住宅ローンとは、将来の自分から借り入れるもの

あなたは住宅ローン=住宅購入するための借金で、自分はキャッシュで購入できるだけのお金を持っていないから、仕方なく&必然として組むものなのだと思っていないだろうか。
私はその考え方は少し違うのではないかと思っている。その考え方だと(一般的な考え方だとも思うが)、毎月黙々とローンを返済する姿をイメージしてしまう。ローン返済という道程をただ只管30年以上歩き続けることが、果たして人生の目的だろうか(やや大袈裟な表現をお許し願いたい)。

住宅ローンとは、誤解を恐れずに言えば“信用がなければ組めない”もので“将来稼ぐだろうお金を自分から前借りするもの”だと考えている。つまり借りる相手は金融機関ではなく、将来の自分である。
例えて言うと(あまり例え話になっていないかも知れないが)、将来の自分から「お前、よくもこんな物件買ったな。30年前に戻れれば全力で止めている」と思われるか、「でかした!昔からお前は見どころのある男だと思っていたよ」と思われるかを判断基準にする感覚だろうか。

実際の生活は、食事もすれば服も買うし、月に一度はちょっと洒落たレストランで食事も楽しみたい、年に1~2度は家族で温泉旅行に行きたいし、車もそろそろ買い替えの時期だが、ゴルフはやめられない…ものなので、住宅ローンだけを支払って生きていくことはあり得ないし、それが人生の目的になるなんてもっとあり得ないのである。

住宅ローンを最大限活用して、生活の質を向上させる

住宅購入のためのローンを上手に活用して、生活の水準・質を落とすことなく、より快適な住まい、さらに将来の資産としても期待できる物件を手に入れたい住宅購入のためのローンを上手に活用して、生活の水準・質を落とすことなく、より快適な住まい、さらに将来の資産としても期待できる物件を手に入れたい

やや諄い言い回しをして一体何を主張したいのかと言えば、住宅ローンを組む基本的なスタンスとして「一度に数千万円もの買い物をするのは度胸も要るし、そんな大金を一度に用意するほうがリスクだから、世間一般で使われているところの住宅購入のためのローンを上手に活用して、これまでの生活の水準・質を落とすことなく(ここがポイント)、より快適な住まい、願わくは将来の資産としても期待できる物件を手に入れよう」ということが言いたいのである。

住宅ローンは、生活の基盤となる器や人生で大切と思われるものを維持するために使う手段に過ぎない。
そう考えると、住宅ローンは上手に活用することが大切であって(現状では、金融機関も少しの利息で長年返済してくれるなら喜んで貸すと言ってくれていることでもあるし)、長い道程を、歯を食いしばって歩かなければならないということではない、と理解できる筈だ。
一般に人間は経験のないことについて恐れを抱くものだし、多額の借金をするのは事実だから恐れるなというほうが無理な話だが、一旦支払うと覚悟を決めたのであれば、如何に「返済」を「負担」と実感することなく支払い続けていくかを考えたほうが、余程精神衛生上好ましいと思う次第である。

「不動産(住宅)は人生で最も大きな買い物」であることは論を俟たないだろうが、あまりにストイックに考え詰めるものでもない(かと言って衝動買いするものでは決してないし、よく考えずに買うと失敗することが多いというのが厄介なところだ)。
まずは総論として、購入候補エリアの環境要素である「交通利便性」と「生活利便性」と物件の「居住快適性」などを確認しつつ、「資産性」と「安全性」を怠りなくチェックし、自分と家族の好みなども勘案しつつ「付加価値」などと言うものにも目を配る余裕があれば、エリアと物件選択については及第点を~将来の自分から~もらうことができるだろう。
各論としては、そうして絞り込んだ候補の中から細かい諸条件などを考慮して好きなものを選べば良い。最後は自分でそうやって決めるものだ。
そして、住宅ローンはあくまでも自分が選んだ物件を手にするための方策で、便宜的に、かつ積極的に活用するものだ。

住宅ローンを“戦略的に”活用する

幸いなことに、現状では住宅ローンの変動金利は(優遇適用を受けると)0.8%前後、10年固定金利も1.6%前後、フラット35の最低金利も1.8%程度(いずれも2013年11月時点)と超・低金利状態にあり、日銀の異次元緩和によって今後の金利上昇の可能性についても、インフレターゲット・レベルに抑制されると実質金利は現状と大きく変わらないから、金利が上がって返済ができなくなるリスクは相対的に小さい。しかも最近の住宅ローン「商品」は、8大疾病対応だの、8大疾病以外の生活習慣病対応だの(要はそういう病気を発症したら住宅ローンの返済が免除される可能性があるということ)が用意されていて、死亡時には団体信用生命保険が下りるから、その点でもリスクはかなり軽減されていると言えるだろう。
残るは、個人向け住宅ローンにおいてノンリコースローン(非遡及型ローン:物件の所有権が移転した段階で以降の求償がない)が実現するのを待つばかり、ということだが、これについても金財総研と東京カンテイが共同で残価設定型住宅ローンの開発を行なっており、仕組みはほぼ完成したところなので、あとは実際の商品化に移行する段階を迎えている。このように住宅ローンに対する見方を変えてみると、いろいろと将来に対する考え方も変わるものだ。住宅ローンを返済することが目的化する人生は歩んで欲しくない、というのが極私的な住宅ローンに向き合う「心得」である。

2014年 01月17日 09時59分