全国の地域工務店やビルダーが直面する経営課題や市場の変化に対し、ノウハウ提供にとどまらない「学び合いの場」を展開する一般社団法人日本優良ビルダー普及協会(JGBA)。同協会は、地域工務店・ビルダー同士が経営や最新の知見を共有し、共に成長するプラットフォームとして支持を集めている。今回は、JGBAの立ち上げから運営を牽引する同協会 代表理事の田島亮氏に、協会の設立経緯や理念、地域工務店が抱える課題と目指すべき姿、そして「努力する人が報われる業界」に向けた将来のビジョンについて話を伺った。
熱い工務店社長たちとの出会いが原点
―本日はよろしくお願いします。まずはJGBA設立の経緯と背景について教えてください。
田島氏:本日はよろしくお願いします。私は約11年前にご縁があって住宅会社(ネクストワンインターナショナル株式会社)へ入社しました。最初は人事・総務として組織づくりなどを主に担当していましたが、多様な工務店の経営者とお会いする中で、住宅業界で働く方々の情熱や魅力に引き込まれていきました。
JGBA立ち上げのきっかけとなったのは2021年のことです。「地域工務店の連合体をつくり、住宅業界に貢献しよう」という熱い志を持った5人の工務店社長が集まり、定期的な勉強会やセミナーの仕組みをつくることになりました。当初私は兼務で協会の企画・運営を担っていたのですが、参加した方々から感謝や期待の声をいただく中で、業務を協会運営に一本化して注力するようになりました。やってみて、目の前の工務店さん一人ひとりに貢献する積み重ねが、業界全体の発展につながると確信しましたね。
―JGBAのセミナーや勉強会は、一般的なコンサルティングや研修とどこが異なるのでしょうか。
田島氏:第一に、「リアル」を大切にしているという点です。リアルというのは、机上の空論ではない経営者の方々の実体験という意味です。研修講師やコンサルタントによる一般化されたノウハウではなく、住宅会社を経営する皆さんが経験したリアルな成功事例や失敗事例に触れられる場を用意しています。
第二に、私たちは「答えを教える」という立場をとっていない点です。正解を提示したり、手取り足取り教えたりしても、受講する側がそれに頼り切って自ら考えなくなってしまっては本質的な成長にはなりません。受動的な姿勢ではなく、得た情報を自社に持ち帰って実践し、検証を繰り返してもらう「学び合いのプラットフォーム」である点が、一般的な研修やコンサルティングとは大きく異なります。
情報は経営のセーフティーネット
―経営において、情報を得ることにはどのような役割があるとお考えですか。
田島氏:経営判断が必要な時に、十分な情報がなければ正しい判断なんてできませんし、経営の選択肢を増やすこともできません。身近にある狭い情報の世界に閉じこもっていては、課題に直面した際に手詰まりになってしまいます。だからこそ情報を多角的に収集し続けること自体が、変化の激しい時代において会社を守る「経営のセーフティネット」になります。
また、必ずしも常に新しい情報が正解ではありません。全国から質の高い情報を広く仕入れた上で、自社にとってどれがいちばん良いか客観的に判断し、不要なものは捨てればいいのです。
―情報を仕入れる際に気を付けるべきことはありますか。
田島氏:多くの経営者さまが「集客が減った」という悩みを口にされますが、だからといって他社の集客ノウハウを表面的に模倣しても根本的な解決にはならないことがよくあります。営業担当者の育成不足や商品力の弱さなど、本質的な課題は別のところにあるケースが少なくないからです。
表面的なノウハウに飛びつくのではなく、得た情報をものさしにして、自社の本質的な課題はどこにあるのか自問自答すること。自社の現状と深く向き合って課題の根っこを見極めない限り、どんな優れた手法を取り入れても成果にはつながらないと考えています。
地域に根差す工務店の存在価値
―大手ハウスメーカーと比較した際、地域工務店ならではの存在価値とはどこにあるとお考えですか。
田島氏:大手ハウスメーカーには規模やブランド力の強みがありますが、地域工務店にはその土地に根差す強い覚悟と密着性があります。
自然災害などの有事の際はもちろんのこと、厳しい経済状況や市場の変化に直面した際でも、地域から逃げずに責任を持ってお客さまの家と暮らしを支え続ける姿勢は、地域工務店が持つ大きな価値です。地域密着の工務店が存続し、元気に活動し続けることは、地域の雇用や経済を守り、コミュニティを維持することにもつながります。
地域工務店は、変化を恐れず変革を
―多くの地域工務店が抱える経営上の課題はありますか。
田島氏:職人出身の経営者さまも多く、現場やお施主さまのために日々汗を流して一生懸命取り組まれているため、経営や市場動向について勉強をする体制・時間が不十分になりがちなことです。
「年間○○棟を、同じメンバーと同じやり方でやり続ける」という現状維持の姿勢では、急激な環境の変化など、何かあった際に手を打つことができなくなってしまいます。現状維持に甘んじることなく、外の情勢を捉えて会社を守るための選択肢や対策を日頃から学ぶ必要があります。この多くの会社が抱える経営課題について、解決に向けたサポートをするのがJGBAであり、ともに協力し合う仲間がJGBA会員というわけです。
―変化を恐れず変わることが大切なのですね。具体的な変えるべき点を教えてください。
田島氏:はい。たとえば最近ナフサショックが起こりましたが、特定の資材メーカー1〜2社だけに仕入れを依存していた工務店は大きな打撃を受けました。ほかの仕入れルートや代替案を開拓していなかったのは、日頃のリスク想定の甘さや変化への拒絶が原因でもあります。特定の取引先へ依存した体制は、自社はもちろん、お客さまを守るためにも改善すべきだと考えています。こうしたリスクの中には、他社の失敗談から備えられるものもあるでしょう。
