内外装材として用いられる塗料。機能性塗料も多彩に
住宅で取り入れられる内外装材のひとつに塗料がある。塗料を用い塗装を施すことで、壁面などの表面に皮膜をつくり保護すること、色や艶などを生み出すことが可能だ。最近では、カラーバリエーションや意匠性を高めたタイプだけでなく、多様な機能を持たせた製品(機能性塗料)も多くみられるようになってきている。
一般的な戸建て住宅向けには、外装(外壁や屋根)向けと内装向けの塗料が揃っているが、どのような機能を持たせたタイプがあるのか、その特徴や傾向、選ぶ際の注意点をメーカーに聞いた。
外壁や屋根に用いられる塗料の主な機能
外壁や屋根用など外装用の塗料には、建物を保護し、経年劣化を防ぐための機能を持たせた塗料が充実している。下記のような機能が挙げられる。
■高耐候性
紫外線による塗膜劣化、雨筋汚れなどを抑制する。フッ素樹脂などを用いたタイプや
無機系、シリコンなどがある。
■防汚・低汚染性
大気中の粉塵や排気ガス、雨筋などの汚れを付きにくくする。親水性を有した塗膜で雨に濡れるだけで表面の汚れが落ちるタイプ、光が当たると化学反応を起こし汚れを分解する機能を持つ光触媒の機能を持つタイプなどがある。
■防カビ・防藻
塗装面にカビや藻などの微生物の発生を防ぎ、衛生的な環境を保つ。カビや菌を阻止する薬剤を混ぜることで発生を防ぐタイプがある。
■遮熱
特殊顔料などによって赤外線を反射し、ベランダや屋上、床面に塗布することで表面温度上昇を抑える。夏場の室温を下げる効果がある。
■断熱
屋根や外壁などの塗装面の熱を伝わりにくくする。冬場の室温を逃がさず、夏場の室温を下げる効果がある。
■透湿性
外壁内にある余分な湿気を室外へ排出する。外壁内に湿気がこもらず、建材の腐食や建物の結露抑制に役立つ。
■防水・耐水性
撥水性能で下地を保護するだけでなく、塗膜部分の防水性を高める。
上記の中でも性能が向上しているのが、高耐候性だという。日本ペイント 販売本部 マーケティング部 原田雅弘さんは、「建物の長寿命化が進む中、外壁に塗装する塗料の耐候性ニーズも、従来のウレタン樹脂系から、シリコン樹脂あるいはフッ素樹脂塗料が主流となりつつあります。また、最近では、フッ素樹脂塗料を超える高耐候性を持つ無機系塗料やシリコン樹脂を超える『ラジカル制御形』という新しいタイプの製品も上市されています」と話す。製品によってその性能は異なるので、建物の状況や環境に適した機能を検討するようにしたい。
室内空間に用いられる塗料の主な機能
室内に用いられる塗料には、快適で安心な空間を実現するための機能を持つ塗料がみられる。下記のような機能が挙げられる。
■消臭・抗菌・抗ウイルス
不快な臭いを吸着する、菌の増殖を抑える(殺菌や除菌の効果はない)、壁面などに付着したウイルスを不活化する。銀系抗菌剤、光触媒などを利用したタイプ、石灰などを配合したものなどもある。
■防露
結露を抑制する。吸湿や調湿機能を持たせる、室内の空気温度と同じ温度に近づくことで、結露しにくくするなどのタイプがある。珪藻土を配合したものもある。
■防カビ・防藻
菌が繁殖しにくくなる薬剤などを混ぜるなどして、カビなどを防ぐ。
■室内汚染物質等吸着
室内汚染物質のホルムアルデヒドやアセトアルデヒドなどを吸着、中和するなどして、室内空気を清浄する。
■環境配慮・超低VOC(揮発性有機化合物)
塗料の中に有害化学物質等をほとんど含まないタイプなど。水で希釈する水性塗料は、臭いがほとんどなく乾きが早く引火性がないことも特徴。
■低汚染性
手あか汚れに強いタイプ。汚れが拭き取りやすい。
注目される抗ウイルスや抗菌機能を持つ塗料
壁や天井に塗ると、室内の照明に反応し、塗料に含まれる光触媒が作用。塗膜表面のウイルスや菌を99.9%(*1)以上抑制する。超低臭気・防カビ機能で
室内の空気もきれいに。 [PROTECTON(プロテクトン)]
特に注目されるのが抗ウイルス機能を持つ塗料だ。原田さんは「世界的問題となっている新型コロナウイルス感染拡大を背景に、それらに対し少しでも安心・安全を求めるニーズが高まっていると考えられます」と話す。
