不動産の価格を決める要因

不動産の価格は、さまざまな要因が複合的に影響を与えあって決定されている。国土交通省が示す不動産鑑定評価基準では、不動産の価格を決める要因を「一般的要因」と「地域要因」、「個別的要因」の3つに大別している。一般的要因、地域要因、個別的要因はまとめて価格形成要因と呼ぶ。

一般的要因とは、自然や社会、経済、行政の中で不動産に対して影響を与える大局的な要因のことを指す。

例えば、自然であれば気象の状態が挙げられ、社会であれば人口や情報化の進展、生活様式などが挙げられる。経済であれば金融や国際化の状態、行政であれば土地利用に関する規制の状態、不動産に関する税制などが要因となる。

地域要因とは、その地域に属する不動産の価格の形成に全般的な影響を与える要因のことを指す。例えば、街路修景などの街並みの状態や、高級住宅街といった地域の名声が地域要因に該当する。

個別的要因とは、その不動産が保有している個別の要因のことを指す。土地の形状や接面道路の幅員、駅からの距離、建物の築年数といった要因が個別的要因となる。

不動産の価格はさまざまな価格形成要因が複合的に作用することによって決まるが、価格形成要因も時間とともに変化することから、不動産の価格は一定ではなく変動するものとなっている。

不動産の価格を決める要因不動産の価格を決める要因

不動産鑑定と不動産査定の違い

「不動産鑑定士による不動産鑑定」と「不動産会社による不動産査定」。どちらも動産の時価を算出するものであるが、方法や用途が異なる「不動産鑑定士による不動産鑑定」と「不動産会社による不動産査定」。どちらも動産の時価を算出するものであるが、方法や用途が異なる

不動産の価格を知るには、「不動産鑑定士による不動産鑑定」と「不動産会社による不動産査定」の2つの方法がある。いずれも不動産の時価を算出するものであるため、どちらのほうが精度が高いかとか、正確であるかとかといった優劣は存在しない。不動産鑑定も不動産査定も、いずれも適正な不動産価格を算出するものである。

不動産鑑定と不動産査定の違いを列挙すると主に以下の4点が異なる。

・料金
・算出できる人
・目的
・価格算出の根拠

【料金】

料金については、不動産鑑定士による不動産鑑定は有料で、不動産会社による不動産査定は無料となる。不動産鑑定士は不動産の鑑定評価を行うことを生業(なりわい)としているため、依頼すると鑑定評価の手数料が発生する。

一方で、不動産会社の不動産査定は売却の仲介に向けた営業活動の一環の中で行われるため無料となる。理由としては、不動産会社が得ることのできる仲介手数料は成功報酬であることから、売買の成立に向けた営業過程で行う査定だけでは報酬を要求できないためである。

【算出できる人】
算出できる人については、不動産鑑定は不動産鑑定士のみしかできないが、不動産査定は誰が行っても良いという違いがある。不動産会社の新入社員やアルバイトがやっても構わないし、ベテラン社員がやっても構わない。不動産鑑定は、不動産鑑定士という国家資格者の独占業務であるため、不動産鑑定士以外の人はできない。

【目的】
目的については、不動産鑑定はあらゆる目的に対応できるが、不動産査定は売却を目的とした場合に限るという違いがある。

不動産鑑定は、単純に資産価値を知りたいときや、購入者が適正価格を知りたいときなど、誰でもあらゆる目的で利用することができる。例えば、離婚時の財産分与や相続時の遺産分割など、財産を平等に分けるために価値だけ知りたいというケースでも利用が可能だ。

一方で、不動産査定は仲介の営業行為の一環で行っているため、売却を前提とした売主のみしか利用することができない。不動産会社は、売買が成立すれば仲介手数料によってさまざまな費用を回収できることから無料で査定に対応している。単純に価格を知りたいだけでは不動産会社に費用を回収する機会がないため、売却目的以外では不動産会社への査定依頼はできないのだ。

【価格算出の根拠】
価格算出の根拠については、不動産鑑定は不動産鑑定評価基準に基づき行われるが、不動産査定には査定のルールがないという違いがある。

不動産鑑定は、国土交通省が定める不動産鑑定評価基準に則って行わなければならないことになっている。不動産鑑定評価基準は価格を出すまでのルールが厳しく、鑑定評価では著しく高い価格や安い価格など、やたらな評価額を出せない仕組みとなっている。

