJR青森駅前にオープンした、青森市文化観光交流施設「ねぶたの家 ワ・ラッセ」。2018年2月、インバウンド対策としてQRコードで紹介内容が閲覧できる翻訳機を導入

インバウンド需要の拡大により、地方の地域経済の影響が期待される。外国人のべ宿泊者数の伸び率を三大都市圏、地方別に比較すると、直近の3年間で地方部の伸びが三大都市圏を上回り、地方部が占める割合が年々拡大している。観光白書の速報値によれば2017年には年間値で初めて4割を突破する見込みだ。

外国人のべ宿泊者数が大きく伸びた都道府県のうち、いくつか事例を振り返りたい。

青森県では、青森空港と中国・天津を結ぶ国際線が2017年に就航。さらに、台湾とのチャーター便も増加し中国や台湾からの観光客が増加した。2012年に約4万人泊だった青森県の外国人のべ宿泊者数は、2017年には約26万人泊と、およそ6倍に増加している。青森県は、中国からの定期便就航の以前から、空路と新幹線などを組み合わせた立体観光を推進。弘前城などの歴史文化施設や、歴史ある酒蔵、伝統芸能などのPRにも力を入れている。

香川県では、外国人のべ宿泊者数が2012年の約4万人泊から、2017年には約45万人泊と、約11倍に増加した。LCC香港エクスプレスが2016年に高松空港との直行便を就航。さらに同年3月~11月には高雄との定期チャーターが就航、2017年には上海便の増便などにより着々と観光客が増えている。外国人観光客との円滑なコミュニケーションを支援するべく、香川県は2017年7月に多言語コールセンターを開設。英語、中国語、韓国語、スペイン語…などの7言語は24時間対応可能とし、環境整備にも力を入れている。

リピーターは地方を訪れる割合が多くなる傾向にある。現在好調な都道府県だけでなく、この効果が地方にも波及するよう、さらなる誘客が期待される。

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2018年 08月11日 11時00分