留学生30万人計画に学生マンションの大手が動く

⽇本政府が進める留学生の受入れに関するグローバル戦略では、2020年までに留学⽣30万⼈を目指すなどの計画が立てられ、各国からの留学生が増加している。⽇本学⽣⽀援機構(JASSO)の公表した「外国⼈留学⽣在籍状況の調査結果」によると、2018年5⽉1⽇時点での外国⼈留学⽣数は29万8,980⼈で、その中でも出⾝国・地域別では「中国」が11万4,950⼈と全体の38.4%を占める状況だ。

2018年11⽉、株式会社ジェイ・エス・ビーは中国のUhomes(ユーホームス)と業務提携し、中国⼈留学⽣向けに賃貸マンションの新しい仲介スキームを開始した。ジェイ・エス・ビーは、留学⽣マーケットへの⼒を加速させようという時期を迎えていて、まさに、留学生の多くを占める中国マーケットへのアプローチの強化が課題だったのだ。

ジェイ・エス・ビーは、⽇本国内における学⽣マンション業界トップクラスのシェアを誇る学⽣マンション運営会社だ。学⽣向け賃貸仲介店舗「UniLife(ユニライフ)」というブランドで全国に76店舗を展開し、現在6万2,000室超を管理している。
⼀⽅のUhomesは、中国の天津に本社を置き、主に中国から欧⽶など、国外に出る海外留学⽣向けの住宅紹介事業を⾏う⼤⼿企業だ。

中国サイドの集客窓口をUhomesが請け負い、日本での住居の仲介や暮らしのサポートをジェイ・エス・ビーが担う。これにより、中国⼈留学⽣は、来⽇前に住居の申し込みができるだけでなく、サポート体制が整っているため、⽇本での暮らしをスムーズに始めることができるという。

今回、ジェイ・エス・ビーは、グループ企業で⼊居募集と建物管理を担当する株式会社ジェイ・エス・ビー・ネットワークと共にUhomesとの提携を果たした。昨年の6⽉、Uhomesの印建坤代表がジェイ・エス・ビー東京本部を訪れ、ジェイ・エス・ビー・ネットワークの岡⽥健⼀社⻑と会談、そして11⽉からの本格稼働となった今回、ジェイ・エス・ビーは、グループ企業で⼊居募集と建物管理を担当する株式会社ジェイ・エス・ビー・ネットワークと共にUhomesとの提携を果たした。昨年の6⽉、Uhomesの印建坤代表がジェイ・エス・ビー東京本部を訪れ、ジェイ・エス・ビー・ネットワークの岡⽥健⼀社⻑と会談、そして11⽉からの本格稼働となった

提携による課題解決で、両社がwin-winの関係に

ジェイ・エス・ビーは日本語学校(日本国際語学アカデミー)を函館、京都、福岡にて運営。日本で夢を描く外国人留学生を応援しているジェイ・エス・ビーは日本語学校(日本国際語学アカデミー)を函館、京都、福岡にて運営。日本で夢を描く外国人留学生を応援している

ジェイ・エス・ビーグループのグローバル化に向けた動きは、7年前に国際事業部を⽴ち上げたことから始まる。当時のおもな業務は、外国⼈向けの⽇本語学校だった。現在は国内に3校を運営している。
しかし、同社の主⼒は学⽣マンションであり、⽇本語学校との親和性が低かった。⽇本語を学ぼうとして来⽇する外国⼈は、⼤学に⼊る前段階、または仕事を始める前段階の⼈がほとんどで、アジア全般からやってくる。プロフィールも幅広く、中国の富裕層の⼦弟もいれば、東南アジアから⾃費でやってくる学⽣、国費留学でやってくる学⽣、さらには⽇本でサービス業や建設現場に従事予定の人たちなども混在する。
彼らの多くは滞在費を抑えたいと考えており、2段ベッドのドミトリータイプなど安さ重視で物件を選ぶため、同社の管理するマンションでは予算が合わず、選んでもらえないことが多かった。そこで、同社が管理する学⽣マンションにフィットする留学⽣との接点を求めていた。

Uhomesの印代表は、東北教育集団の出⾝だ。東北教育集団とは、留学⽣を輩出する学習塾で、富裕層の⼦弟などエリートが⼊っている。印⽒はそこに⼈脈があり、アメリカ、イギリス、オーストラリア、カナダ、⽇本など、世界11ヶ国でUhomesのサービスを展開し、東北教育集団出身の留学生たちに現地の住まいを⼿配している。設⽴から3年でトータル5万⼈の中国⼈留学⽣を送り出した。
同社は近年、⽇本への中国⼈留学⽣が増加傾向にあることから、⽇本での展開を積極的に進めていた。そんな中で、ジェイ・エス・ビーグループの持つ管理物件や先述のフォロー体制に可能性を感じたという。それは、Uhomesが、⽇本では、留学⽣が快適に安⼼して暮らせる住まいの供給が⼗分ではなかったためだ。その主な理由として、⽇本国内で保証⼈が確保できないことや、家主と留学⽣間のコミュニケーション不足、相互理解不⾜といったものが挙げられる。

