テレワークの認知率は上昇するも、勤務先にテレワーク制度等が導入されていると回答した人の割合は19.6%

2020年3月31日、国土交通省は令和元年度「テレワーク人口実態調査」の結果を発表した。国土交通省は、テレワークの普及推進に取り組んでおり、今後の政策への参考とすることを目的に、テレワーク人口実態調査を毎年実施している。新型コロナウイルスの感染を防ぐ目的で各社導入が進むテレワーク。2019年から2020年3月上旬に実施された調査結果を振り返ってみたい。

まず、2019年10月18日~10月23日にかけて就業者を対象に4万サンプルを回収したテレワーク人口実態調査の結果から見ていこう。「テレワークという働き方を知っていた」と回答した人は全体の32.7%で、昨年の29.9%と比較して上昇した。「聞いたことはあったが、内容はよく知らない」が37.5%、「知らなかった」が29.8%だった。テレワークの認知率は、2016年に18.5%、2017年に24.8%、2018年に29.9%、前述のとおり2019年では32.7%で年々上昇傾向にある。

雇用型就業者のうち、「勤務先にテレワーク制度等が導入されている」と回答した人は19.6%。昨年の調査結果では19.8%であり、ほぼ横ばいの状況である。導入されていると回答した人のうち、実際にテレワークを実施したと回答した人の割合は、49.9%と約半数であった。

政府はテレワークの普及をKPIに掲げており、テレワーク制度などに基づく雇用型テレワーカーの割合を、2016年度の7.7%から2020年度にはその倍の15.4%にすることを目指している。だが、2019年度の雇用型テレワーカーの割合は9.8%であり、まだKPIの達成には遠い状況であることがわかる。

テレワーク:ICT(情報通信技術)等を活用し、ふだん仕事を行う事業所・仕事場とは違う場所で仕事をすること

国土交通省 テレワーク人口実態調査結果より「勤務先にテレワーク制度等が導入されていると回答した割合」を参照して作成国土交通省 テレワーク人口実態調査結果より「勤務先にテレワーク制度等が導入されていると回答した割合」を参照して作成

令和元年台風15号通過日、70.7%の人が通常どおり出勤。テレワークやシェアオフィスなどの利用指示は1.7%

2019年には観測史上最強クラスの台風15号が発生した。特に千葉県を中心に甚大な被害をもたらしたことは記憶に新しい。首都圏では台風が上陸する前日の9月8日から最終電車を早めるなどの対応がとられていたが、このときのテレワーク実施状況はどうだったのだろうか。

台風が上陸した9月9日月曜日、70.7%の人が出勤した。そのうち、ふだんと同じ時間に自宅を出た人が31%、ふだんより早い時間に自宅を出た人が15.8%、ふだんより遅い時間に自宅を出た人は22.2%であった。出勤したが、別の支店・営業所やシェアオフィスなど、ふだんとは異なる勤務先に出勤した人は、最も少ない1.7%だった。

なお、台風通過日の出勤について、勤務先からあらかじめ指示を受けた人は全体の45%であり、そのうち、自宅待機など状況を見ての出社・もしくは出社しなくてもよいという指示の割合は40.9%。あらかじめ指示があったものの、その日は、(台風に関係なく、通常どおり)出社するよう指示があったという回答も4.1%あった。

台風通過日に出勤した人は、通常の通勤時間より平均で45分長くかかった。この状況からも、台風がきても出社を控えることはできず、かといってテレワークの実施もできない人が多くいることがわかる。

国土交通省 令和元(2020)年度テレワーク人口実態調査結果より「台風通過日の出勤有無」を参照して作成国土交通省 令和元(2020)年度テレワーク人口実態調査結果より「台風通過日の出勤有無」を参照して作成

新型コロナウイルス感染症対策でのテレワーク実施状況は?

続いて、2020年3月9日~10日に実施された新型コロナウイルス感染症対策におけるテレワーク実施実態調査の結果を見ていこう。勤務先にテレワーク制度などがある雇用型テレワーカーのうち、調査日から逆算しておおむね1ヶ月の間に、感染症対策の一環としてテレワークを実施した人は52%だった。有効サンプル数が4,532人、そのうち会社にテレワーク制度などがある雇用型テレワーカーは427人で全体の9.4%、そのさらに52%であるから調査対象のうち約222人がテレワークを実施したということになる。(全体サンプルからの割合では約4.9%)
一方で、当然といえば当然の結果ではあるが、勤務先にテレワーク制度などがない雇用型テレワーカーは14.8%、雇用型非テレワーカーでは7.9%とぐっと実施率が低くなる。

厚生労働省はLINE株式会社と「新型コロナウイルス感染症のクラスター対策に資する情報提供に関する協定」を締結、「新型コロナ対策のための全国調査」を3月31日~4月1日にかけて実施した。新型コロナ感染予防のためにしていることについての設問では、「手洗い・うがいやアルコールによる手や指の消毒をしている」と回答した人が85.6%と最も割合が多かったものの、「仕事はテレワークにしている」と回答した人は最も割合が少なく5.6%であり、3月末時点でもテレワークの利用が進んでいないことがわかる。

厚生労働省 「新型コロナ対策のための全国調査」より「新型コロナ感染予防のためにしていること」厚生労働省 「新型コロナ対策のための全国調査」より「新型コロナ感染予防のためにしていること」

各自治体ではテレワーク導入支援策を実施

業種別に雇用型テレワーカーを見ると、「情報通信業」が最も高く35.8%、次に「学術研究、専門・技術サービス業」で29.5%、「宿泊業・飲食業」が最も割合が低く5.4%だった業種別に雇用型テレワーカーを見ると、「情報通信業」が最も高く35.8%、次に「学術研究、専門・技術サービス業」で29.5%、「宿泊業・飲食業」が最も割合が低く5.4%だった

国土交通省実施の新型コロナウイルス感染症対策におけるテレワーク実施実態調査では、テレワークを実施した人で、何かしらの問題があったと回答した人の割合は72.2%であった。そのうち、「もともと実施してきており、通常通り実施した人」は41.9%であったのに対し、「もともと実施したことはなかったが、今回、対策の一環として(はじめて)実施した」人は83%と割合が多く、平時からテレワークを試す、環境を整える、コミュニケーション方法を決めておくなど準備が必要であることが窺える。

なお、経済産業省は働き方改革推進支援助成金(テレワークコース)、厚生労働省は働き方改革推進支援助成金(テレワークコース)を実施し、各省テレワークの導入を支援している。東京都では事業継続緊急対策(テレワーク)助成金を3月6日より開始するなど自治体でも働きかけが進んでいる。

テレワークが導入可能な業種は限られてしまうものの、感染拡大を防ぐためには、できるだけ多くの人が自宅に留まることが必要であり、テレワーク導入の進捗はひとつの鍵になっているといえるだろう。

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2020年 04月19日 11時00分