日本ペイントから3月に発売された商品(PROTECTON インテリアウォール VK-500)も抗ウイルス・抗菌機能 を持つ室内壁面用の水性塗料だ。壁や天井に塗ると、室内の照明に反応、塗料に含まれる光触媒が作用し、塗膜表面に付着したウイルスや菌を99.9%(*1)以上抑制。塗膜が傷ついたり、はがれたり、表面に過度な汚れが付着しない限り効果は継続する。また、ビニール壁紙や接着剤、建具合板などから発生する室内汚染物質を化学的に吸着して除去する機能もあるという。
*1 エマルション塗料従来品とのウイルス感染価および黄色ブドウ球菌数の比較。(日本ペイントによる試験)
「一般住宅の居室はもちろんのこと、店舗やオフィス、学校や病院など、多くの人々が集まる空間にも向いています。また、塗装中の臭気も非常に少ないのも特徴です」(原田さん)
同様の機能を持つ塗料には、DIY用のタイプ(PROTECTONインテリアウォール VK-200 DIY用)も揃っている。ニッペホームプロダクツ 営業本部 営業企画部 マーケティンググループの山口昌仁さんは「塗装面に付着したウイルスや菌を抑制し、ビニール壁紙や接着剤、建具合板などから発生するホルムアルデヒド、アセトアルデヒドを化学吸着、除去するのが特徴です。リビングや寝室、トイレなどの室内天井・壁面に活用いただければと思っています」と話す。
※注
上記の製品は、塗膜表面に付着したウイルスや菌を抑制するものであり、室内の空気中のウイルスや菌を抑制するものではない 。すべてのウイルスや菌あるいは特定のウイルスや菌に対する効果を保証するものではなく、また、病気の予防や治療効果を示すものではない 。
DIYなどで取り入れやすい製品も充実
自宅にいる時間も長くなる中、住まいをもっと快適に、自分らしくしたい、という声も多く聞く。大掛かりなリフォームではなく、家での時間を上手に活用してDIYを楽しむ方も増えているようだ。ホームセンターにはさまざまな素材や工具なども揃っている。
その中でも、わが家ならではの個性的な空間を生み出す方法のひとつとして塗装も注目されている。作業がしやすく取り入れやすい機能を付加させた商品もみられ、たとえば、壁紙の上から塗れる室内用水性ペンキなどは、壁紙を貼りかえるよりも比較的簡単で、費用も抑えることができるというメリットがある。また、下地が透けないため1回塗りで仕上がるタイプや刷毛目が出にくいタイプなどもみられる。
その他、初心者でも取り入れやすく、オリジナルなインテリアを実現できる塗料として、刷毛を用いずに直接手で塗ることもできるタイプもある。山口さんは「手で塗ることのできる壁用仕上・補修材は、DIY初心者でも簡単にしっくい風の質感や風合いを楽しめます」と話す。子どもと一緒に家族全員で作業することで、楽しみながら空間をリフレッシュできるとともに、わが家への愛着も増すのではないだろうか。
新築やリフォーム、DIYの際のポイント
実際に塗装を検討する際には、どのような注意点があるのだろうか。
新築やリフォームの際の打ち合わせ時や塗装施工店を選ぶ際の注意点として、山口さんは「まず、正しい建物の知識と調査、診断、現状説明ができるかが重要です。建物や部材に関する知識が豊富であること、建物に適したさまざまな提案をしてくれるかどうかもポイントでしょう。また、工事の費用は、合計金額ではなく詳細内容の見積を提示してくれるかどうかも大切です。新築施工内容や改修工法が明確化しており、環境変化(天気、気温、湿度管理など)に対応できるかどうかもチェックしておきたいポイントです」。
また、DIYでの商品選びに関しては、「塗装をする対象(被塗物)に対し、下地の状態や塗装後の用途別に適切な塗料を選択することが最も大事になります(下地の状態によっては入念な下地調整が必要になります)。塗料選定を間違ってしまうと、早期で塗膜剥離などの不具合が発生してしまうので注意が必要です」とアドバイスする。
さまざまな機能を持つ塗料。それぞれに特徴があるが、実際に塗装することでどの程度の効果があるのか、環境や条件などによる違いもある。具体的な機能はもちろん疑問に思うことは塗装施工店、DIYであれば販売店などに納得いくまで説明を受け、検討するようにしたい。
取材・写真協力 日本ペイントホールディングス株式会社/日本ペイント株式会社/ニッペホームプロダクツ株式会社

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