あらかじめ考えておきたい災害時の生活

地震や火山の噴火、台風による水害…。自然災害の多い国の一つでもある日本において、もしもの災害に備えておくにこしたことはない。備えるのはもちろんだが、家屋が倒壊し、水やガス、電気などのライフラインが絶たれてしまった場合、"生きるため"のいくつかのアイデアをあらかじめ知っておくのも大切な防災対策の一つだ。

2016年4月14日に発生した熊本地震では、九州電力は地震発生1週間後の4月20日から住宅のほぼ全戸に電気の供給を始めている。水道は4月17日から試験的に市内の3分の1の範囲で供給開始、西部ガスは20日以降、安全が確認された地域から順次ガスの供給を再開。つまり、電気、ガス、水は、災害後、ある程度の期間供給されない可能性があるということを考えておいた方が良いだろう。
そこで今回は、災害時に水道やガス、電気がストップした場合の、「食事」「排泄」「睡眠」の方法について、家庭に備えられるものでできるサバイバル術をいくつか紹介しよう。

飲料水の確保と調理をするための火起こし

重くてかさばる飲料水だが、備蓄は非常に重要だ重くてかさばる飲料水だが、備蓄は非常に重要だ

災害時、まず確保したいのが飲料水だ。災害時用リュックが手元にあり、中身が無事ならばしばらくは問題がないが、念には念を入れ、どこで水を補給できるかをあらかじめ調べておこう。自宅の水道が止まってしまっていても、その地域すべての水が供給されていないとは限らない。近くの公園の水道が出ないか、近所に非常用の防災井戸がないか確認してみよう。

もし、公園や防災井戸の水も使えなければ、川の水や雨水を5分以上沸騰させればほとんどすべての病原菌が死滅するので、飲用にできる。ただ、十分な火力が必要なので、ガスや電気も止まっている状況では、この方法はあまり現実的ではない。ドラッグストアなどへ行けば、液状の消毒薬が手に入るので、念のため災害時用リュックに入れておいてはいかがだろうか。リュックを持ち出せなければ意味がないが、断水が長引いたときには役に立つかもしれない。しかしもちろん、都会の水は病原菌以外の有害物質が含まれている可能性もあるので、飲用するのは最低限にとどめておこう。

また、草地があるようなら、朝露を集める方法がある。早朝、足首にタオルなどを巻いて草地を走り回ったあと、容器の上でタオルを絞れば水を得られる。ここまでしないといけない状況になることはまずないかもしれないが、もしものときのために頭の片隅に入れておいてほしい。

水があり、米や缶詰もあるなら、次に食事の工夫を考えてみよう。温かい料理を作るには火が必要だ。マッチやライターがあっても、大きな火を作るのは意外に難しいものだが、こういうときに便利なのが新聞紙だ。木材の破片を見つけても、湿気ているとなかなか火が付かないから、新聞紙を折って固く絞ったものをたくさん作り、薪のように使う方法を試してみよう。
まず大きな石やブロックを3つ探してきて「コ」字型に置き、上に網や鉄板の代わりになるものを乗せる。その中に絞った新聞紙を入れるのだが、キャンプファイアーのように、縦に2本、次は横に2本というように、井桁(いげた)状に積み上げていくとよく燃えるようだ。火力が弱くなれば、また新しい新聞紙を絞り、適宜追加して投入していく。これで即席のかまどが完成だ。
蓋を切り取った空き缶などに洗った米と水を入れ、空き缶の蓋や濡らした新聞紙などをかぶせればご飯が炊けるし、缶詰めの蓋を開けて乗せれば、温めて食べることもできるだろう。
しかし、これもライターや缶詰、米、水などが防災リュックに入っているのが前提条件なので、日頃からリュックの中身を確認しておこう。

震災時は「トイレ難民」の大量発生が深刻な問題になることも

もし断水していても、トイレの設備があり、どこかから水を調達できるのならば、手動で排泄物を流すことも可能だ。
しかし、トイレ設備そのものがない場合にはどうしたら良いのだろうか。こんなときは段ボールで作るお手製の簡易型トイレがある。

まず段ボールを箱状に組み立て、大人が座ってもつぶれない程度に補強をする。他の段ボールを筒状にして柱にしたり、角や側面に粘着テープを貼ったりして補強してみよう。そして上面に座り、お尻の下になるあたりに、20×30センチメートル程度の穴を空けて、ここにポリ袋を取り付ければ完成だ。袋の中に用を足し、たまったら口をしばって新しい袋に替えよう。
ただし、段ボールは調達できるとしても、ビニール袋が防災リュックに入っていなければ、新しい袋に取り替えられないので、これも忘れずに入れておきたい。

また、スコップなど、土に穴を掘る道具があるなら、穴を掘ってトイレにする方法もある。排泄後は土をかぶせておこう。また、最近は、避難所に下水道に直結した"マンホールトイレ"と呼ばれる簡易トイレを設けている地方自治体もあるので、お住まいの地域の避難所に設置されているかを確認して欲しい。

マンホールトイレ(受入口)の地域別設置数(左)と 1 基あたりの地域別カバー人数(注)(右)<BR /> 出典:国土交通省 水管理・国土保全局 下水道部『マンホールトイレ整備・運用のためのガイドライン(案) 』<BR />(注)国土交通省のマンホールトイレ受入口の地域別設置数調査データに対して、総務省統計局の都道府県別人口(平成 25 年度)を用い算出
マンホールトイレ(受入口)の地域別設置数(左)と 1 基あたりの地域別カバー人数(注)(右)
 出典:国土交通省 水管理・国土保全局 下水道部『マンホールトイレ整備・運用のためのガイドライン(案) 』
(注)国土交通省のマンホールトイレ受入口の地域別設置数調査データに対して、総務省統計局の都道府県別人口(平成 25 年度)を用い算出

新聞紙で保温?避難所での休息、過ごし方

屋根のある避難所が使えれば良いが、野外で夜を過ごさなければならない日もあるかもしれない。このときに便利なのが防寒用シートだ。薄いシートだが、すっぽりくるまれば暖かく過ごせるから、防災リュックに入れておきたい。
もしリュックを持ちだせなかったときは、レジャーでも使用するブルーシートが役に立つ。大き目のブルーシートを筒状にし、両端を紐などで縛ってキャンディー状にする。この中にもぐりこんで寝れば、少しの雨や虫を防いでくれるはずだ。地面がでこぼこしている場合は、下に段ボールを敷くと寝心地が改善される。ブルーシートが1枚あると、雨天の場合でもテント状にすれば雨よけとしても使えるので、こちらも手に入れておきたい。

また、新聞紙があれば、くしゃくしゃにしてから広げ、上着と下着の間に入れよう。しわを作ったことで空気の層ができ、保温効果が期待できるのだ。

もちろん、被災時に必要な道具がそろうとは限らない。しかし、こんな方法があると知っていれば役立つ可能性があるから、頭の片隅にでもおいていただけたら幸いだ。

もしもの時に備える「防災リュック」の持ち物。水、食料、ラジオ、携帯トイレなど各家庭の状況に合わせて、持ち物を検討したいもしもの時に備える「防災リュック」の持ち物。水、食料、ラジオ、携帯トイレなど各家庭の状況に合わせて、持ち物を検討したい

2016年 08月16日 11時06分