日当たりが良くて明るい。朝、元気に起きられる部屋にこだわる

衣食住のすべての仕事をしたことがあるという経験豊富な鈴木氏。その結果、住まい探しを天職として選んだそうだ。テレビ番組ではタレントさんたちにいじられながらも満足いく部屋選びに邁進。最近2冊目の著書を出版衣食住のすべての仕事をしたことがあるという経験豊富な鈴木氏。その結果、住まい探しを天職として選んだそうだ。テレビ番組ではタレントさんたちにいじられながらも満足いく部屋選びに邁進。最近2冊目の著書を出版

完全紹介制で不動産業を営む誠不動産株式会社の鈴木誠氏が部屋探しで最もこだわっているポイントは、日当たり。「日当たりが良くて明るく、朝、元気に起きられる部屋に住めば人生が好転する」と鈴木氏。

「脳内で働く神経伝達物質のひとつにセロトニンがあります。これが不足すると、ストレス障害やうつ、睡眠障害などの原因になるほか、消化や排便、体温調節など様々な身体の不調に繋がるそうで、それを改善するためには太陽の光を浴びるのがもっとも簡単にできる手。朝日には体内時計をリセットする働きもあり、それもまた健康を保つ効果があります。気分良く朝起きられれば、仕事も人間関係もうまくいきます」。

そんな部屋を選ぶためには、部屋に入った時の第一印象を大事にすること。明るさに加え、この部屋に住んだ自分を想像してみて、良いイメージが湧くかを考えてみたい。朝日が入ることを考えると東向きがベストと考えがちだが、リビングが東向きでなくても陽光が入る部屋はあるので、その辺りは物件次第。高層階だったり、目の前に建物がない部屋なら北向きでも意外に明るい部屋もある。

逆に南向きだから良いと思っても、リビングまで光が届かないような暗い部屋もある。間取り図でチェックすると同時に現地に行った時には必ず確認してみよう。

「部屋は寝るだけだから」と言っているようでは運は開けない

明るさに関連する要素で忘れてはならないのが、窓とそこから見える風景と鈴木氏。「窓から見える風景はこれからの人生だと考えてください。毎日、目の前をよその家の壁で塞がれている部屋で過ごしていたら、前向きな明るい考え方、自由な発想が出てこなくなります。人間は自分では意識していなくても、見たものに気持ちや考え方が左右されるもの。何が見えるか、それが自分をどんな気持ちにさせてくれるか、意識して内見してください。また、曇りガラスも同様に避けたほうが良いと思います」。

もし、窓が大きすぎる、外から見えすぎるなどで防犯的に不安と思うなら、入居後に内部を見えなくするシートを貼るという手がある。最近では安価で、後で剥がせるような商品も多く出ている。

男性の場合、よく「部屋は寝るだけだから」と日当たりを気にしない人がいるが、これは大きな勘違い。寝ているだけでも1日の数時間は自室で過ごしており、加えて睡眠は身体や精神、脳の疲労を回復するための大事な時間である。それを軽視して、暗くても、湿っぽくても、うるさくて眠れなくても平気と言っているようでは、いずれ仕事に支障が出るというもの。近年、睡眠負債という単語が話題のキーワードになるなど、睡眠の大事さは知られつつあるはずだが、それでも「寝るだけだから」といって部屋探しをする人は少なくない。

数字にこだわりすぎると損をする

キッチンや洗面所、トイレなどの水回り、収納などの使い勝手は実際の作業、入れるものなどを想定して考えると分かりやすいキッチンや洗面所、トイレなどの水回り、収納などの使い勝手は実際の作業、入れるものなどを想定して考えると分かりやすい

自室で長い時間を過ごすことを考えると、使い勝手も大きなポイント。そこで大事なのは平米数だけで選ばないことだと鈴木氏。「部屋の使い勝手は平米数で決まるものではありません。どうしても40m2でなければなどと固執するのではなく、プラスマイナス3~4m2は可として幅を広げ、そこで実際の間取り図を見て、現場を見て考えたほうが使い勝手の良い部屋が探せます」。

これは最寄り駅や駅からの所要時間などについても同様。駅から10分にこだわることで、12分かかるけれど商店街を抜けるので安全な物件や、希望よりも広い部屋を候補から落とす可能性もあると考えると、ストライクゾーンは多少広めのほうが現実的。家賃だけはそうそう変えられないはずだが、それ以外の数字にこだわり過ぎるのは損なのである。

