総面積72ヘクタールの広大な幕張海浜公園

首都高速湾岸線を都心から千葉市方面へ走っていると、だんだんと高層ビル群が見えてくる。幕張新都心だ。未来型国際都市として整備されてきた幕張新都心は埋立地である。そこに貴重な緑の場として設けられたのが千葉県立幕張海浜公園だ。

幕張海浜公園の総面積は約72ha、東京ドーム約15個分と広大だ。その敷地は、JR海浜幕張駅近くの緑豊かで彫刻などの美術作品も展示されているA~Cブロックと、東京湾沿いに広がり千葉マリンスタジアムも含まれるD~Gの計7ブロックに分かれている。1987年に開園し、90年にはCブロックの日本庭園「見浜園」とFブロックの千葉マリンスタジアム、2020年にはD・EブロックのJFA夢フィールド 千葉県フットボールセンターがオープンした。そして現在、Bブロックの再整備計画が進行中だ。その内容を解説しよう。

駅に改札口が増設され、公園のBブロックが再整備される

そもそも幕張海浜公園の管理者は千葉県だ。しかし陸側のABCブロックにおいては、千葉市が県と協定を締結し、2019年4月から主体的に管理運営を行っている。そこで千葉市は、この地域で働く人、暮らす人にとってより魅力的で、さらに遠方の人も惹き付けるようにするための整備・運営を公募することにした。民間事業者導入による公園活性化・運営事業を実施することにしたのだ。

Bブロックは、周辺住民に癒しをもたらす緑と水辺のエリアだ。現在は広大な「大芝生広場」を中心に噴水のある「にぎわい広場」や四季折々の花に彩られた「花時計」、さまざまな遊具がある「わんぱく広場」などが広がっている。

公募の対象範囲は、Bブロックのうち、JR海浜幕張駅寄りの約3haだ。これは2025年春に、同駅の公園寄りに新改札口が増設されることも関係している。Bブロックには、海浜幕張駅と約2万4,000人が暮らす幕張ベイタウンをつなぐ通り道が位置しているが、この通り道は夜間暗く、安心して通れないという声も上がっていた。Bブロックの再整備によって、JR海浜幕張駅と幕張ベイタウン間のより快適な通行を目指す。

ベイタウンの様子。無電柱化されて明るくおしゃれな雰囲気ベイタウンの様子。無電柱化されて明るくおしゃれな雰囲気
ベイタウンの様子。無電柱化されて明るくおしゃれな雰囲気幕張海浜公園Bブロックの案内図。左の楕円部分がJR海浜幕張駅とベイタウンをつなぐ園路

園内にスポーツテナントやカフェを誘致。再整備の内容とは

整備・運営事業者については、2024年9月に決定した。代表企業が三井不動産株式会社、構成企業が新日本建設株式会社と西武造園株式会社だ。

採用された提案概要は次のようになっている。
「コンセプト」
スポーツ・健康を通じて心豊かに生活できる、をテーマとし、地域に長く愛され、人々を惹き付ける公園を目指す。

「おもな整備内容」
それぞれのイメージは、下の図を参照してほしい。
●3つのエリア
・イベントやマルシェなどを開催するアクティブエリア
・BBQや野外活動などを通じて緑の中で交流を育むコミュニティエリア
・ステージイベントなどを開催するステージエリア
●広場に開かれた建物
・スポーツテナントを誘致するPark WEST
・カフェや多目的フィットネススタジオを誘致するPark EAST
●周辺と公園全体をつなぐ園路
・円形広場に沿って公園全体をつなぐリングパス
・明るくて快適な園内通行を可能にするコモレビフォレスト

幕張海浜公園Bブロック再整備のイメージパース。イベントやマルシェなどが開催されるアクティブエリアを中心にさまざまな施設が整備される(出典:千葉市記者発表資料)幕張海浜公園Bブロック再整備のイメージパース。イベントやマルシェなどが開催されるアクティブエリアを中心にさまざまな施設が整備される(出典:千葉市記者発表資料)

「今後のスケジュール」
2025年12月頃:事業計画の認定
2026年1月頃:工事開始
2027年夏頃:運営開始

実際に現在の幕張海浜公園の様子を見てきた

2024年12月、再整備するエリアの様子をJR海浜幕張駅から幕張海浜公園まで歩いて見てきた。まず新改札口については、現在の駅舎の蘇我方面で工事が行われていた。ちょうど駐輪場の上の部分だ。そこから道路(公園中通り)を渡った場所が幕張海浜公園になるので、そちら側に住む人たちにとってはかなり利便性が向上するはずだ。

新改札口の工事風景。この下の駐輪場は現在(2024年12月)も利用可能新改札口の工事風景。この下の駐輪場は現在(2024年12月)も利用可能

公園中通りを渡ったらすぐに園路の入口がある。動線としては申し分ない。ただし、課題としてあげられているように雰囲気は暗い。街路灯はあるものの、葉の茂った樹木に挟まれているので、夜間に通る際は不安を感じる人もいるだろう。

新改札口の工事風景。この下の駐輪場は現在(2024年12月)も利用可能ベイタウン方面につながる園路の入口。両側に木々がうっそうと茂っていて昼間でも暗い。

2027年に供用開始予定。新たな幕張海浜公園に期待

園路に入って右手側に広がっているのがBブロックだ。大芝生広場に足を踏み入れると、その規模感に呆然とした。視力1.5の筆者が目を凝らしても端の様子が見えないほどだった。幕張新都心にこのような緑あふれる空間があるとは驚きだ。

JR海浜幕張駅周辺は、今現在も三井アウトレットパーク幕張、ユナイテッド・シネマ幕張といった商業施設が充実し、道幅も広々としていて雰囲気も明るいことなどから比較的住みやすいエリアといえる。それが駅の新改札口や幕張海浜公園の再整備によってさらに魅力度がアップする。2027年の供用開始が楽しみだ。

現在のBブロックの大芝生広場。後方に高層ビル群がそびえているところがいかにも幕張新都心らしい現在のBブロックの大芝生広場。後方に高層ビル群がそびえているところがいかにも幕張新都心らしい

公開日: