インテリアアイテムとして人気が高まっている苔玉

部屋に緑があると空間演出のアイテムとしてはもちろん、癒し効果も期待できる。多彩な観葉植物が親しまれているなかで、最近、人気が高まっているのが苔玉だ。苔玉とは、植物の根の部分を土で包み、その表面を苔で覆って丸く仕立てたもの。球状の形がかわいく、鉢植えの植物とはまた違った雰囲気を楽しむことができる。

実は苔そのものが、“苔ガール”という言葉が聞かれるほど注目されている。例えば屋久島や、長野県の北八ヶ岳にある白駒池周辺など、森に緑のじゅうたんのように広がった苔の風景は、神秘的な美しさで鑑賞スポットとしても人気だ。どこか人々を惹きつける力を備えている。

今回は、名古屋市の和をテーマにしたフラワーショップ「凛華(りんか)」の苔玉教室に参加。実際に苔玉作りを学ぶとともに、オーナーの伊藤仁美さんに、手入れの仕方やインテリアに取り入れるときのポイントを伺った。

「凛華」のオーナー伊藤さん。素朴ながら存在感のある和の花や観葉植物が好きで、2010年に自店をオープン「凛華」のオーナー伊藤さん。素朴ながら存在感のある和の花や観葉植物が好きで、2010年に自店をオープン

初心者向け、苔玉の作り方

園芸店などで形になったものを購入するのもいいが、自分で手をかけたものはいっそう親しみがわくもの。さっそく苔玉作りにチャレンジ。

1)苗を選ぶ。「気軽に始めるには、1年で終わってしまう一年草ではなく、多年草を。葉のない時期がある落葉樹より、常緑樹のほうが育てやすいと思います」と伊藤さん。筆者は、ガジュマルを選択。幹の形のおもしろさも気に入った。

2)育苗ポットから土ごと苗を取り出す。苔玉の作り方として、土から作る方法もあるが、もともとの土を利用すると簡単で、初心者向き。

3)土の表面全体に苔をつける。すき間がないようにし、ある程度丸く整える。苔は何百種類とあるが、苔玉にはハイゴケやシノブゴケがおすすめだそうだ。

4)苔がはがれないように糸を巻いていく。手毬を作るような感覚で巻いていくのだが、常に植物の右側に糸を通すのがポイント。まず幹の右側に糸を置き、そのまま自分の方向へ糸をおろし、反対へ一周巻く。上部へ糸をもってきたら、糸が幹の右側にあるようにしたまま、植物の向きを変え、同じように巻いていく。最初はXを描くようにし、少しずつずらしていく。何回かしっかりと巻いて、苔がぴょんぴょんと飛び出ているところがあれば、それを押さえるようにして巻き、丸い形に整える。土と苔の間に空気の層ができてしまうと苔が張りにくいので、ギュッときつく締めてしまって大丈夫。

5)しっかりと巻き終えたら、糸をはさみで切る。苔に巻きつけた方の糸の先を、苔の下の部分で巻いた糸に絡ませる。苔を巻いた糸の下に竹串を入れ、糸のはしをひっかけて引き出すようにする。巻いた糸何本かにその作業を繰り返し、糸が動かなくなったら、糸の先を苔の中に竹串で差し込む。

6)苔の形を丸く整えたら、苔の部分をすべて水につけて水やりして完成。

糸を巻くところが最大の難所であるが、作業的には15~20分ほど。あっという間に完成した。緑色の糸を使用したものの、最初は見えて気になるかもしれないが、苔が育つと次第に見えなくなる。また、日にちがたつと、糸が切れる場合もあるが、そのころには苔が定着しているので気にしなくていいそうだ。

苔玉の制作過程。</BR>「凛華」では制作終了後、お茶のサービスがある。苔玉教室の料金は、レッスン代500円に苗代と苔代で、目安としては1500円前後苔玉の制作過程。
「凛華」では制作終了後、お茶のサービスがある。苔玉教室の料金は、レッスン代500円に苗代と苔代で、目安としては1500円前後

