日本人の健康寿命の平均は「男性72.14歳」「女性74.79歳」
▲厚生労働省の調査によると、日本人の平均寿命は男性80.98歳、女性87.14歳。日常生活に制限のない健康寿命は男性72.14歳、女性74.79歳が平均とされている。健康寿命を延ばし、平均寿命との差を小さくして“不健康な期間を短くすること”が、幸せな老後生活のヒントとなる仕事を辞めた後、どんな生活が待っているのだろう?───50代に突入すると、多くの人たちが10年後の自分の姿を想像しながら「老後生活の在り方」について考えるのではないだろうか。
筆者自身もそうだ。「何歳まで働き続ける(労働需要がある)のか?」という自問自答と同時に「何歳まで健康寿命を維持できるのか?」という漠然とした不安にも駆られる。しかし、そんな不安を一蹴するかのように、快活で華やかなシニアライフを謳歌する人たちがいる。
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「アクティブシニアのためのアクティブなシニアライフ」をコンセプトにした新しい賃貸住宅が軽井沢に誕生したと聞いて現地を訪れた。日本初の“リゾート型サ高住”であり、60歳以上を対象としたシニア向けの高級賃貸住宅「AISIA(アイシア)軽井沢」だ。
自立したアクティブシニアがターゲット、まったく新しい“リゾート型サ高住”
「私ども社会福祉法人 博悠会では設立以来25年間、特別養護老人ホーム(特養)や介護老人保健施設など一定のケアが必要になった高齢者の方々の生活をサポートし、終末期まで寄り添う介護福祉事業を展開してきました。
しかし、高齢者の皆様をサポートさせていただく中で、身をもって痛感したのは“健康寿命を延ばすことがいかに大切か”ということ。そして、日々の暮らしに目的を持ち“シニアライフに楽しみを見いだす”ことこそ、健康寿命を長くする秘訣だということでした。そこで、アクティブなシニアの方が心ゆくまで安心して人生を楽しめる場所をつくりたいと考えるようになったのです」
建設中の『AISIA軽井沢』現地を案内してくださったのは、長野県北信地域を中心にケア施設拠点を展開する社会福祉法人 博悠会の柴本修さんだ。介護保険事業は人口減少の加速に伴い、いずれは鈍化していく。新たな事業展開を模索する中で「介護保険に関わる前の元気なシニア層」をサポートするための賃貸住宅供給の企画が立ち上がったという。
「一般的なサ高住というと、特養等介護施設に入所する前の待機施設というイメージがありますが、『AISIA軽井沢』はそうではありません。もちろんサ高住としての要件を満たすバリアフリー構造やコンシェルジュサービス等のサポートは実施するものの、あくまでも自立したアクティブシニアの皆様のご入居を想定していますので介護サービスの提供はありません。
高級賃貸住宅とサ高住の良いところを組み合わせた“まったく新しいリゾート型サ高住”です」(以下「」内は柴本さん談)
家族間の揉めごとを減らし、定期的に契約を見直しできる点が賃貸のメリット
コロナ禍を受けて、軽井沢の不動産マーケットは活況と聞く。JR軽井沢駅から車で約15分、浅間山ビューの好立地であれば、別荘開発をおこなってもニーズがあるように感じるが、あくまでも「サ高住」であり、分譲ではなく「高級賃貸住宅」にこだわった点には理由がある。
「高齢者の皆様の終末サポートに携わっていると、家族間の揉め事など残念なシーンに遭遇することがよくあります。必要以上の資産を所有されている方、特に、分与が困難な不動産を所有されている方の場合は相続問題の種になることが多く、“別荘などの不動産は所有しないほうが幸せなのではないか?”とかねてから感じていました。
そのため『AISIA軽井沢』では、2年更新の賃貸借契約とし、通常のサ高住では難しい法人契約も可能にしました。別荘を所有してしまうと、いざという時の売却に時間がかかることがありますが、2年更新の賃貸物件であれば、ご自身やご家族の体調、ライフスタイルの変化等に合わせて定期的に契約を見直すことができます。また、サ高住のプラットフォームに基づいているため、契約更新の際の更新料は一切発生しません。こうした点にメリットを感じてお問い合わせをいただくケースが多いですね」
トリプルサッシ、外断熱システムなど、氷点下でも快適に過ごせる住宅性能
