東京湾とレインボーブリッジが目の前に広がるロケーション
中学生で芸能界にデビューし、女優としてTVや舞台で活躍する川上麻衣子さん。だが川上さんにはもう一つの顔がある。「MAJKO.K」ブランドを展開するガラスデザイナーとしての顔だ。ガラス王国と称されるスウェーデンのガラス食器や小物に魅せられ、コレクションを続けるうちに、自身でもガラスを吹き、デザインを行うようになった。10年前からはガラスデザイナーとして個展を開催しているが、独特のデザインセンスに魅せられたファンも多い。
実は川上さんはスウェーデン生まれ。インテリアデザイナーであるご両親の留学中に生を受けた。小学3年生からの1年間はスウェーデンに暮らし、大人になってからも時間ができるとスウェーデンに通ったという。はじめは“両親の好きな国”でしかなかった北欧の地は、いつしか自らが一番に落ち着ける大好きな国になった。
そんな川上さんの住まいは、当然ながら北欧テイストを存分に感じさせる空間だ。ご両親がインテリアデザイナーというだけあって、インテリアセンスも付け焼刃のものではない。
現在、川上さんが暮らすのは、東京湾とレインボーブリッジを間近に望む港区のマンションの一室。求めるのは“創造が生まれる場所”という川上さんのお住まいはどのような空間なのだろうか? 今回は特別にお部屋を拝見しつつ、川上さんの住まいへの想いをうかがってきた。
同じマンション内で数多く引越しを敢行
東京・港区のもとはライブハウスが立ち並んだ倉庫街、近年ではタワー型マンションが立ち並ぶ地域に川上さんのお住まいのマンションがある
このマンションで既に20年近くを過ごしてきたという川上さんだが、リビングに通され飛び込んできた景観に納得した。角部屋のリビングからはコの字型全面がガラス窓。広々としたテラスに、その先には東京湾が一望できる。しかもすぐ目の前にはレインボーブリッジの姿がある。見事なロケーションだ。
「昔、車を運転していて偶然レインボーブリッジに迷い込んだことがありました。その時の景観の素晴らしさが頭から離れなくて。何度も東京湾の近くの部屋に住む夢を見ていました。ちょうどその頃に部屋を探していて、このマンションを見つけたのです。それまで部屋探しでそこまでロケーションにこだわってはいませんでしたが、ここに住んでからはこの景観が気に入っていて、気がついたら長く住んでいますね」
自称「引越し魔」という川上さんは、これまで表参道、白金、玉川学園、下馬と住まいを替えてきたが、ここ20年近くはこのマンションに暮らしている。ただ、面白いのは引っ越し魔の血が騒ぐのか、同じマンション内で住み替えを繰り返していることだ。
「どんなお部屋があるのか色々経験したくて、もうこの建物で6~7回部屋を替えています。いまの部屋は2LDKですが、事務所と別に2部屋借りていたときもありますし、収納のしやすさでは壁面が多い方がよかったりしますので、あえて角部屋ではない部屋に住んだこともあります。このマンションを知り尽くした住人になっているのではないでしょうか(笑)」
目指すのは、創造が生まれる空間づくり
取材はリビング兼打ち合わせスペースとなるダイニングテーブルで行なわれたが、開放的な空間でとても心地がいい。ただ、その理由は素晴らしい景観ばかりではないだろう。白を基調としたインテリアにこだわった柔らかな明るい空間が、そこにいる者を和ませてくれるように感じる。
前出したが、川上さんは実はスウェーデン生まれ。スウェーデンでは、冬の日照時間が短いためか少しでも室内を明るくできるようインテリアは白が基調になるという。夏には、家人自ら白いペンキで室内や家具を塗り直し、大切にメンテナンスを繰り返すそうだ。大好きな国スウェーデンの暮らしを見る中で、川上さんも自然と“白”を基調としたインテリアにこだわり、この部屋もDIYでキッチンの色はピンクから白に。ちょっとした家具などは自らペイントを施すという。
「休みができるとついついスウェーデンに行ってしまいます。本当はNYとかにも行きたいのですがなかなか行けなくて。なんでスウェーデンなんでしょうね。分からないですけど落ち着きます。自然が豊かで美しくて、そしてとても大人な国の印象です。もちろん騒ぐこともありますが、若い人たちも自然と美術館に足を運んでいたりする。気負わずにお茶をしたりランチをしに美術館に立ち寄って、ゆったりとした時間を過ごしていたります。感性が豊かですよね」
