シェアリングエコノミーとは?

『シェアリングエコノミーが作る未来のライフスタイル。 「移動」と「シェア」から始まる新しいコミュニティづくり』と題したセミナーで登壇する佐別当 隆志氏『シェアリングエコノミーが作る未来のライフスタイル。 「移動」と「シェア」から始まる新しいコミュニティづくり』と題したセミナーで登壇する佐別当 隆志氏

2008年に「Airbnb」が開設して以降、シェア型の新しいサービスが続々と登場し、市場規模も拡大を見せている。ニュースなどで見聞きする機会も増えたが、そもそも「シェアリングエコノミー」とは何なのだろうか。

2017年7月5日、一般社団法人シェアリングエコノミー協会の事務局を務める佐別当 隆志氏が、「シェアリングエコノミー」をテーマにしたイベントに登壇した。

「シェアリングエコノミーには、実は明確な定義はありません。協会では、"場所・乗り物・モノ・人・スキル・お金をインターネット上のプラットフォームを介して個人間でシェア(賃借や売買や提供)をしていく新しい経済の動き"と定義しています。」と、佐別当氏。

シェアリングエコノミーと聞くと、民泊など不動産や空間を共有するサービスが代表的に思われるが、下記に挙げられる5つの領域を見ると、より多方面で私たちの身近な存在としてあるようだ。

【1】シェア×空間:住宅や農地、駐車場、会議室などの空間をシェアする。代表サービスはSPACEMARKETやAirbnb、STAY JAPANなど

【2】シェア×モノ:モノをフリマで売り買いしたり、レンタルしたりする。Air closetやFRILなど。ブランドバッグのシェアサービスLaxusは、2015年のサイト開設から2年で流通総額が100億円を突破と急成長している。(会員に貸し出したバッグ、預かったバッグの総額)

【3】シェア×移動:ライドシェア(相乗り)やカーシェア、サイクルシェアなど移動手段を共有するサービス。Uber、nottecoなど。

【4】シェア×スキル:介護や育児、知識など、人の持つスキルや時間を提供する。coconala、子育てシェアのアズママ、タスカジ、体験型観光情報サイトTABICAなど。

【5】シェア×お金:Web上で一般ユーザーから資金を募るクラウドファンディングサービス。Makuake、READYFOR?など。

世界で最も大きなシェアリングエコノミー市場は中国

シェアリング・エコノミーの市場規模<br>(出典)PwC「The sharing economy - sizing the revenue opportunity」総務省平成28年版 情報通信白書よりシェアリング・エコノミーの市場規模
(出典)PwC「The sharing economy - sizing the revenue opportunity」総務省平成28年版 情報通信白書より

"全ての人が様々な形で経済行為に参加できる社会の実現"を目指し、2016年1月にシェアリングエコノミー協会が発足。当時の会員は32社だったが、今では200社ほどが参加し、年末には300社を超える予定だと言う。協会に参加する会社数からも日本での市場の成長が伺えるが、それでもまだ「日本はシェアリングエコノミーの後進国」、と佐別当氏。

「シェアリングエコノミーはここ5年ほどで世界で急成長しています。PwCによれば、2013年には約150億ドルだった市場規模が、2025年には約3,350億ドルまで成長すると見込まれています。その中でも、特に成長が著しいのが中国です。去年1年だけで、中国のシェアリングエコノミー市場は50兆円とも言われています。中国の自転車シェアサービス『モバイク』は、世界進出を進めていて、2017年7月に日本法人を福岡市に設立。今後日本全国への展開も予想されます。政府が主導して推進しているのが韓国で、2012年にシェアリングシティを宣言し、シェアリングエコノミーの民間企業を推進しています。」

韓国ではライドシェアが発達し、本を共有しあう図書館や工具のシェアなど、さまざまなサービスが浸透しているようだ。

「日本でのシェアリングエコノミーが推進国と比較して拡大しにくい背景として、法的な規制という課題があります。自分たちでつくった料理を一緒に食べる『ミールシェア』は食品衛生法が関連し、日本では発展がしにくい。民泊であれば旅館業法など、それぞれのサービスに関連する法律があります。現代に沿わない法律は、規制の緩和の検討が必要なのではないでしょうか。また、日本人は文化的にシェアサービスを受入れにくいという点も理由として挙げられます。」

