内閣府が「新型コロナウイルス感染症を踏まえた災害対策のポイント」を作成

昨年(2019年)は豪雨による被害が全国で頻発した。例えば8月は九州北部において集中豪雨が発生し、各地で観測史上1位の降雨量を記録した。9月には台風15号が関東に上陸し、千葉県を中心に多大な強風被害をもたらした。さらに10月には台風19号が発生。関東地方を中心に記録的な大雨が降り、神奈川県箱根町の日降水量は国内最高記録となった。

そして今年も梅雨の季節に入り大規模な水害が発生している。この先も、いつどこで豪雨災害が起こってもおかしくはない。その要因のひとつとして「インド洋ダイポールモード現象」がある。これはインド洋の東西で大きな海水温差が生じ、世界で異常気象を引き起こすものだ。昨年は過去最大の温度差となり、今年(2020年)の夏もその影響で日本は多雨になるという予測もある。

そこで不安になってしまうのが、コロナ禍の中で安全に避難する方法だろう。内閣府は各自治体向けに「新型コロナウイルス感染症を踏まえた災害対策のポイント」を作成している。この内容を参考にわれわれ一般人がどのように避難するべきかを考えてみよう。

昨今はいつどこで水害に見舞われるか分からない。コロナ禍の中でも安全に避難する方法を事前に知っておきたい昨今はいつどこで水害に見舞われるか分からない。コロナ禍の中でも安全に避難する方法を事前に知っておきたい

避難前に知っておくべき5つのポイント

知っておくべき5つのポイント(出典:内閣府 防災情報のページ「新型コロナウイルス感染症が収束しない中における災害時の避難について」)知っておくべき5つのポイント(出典:内閣府 防災情報のページ「新型コロナウイルス感染症が収束しない中における災害時の避難について」)

新型コロナウイルス感染症が収束しない中でも、災害時に危険な場所にいる人は避難することが原則だ。内閣府は次のような避難前に知っておくべき5つのポイントを公表している。

【知っておくべき5つのポイント】
1.安全な場所にいる人まで避難場所に行く必要はない。
2.避難先は、小中学校・公民館だけではなく、安全な親戚・知人宅に避難することも検討する。
3.マスク・消毒液・体温計が不足しているので、できるだけ自ら携行する。
4.市町村が指定する避難場所、避難所が変更・増設されている可能性がある。災害時には市町村のホームページなどで確認する。
5.豪雨時の屋外の移動は車も含め危険。やむを得ず車中泊をする場合は、浸水しないよう周囲の状況等を十分確認する。

避難所に関しては、市町村によってホテルや旅館など民間施設の利用も検討されている。そのことを知るためにも「4」にあるように災害時には市町村のホームページを確認したい。

健康状態の把握と滞在スペースの振り分け方法

また「新型コロナウイルス感染症を踏まえた災害対策のポイント」では、災害時における各自治体の対応方法をQ&A形式で解説している。その中で一般人が気になる部分を要約して紹介しよう。

Q. 避難所では、どのように健康状態を把握し、滞在スペースを振り分けるのか?
A. 健康チェックリスト(下図)を作成し、避難所内のどの部屋・スペースに振り分けるのか判断基準を決めておくことが重要。避難者に体温計、マスク、消毒液、上履き(スリッパ・靴下など)、ごみ袋などを持参するよう促す。

■滞在スペースと区画の振り分け例
まず集合スペースと専用スペースに分ける。

【集合スペースの内訳】
・避難者スペース:一般避難者
・障がい者、高齢者スペース:要配慮者のうち集合スペースでの避難に差し支えない人

【専用スペースの内訳】
・濃厚接触者ゾーン:健康観察中の濃厚接触者
・発熱者等ゾーン:発熱、咳等の症状がある人
・要配慮者ゾーン:要配慮者のうち、集合スペースでの避難が困難で、特に支援が必要な人
・妊産婦ゾーン:乳幼児と一緒に避難した人または妊娠中の人

左/健康状態チェックリスト例。避難時はこのようなチェックを必ず行いたい<br>
右/避難所のレイアウト例。健康状態によって避難場所を振り分ける
<br>(出典:内閣府 防災情報のページ「新型コロナウイルス感染症を踏まえた災害対応のポイント【第1版】」)左/健康状態チェックリスト例。避難時はこのようなチェックを必ず行いたい
右/避難所のレイアウト例。健康状態によって避難場所を振り分ける
(出典:内閣府 防災情報のページ「新型コロナウイルス感染症を踏まえた災害対応のポイント【第1版】」)

食事をする際や自宅療養者の注意点

Q.炊き出しや弁当の受け取り、食事をする際の注意点は?
A.「3密」を避ける。食事をする際は、同じ方向を向いて座ったり、互い違いに座って食べるようにする。発熱、咳などの症状がある人や濃厚接触者への食事の受け渡しは、直接行わずに各居室前などに置いて渡す。

Q.自宅療養者の避難先は?
A.軽症者等であっても感染拡大を防止するために宿泊療養施設等に滞在することが原則。そのため家族と離れて避難する可能性がある。すみやかに宿泊療養施設に避難することができない場合は、とりあえず適切なレイアウトを行った避難所に避難する。

Q.災害時に自宅療養者や濃厚接触者が自家用車で移動する際の留意点は?
A.乗車する人数は最小限とし、自宅療養者や濃厚接触者は他の乗員と最も距離をとれる座席に乗車する。また、窓を開けながら運転し、乗員は必ずマスクを着用する。乗車後は消毒を行う。

Q.ホテルや旅館などにはどのような避難者を受け入れるのか?
A.高齢者、基礎疾患を有する人、障がい者、妊産婦、訪日外国人旅行者およびその家族等。自治体が避難者のリストを作成し、優先順位を決めておく。リストに掲載されている人には、避難が必要になった際はホテル・旅館などに避難すべきということを事前に伝える。

ハザードマップと各自治体のHPも確認を

以上のようにコロナ禍での避難では、今までとは異なる注意点が多数ある。自分自身のため、そして周囲の人のため、どれも手を抜きたくない。特に上記5つのポイントは絶対に守るべきだろう。
また、事前に自宅周辺の災害危険度がどれくらいあるのかハザードマップで確認しておくことも重要だ。さらに自治体によっては独自の避難方法などを公表していることもあるので、まめに自宅がある市区町村のホームページも確認したい。

■内閣府 防災情報のページ
新型コロナウイルス感染症を踏まえた災害対策のポイント
http://www.bousai.go.jp/pdf/covid19_tsuuchi.pdf

ハザードマップも活用して、どのように避難するかを判断をしよう<br>(出典:内閣府 防災情報のページ「新型コロナウイルス感染症が収束しない中における災害時の避難について」)ハザードマップも活用して、どのように避難するかを判断をしよう
(出典:内閣府 防災情報のページ「新型コロナウイルス感染症が収束しない中における災害時の避難について」)

2020年 07月08日 11時05分