川上さんが住まいに求めるものは、生活の場であると同時に“創造”が生まれる場所であること。「一人でいても心地よい空間であり、発想が生まれる場所」。好きなものに囲まれて、大好きな空間から新たな発想を生み出す。川上さんにとっての白へのこだわりは、インテリアのテイストといった単純なものではなく、大好きな北欧と同化するためのものなのかもしれない。
3匹の愛猫と同居でも、“見せるインテリア”を実現
まさに、そこに居るだけで落ち着ける空間のご自宅だが、もう1つ驚かされるのは、ここで3匹の愛猫と暮らしていることだ。川上さんは猫との生活を描いたエッセイを上梓するなど、猫好きでも知られている。見せる収納術でスッキリと暮らされているのだが、物が少ないわけではない。ご自身がデザインされたガラス作品なども各所に美しくディスプレイされている。
犬と違って猫は高いところにも登りたがるもの。こうした見せるインテリアとペットとの同居の両立をどのように実践しているかが気になるところだ。
「猫は物音を嫌うので、意外と物を倒すことはありません。高いところにも登ったりしますが、上手にすり抜けていきますよ」とのことだが、もちろんちょっとした工夫は随所にされている。例えばトイレの問題だが、ここはペットと人のトイレを一緒にすることで匂いの問題や掃除の手間を省いているという。トイレのドアに特別に猫ちゃん用の扉をつけて、中に猫ちゃん用のトイレを置いている。
「猫は綺麗好きです。トイレもいつも綺麗にしてあげたかったので、いっそのこと人間のトイレと一緒にしようと思いました。朝自分がトイレに入った時に猫のトイレも掃除をする。掃除の手間を省いたり、トイレにはアロマを置いたりして匂いの問題も解消しています」
しかも、中に入るとトイレの壁面には川上さんが撮影したという猫ちゃんの写真がズラリ。猫ギャラリーにもなっていて、訪れる人を楽しませてくれる。
このほか爪とぎの問題は、普段はソファーやベッドにはカバーをかけることで対応。数カ所に爪とぎを置くことでストレスをなくす努力もしているという。爪とぎグッズも川上さんらしく、青森の職人さんが作られたという釘をつかわない木組みのものがさりげなく置かれていた。猫ちゃんも木の匂いと温もりに惹かれるのか、みんなで取り合いになるそうだ。
次は土に近い住まいに住みたい
北欧テイストの好きなものに囲まれた空間で、愛猫と暮らす部屋。この日取材が終わると川上さんは急いで舞台稽古に出かけられたが、これからは11月に開催されるガラス作品の個展の準備も急ピッチで進めるという。
ガラス王国と呼ばれるスウェーデンのガラス食器などを集めていた川上さんだが、あるガラス工芸作家さんとの出会いにより、ご自身もガラス創りの楽しみを知ることになった。その後、自らガラスを吹く技術も学び、2005年から2年毎にガラスデザイナーとして個展を開いている。今年はその第6回目。リビングの大きなテーブル、時にはテラスでデザイン画を進めることもあるという。この部屋で着想されたデザインは、どのような作品になって会場に並ぶのだろうか、楽しみになる。
「長いことこの場所で暮らしたので、次の更新はさすがにどうしようかと考えているところです。もう少し土の近いところに住んで、工房や畑のある場所で暮らしてみたいとも思います。ただ、五輪が来てしまいますよね。この辺りの景観もどんどん変わっていくはずですから、それを見たいという気持ちもあって迷うところです」
持ち家にはこだわらず、その時々の変化にあわせて住まいを選んでいきたいという川上さん。今度は土の近いところに住みたいという言葉の通り、ベランダにはハーブや野菜が育っていたのも印象的だった。
#川上麻衣子さんがこだわる北欧テイストの室内や
インテリアの詳細は下記から(HOME'S BOXで掲載!)
http://box.homes.co.jp/collection/00003/
#第6回 川上麻衣子ガラスデザイン展
2015年11月20(金)~12月3日(木)
ギャラリーMITATE
港区西麻布3-16-28 1F ル・ベイン
TEL:03-3479-3842
http://www.le-bain.com
※終了しました
#川上麻衣子さんの直筆サイン入り書籍「彼の彼女と私の538日」プレゼント
書籍の内容や応募詳細については【編集部のお知らせ】から(期限:10月1日~10月31日)
公開日:






