愛知県・みよし市。愛知大学の跡地に誕生した開発総面積19万m2超の新たなまち
愛知県みよし市は、県のほぼ中央に位置する。
名古屋市と豊田市の間に位置するどちらにも通勤圏となる場所であり、東名高速道路のインターチェンジがあるなど利便がよいことから、ベッドタウンとして住宅開発が進み、現在も人口が増加している地域だ。平成22年の国勢調査による人口の伸び率は、6.8%で愛知県で第4位、全国の市町村の中でも第45位となっているという(※みよし市HPより)
みよし市には、名古屋駅から約40分ほど、名鉄豊田線の黒笹駅のほど近くに愛知大学三好キャンパスがあった。約10年前に三好キャンパスは笹島に移転。その後、跡地の開発が計画され、2020年10月、19万m2超の広い敷地に288区画規模の分譲地「MIYOSHI MIRAITO(ミヨシ ミライト)」が誕生した。
トヨタホームが中心となり進めた跡地開発のこのプロジェクトは、昨年1月に「くらしとテクノロジーの融合」による未来志向のまちづくりを目指す会社として設立されたプライム ライフ テクノロジーズ株式会社のまちづくり第一弾でもある。
環境とテクノロジーが融合する"未来志向のまちづくり"だという「MIYOSHI MIRAITO(ミヨシ ミライト)」。
戸建分譲地の新しい取組みを、実際に現地に赴き、見学してきた。
これからの時代、分譲地にも必要な「まちのコミュニティ」拠点
見晴らしのよい丘にある「MIYOSHI MIRAITO(ミヨシ ミライト)」。まず、案内されたのが、愛知大学のキャンパス時代からあったクスノキの大きなシンボルツリーの前、街区の中心にあるコミュニティセンター「MORIZONO HOUSE(モリゾノ ハウス)」だ。
ここは、住民同士が集えるラウンジやキッチン・カルチャースペースなどを備えており、予約をすることで住民が多目的で利用ができる。スタディーコーナーも設けられており、Wi-Fiも設置されていることから、ヒルトップの眺望を楽しみながら読書やテレワークの場として活用できそうだ。シェアサイクルのステーションともなっており、スマホで予約した電動アシスト付きの自転車のシェアができる。また、センター内に備えられている大型モニターで映像とともに風と香りが楽しめるエアサイネージやウォールアートマッピングなどパナソニックの最新技術を取り入れた楽しい仕掛けも盛り込まれている。
コミュニティセンターは、災害から住民を守るためのレジリエンス対応機能としても活躍する。
防災備蓄倉庫やマンホールトイレの他、防災用の貯留水システムを設置。停電時でも活躍するスマートグリーンバッテリー蓄電システムを採用、創電力は太陽光発電システムの他、クルマに蓄えた電力を万一の時に使うことのできるV2H対応のエネルギーシステム、またクルマと住まいをつなぎ電源として利用する非常時給電システムを備えている。
「MIYOSHI MIRAITOは単なる分譲地の販売で終わりではなく、住民同士のコミュニティの醸成や安全・安心・暮らしの豊かさをサポートする場所が必要でした。街として育てていくため、このコミュニティセンターMORIZONO HOUSEをつくりました」(トヨタホーム 池山さん)という。
美しい街並みと、暮らしの安全・安心、豊かさを創出するテクノロジー
次に街区と住戸に案内された。分譲地にはまだ街区だけが整備され、これから住戸が建つ予定の土地もある。印象的なのは、森の小道のように緩やかにカーブした道路とすでに建てられている住戸の統一性のあるデザインだ。
MIYOSHI MIRAITOには、全体的に統一感のある街並みをつくるための「まちなみガイドライン」がもうけられている。
分譲地内は7つのエリアに分けられているが、一例として、中央街区のヒルトップスクエアを紹介すると、ポーチやテラス、サブゲートはアメリカン調のデザインで統一され、各邸のシンボルツリーにはオリーブの木が植栽されている。また、2方向の開放街区は双方向でガーデンニングを楽しめるゆとりある敷地で設計されている。
ちなみに、この街区を含めMIYOSHI MIRAITOのほとんどの住戸はZEH仕様が可能。先にコミュニティセンターでも採用されていた「クルマde給電」やV2H対応、太陽光発電などのシステムとHEMSを駆使することで、創エネ・省エネによるエネルギーゼロ以下が可能だという。さらにヒルトップスクエアの一部住戸にはコミュニティZEHを採用。コミュニティセンターと電力をシェアすることで、これら住居も非常時のサブ防災拠点として機能し、まちの安全をサポートする。
美しい街区は住む人たちにとって誇りとなり、しいては街の美しさを保つためのルールも住民間で守られやすい。また、災害の多い日本では有事の際のレジリエンス機能を住戸にもコミュニティセンターにも備えていることは、心強いに違いない。
ABINC認証取得。敷地を豊かに使う、自然と共生するまち
もうひとつのMIYOSHI MIRAITOの大きな特徴は森であろう。大学だった敷地を生かして、贅沢に緑の空間を残した。
まちには約4haの広さの3つの森、「安らぎの森」「息吹の森」「気づきの森」と、3つの公園が設けられている。森の中にはそれぞれ散策路があり、自然や鳥の鳴き声など季節を感じながら歩くことができる。森の中にはところどころ広場があり、家のすぐ近くでピクニックができそうだ。
街全体の約3割を占めるという森を残した理由を担当者は
「こうした環境に配慮する街の設計は、国際社会共通の開発目標SDGsに対応し、貢献することでもあります。実際にこの森を残したことで、年間約90トンものCO2の削減効果があります。これはナゴヤドーム約1.7個分にあたります」と話す。
実際に森には様々な鳥や虫が共生し、その街づくりが評価され、愛知県では戸建初となるABINC認証(※一般社団法人 企業と生物多様性イニシアティブ(JBIB)が開発した、いきもの共生事業所R推進ガイドラインの考え方に沿って計画・管理され、かつ土地利用通信簿で基準点以上を満たすものに与えられる)を取得している。
これだけ緑が多いと、死角ができやすく心配だと思われるが、街や森には20カ所もの防犯カメラが設置されており、子どもが身に着けることで位置を把握することできるALSOKの「みまもりタグ」も採用されているという。森と共生しながら、セキュリティへも配慮しているようだ。
これからの分譲地のまちづくり
コロナ禍でリモートワークが拡がりつつある現在、都市圏へのアクセスだけが街選びの基準にならなくなっている。
住みたい街選びにも変化があらわれているようだ。昭和の高度経済成長期とは異なった「豊かな郊外の暮らし」へも人々は注目しつつある。
マンションは「管理を買え」といわれている。これからは、分譲地でも街並みを美しく保つ、セキュリティ管理を行う、住民のコミュニティを育て自治の力をまちづくりに活かす、といった取組みは必要であろう。
「MIYOSHI MIRAITO(ミヨシ ミライト)」の街設計は、環境とテクノロジーをあわせもった、今は贅沢なスペックではあるが、今後はこういったまちづくりが分譲地のスタンダードとして求められていくのかもしれない。
取材協力:MIYOSHI MIRAITO(ミヨシミライト)
https://www.miyoshi-miraito.jp/





