養老町のシンボル「養老公園」にアウトドア施設が誕生
みなさんは、公園をどのように利用しているだろうか。毎日のウォーキング、ランニング、ピクニックなど、さまざまなシーンで使える公園。ここ数年のコロナ禍にあって、身近な開放空間としての存在を改めて実感したという人もいるだろう。
今回紹介する養老公園は、岐阜県営の広域都市公園。約78ヘクタールという広大な敷地内には、日本の滝100選、名水100選にも選ばれた「養老の滝」や、自然とアートを融合した「養老天命反転地」、大型遊具も設置された「岐阜県こどもの国」などのレクリエーション施設が併設されている。「養老天命反転地」は、人気タレントが来園したりアニメ映画に登場したりするなどの話題性もあり、写真映えするスポットとして注目を集めている。詳しくは、以前紹介したこちらの記事【『養老天命反転地』は「天命」を反転する!? “死なないため”の奇想天外な建造物で作者が意図したものとは】を参照してもらうとして、今回は2022年10月、園内に新しくオープンしたアウトドア施設「RECAMP養老」について取り上げてみようと思う。
大型テント、ペット同伴OK。電源付きサイトもあるキャンプ場
キャンプ人気の高まりが続くなか、10月7日、養老公園内にオープンした「RECAMP養老」。テントサイトは全部で6つのエリアがあり、ペットの同伴OK、電源付き、眺望良し、芝生エリアなどに分かれている。
養老公園から運営管理を委託されている株式会社Recamp「RECAMP養老」マネージャーの石川純さんに取材させていただいた。
「ここは、もともとゴルフ場だった場所をリノベーションしてつくられたオートキャンプサイトです。丘陵地につくられているので、丘の上のサイトからは濃尾平野が見渡せて、晴れていると御嶽山がとてもきれいに見えるんですよ。最近は本格的なキャンプ道具をお持ちの方が多く、大きなテントを使用したいという方も増えています。そんなニーズに応えられるよう1区画100m2以上とし、ファミリーサイズのテントとタープが一緒に張れる広さを確保しています」
キャンプ道具を運びやすいよう、車はキャンプサイトの近くまで乗り入れが可能となっているのも、家族連れに人気の理由となっているそうだ。
「電源付きのサイトでは、炊飯器を持ち込んで、スマートキャンプを楽しんでいらっしゃる方もいます。さまざまなスタイルでアウトドアを満喫してもらえたら、と思っています」と石川さんは話していた。
快適な環境でアウトドア気分が味わえるロッジエリアも
町営のキャンプセンターをリノベーションしたロッジエリア。全室エアコン付きで快適に過ごせる。1棟20~25m2のタイニーロッジと、6人まで利用できるファミリーロッジ(約50m2)が用意されている(写真提供:RECAMP養老)テントサイトに先駆けて7月にオープンしているロッジエリアについてもふれておこう。
ロッジエリアは、テントサイトからさらに丘を登った場所にある。もともと養老町が管理運営を行っていた養老キャンプセンターをリノベーションしたもの。
「ロッジには、各棟にエアコンが付いているのでテントで過ごすことに不安を感じる人や、乳幼児連れのご家族などに利用していただいています。それぞれの棟にはアウトドアリビングというものを設置しています。棟の横に整地した場所を用意し、焚火やバーベキューを楽しんでもらうための屋外のリビングです。キャンプはやったことがないけど焚火はやってみたいというビギナーの方にもアウトドアを満喫してもらえるように用意しました」(石川さん)
薪やアウトドア用品は現地で調達も可能で、石川さんらスタッフも焚火の仕方を丁寧に教えてくれるそうなので、安心して使えそうだ。
夏季限定でバーベキューエリアもオープン
もう1つ、7月にオープンしていたのがバーベキューエリアだ。こちらは、山のふもと側「岐阜県こどもの国」の芝生エリア内に設置されたもの。11月~3月の冬季は休業。4月~10月の土日祝と夏休み期間の限定営業となっている。
好きな食材を持ち込めるのはもちろんだが「手ぶらバーベキュープラン」も用意されている。アメリカンバーベキューグリルが常設され、本格的な雰囲気を味わいつつも手軽にバーベキューができるため、家族連れを中心に今シーズンは賑わっていたそうだ。
テントサイト、ロッジサイト、バーベキューサイト(取材時は冬季休業)はオープンからこれまで、週末は100%予約で埋まっていたとのこと。自然に囲まれつつも整った環境でキャンプがしたいという人にとって、公園という場所はちょうどいいのかもしれない。
滞在型のアクティビティ強化のためにRECAMPを誘致
そもそも、なぜ園内にアウトドア施設を作ることになったのか、「RECAMP養老」オープンまでの流れを、養老公園事務所の広報荒木正広さんに伺った。
「養老公園の今後の役割として、アウトドアの拠点機能をさらに充実させたいという想いがありました。そこで、もともと園内にあった町営の養老キャンプセンターと、閉鎖が決まっていたパターゴルフ場の活用に対するアイデアを検討。国内でキャンプ場を運営する事業者を選定していくなかで、遊休資産を活用し、地域の活性化に成功しているRecampさんと協働する運びとなりました。また、園内には養老の滝や養老天命反転地など、朝から夕方まで楽しめる施設がある一方で、夜を楽しむ滞在型のアクティビティが弱いのが課題でした。今回、『RECAMP養老』ができたことで、公園の滞在時間を延ばし新たな利用者を獲得したいという狙いがありました」(荒木さん)
北海道から九州まで約20ヶ所のアウトドア施設の管理運営を手掛ける株式会社Recamp。これまでのノウハウと実績に基づく運営に期待が寄せられている。
地元アーティストとのコラボで、まちの象徴「養老公園」のにぎわいづくりを目指す
明治13(1880)年に開園、明治25(1892)年に多芸郡、その5年後には養老郡の管理となり、大正12(1923)年から県営となった養老公園。2023年には県営100周年を迎える。
2022年度にはプレ周年記念イベントとして「Night Park 2022 inこどもの国」が開催された。広大な芝生広場にイルミネーションの巨大迷路がつくられたり、アニメソングを和楽器で奏でたり、ポップスをJAZZアレンジしたライブ演奏、ナイト縁日なども行われたそう。
養老公園は、養老町を語るうえでは欠かせないまちの象徴だ。
「養老公園の強みに、体験型芸術作品『養老天命反転地』があります。今後はこの反転地を使って、地元で活動しているアーティストの方を中心とした芸術祭などを開催できないか模索していきたいと考えています」(荒木さん)とのこと。
公園といっても養老公園のようにスケールの大きい公園は、日帰りですべてを散策しつくすことは難しい。宿泊できるキャンプ施設ができたことで、園内に滞在する時間は増える。「ゆっくりと園内をまわってもらい、公園や養老のまちの魅力を伝えていきたい」と荒木さんは話していた。
ちなみに取材時は、レトロなローカル線として話題の養老鉄道が養老公園県営100周年記念プレロゴヘッドマークを付けて運行していた(2022年11月末で運行終了。2023年度も運行予定)。
養老駅はリニューアルされ、「RECAMP養老」とほぼ同じタイミングで最先端テレワーク施設「YOROffice」も完成し、まち全体が活気づいていることを感じる。
春には桜、秋には紅葉と養老山麓の大自然を堪能できる景勝地・養老公園。オールシーズン、キャンプができる「RECAMP養老」ができたことで、にぎわいづくりが進んでいきそうだ。
<取材協力・写真提供>
RECAMP養老
https://www.recamp.co.jp/yoro
養老公園
https://www.yoro-park.com/
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