2019年をピークに、空き家は増加する?

築年数が経った民家・空き家を活き返らせるためには、傷み具合などの状態を把握する現地調査が必要になる。再生できるなら、所有者だけではなく、家自体も喜びそうだ。築年数が経った民家・空き家を活き返らせるためには、傷み具合などの状態を把握する現地調査が必要になる。再生できるなら、所有者だけではなく、家自体も喜びそうだ。

総務省が5年ごとに実施する住宅・土地統計調査によると、2013年10月時点での空き家は約820万戸、前回に比べ約63万戸増加し過去最高になったと公表した。人口の減少や親と同居しない核家族化の増加、首都圏への人口集中などが原因といわれ、親から住宅を相続しても住むことなくそのまま空き家になるケースが多いという。こういった空き家の数は、地方だけではなく都市部でもみられ、国の推計によれば2019年をピークに世帯数の減少が進み、ますます空き家の数は増加すると予測されている。空き家については、老朽化し崩壊が懸念される危険なものや、放置された庭の雑草・害虫の繁殖の温床といった衛生上のことなど、様々な問題が指摘されている。このような状況を受け、一部の自治体では空き家の解体費用について助成を行っているところもある。

ただ、住まなくなった住宅とはいえ、生まれ育った実家や立派な造りの民家を取り壊すのは少し偲びない気がする。何か良い手だては無いのだろうかと思っていたところに「民家再生」「民家バンク」「古材ネットワーク」などに取り組む「日本民家再生協会」というNPO法人のサイトを目にした。これは聞かないわけにはいかない!日本の古民家や空き家について、どのような活動をしているのか話しを聞いてみた。

民家という日本の住文化を引き継ぐために

上:長年、空き家だった主屋の現地再生。下:3世帯が暮らす家、間取りも変更している。 左:再生前 右:再生後上:長年、空き家だった主屋の現地再生。下:3世帯が暮らす家、間取りも変更している。 左:再生前 右:再生後

話しを伺いに訪れたのは、認定NPO法人日本民家再生協会の近畿地区運営委員会。その運営委員会の委員長、佐藤仁氏は「日本民家再生協会は、正会員(個人)、友の会会員(個人・学生)で構成されており、民家所有者、民家利活用者、建築家、工務店、職人、研究者、文化人、マスコミ関係者といった民家に関心を持つあらゆる人々が集まる全国的なネットワーク組織なんです」と話してくれた。同協会は、「日本の民家を次代へ引き継ぐ」ことを最大の目標とし、情報誌『民家』の発行、各種イベント・セミナーの開催、民家トラストなど多種にわたる活動を実施している。

その活動の中に、古民家が建っているその場所で再生する「現地再生」や、一旦解体し別の場所へ運搬し再生する「移築再生」、建物の傷み具合や敷地の制限などで、一部しか残せない場合に新築と組み合わせて再生する「部分再生」、解体した建物の柱や梁など一部の部材を、新しい材と組み合わせて使う「古材利用」、という4通りの「民家再生」や、民家を譲りたい人と譲り受けたい人をつなぐ「民家バンク」、民家の解体で出る柱や梁・建具・民具などの古材を売買する「古材ネットワーク」がある。また近畿地区運営委員会では、日本の住文化を継承していくために「きんき民家塾」を開き、研究者や実務家を講師に招き知識を深める一方、伝統的な技術が施された古民家などの建築物を見学したり、漆喰や柿渋塗りなどが体験できるワークショップなどを開催している。来年2015年以降の活動については、現在検討中のようだが12月の今年最後の催しは『築260年の古民家ギャラリー』で行うという。

空き家を「移築」するという画期的な方法

現地再生・移築再生・部分再生、いずれにしても内装や間取りの変更も可能だ。 ※室内写真は、それぞれ別の建物現地再生・移築再生・部分再生、いずれにしても内装や間取りの変更も可能だ。 ※室内写真は、それぞれ別の建物

その建物の傷み具合などを現地で調査してみないと判断できないが、先の項で紹介した方法が活用できるなら、空き家だった住宅を現地再生で活き返らせることができる。現在住んでいる地域で土地を見つけられれば、空き家になった住宅をそのまま、もしくは部分的な再生で移築することも可能になる。また、民家を譲りたい場合は「民家バンク」に登録され、探している会員などに公開される仕組みになっている。最悪、取り壊ししか方法がない場合でも、使用されている柱や梁などの部材や建具・道具の状態が良ければ、引き取って再利用古材として取り扱ってもらえることもある。

認定NPO法人日本民家再生協会への問合せは、年間を通して約200件もある。空き家になっている実家の再生に関する内容が大多数を占めており、古い家で生活をしたことのない都会の人が、日本の伝統的な家に住みたいという相談内容が主だという。また、民家バンクのこれまでの利用者は約100件にも達している。これだけの民家がこの取り組みによって、住み継がれる住宅として息を吹き返しているのだ。

「この活動に興味がある、もしくは利用したい場合は、東京にある協会事務局(03-5216-3541/月~金10:00-18:00)へ問合せてもらえれば、窓口担当者が質問に答えてくれるので気軽に電話してください」と佐藤氏は言う。もちろん一般の方でも利用はできるので、必ずしも会員である必要はないようだ。

問合せた方が東京ではなく、地方に住んでいる場合はその地域で相談相手となる会員(登録事業者)を紹介してくれる。民家の設計施工に長けた建築士や工務店の会員が「民家再生」や「民家バンク」の相談・提案などをしてくれるという。生まれ育った実家や思い出がたくさんつまった建物を取り壊すのは躊躇するが「民家再生」や「民家バンク」という方法で利活用できれば今後、空き家率の解消につながるのではないだろうか。


取材協力:認定NPO法人日本民家再生協会
http://www.minka.or.jp/

2014年 11月22日 11時31分