日本一の大きさを誇る琵琶湖のほとりに立つ琵琶湖ホテル
訪れた人たちをもてなし、寛いでもらうのがホテルの役割。「おすすめの●●は?」と宿泊客にたずねられれば、歴史ある名所や美味しい食事ができるレストラン、お土産にぴったりな特産品など、宿泊客にさまざまな情報を提供することもホテルスタッフの仕事だ。ホテルのスタッフはそのまちの情報通でもある。
滋賀県大津市、雄大な琵琶湖のほとりに立つ「琵琶湖ホテル」も、もちろんそうだ。
現在のJR大津駅と京阪電車のびわ湖浜大津駅に挟まれたエリアは、江戸時代、「大津百町」と呼ばれた宿場町。古くから営業している商店や、名物のお菓子などが、その賑わいを今に伝える。だが、そのことをホテル館内でPRはしても、スタッフがホテルを飛び出し、宿泊客を案内することはなかった。それを変えたのがコロナ禍だ。
身近な大津のまちを知る様々なプランは、コロナ禍で旅のスタイルが変わって生まれた
「コロナ禍で、全国的に旅行に行くことが難しくなり、旅のスタイルが変化しました。そこで私たちも『BIWAKO MY DESIGN TRIP~レイクリゾートで見つける、自分らしい旅のカタチ~』というコンセプトを打ち出し、新しい旅のプランを提案しました」と話すのは琵琶湖ホテルを運営する京阪ホテルズ&リゾーツ株式会社営業企画部マーケティング課の福本千尋さん。
「BIWAKO MY DESIGN TRIP~レイクリゾートで見つける、自分らしい旅のカタチ~」(以下「BIWAKO MY DESIGN TRIP」)とは、「安心・安全な旅はもちろん、歴史・文化と言った湖国の魅力に触れる旅、ウエルネスをテーマにした健康志向の旅など、『ゆったりと寛ぐ』だけでなく、様々な旅のたのしみを取り入れたプランを提案する」というもの。コロナ禍で近場の旅が注目されるなか、あらためて近隣の人たちに大津の良さを知ってもらおうという試みだ。
2020年9月にスタートし、「ワーケーションプラン」「ヨガプラン」などの宿泊・日帰りプランを発表。ワーケーションプランでは、単なるワーケーションではなく、湖岸のなぎさ公園を散歩したり、ホテル内にある瑠璃温泉で体を休めたり。仕事をしながら、大津の魅力を堪能し、リフレッシュもできる内容だ。また、ヨガプランは、レイクビューの眺望を活かして、琵琶湖と向き合ってヨガができる。これも同ホテルのロケーションを活用したものだった。
そして、同年11月にスタートしたのが「ホテルスタッフがご案内する、大津百町めぐり」付きの宿泊プランだ。
宿場町、港町、門前町として「大津百町」の繁栄を誇った歴史あるまち・大津
そもそも、の話になるが、大津市は京都市と県境を接する滋賀県の県庁所在地で、人口は342,777人(2021年1月現在。滋賀県ホームページより)。日本一大きな湖・琵琶湖の雄大な景色とともにあるまちだ。
江戸時代に遡れば、江戸・日本橋から京都・三条大橋をつないだ東海道五十三次の53番目の宿場町が大津宿で、元禄期にはすでに人口は1万5000人とも、1万8000人だったと言われている。その賑わう様子は歌川広重の浮世絵にも描かれている。
また大津は、港町でもあった。湖上輸送の基地として、北国や東国から船でやってきた荷が下ろされ、京都へと運ばれた。さらに加えるなら、西国三十三所観音霊場の札所で、1200年以上の歴史を持つ三井寺(園城寺)の門前町でもある。
宿場町、港町、門前町と3つの顔を持つのが大津。琵琶湖ホテルが立っているのはまさにその一角なのだ。
「大津百町巡りプラン」は、約2時間半ゆっくり歩いて歴史的なスポットをめぐる
「大津百町巡りプラン」はその歴史ある大津のまちを、ホテルスタッフが案内するというもの。ホテルから歩いて出発し、約2時間半、旧東海道や商店街を歩く。
「実際に歩いてみると、長く働いている私たちも、新しい発見がたくさんありました。それをお客様に伝えたいとスタートしたのがこのプランです。約2時間半というと長く聞こえますが、距離的にそんなに長く歩くわけではありません。途中で試食したりして、ゆっくりとまちの魅力を感じていただいています」
江戸時代創業の店を訪ね、明治時代におこった大津事件の石碑や大津祭曳山展示館など、8ヶ所ほどを巡れば、バラエティ豊かな大津の歴史を体感することができるだろう。ホテルスタッフと宿泊客だけなので、自分たちのペースでまわれるのも魅力だ。
「ガイドにおいてはなるべく説明的になってしまわないようにと心がけています。まちの景色を楽しみたい方、歴史を深掘りしたい方、お客様のニーズはさまざまです。それに応えられるように、たくさんの引き出しを多く持っていなくては。お客様とコミュニケーションをしっかりとって、一緒に探求していけたらいいですね」と福本さんたちホテルスタッフもまちを知る楽しみを見出しているようだ。
大津市坂本地区を案内する新たなプランも登場。「大津はいいところ」と胸を張って言えるように
ガイドをしているホテルスタッフは現在、4~6人。ホテルから見ていたまちを実際に歩くようになって、スタッフにも変化があらわれたと言う。
「ホテルから飛び出して目の当たりにすることで、いろいろなものを吸収していると感じます。自信をもって大津のまちをPRできるように、『大津はいいところ』と胸を張って言えるようにしたいなと思います」
2021年夏には、ホテルから少し離れた大津市坂本地区を案内するプランも発表。こちらも2100年ほど前に創建された日吉大社や安土桃山時代からの石工集団穴太衆の石垣など、見どころにあふれた歴史あるエリアである。11月には、見ごろとなった紅葉の名所を中心に散策するコースにリニューアル。こうして大津のさまざまな魅力を発信する「BIWAKO MY DESIGN TRIP」は、季節ごとに変わる景色を楽しめるコースを展開し、コロナ収束後も継続していく予定だ。
ホテルがあらためて見直す地元・大津の魅力が、訪れる人の旅をグレードアップしてくれる
こんなにも歴史が豊かな地でありながら、京都に近いゆえか、あまり知られてないところが多い印象も否めない大津。
滋賀や京都の住人にはこうしたマイクロツーリズムが地元をあらためて楽しむ機会になるだろう。そしてまた、コロナ禍が収束すれば、たくさんの人に地元目線で滋賀・大津の魅力が伝えられるプランとして喜ばれるだろう。
コロナ禍で大きな影響を受けながらも、ホテルスタッフがあらためて地元を見直した結果、生まれた旅の新しいスタイル。人と触れ合うこと、まちを知ること。旅の本質的な楽しみを、今まで以上に感じさせてくれるだろう。
※プランの詳細は琵琶湖ホテルHPにて確認を
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