苔玉の手入れの仕方と育て方。実は部屋の換気のバロメーターにも

環境に注意事項はあるものの、植物を育てる中では比較的気軽に楽しむことができる環境に注意事項はあるものの、植物を育てる中では比較的気軽に楽しむことができる

苔玉の手入れでは、水やりが最も注意するところだ。苔はカラカラに乾いても枯れず、休眠状態になるので、水で戻してあげると潤いを復活させるという。では、どのように水やりするのがいいのか。
「霧吹きなどを使って苔の表面を濡らしてあげるというようなイメージがあるかもしれませんが、それでは苔玉の中まで水が通りません。植物自体は苔のなかの土を必要としているので、その土まで水を届けてあげることが必要です。土に水分があれば、苔もその土からの水蒸気で育つんです」。

苔玉を触ってみて、パサッと乾いている感触がしたら、水をたっぷり入れたバケツのなかにドボンと苔の部分全体を沈める。するとブクブクと空気の泡が上がってくるので、その泡がなくなるまでそのままに。泡が上がってこなくなったら、水からあげ、水をよく切ってから飾る皿の上に置く。水分過多になるため、皿には水をためないようにする。

水やりの頻度としては、植物にもよるが、苔が乾ききらない程度にあげるのがよい。置き場所は、直射日光は避けつつ、朝日など弱い日差しが当たる場所が適している。

水や日差しを気にする人は多いが、実は風も大事。風通しのいいところに置き、時折、外に出して風にあててあげる。「もし風通しが悪いと、苔に白いカビが生えてしまうことがあります。家の換気のバロメーターにもなるんですね」。

もし白カビが生えてしまったら、流水で洗い流したり、ハサミでその部分を少しカットしてから、水をはったバケツに食酢を数滴入れ、そこに水やりと同じようにドボンと沈めてあげる。酢の殺菌作用が効くとのことだ。

苔玉をどう飾る? 洋風なインテリアにも合う?

「苔玉教室のレッスンにいらっしゃる方に聞くと、玄関に飾りたいと言われることが多いです。でも、玄関は日差しが届くかというと、そうでないことも多いですよね。窓があり、明るい玄関であればいいですが、そうでなければあまりおすすめしません」。
確かに、玄関の下駄箱の上など、苔玉がアクセントになってよさそうだ。だが生育環境に適していないようであれば、せっかくのものをダメにしてはいけないので、避けた方がよいだろう。

では、リビングではどうだろうか。
「広い空間に、ポツンとあえて置くというのがかっこいいのではと思います。リビングは白い壁であることも多いと思いますが、苔玉のグリーンが映えてきれいです。苔玉はどちらかというと、ひっそりと飾った方が、美しさが活きてくるのではないかと思います。洋風な空間に、ひっそりとたたずませることで、モダンな感じになるのではないでしょうか」。

花のような華やかさはなくとも、存在感を放つ苔玉。シンプルな中に際立たせるのが、和モダンとなってよさそうだ。
「もしいくつか苔玉を並べる場合は、植物の高低差をつけてあげたり、苔玉の大きさを大小にするといいですよ」とも教えてくれた。

今回作らせてもらったものは皿などの上に置くタイプだが、皿によっても雰囲気が変えられるので、好みのものを探すといいだろう。また、苔玉を紐やワイヤーなどを使って吊るすタイプや、ガラス容器のなかに入れるテラリウムもできる。実際に部屋に置いてみると、小さいながらも、おしゃれに空間を彩ってくれる抜群の存在感があると感じる。お手頃価格で取り入れられるので、ぜひ楽しんでみてほしい。


■取材協力/凛華 
http://www.rinca-2010.com/

樹木のほかにも山野草など、さまざまなもので苔玉を作ることができる樹木のほかにも山野草など、さまざまなもので苔玉を作ることができる

2016年 09月22日 11時00分