鑑定評価では、土地の価格を出す際に周辺の地価公示価格とのバランスを取らなければならないため、不動産鑑定士が恣意的に価格を付けるようなことはできない。逆にいえば不動産鑑定は評価のプロセスで多くのルールが存在することから、一定の信頼性は存在する。よって、不動産鑑定は裁判の証拠資料や税務署への説明資料として利用することができる。

一方で、不動産査定には価格の求め方にルールがない。直感や思い付きでも構わないし、仲介を受注する目的で意図的に高い査定価格を出しても構わないことになっている。不動産査定は、算出ルールがあやふやであるという点では信頼性は低いと考えられるだろう。よって、不動産査定は裁判の証拠資料や税務署への説明資料にはなりえないのだ。

不動産鑑定の利用シーン

不動産鑑定の一般的な利用シーンは、「税務署に対する説明資料とする」「裁判の証拠資料とする」など不動産鑑定の一般的な利用シーンは、「税務署に対する説明資料とする」「裁判の証拠資料とする」など

不動産鑑定の利用シーンとしては、「税務署に対する説明資料とする」、「裁判の証拠資料とする」といった利用方法が一般的だ。不動産鑑定は国が定めた不動産鑑定評価基準に基づいて価格が算出されていることから証拠力が高い。

税務署に対しては、「特定の同族間における不動産売買の価格」や「建物消費税を計算するための建物価格」の妥当性を示すための資料として鑑定評価書を取得することがある。
裁判所に対しては、「賃料」や「立ち退き料」で訴訟となった場合に、相手方に適正額を主張する根拠として鑑定評価書を取得することが多い。

また、買主でも利用できることから、例えば企業のM&Aにおいても買収する企業が相手方の保有する不動産の価格を調査するために鑑定評価を利用することもある。

不動産査定の利用シーン

不動産査定の依頼は、売却希望であることが前提となる不動産査定の依頼は、売却希望であることが前提となる

不動産会社による不動産査定の利用シーンは、「売主が不動産を売却しようとしているときのみ」である。

不動産査定は、売却仲介における営業活動の一環で行われていることから、単に資産価値を知りたいだけの人や不動産の購入希望者は利用することができない。無料であるため魅力的ではあるが、売主以外は利用できない点がデメリットである。

不動産査定は、たとえるなら工事の見積もりのような位置づけであるため、査定額に納得いかなければ売却を依頼しなくてもよい。工事費の見積もり金額が高過ぎて工事を依頼しないことと同じだ。

工事の場合、安く工事を請け負ってくれる会社を探すために、何社からも見積もりを取ることがある。不動産査定も同様の位置づけであるため、高く売ってくれる会社を探すために、何社に査定を依頼しても構わない。

また、査定額が住宅ローン残債より低いと判明した場合、売却を断念することもあり得る。不動産査定は、売却すべきかどうかを最終的に判断する資料として用いても問題はない。

いずれにしても、不動産査定を依頼するのであれば、売却が前提となっていることが必要だ。

新型コロナウイルスが不動産価格に与える影響

新型コロナウイルスは、社会や経済に影響を与えており価格形成要因における一般的要因の一つとなる新型コロナウイルスは、社会や経済に影響を与えており価格形成要因における一般的要因の一つとなる

新型コロナウイルスのような要因は、社会や経済に影響を与えているため、価格形成要因における一般的要因の一つとなる。
新型コロナウイルスは、既に不動産価格に影響を与え始めている。2020年7月の都道府県地価調査では、新型コロナウイルスの影響によって全国平均の土地価格が3年ぶりに下落に転じてしまった。

土地価格が下落すれば、新築マンションなどの新築住宅の価格も連動して下がることが知られている。新築住宅の価格が下がると、中古住宅の価格も下がっていく。過去の例からしても、一旦土地価格が下落局面に転じると回復するのにかなりの時間がかかる。土地価格はここ数年では2020年1月時点がピークであり、2021年以降は土地価格が下落し続けると考えるのが自然だろう。

2021年 01月12日 11時05分