日本初、シェアリングシティ構想

日本のシェアリングエコノミーサービスは、民間企業の動きが活発に見えるが、行政がシェアリングエコノミーを推進する事例も出てきている。2016年11月、日本では初めて秋田県湯沢市、千葉県千葉市、静岡県浜松市、佐賀県多久市、長崎県島原市が「シェアリングシティ宣言」を発表した。

それぞれの自治体が持つ課題を、2つ以上のシェアサービスを活用し解決していきたいとしている。例えば、少子高齢化と人口減少の進む秋田県湯沢市は、子育てシェアサービスの「アズママ」や「SPACEMARKET」を活用し、共助コミュニティの浸透を目指していくと言う。

「人口の減少や高齢化社会により、税金はかかる一方で地方自治体は様々な課題を抱えています。民間のシェアサービスを活用し、公助から共助で課題を解決する取組みが求められています。保育園が足りないことがいま問題になっていますが、2023年以降は余ってしまうと言われています。ただ新しい建物を建ててその場を凌ぐ方法は無理が出てきてしまうのではないでしょうか。」

2016年11月24日、秋田県湯沢市、千葉県千葉市、静岡県浜松市、佐賀県多久市、長崎県島原市が<br>「シェアリングシティ宣言」を発表(写真提供:一般社団法人シェアリングエコノミー協会)2016年11月24日、秋田県湯沢市、千葉県千葉市、静岡県浜松市、佐賀県多久市、長崎県島原市が
「シェアリングシティ宣言」を発表(写真提供:一般社団法人シェアリングエコノミー協会)

シェアリングサービスは個人の信頼性がより重要になる

代々木上原での「シェア保育園プロジェクト」を進める佐別当氏。シェアリングエコノミーの事例としても、保育園の課題解決の方法としても、今後が期待される代々木上原での「シェア保育園プロジェクト」を進める佐別当氏。シェアリングエコノミーの事例としても、保育園の課題解決の方法としても、今後が期待される

多種多様なシェアリングサービスが続々と登場しているが、企業と個人の取引ではなく、個人と個人の取引が主なものになっている。シェアリングサービスの普及に伴って懸念されるのが、そのサービスの安全性である。

「企業が提供するサービスと比較し、リスクがあることを前提として、自分自身のリテラシーを上げていくことも必要です。シェアリングサービスは、個人間の人間関係をベースにしたサービスです。今後はサービスを提供する側も、受ける側も、個人の信頼が重要になってきます。
シェアリングエコノミー協会では、"シェアリングエコノミー認証マーク"制度を6月1日から開始しました。一定程度の安全・安心な仕組みが担保されているサービスであることの証明になりますので、サービスを選ぶ際のひとつの参考にしてもらえればと思います。」

佐別当氏は、一般社団法人シェアリングエコノミー協会の事務局であり、また、自宅を自分たちの住まいとしてだけでなく、シェアハウスやゲストハウス、地域の人とゲストが交流するイベント会場としても活用する「Miraie」を運営している。仕事だけでなくプライベートでもシェアリングエコノミーを実践する人である。それをさらに規模を大きく、発展させたプロジェクトを進行中だと言う。

「代々木上原に、保育園付きのシェアハウスとゲストハウス、自宅を兼ねた住宅を作りたいと思っています。シェアハウスに住む人、たとえばシングルマザーの人であれば、仕事中は子供を保育園で預かることが出来ます。ゲストハウスに訪れる外国人観光客の方のお子さんも預かれるよう、学童施設も付けたいです。学童では、いま運営しているMiraieのイベントで繋がりのあるアーティストに授業をしてもらいたいですね。
代々⽊上原で57坪の⼟地を抑えており、資金は投資型のクラウドファンディング『クラウドリアルティ』で募っています。興味がある方はぜひよろしくお願いします。」

住宅のシェア、子育て施設のシェア、運営のための資金もシェアサービスであるクラウドファンディングを活用と、シェアリングエコノミーの集大成のような企画である。これが日本の新しいシェアリングエコノミーのひとつの成功事例になるか。今後に大いに期待したい。


渋谷区上原シェア保育園(愛称)
https://www.crowd-realty.com/project/JP-0003/summary/

2017年 08月21日 11時00分