木づかい顕彰が発展し創設された「ウッドデザイン賞2015」

冒頭で農林水産大臣 森山 裕氏の挨拶を代読した林野庁 長官 今井氏冒頭で農林水産大臣 森山 裕氏の挨拶を代読した林野庁 長官 今井氏

2015年12月10日から12日の3日間で、東京ビッグサイトで開催された、「エコプロダクツ2015」。
前回の【エコプロダクツ2015①】持続可能なまちづくりを目指す環境未来都市の取り組みでは、同イベントで報告された横浜市や北海道下川町などの各自治体の取組みをお伝えした。今回は、開催初日に実施された「ウッドデザイン賞2015」の授賞式の様子をお届けする。

林野庁は、国産の木の積極的な利用を通じて森林・山村の活性化を目指す「木づかい運動顕彰」を2005年から進めている。この、「木づかい運動顕彰」を継承し、発展させる形で2015年に創設されたのが「ウッドデザイン賞」だ。
「ウッドデザイン賞」は、9月より募集を開始し、800を超える応募の中から、受賞作品30点が選ばれ発表された。受賞した作品のジャンルは幅広く、木を使った"製品"に限定していない。木に関するあらゆるモノ・コトを対象としており、暮らしや人を豊かにするという視点で選定されている。

日本は、国土の約7割を森林が占める世界第3位の森林国でありながら、木材資源の8割を海外からの輸入に頼っている。需要の減った森林は放置され荒廃が進み、国産の木材は、危機的な状況にあると言っていい。こういった現状もあり、授賞式冒頭の森山裕農林水産大臣による挨拶では、「ウッドデザイン賞を通じて国産の木材利用を促進し、木材に関する国民の意識改革を促し、木を一人一人の生活に取り入れてほしい。今後、"木づかい運動"がさらに生活に根付いたものになっていってもらいたい」という言葉があった。
木材の優れた利活用を顕彰する「ウッドデザイン賞」の受賞作品を振り返る。

供給側と消費者を直接繋ぐ「みんなの材木屋」が農林水産大臣賞を受賞

最優秀賞である農林水産大臣賞は、西粟倉・森の学校の「みんなの材木屋」発、 森と暮らしを創る六次産業化モデルが受賞した。
一般的に、私たちが、林業に関わる人から直接木材を買う機会はなかなかない。「みんなの材木屋」は、この概念を大きく変えるサービスだ。これまで、多くの木材は建築会社や木材の加工会社など企業間で流通していた。その木材を、直接オンラインショップを通じて消費者に届けるダイレクトマーケティングが大きく評価された。オンラインショップでは、木材の知識がない人にも分かりやすい説明や、材木規格をメートル法に変更するなど、消費者目線の工夫が随所に見られる。
えんぴつやスプーンなどが半分出来上がった状態のものを購入し、彫刻刀やカッターなどで最後の仕上げをして完成させる木材製品のキット(ヒトテマキット)など、大人も子供も一緒に楽しめる魅力的な商品も多い。受賞した株式会社西粟倉・森の学校の社長 井上達哉氏は、「みんなの材木屋の商品を、世の中の方たちに使っていただくことが取り組みを知っていただくことに繋がり、それが豊かな森づくりに繋がっていると思っている」と話した。

受賞した株式会社西粟倉・森の学校は、岡山県の最北東端に位置する西粟倉村にある。西粟倉村の人口は1500人ほどで、村の面積の86%を人工林が占めている。森林を適切に管理、活用をしながら新しい市場を開拓し、経営を持続している点は、これからの六次産業モデルとしてさらに注目を浴びそうである。

写真左から、林野庁 長官今井敏氏、株式会社西粟倉・森の学校 井上達哉社長 2015年度ミス日本の「みどりの女神」佐野加奈さん写真左から、林野庁 長官今井敏氏、株式会社西粟倉・森の学校 井上達哉社長 2015年度ミス日本の「みどりの女神」佐野加奈さん

木材活用がもたらす多面的な価値が評価された受賞作品

「ウッドデザイン賞」の表彰部門は3部門に分かれており、木を使って暮らしの質を高める「ライフスタイルデザイン部門」、人の心と体を健やかにする「ハートフルデザイン部門」、木を使って地域や社会を活性化する「ソーシャルデザイン部門」からなる。どれも利用シーンは異なるが、木の多面的な価値が感じられるものばかりだった。
受賞した30点のうち、各部門から一部ご紹介したい。

■林野庁長官賞(優秀賞)ライフスタイルデザイン部門
ららぽーと海老名キッズプレイエリア「ウッドキューブ」
大建工業株式会社、パワープレイス株式会社、三井不動産株式会社

「ららぽーと海老名」のキッズプレイエリアは三井不動産株式会社の保有林である北海道のカラマツ、トドマツ間伐材を使用しつくられた。施設の通路を木質化し、木のおもちゃや造形パネルが設置され、親子で木に触れ、木の良さを実感することができる。

■林野庁長官賞(優秀賞)ハートフルデザイン部門
JRKYUSHU SWEET TRAIN「或る列車」 九州旅客鉄道株式会社

2両編成の車両はそれぞれ構造は異なるが、どちらもふんだんに木材が利用されている。車両床、家具、窓の板戸・障子、窓飾り組子、雪見障子などは、地域の杉材によりつくられた。

■林野庁長官賞(優秀賞)ソーシャルデザイン部門
積水ハウス シャーウッド~純国産材プレミアムモデル~  積水ハウス株式会社

積水ハウスの木造住宅シャーウッドの柱と梁をまるごと国産材化した商品。住んでいる地域に近い産地で育った国産ブランド材を選んで使用することができる。

審査委員会は、暮らし・社会を豊かに、人を健やかにするという消費者視点から十分に作品を吟味したという。受賞した作品を見ると、単純に木材を多用したから素晴らしいというわけではなく、どれもその木を使うことに意味があり、そしてそれを通したメッセージがあるように感じた。

ウッドデザイン賞を通して認識する木の利活用の大切さ

株式会社西粟倉・森の学校「みんなの材木屋」で販売されている半完成品「ヒトテマキット」株式会社西粟倉・森の学校「みんなの材木屋」で販売されている半完成品「ヒトテマキット」

冒頭で日本の森林は危機的状況にあるとお伝えしたが、産業としての林業も大きな課題を抱えている。平成22年の林業に従事する人は5万人と、昭和55年の3分の1に減ってしまった。活用されないままの森林があるのに、林業に関わる人はどんどん減少していることになる。森林の問題は、私たちの生活とも関係が深い。荒廃した森林は、台風等の被害を受けたり、土砂災害を起こすなどの恐れがあるのだ。
森が整備された状況をつくる…そのためには、木の需要が上がり、林業が活性化し、木の活用のサイクルがうまく回ることが必要だ。

普段なにげなく生活していると、見落としがちになってしまう森林の現状。身の周りにある木の製品も、産地がどこなのかと気にする機会もあまりないかもしれない。受賞作品はどれも、木の価値を再認識させてくれるものだった。今回ご紹介した受賞作品以外にも、全国各地の様々な分野で木の活用は進められている。「ウッドデザイン賞2015」のホームページで受賞作品が公開されているので、ぜひ、閲覧してほしい。

ウッドデザイン賞2015
https://www.wooddesign.jp/

2016年 02月24日 11時06分