安心のケアが中国人留学生にも支持される

ジェイ・エス・ビーグループには、留学生へのフォローアップなど、細かいケアの実績がある。
例えば入居時に必要な料金について。
外国⼈留学⽣が⽇本にやって来て⼾惑うのが、礼⾦、敷⾦、更新⼿数料という⽇本独⾃の商習慣についてだ。しかも物件によってその割合がまちまちのため、ややこしい。そこで、ジェイ・エス・ビー・ネットワークは留学⽣向けに、礼⾦、更新⼿数料があるパターンとないパターン、2つの料⾦プランを用意している。後者のパターンでは、その分を毎⽉の家賃にオンするため割⾼になるが、それで納得してもらっている。
さらに住み始めは、日本語に慣れていないこともあり、電気、⽔道、ガスなど、手続きの案内がすべて⽇本語になので困ることが多いという。そのあたりのフォローも、ジェイ・エス・ビー・ネットワークの外国⼈スタッフが対応している。

こうしたサポート体制の充実が、Uhomesが提携先を決めた⼀番の理由だった。一方、今回の提携によって、ジェイ・エス・ビー・ネットワークは、これまでリーチできなかった中国の留学予定の学⽣にアプローチできるようになった。

ジェイ・エス・ビーグループは、 2017 年 8 ⽉に、外国⼈留学⽣専⾨の賃貸ブランド「UniLifeGlobal(ユニライフグローバル)」を⽴ち上げ、1号店を東京都新宿区⾼⽥⾺場に出店している。⽇本語学校が多いので、この地を選んだそうだ。このようなリアル店舗があることも、留学⽣にとっては安⼼材料になるジェイ・エス・ビーグループは、 2017 年 8 ⽉に、外国⼈留学⽣専⾨の賃貸ブランド「UniLifeGlobal(ユニライフグローバル)」を⽴ち上げ、1号店を東京都新宿区⾼⽥⾺場に出店している。⽇本語学校が多いので、この地を選んだそうだ。このようなリアル店舗があることも、留学⽣にとっては安⼼材料になる

役割分担を明確にして、日本語対応スタッフが活躍

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では、留学生の対応はどのように行うのだろうか。

⽇本に来るまでは、現地でUhomesが窓口となって対応する。ジェイ・エス・ビー・ネットワークは事前に⽇本の物件情報をUhomesにデータで送り、現地の学⽣に物件を吟味してきてもらう。

日本のジェイ・エス・ビーに中国⼈スタッフがいるだけではなく、現地のUhomesにも⽇本語が堪能な中国⼈スタッフが常駐していて、⾔語によるコミュニケーションで困ることはない。中国現地サイドから日本サイドへどんな質問があっても素早い対応が実現でき、契約内容の説明などの際に起こるコミュニケーションストレスを解消できるようにしている。
ちなみに他にも英語、韓国語に長けたスタッフがいて、留学⽣対応にあたっているそうだ。

留学生は家具・家電付きの部屋を希望する

ジェイ・エス・ビー・グループは、「24時間のセキュリティ体制」や「家具・家電付きマンション」、「栄養管理⼠監修の⾷事つきマンション」など学⽣の多様なニーズに合わせ、サービスを広げている。こうした点は日本人の学生には人気だが、留学⽣たちには、どのような物件選びの傾向があるのだろうか。

「やはり、⼤学の近くを選びたいというのが⼀番⾼いニーズのようです。⾃転⾞に乗って通学するなど、満員電⾞に乗るのを嫌がる傾向があります。もっとも、都⼼の⼤学へ⾃転⾞通学できる場所となると割⾼な家賃になるので、悩ましいところですね」と担当者。

部屋タイプに関しては、家具・家電付きのニーズが圧倒的に⾼い。卒業後、本国に帰ることを想定しているのだろう。また、不慣れな⽇本に到着後、家具・家電を⾃⼒で買い揃えるのは億劫なのかもしれない。備え付けの家具・家電は、好みに左右されない⽩を基調としたものでそろえてあるため、男性・女性どちらでも対応可能だ。

ニーズはまちまちだが、家賃が⾼額でも広い部屋を希望するケースも出てきた。「⽇本は、全体的に部屋のサイズが⼩さいため、住み慣れた中国のような広い部屋を求めているのではないでしょうか」と担当者。

また、留学生の場合、実際に内⾒することは少なく、日本からデータを送った候補の中から決めるそうだ。しかし、住み始めた後、部屋を変えて欲しいというケースはほとんどない。 また、⼤家さんからのクレームもほとんどないそうだ。ひと昔前は、留学⽣はマナーが悪いという声もあったが、現在は、そのような話はほとんど聞かないという。

留学⽣対応はまだ⼿探りの状態で、「今回の提携によるメリットをきっちりと出せるように進めたい」と担当者。今後も、中国マーケットに注⼒していきたいと抱負を語った。
今後、中国人留学生が安心して快適に暮らせる環境が整うことを期待したい。

留学生に人気の家具・家電付きの物件イメージ。シンプルな雰囲気ながらグレードの高い、広めの部屋タイプだ留学生に人気の家具・家電付きの物件イメージ。シンプルな雰囲気ながらグレードの高い、広めの部屋タイプだ

2019年 03月05日 11時00分