『AISIA軽井沢』の月額賃料は44万円〜67万6000円(基本サービス費込み)、別途毎月5万円の共益費が発生する。
都心のタワーマンションが借りられるほどの高額設定だが、軽井沢に別荘を所有した場合、敷地整備等のメンテナンス費として毎月30万円~50万円程度の維持費が発生することを考えると「割安」と捉える人も少なくない。問い合わせの9割は首都圏在住のカスタマーで、3割が定住目的、7割がセカンドハウス目的だという。
「経営者や開業医など富裕層の顧客が多いため、住宅性能に関してもこだわりを持って設計しました。一般的な集合住宅型のサ高住とは異なり、各住戸を独立したコテージ型に。大きな開口部のあるリビングを北側に配置し、浅間山の景観を活かしたプランニングを行っています。
また、真冬の軽井沢は連日氷点下となるため、寒冷地での住まいづくりに定評のあるハウスメーカーさんに設計・施工を依頼しました。断熱性・遮音性を高めるトリプルサッシや、外断熱システムを標準仕様にしているほか、各住戸ごとに熱交換式換気システムや輻射式冷暖房システム等を採用しており、一年中快適にお過ごしいただける住環境を整えています」
サ高住に不可欠な「安否確認・健康管理」はスタッフが陰からサポート
一般的なサ高住の場合「ケアの場」であることが大前提となるが、『AISIA軽井沢』では介護サービスの提供は無いばかりか、過度なサポートを控え「入居者との程よい距離感」を大切にしている。
「スタッフが常駐すること、安否確認や健康管理を行うことがサ高住の要件となりますが、アクティブな方に毎日安否確認を行うのはかえって失礼ですから、スタッフはあくまでもコンシェルジュとして常駐し、入居者の皆様が意識しないところで陰からサポートをおこないます。
例えば、安否確認についてはHEMSの仕組みを引用し、その情報を専用システムがバックグラウンドでモニタリングします。事前に専用アプリで滞在期間を設定していただくと、『滞在日なのに水道・電気が使われていない』『滞在日ではないのに水道使用量が上がっている』などの異常を察知した場合にアラートが飛び、スタッフが即時確認を行います。セキュリティや光熱費の管理、スタッフ側からの情報配信・確認などもすべて専用アプリで対応可能です」
もうひとつの特徴は、敷地中央に位置する「クラブハウス」の存在だ。管理棟を兼ねたクラブハウスには、巨大なシステムキッチンを設けたパーティルームやバーカウンター、特別室やフィットネスルームが設置されており、自宅外のラウンジスペースとして自由に活用できる。パーティルームは時間貸しとなるため利用料が発生するが、お気に入りのシェフを招いて大人数のパーティを開くことも可能だ。
「入居者の皆様の交流を深めるために、私共運営側が主催するディナーパーティ等のイベントも不定期ながら開催したいと考えています。ステイタスの高い方々の集まりとなるため、クラブハウスでの出会いをきっかけにして、新たなビジネス展開につながるケースがあるかもしれませんね(笑)」
垂直展開の受け皿として「ケア付きハイグレード住宅」の開発も検討
「竣工は2022年6月予定ですが、建物竣工前から想定以上の反響をいただいたことで自信につながりました。今後は事業の垂直展開の受け皿として、エグゼクティブなシニアの方々が安心して入所していただけるケア付きハイグレード住宅を軽井沢につくってみたいですね。
従来のように、自宅からサ高住へ…特養へ…といきなり進むのではなく、様々なタイプのシニア向け住宅をご用意することで、シニア世代の暮らし方の選択肢が広がり、健康寿命をより長く維持することにつながれば本当に嬉しいことです」
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すでに100組以上の問い合わせが殺到しているという『AISIA軽井沢』は、2022年7月から入居開始となる。60歳を過ぎても毎月50万円以上の固定費を躊躇なく支払うことができる「人生の勝ち組」とも言える44組のアクティブシニアたちが、この軽井沢の地でどのようなシニアライフを謳歌していくのか?また10年後に現地を訪れてみたいものだ。
■取材協力/AISIA軽井沢
https://aisiakaruizawa.com/
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