住宅ローン減税は2025年(入居年)まで延長されることに

住宅ローン減税とは?

従来、住宅ローン減税は2021年で終了する予定だった。しかし、昨年(2021年)12月24日、令和4年度税制改正の大綱が閣議決定され、2025年(入居年)まで4年間延長されることになった。住宅ローン減税とは、ローンを利用して住宅を取得する場合、毎年末の住宅ローン残高に応じて所得税を控除する制度だ。年末時点のローン残高に控除率を掛けた金額分の税負担が軽減され、所得税から控除しきれない場合は、住民税からも一部控除される。

政府は今回の決定に対して「中間層による良質な住宅の取得の促進による住宅投資の喚起を通じて、新型コロナで落ち込んだ経済の回復を図るとともに、環境性能等の優れた住宅の普及拡大を推進するための措置」としている。一方で各メディアからは「控除率が下がったので改悪だ」という声もある。実際にどのような内容になったのか確認してみよう。

縮小された住宅ローン控除

逆ざや是正へ、控除率は0.7%

それでは、気になる控除率から順に解説したい。

【控除率】

一律0.7%

新築住宅も中古住宅(既存住宅)も控除率は0.7%。2021年度までは1%だったので、確かに下がっている。その背景には、現在の住宅ローン金利の低さがある。昨今の住宅ローン金利は、1%を切るのが当たり前だ。それゆえ、1%控除すれば金融機関へ支払う利息よりも減税による節税額の方が多い、いわゆる「逆ざや」状態を生んでいた。このことを会計検査院は問題視していたのだ。


新築住宅の借入限度額は段階的に縮小

住宅ローン減税が適用される借入額は上限が決まっている。新築住宅の場合の借入限度額は以下のとおり。

【借入限度額(新築住宅)】

●長期優良住宅・低炭素住宅(認定住宅)の場合
2022年~2023年:5,000万円(※年は入居年、以下同)
2024年~2025年:4,500万円
●ZEH水準省エネ住宅の場合
2022年~2023年:4,500万円 
2024年~2025年:3,500万円
●省エネ基準適合住宅の場合
2022年~2023年:4,000万円 
2024年~2025年:3,000万円
●その他の住宅の場合
2022年~2023年:3,000万円 
2024年~2025年:0円(2023年までに新築の建築確認がされている場合は2,000万円)

高性能でエコな住宅ほど限度額は高くなるが、この金額を超えた部分に対しては適用されない。なお、新築住宅は入居年によって限度額が変わるため、要注意だ。


中古住宅の借入限度額は新築より低い

中古住宅の場合の借入限度額は以下のとおり。

【借入限度額(中古住宅)】

●長期優良住宅・低炭素住宅・ZEH水準省エネ住宅・省エネ基準適合住宅の場合
2022年~2025年:3,000万円 
●その他の住宅の場合
2022年~2025年:2,000万円


各住宅の定義を確認しよう

上記各住宅の定義は次のようになっているので、確認しておきたい。

●長期優良住宅とは

長期にわたり良好な状態で使用するための措置が構造と設備に講じられた優良な住宅。所管行政庁に申請することで認定される。

●低炭素住宅とは

二酸化炭素の排出を抑えるための対策が講じられた住宅。所管行政庁に申請することで認定される。

●ZEH水準省エネ住宅とは

ZEH基準、つまり日本住宅性能表示基準の断熱等級5かつ一次エネ等級6の性能を有する住宅。なお、太陽光発電システムは必須ではない。

●省エネ基準適合住宅とは

日本住宅性能表示基準の断熱等級4以上かつ一次エネ等級4以上の性能を有する住宅。

最大の控除期間は13年

新築と中古で異なる控除期間

2021年まで控除期間は原則10年とされており、消費税引き上げに対する特例措置で最大13年となっていた。2022年度からは新築住宅の場合は原則13年、中古住宅は10年となる。

【控除期間】

●新築住宅・買取再販住宅の場合
13年(「その他の住宅」は2024年以降の入居の場合10年)

買取再販とは、不動産会社などが買い取ってリフォームした後に販売する中古住宅。ただし、住宅ローン減税で買取再販物件とされるには、新築後10年以上経過しているなどの要件を満たす必要がある。

●中古住宅の場合
10年


その他の控除要件

住宅ローン控除を受けるための、その他の控除要件も確認しておこう。

【所得要件】

合計所得金額2,000万円以下

【床面積要件】

50m2以上
ただし、新築の場合は2023年までに建築確認されていて合計所得金額が1,000万円以下ならば40m2以上となる。

【中古住宅の築年数要件】

1982年以降に建築された住宅(新耐震基準適合住宅)

2022年以降の住宅ローン減税の要件等。借入限度額が2024年以降減額されるので注意したい(出典:国土交通省「令和4年度住宅税制改正概要」)2022年以降の住宅ローン減税の要件等。借入限度額が2024年以降減額されるので注意したい(出典:国土交通省「令和4年度住宅税制改正概要」)

最大控除合計額は?

住宅の種類によって、最大182万円の差

2022年の場合、それぞれの住宅の最大控除額を計算すると合計で次のような金額になる。

【最大控除額】

●認定住宅の場合
5,000万円(借入限度額)×0.7%=35万円×13年=455万円
●ZEH水準省エネ住宅の場合
4,500万円(借入限度額)×0.7%=31.5万円×13年=409.5万円
●省エネ基準適合住宅の場合
4,000万円(借入限度額)×0.7%=28万円×13年=364万円
●新築その他の住宅の場合
3,000万円(借入限度額)×0.7%=21万円×13年=273万円
●中古認定・ZEH・省エネ住宅の場合
3,000万円(借入限度額)×0.7%=21万円×13年=273万円
●中古その他の住宅の場合
2,000万円(借入限度額)×0.7%=14万円×13年=182万円

認定住宅と新築その他の住宅では、182万円の開きがある。認定住宅の場合、住宅性能を上げるために建築費などが高額になるが、その差を埋めることができるかもしれないので検討の余地があるだろう。ただし、これらの金額は、あくまで「最大」だ。実際は所得額などによって異なるので各個人で正確な金額を算出しておきたい。

申請には会社員でも確定申告が必要

住宅ローン減税を受けるには申請が必要だ。具体的には入居した翌年の確定申告の時に、税務署へ必要書類を提出する。これは普段確定申告をしない会社員でも同じ。ただし、2年目からは勤め先にローンの残高証明書を提出することで控除を受けることができる。くわしくは国税庁のホームページなどで確認してほしい。

住宅ローン減税の申請手続きの流れ。会社員でも初年度は確定申告をする必要がある。添付書類などは国税庁のホームページ等で確認したい(出典:国土交通省「すまい給付金サイト」)住宅ローン減税の申請手続きの流れ。会社員でも初年度は確定申告をする必要がある。添付書類などは国税庁のホームページ等で確認したい(出典:国土交通省「すまい給付金サイト」)