マンションのトラブルは減少しているようだが……

国土交通省が実施した「マンション総合調査」について、前回は永住意識の変化や居住者の高齢化に伴う問題などを取り上げた。引き続き今回は、同調査の中からマンションの管理に関するものをピックアップしてみたい。

マンションは多くの世帯が同じ建物で暮らす「共同生活」の場であり、居住者間のトラブルの多さは以前から問題点として挙げられることが多かった。だが、マンション総合調査の結果をみるかぎり、その状況は年を追うごとに改善されつつあるようだ。「特にトラブルがない」というマンションは、2003年度の調査で7.1%に過ぎなかったが、2008年度は22.3%、2013年度は26.9%となっている。しかし、依然としておよそ4分の3のマンションは何らかのトラブルを抱えているため、まだまだ改善しなければならない点は多いだろう。

トラブルとして最も多いのは「居住者間のマナー」で、全体の55.9%にのぼっている。その内訳は多い順に、違法駐車(40.1%)、生活音(34.3%)、ペット飼育(22.7%)、共用部分への私物の放置(18.4%)、バルコニーの使用方法(13.1%)などとなっている。マナー問題の次に多いのは「建物の不具合」(31.0%)だ。建設時の施工不良に起因するものから軽微なものまで、不具合の内容は多岐にわたるだろうが、たいへん気になる数字である。

国土交通省「マンション総合調査(2013年度)」をもとに作成国土交通省「マンション総合調査(2013年度)」をもとに作成

マンション管理士の活用は進んでいないのか

専門的知識をもって管理組合や区分所有者などの相談に応じ、助言、指導などを行う者の国家資格として2001年度に創設された「マンション管理士」制度であるが、マンショントラブルの解決にあたり、まだ十分に活用されていないようである。

トラブルの処理方法として、最も多く挙げられているのは「管理組合内で話し合った」が69.2%であり、次いで「マンション管理業者に相談した」(48.0%)、「当事者間で話し合った」(25.4%)となっている。いずれも、まずは関係者の間で解決を図ろうとするものだろう。外部の専門家の活用としては「弁護士に相談した」が9.8%であるのに対して、「マンション管理士に相談した」は3.9%にすぎない。

ただし、「マンション管理士に相談した」との回答は2003年度に1.0%、2008年度に3.4%であり、少ないながらも徐々に増えつつあるといえるだろう。なお、トラブルの処理方法として「訴訟によった」が6.8%にのぼっている。同じ建物に暮らす者同士の裁判は、ぎりぎりまで避けたいはずだろうが、そこまで追い詰められてしまうトラブルも生じるのだ。

なお、トラブルへの対応以外の場面ではマンション管理士が活用されるケースも多いようだ。「専門家の活用状況」では、建築士(24.4%)、弁護士(18.7%)に次いで、マンション管理士が16.4%となっている。しかし、マンション管理士を活用したことがないマンションの中では、その存在自体を知らないという回答が37.4%にのぼっている。認知度のアップもこれからの課題だろう。

長期修繕計画が作成されたマンションはおよそ9割

マンションにとって長期修繕計画は重要な要素マンションにとって長期修繕計画は重要な要素

マンションにとって長期修繕計画の作成とその着実な実施は、たいへん重要な要素である。ところが1987年度の調査において、長期修繕計画を作成しているのは65.5%にとどまり、4分の1超の28.6%のマンションでは作成されていなかった(残り5.9%は不明)。これについては改善が進み、2013年度は「作成している」が89.0%、「作成していない」が8.0%となっている。

長期修繕計画を作成していない割合は古いマンションほど高く、完成年次別で「1969年以前」は23.1%にのぼっている。分譲当初から作成されていなければ、その後に管理組合が主体となって住民自身が計画を作成するのは困難だろう。老朽化が進んで不具合が生じてから対応を迫られるケースも多いものと予測される。

その一方で、新しいマンションであればほぼ例外なく長期修繕計画が作成されていると思いたいところだが、2010年以降に完成したマンションでも、4.8%が「作成していない」としているのは気になる。マンションを購入する際にはしっかりと確認したいものだ。

なお、長期修繕計画の計画期間は新しいマンションほど長くなる傾向にあり、2010年以降の完成では「26年〜30年」が42.7%、「31年以上」が36.5%にのぼっている。

マンションの老朽化対策はなかなか検討が進んでいない

マンションの老朽化問題に対して「建替えの方向で具体的な検討をした」は2.6%にとどまり、「修繕・改修の方向で具体的な検討をした」が62.0%にのぼっている。その一方で、「議論はしたが具体的な検討をするに至っていない」が30.5%となっている。

ただし、老朽化問題への議論は当然ながら新しいマンションではほとんど行われないだろう。完成年次別にみると、1969年以前のマンションでは79.5%、1970年〜1974年のマンションでは80.5%で何らかの議論が行われているようだ。しかし、「具体的な検討をするに至っていない」マンションは1969年以前で19.4%、1970年〜1974年で35.5%にのぼる。合意形成がなかなか困難な状況もあるだろう。

最近のものに比べて、1970年代あるいはそれ以前のマンションは耐久性に乏しいケースも少なくない。これらが築40年を過ぎるようになってきたわけだが、その多くで具体的な老朽化対策をとることができずにいる状況は気がかりだ。その議論すらできないマンションが少なからず存在することも、よく考えなければならない。

2014年 07月14日 10時33分