―日頃からあらゆる可能性を見越して「守り」を強化することは大切ですね。「攻め」の部分ではいかがでしょうか。
田島氏:他社や大手に対抗するためには、自社だからこそ提供できる独自の強みは何かを突き詰め、自信を持って提案できる商品を作って売る姿勢が必要だと考えます。地域工務店のホームページによくあるのが、「なんでもできます」「なんでもご相談ください」という強みの見えない謳い文句です。知名度の高い大手ハウスメーカーならいざ知らず、自社の強みが不透明な「なんでもやります」というビジネスモデルは、情報収集に長けた現代の消費者には通用しません。全国の先進事例や最新テクノロジーを参考にしながら、自社の強みを磨き続けることが求められています。
加盟数日本一を目指す意味とは
―設立から5年で加盟数は478社※を数えます。今後の加盟社数の目標はあるのでしょうか。※2026年9月時点
田島氏:2031年までに加盟数1,000社を目標に置いています。そして、最終的には日本で一番加盟企業が多い団体、つまり日本で一番役に立つ団体になる。そのために加盟企業2,000社を目指します。これは、単に数の規模を誇りたいわけではありません。全国から加盟社が集まることで業界内の知見や成功・失敗事例といった情報量が増え、加盟企業に提供できる情報の質と価値、そして業界への発信力が高まるからです。
―今後の構想について教えてください。
田島氏:将来的な構想として、スケールメリットを生かした「共同購買」や、これから発展が期待される国などへの「海外進出サポート」も検討していますが、これらは組織拡大の先に生まれる可能性の一つに過ぎません。JGBAの根本かつ基本的な提供価値は、どこまでも「情報を仕入れ、相互に学び合える場を提供すること」にあります。
努力する人が報われる業界へ
―最後に、JGBAとしての理念や、全国の工務店経営者へのメッセージをお願いします。
田島氏:私が強く思っているのは、「人として生まれたからには学ぼう」ということです。学びを止め、情報を遮断してしまえば、市場の変化に対応できず淘汰されてしまいます。JGBAに加盟するということは、「自ら学ぼう、努力しよう」と決意している証でもあります。
真面目に学び、真剣に努力している工務店さんが、正当に評価されてしっかり報われる業界にしたい。学びを通じて地域工務店の経営基盤が強くなることが、結果としてお客さまにとっても安心・安全な住まい選びの選択肢を広げることになると信じています。
―地域工務店の課題に真正面から向き合い、学びを通じて業界の未来を切り拓く情熱が伝わってきました。本日は貴重なお話をありがとうございました。
企業データ・特徴まとめ
※情報は2026年9月時点のものです
協会データ
名称
一般社団法人日本優良ビルダー普及協会(略称:JGBA)
代表理事
田島 亮
設立
2021年(令和3年)1月20日
所在地
〒107-0052 東京都港区赤坂3-5-5 ストロング赤坂ビル4F
加盟企業数
478社
主な活動内容
住宅会社向けリアル・オンラインセミナーの開催、会員限定交流会・視察会の開催、動画コンテンツの配信など
公式ウェブサイト
JGBAに関するよくある質問(FAQ)
Q. JGBA(一般社団法人日本優良ビルダー普及協会)とはどのような団体ですか?
A. 全国の地域工務店やビルダーが参加し、経営課題や最新の知見を共有しながら共に成長を目指すプラットフォームです。リアルな情報を大切した、教えるのではなく学び合う場の提供を通じて、住宅業界全体の発展に貢献することを目的としています。
Q. JGBAへの加盟方法は?
A. 加盟したい旨をJGBAに伝えてください。Webでの申込みまたは用紙提出による申込みが可能です。加盟を検討するための相談の場も提供されています。
Q. JGBAの加盟金や会員費用は何円ですか?
A. 1社あたり、入会費用は55,000円(税込)、会員費用は月額9,900円(税込)です。
Q. 加盟すると、どのようなサービスが利用できますか?
A. 加盟会社の社員は以下のサービスを利用できます。
・動画配信メディア「JGBA Channel」の利用
・リアルセミナー・オンラインセミナーへの参加
・会員限定イベントへの参加
・各種会員限定サービス
Q. JGBAでは、どのようなことが学べますか??
A. 経営、営業、集客、採用、教育、設計、施工、アフターサービスなどについて学べます。
Q. JGBAの勉強会は、一般的なコンサルティングや研修と何が違いますか?
A. コンサルタントのように答えを教えるのではなく、経営者自身が「自社ならどう応用できるか」を考える場を提供している点です。情報を自社に持ち帰って実践・検証する「学び合い」を重視しています。また、得られる情報が一般化したノウハウではなく、住宅会社の経営者が実際に体験したリアルな成功事例や失敗事例である点も、一般的なコンサルティングや研修との違いです。
Q. 地域工務店が抱える現在の課題は何ですか?
A. 「なんでもやります」といった自社の強みが見えないビジネスモデルや、特定の仕入先・既存のやり方に依存しすぎる現状維持の姿勢が課題とされています。市場の変化に対応するため、常に新しい情報を仕入れ、自社の強みを磨き続ける必要があります。
Q. JGBAの今後の目標は?
A. 2031年までに1,000社、最終的には2,000社の加盟を目指しています。加盟社数が増えることで共有される情報量が増え、学びの精度向上や業界への発信力強化につながるためです。将来的には、スケールメリットを生かした共同購買や海外進出のサポートなども見据えています。
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