使い勝手に話を戻すと、部屋の選び方で大事なのは、図面では分からない点を現地で確認するという姿勢だ。天井の高さ、梁の有無、コンセントの位置、ドアを開けた時に他のドアと干渉しないかなど現場で見ないと分からない点は多く、しかも、いずれも使い勝手、部屋の印象などを左右する。収納の有無も図面で分かるものの、収納量を左右する奥行きや高さ、内部の作りは現地で確認したほうが良い。

もうひとつ、大事なのは自分が持っている家具等のサイズを理解しておくこと。内見時には多くの人が「この部屋だと今、使っているベッドが入らないですよね?」と言うそうだが、実際に鈴木氏がサイズを言うと、「あれ?」ということが多いのだとか。なぜか、手持ちの家具・家電を実物以上に大きく感じているようで、それでダメと思ってしまうのは惜しい。時間に余裕があれば内見前にベッドや冷蔵庫その他、大物家具・家電は採寸しておくと良いだろう。

近所にどんな人が住んでいるかも住み心地を左右する

お隣にどんな人が住んでいるか、管理がきちんと行われているかは建物全体からも窺える。荒れた雰囲気、薄汚れた印象がある物件は避けたほうが無難お隣にどんな人が住んでいるか、管理がきちんと行われているかは建物全体からも窺える。荒れた雰囲気、薄汚れた印象がある物件は避けたほうが無難

内見時には、自分が住むことになるだろう部屋ばかりに目が行くが、快適に暮らしたいなら近所の様子も意識しておきたい。といっても、個人情報保護の観点からどんな人が住んでいるかを教えてもらうことはできないので、内見時には自分の目でチェックしよう。

「建物内では共用部、専有部それぞれをチェックしてください。まず、共用部ではエントランスや廊下、ゴミ置き場、駐輪場などが汚い、ゴミなどが放置されているような物件は避けたほうが無難。住んでいる人のマナーが悪いことに加え、きちんと管理されていない危険があります。専有部では玄関回りに傘などの私物が放置されていたり、バルコニーにゴミ、段ボールが積まれているなどの部屋の隣は遠慮したいところ。灰皿が置かれている場合には煙に悩まされそうですし、火災も心配です」。

専有部チェックでは上の階も忘れてはならない。音は上から響くものだからである。ちなみにどんな人が住んでいるかはカーテンの色や玄関回りに置かれているものなどから推察できる。その意味でも近隣住戸は観察すべきだろう。

また、鈴木氏は内見時に住んでいる人とすれ違った際、挨拶が返ってこない物件は勧めないとも。「20軒に1軒くらいは返事が返って来ないことがありますが。そんな社会人としてのマナーに欠ける人が住む物件を、私の大事なお客さんに勧めるわけにはいきません」。

怪しい物件のチェックポイント

最後に物件広告の見方を。いくつか、チェックポイントがある。ひとつは周辺より明らかに安い物件。「最近では事故物件でもそれほど安くなるわけではないので、1割以上相場より安い物件は実際にはない、おとり広告という可能性があります。加えて不動産会社に問合せた際に『とにかく一度来てください』の一点ばりで現地待ち合わせをさせようとしない場合はかなり怪しい。その時点で本当にあるか、下見できるのか、確認したほうが良いでしょう」。ただ、電話後、訪問までに週末を挟むなど時間がかかる場合には、実際にあったとしてもその間で決まってしまうこともある。

礼金、敷金は無いのに保証金がある、除菌や消毒料その他と様々な名目の費用が必要である物件にも注意が必要。契約時にかかる費用を安く見せようとしているものの、こまごまとした費用を加えていくと高くなる上に、こちらもおとり物件の可能性が否めない。これ以外におとり物件が疑われるのは1ヶ月以上など長期に渡って掲載されている物件。おとりでないにしても、何かしら問題がある物件ということも考えられる。

適切な写真が掲載されていない、同じ写真が複数点掲載されているなどの物件もあまり勧めない。特に避けたいのは普通なら撮るであろう室内全景、外観写真等がない物件。「撮影すると見せたくないモノが写るから撮っていないのかもしれません」という懸念があるからだ。

以上、これまで1万室以上の部屋を見てきた鈴木氏に教えていただいた。「部屋は自分の心を映し出す鏡」という言葉があるが、鈴木氏は「部屋選びこそが、人生を映し出す鏡」という。忙しい、予算がないなどいろいろハードルもあるだろうが、それでも「これでいい」ではなく、「これがいい」と前向きに思える部屋を探すこと。それは自分の居場所を大事にし、それによって自分を大事にすることであり、自分の人生を切り開くための思考でもあるというわけである。

2019年 03月22日 11時00分