鹿部町「道の駅 しかべ間歇泉公園」の運営を2019年から開始
北海道函館市の隣、函館駅から車で約1時間の場所にある鹿部町。1983(昭和58)年12月に「村」から北海道で156番目の「町」になり、現在は人口約3,800人のまちだ。漁業を基幹産業とし、冬季のタラコの原料スケソウダラ漁と、ホタテの水揚げが主産業。雄大な駒ケ岳、洋々とした太平洋内浦湾を望むことができ、天気のよい日には、対岸の室蘭市や羊蹄山を眺望することができる。
北海道遺産でもあり、有名な「しかべ間歇泉公園」は、約10分間隔で温泉が空高く(15メートルほど)噴き上げる、全国でも珍しい観光スポットだ。その隣に位置するのが、「道の駅しかべ間歇泉公園」。2019年から指定管理運営会社としてこの道の駅の運営を担っているのが、(株)シカベンチャー。
全員北海道外出身者で立ち上げたというこの会社。たらこ代表取締役の大関将広さんと、たらこ取締役の金山宏樹さんに話を聞いた。
各専門分野のプロフェッショナルが集まり、新規事業を手掛ける
大関さんは、地域活性化のプロフェッショナルとして、ふるさと納税の地元利益最大化のための事業スキームを構築。地元に最大限の還元を行う宮城県石巻市のモデルが地方の活性化につながると考え、『地方創生型ふるさと納税』を提唱した。一つでも多くの自治体、一人でも多くの寄附者に伝えるべく奔走している。
金山さんは、道の駅再生のスペシャリストだ。淡路島の道の駅にパート入社し、功績が認められ役員になり、年商を4年間で約180%伸ばした経験を持つ。現在は、全国で5〜6件の道の駅案件を動かしながら、「道の駅の再生・持続的な成長に向け、現場が自走する仕掛けづくり」に関する講演で飛び回っている。
お二人は、それぞれ別の事業を経営する社長でもある。大関さんは宮城県石巻市に本社をおく「株式会社ビッグゲート」を、金山さんは兵庫県淡路島に本社をおく「株式会社シカケ」を経営している。鹿部町長と知り合いだった大関さんは、「鹿部町の道の駅事業に手をあげてみては?」と声をかけてもらい、道の駅事業を通じたまちの活性化に可能性を見出し、事業に手をあげたのだという。
独自商品の開発やふるさと納税事業で収益を最大化
「道の駅がしっかり収益を確保することで、地域のためになる取組みができるんです」と話す金山さん。
収益を立てるための取組みとして、まず挙げたいのが道の駅オリジナル商品の開発。「白口浜真昆布の根昆布だし」は、モンドセレクション金賞を受賞した渾身の商品だ。
「地元の方は、ここの昆布が一番だ、と自信と誇りを持って漁をしている一方で、たらこやホタテに隠れてしまっている印象がありました。でも、僕はここの昆布が本当に美味しいものだと感じ、いろいろな方にその美味しさを知ってもらいたくて開発したんです」と話す。
また、大関さんの専門分野である「ふるさと納税事業」も、アウトソーシングせず道の駅に事務機能を持たせることで、手数料などの削減につながっている。また、道の駅がふるさと納税事業を受け持つもう1つのメリットは、返礼品の魅力的な商品を道の駅で発掘・磨き上げができることだという。
「鹿部のふるさと納税額は、2018年1.5億→2019年4.3億に上がりました。納税額で地域に再投資していくモデルもここで作って実現したいと思っています。例えば温泉施設の再活用や、地元産の旬の海の幸を使ったレストラン、豊かな自然をいかしたグランピング施設なども構想しています」と話してくれた。
時流を捉えた新たなアイディアと、スタッフが輝く取組み
全国のテレビや新聞などのメディアで取り上げられ話題になった、「オンライン来店」も注目したい取組みだ。自粛期間中にも買い物を楽しんでもらいたい、というアイディアから生まれたのが、自宅にいながらまるで実際に買い物をしているかのような体験ができる「オンライン来店」。
一般的なネットショップのような、気に入った商品のボタンをクリックしてカートに入れていき、決裁に進み、その後配送というシステムではない。WEB会議ツールなどを使って、スタッフとコミュニケーションをとりながら道の駅の中を見て回ったり、気になる商品に関しての説明を受けられるという、より三次元に近づけた取組みとなっている。詳しく知りたい商品があればスタッフに声をかけ、購入の意思を示すと実際に商品をカゴへ入れてくれる。まるで自身のアバターがお店にいるようなイメージで、買い物している気分が味わえるのだ。
この取組みでの立役者は、副店長の田中健太郎さん。「どうしたらお客さんが『来てよかった』『また来たい』と思ってくれるお店になるか?を考え、実践していくのも楽しいです」と話す。
新たなアイディアに積極的に挑戦していく社風と、それを実現するために工夫を重ねるスタッフの努力が、この道の駅の魅力を創り出しているといえるだろう。
活気と挑戦が生まれる場としての「道の駅」
大関さんは、この道の駅のビジョンについてこう話す。「若者が集まって頑張っているよね!っていう活気をつくりたいですね。そういう求心力があれば、外から面白がってくれる人もどんどん集まってきてくれることが期待できます。自ら考えて素直にチャレンジしてくれる人が集まってくれる場をつくって、新しいアイディアや挑戦を続けて、何ができるのかを実験をする場。この道の駅はそんなイメージでもあります」
また、金山さんも「働く人」に対してこのような思いを話す。「今はどんな企業であっても、永久に存続する確証はありません。言われたことだけをやる、我慢して働き続けるような搾取される働き方から視点をかえ、自分に投資する働き方で自身を高めて、どこへ行っても通用するサバイバル能力を身につけてもらえたら嬉しいですね」
大関さんも金山さんも、原動力となるのはアイディア出して形にする挑戦を続けてくれる「人」だと考えている。「道の駅にチャレンジしたい人材を集めて、そこから町の活気を生みだしたいです。鹿部町はこれから必ず盛り上がる町ですよ!」と力強く話す。
鹿部町から一体どんなチャレンジが始まり、まちへ活気をもたらしていくのか。その挑戦と、未来の姿が非常に楽しみだ。
◆取材協力
道の駅しかべ間歇泉公園(株式会社シカベンチャー)
------
◎北海道の人、暮らし、仕事 くらしごと
◎くらしごと公式Facebook
◎くらしごと公式Twitter
◎筆者:くらしごと編集部 桃野文香
公開日:







