その家の第一印象を左右する玄関
インテリアというと、まずリビングやキッチンがイメージされるだろう。玄関は、れっきとしたひとつの空間である。
玄関は家の顔などといわれてきたが、マンションなどの集合住宅も多くなり、一戸建てでも限られた小スペースになることも多くなった。玄関はデザインや意匠性よりも出入り口の設備のひとつとしてとらえられる傾向となり、どこも同じようになりがちである。玄関は外と内をつなぐ大切な場所で、その家を最初に印象づける場所である。マンションのロビーなどはそれなりに整えられていることが多いが、隣人や知人が住まい手の個性を感じるのは、やはり個々の玄関である。
近隣とのやりとりや宅配など、最近は家の中に上がってリビングまで通さない応対も多い。必要な物をすっきりと収めれば、帰ったときも気持ちがよい。使い勝手も見栄えもよい玄関で場を整え、ぜひ効率も印象も素敵にアップしたいものである。
整った玄関は外出を促す
最近の住宅事情では玄関に広いスペースを取れない場合も多い。家族が居る場合はみんなで使用することとなり、散乱しがちな場所のひとつといえるだろう。
狭い場所にもかかわらず物も多く毎日使うとなれば、取り出しやすさや整理のしやすさなど、ストレスなく使用できることは大切なポイントである。効率よく整えれば出入りもしやすくなる。使用頻度の高さからも、ぜひ工夫して快適で安全に使用できるよう整えたいスペースのひとつである。
玄関は、玄関土間、下駄箱、玄関ホール、廊下などからなるが、靴や鍵、傘、コートなど、外出に必要な物も多く置かれる。高さやヒールもまちまちな靴は、規則正しく並べて都度定位置に戻すなど、狭くても必要な物をすっきり取り出しやすく収めれば、身支度も手際よくできる。
また、家の中での転倒事故は意外に多い。靴や傘などが散乱して動線を塞がないようにして、ベンチなど、靴を履くのに利用したり物が置けるちょっとした場所を設けると、手も使いやすくなり転倒も防げて便利である。
玄関は出入りの起点である。高齢になると体も弱ってくるが、外に出ることは刺激を受けることでもあり、社会との接点を持つ点で欠かせない。必要に応じた場所に手すりやカウンターを設け、段差や靴の脱ぎ履きなどが億劫にならないよう配慮して外出する気持ちを妨げない空間に整えること。障害物がないスムーズな動線の確保や、濡れても転倒しにくい床の仕上げなどへの配慮も重要である。
狭くても収納を確保しながら素敵に見せるには
靴箱の背面の壁に柄物の壁紙を貼り花などを飾れば、どこも似たような玄関がぐっとセンスのいい空間に様変わりする。フレームや色を合わせて小物もあしらえばウェルカムなイメージの玄関に整い、訪れる人の第一印象も変わることだろう。
玄関は階段室の近くであることも多く、家でも何度となく通過する。そこにデザイン性の高い壁紙を貼ればわずかなスペースが素敵な装飾空間となり、暮らしを豊かに彩ってくれることだろう。天然素材や輸入の壁紙など、少し価格の高いものも、限られた面積ならコストも抑えやすい。最近は温かみのあるグレーなどのニュアンスが加わったモノトーンも人気で、なじみがよく置くものによる変化の演出が楽しめる。
限られたスペースとはいえ、濃く強い色は光を吸収して狭く感じられ、重く暗い印象になりがちである。濃い色を使いたい場合は、靴箱の扉やカウンターを明るい色にしたり、明るい小物を置き配色や明るさのバランスを取るとよいだろう。
柄物は一部に使用すると引き立つ。目線がいきやすく手をついたりすることも少ない靴箱のカウンター上などにデザイン壁紙を貼り、手をついたりすることも多い向かいの壁には、防汚、抗ウイルス、抗菌、消臭など機能を備えた壁紙にすると、メンテナンス性も確保しながら意匠性も向上できる。
輸入物に限らず、国産の壁紙でも色柄や素材も豊富に揃う。ショールームでは実物のカットサンプルなども入手できる。サンプルを玄関の壁にあてがったり、インテリアデザインのプロに相談してイメージを膨らませ、選ぶところから楽しんでみてはいかがだろう。
玄関の新しい活用術
玄関は決まったものがある空間…。そんな常識が変わりつつある。外部からのウイルスや細菌の侵入を防ぐ場として、玄関が見直されている。
玄関は外出先から帰宅した際に入る最初の場所である。汚れやウイルスなどが付着したリスクを持ち込まないための水際対策の場として、ひと工夫を加えてはいかがだろう。
最近は省スペースに対応する小型の手洗い器やカウンターも登場しており、条件を満たせば玄関に組み込むことが可能である。ナチュラルなものからタイルが貼られたチャーミングなカウンターなども出ている。以前に比べ手洗い器のサイズも小型化し、和風の雰囲気を持つものや清涼感がある親しみやすいものなど、希望の雰囲気に合わせたデザインや組み合わせの幅が広がり、種類も豊富になっている。手洗い器があれば、ワンちゃんを飼っているご家庭でもお散歩から帰ってすぐに手足を拭くなど、なにかと便利である。
センサータイプの水栓金物は非接触で作動させられ、金具への菌やウイルス、汚れの付着が防止でき、また両手が使えるのでワンちゃんを抱えていても使いやすい。
階段室と一体となる玄関の演出
海外では、玄関から階段室までの大胆な壁紙の貼り方がはやってきている。家を楽しい空間にしようと、手頃な価格でイメージが変えられるデザイン壁紙が多く出ている。玄関は比較的光が入りにくいことが多い。そんなときでも明るい色の壁紙をアクセントとして背景に貼れば、置かれる雑多なものもオブジェのように映え、素敵なディスプレイとして楽しめる。
玄関では宅配の受け取りや、回覧板や鍵などちょっとした細かな文字の判読や作業をすることもある。LED光源も向上し、熱の発生もなく小型化され、持ちも良いので天井など高所においても付け替えの手間が省け便利である。上がり框や下駄箱の上などに光の演出としてダウンライトやテープライトを組み込めば、素材の表情に陰影がつき、印象的な空間づくりができる。
電球色は、温かみは増すが色の加減でやや暗く感じることがあり、温白色はやや温かみがあり暗く感じることも少なくなる。青白い光は作業などに向き明るさは確保できるが冷たい感じになるので玄関には不向きといえよう。
玄関は夜に使用することも多い。年を重ねると視力も低下し明るさは安全の点でも重要である。光源は色の見え方にも深く関わる。店舗では周りが非常に明るいことが多いので使い勝手と好みを考慮し、実際の展示などで自分の空間に置き換えイメージを確認して選ぶといいだろう。
玄関はついおろそかになりがちな空間であるが、来訪者の第一印象に残りやすい場所である。出入り時はもちろん、何度となく家の中で通過もする。ぜひあなたらしいインテリアのアイディアを取り入れ、機能も楽しさも備えて、毎日を快適に過ごしていただけたらと思う。
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