ホテルや民泊がテレワーク向けプランをスタート
新型コロナウイルスの感染拡大が私たちの生活に大きな影響を与えている。
特に働く場所に関しての変化は大きい。緊急事態宣言後、テレワークへとシフトしたという人もいるだろう。
ただ、通勤中の感染リスクは軽減されるものの、自宅での仕事は正直キツイと感じ始めている人も多いと聞く。
“コロナうつ”、“コロナ離婚”といった言葉がメディアで取り上げられるようにもなった。子どもが小さければ手もかかるし、集中できない。夫婦そろってテレワークになった場合、四六時中一緒にいることでイライラが募ることも、場合によってはある。
仕事場と生活の場が同一になったことで感じるストレスは、意外とここから先、無視できない問題になってくるかもしれない。
そんななか、ホテルや民泊がテレワーク向けのプランを提案し始めた。大型イベントが次々と中止となり、インバウンド需要も壊滅的となった今、空室をテレワークに利用する動きだ。
4泊5日で15,000円の破格! アパホテルの場合
アパホテル株式会社が打ち出したのは「テレワーク応援 5日連続プラン」。4泊5日で料金は15,000円。チェックインも通常は午後3時以降だが、このプランに限り午前8時から設定できる。チェックアウトは午後7時までとなっていて、これまで週に5日間出社していた人は、このプランを利用すれば今までと同じようなサイクルで仕事に向かう環境が得られる。
統括支配人の村田紘嗣さんにお話を伺った。
「例年ですと春はイースターやソンクラーンといった各国の休日の時期で、都内の施設では100%に達する稼働率となっておりましたが、新型コロナウイルスの影響で3月は50%程度にまで下がりました。4月はさらに厳しい状況となっております」
こうした状況を受けて、開設されたのが「テレワーク応援プラン」だ。通常この時期はシングル1泊18,000円というから、4泊5日で15,000円というのは破格。全国のアパホテルで利用でき(※)、4月2日のスタートから4月末までで20,000室以上の予約があったという。
「長時間通勤での感染リスクを避ける方や、会社の寮閉鎖に伴う住まいをお探しの方、ご高齢の方と同居されている方などに利用していただいています」
日帰りプラン(4,500円~)もあり「5日連続プラン」ともに、当初は5月末までの期間限定だったが、需要増加の見込みを踏まえ7月31日まで期間が延長された。
※一部の施設では、自治体による一棟借り上げ方式により新型コロナウイルス感染症軽症者などの宿泊療養施設となっているため、一般客の利用ができない物件も出てきているので、随時HPでチェックを
キッチンやリビングがあるアパートメント型ホテルは稼働率80%超え
民泊の場合も同様に、“コロナ需要”が増えているようだ。
クラウド型ホテル管理システムを手掛ける株式会社SQUEEZEが提供するのは、同社が運営するアパートメント型ホテル「Minn」を利用するプラン。東京都内、大阪市内、福岡市内で展開する宿泊施設をテレワークに利用してもらおうというもの。法人向けのプランとして打ち出してはいるが、一般ユーザーの利用も可能とのこと。
3月17日より「テレワークデイリー応援プラン」(1部屋1日4,500円~)、「テレワーク・ウィークリー応援プラン」(1部屋平日5日間20,000円~)を開始。いずれも期間は6月末までの予定。もちろん高速Wi-Fiも無料で利用可能。リビングとベッドも備えており、キッチンには簡単な料理ができる設備が整ったアパートメント型の宿泊施設のため、気分転換や休息をとることもできる。プランをリリースしてから4月半ば時点で、40~50件の問合せが寄せられているそうだ。
同社代表取締役 舘林真一さんによると、
「通常のホテルと違うのは、キッチンやリビングがあり日常生活をそのまま継続できる点。首都圏を含め約10棟ある施設は、どこも80%以上の稼働率で、なかには90%以上となっている施設もあります。海外赴任が延期になり、日程が確定されるまで短期間の⽣活拠点を求めて利⽤されている⽅もいらっしゃいます」
とのこと。
全施設にICT(チェックインシステム・スマートロック)を採用し、完全非対面でチェックイン・アウトができるのもありがたい。
「今、日本中の企業が一斉にテレワークの実験をしているような状態です。テレワークの推奨、社員への短期的な福利厚生や、社員または業務委託の方の住居兼オフィスとして確保するなど、宿泊施設をモバイルオフィスのように利用する企業は今後増える」
との見通しをたて、随時需要に対応していくとしている。
“コロナ離婚”を防ぐ。一時避難所としての利用も可能
長引く外出自粛とテレワークで夫婦がずっと同じ空間にいることで、ストレスをため込む人も増えてきているかもしれない。こうしたなか、“コロナ離婚”の危機に面している夫婦向けに新たなサービスを始めた会社もある。
全国で40棟の宿泊施設を管理運営するカソク株式会社は、4月3日に「コロナ離婚防止の窓口」を設置。インバウンドの利用が減り空室となった部屋を活用し、仲がこじれかけた夫婦のどちらかを受け入れるサービスを開始した。
「日本の場合、海外と比べると住まいが狭かったり、自分の部屋がない場合も多く、夫婦でずっと顔を突き合わせている環境ではストレスをため込みやすい。そういった方が一時的に距離をとるために利用していただきたい」
と広報の天野滉介さん。
希望すれば行政書士による30分の無料相談も受けられるという。DV被害にあった場合の一時避難所としても利用でき、
「一時的に避難できる場所があると分かって、逆に冷静に話し合おうという気持ちになった」という声もあったそうだ。
運営する民泊の空室状況を尋ねると、新宿、池袋など、山手線沿線の都心エリアは2週間~1ヶ月間の利用者を中心に80~100%の稼働率となっており、長期滞在の利用者が増加。シェアハウス住まいの人が、集団で生活するのを避けるために利用するなど、今までになかった国内の需要が増えているという。
テレワーク利用で補助金を出す自治体も
各社の取組みが進むなか、自治体独自の動きも見え始めた。
北九州市では市内の宿泊施設と協力し、「テレワーク推進北九州応援プラン」を開設。協力施設をテレワークの場として利用した際に、1人1日3,000円を上限に補助するというもの。テレワークを推奨し、感染防止に努めるとともに、観光需要が落ち込む宿泊施設を支えるプランとして期待が寄せられている。
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3月31日~4月1日にかけて厚生労働省がLINEと協定を結んで行った全国調査(※)によると、「仕事はテレワークにしている」と回答した人はわずか5.6%。テレワークへの移行はあまり進んでいないように見受けられるものの、今回の取材を通してみるとテレワークができる宿泊施設に関して一定のニーズはあるようだ。
長期化するとの予測も出ている外出自粛。自宅での仕事環境が整わないまま半強制的にテレワークへと移行した人だけでなく、自宅に缶詰めになって疲れた人も気分転換に使ってみるのもひとつの手だと感じた。
※ 「新型コロナ対策のための全国調査」のうち「新型コロナ感染予防のためにしていること」による
【取材協力】
◆アパホテル株式会社「アパホテル」
https://www.apahotel.com/
◆株式会社SQUEEZE「Minn」
https://minn.asia/
◆カソク株式会社「コロナ離婚防止の窓口」
https://corona-rikon.com/
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