マンションの価値を一番理解していなくてはならないのは誰か?という問題

【管理組合で変わるマンションの価値①】では、マンションを買う=集合住宅に住むことにまつわる管理運営への義務や権利、意識に触れた。今回は実際の大規模マンションであるBrillia Mare(ブリリアマーレ)有明の管理組合の活動をお伝えし、管理組合の役割と影響力を具体的にお伝えしたいと思う。

ブリリアマーレ有明は2009年に竣工し、1085戸を有する大規模マンション。最大の特徴は、33階の最上階全てが共用施設であるということだ。東京タワーやレインボーブリッジ、スカイツリー、富士山などを見渡せる絶景のロケーションに、住民専用のバー、テラス、オーナーズスイート、スパ、プールなどの施設が設けられている。しかもその共用部はハイアットグループやシャングリラグループを手掛けた会社のデザインで、内装も高級素材がふんだんに使われている、というまさに天空の城のような空間が広がる。ホテルライク…という言葉があるが、ホテルそのものの快適さと高級感を感じるマンションなのだ。

これだけの共用施設をもつマンションとなると当然、管理・維持・運営に手間がかかる。例えば、ホテル並みの高級ソファーは維持に相当のお金がかかる。それなら...と安い家具へのリプレースや安い生地へ張り替えたらどうか、という議論も出てきた。そうなると、そもそも何故、このマンションに魅かれて買ったのか?という問題につきあたる。そこで、管理組合では「自分たちの住んでいるマンションの価値は何か?どう運営していくべきか」ということを明文化するビジョン=Credo(クレド)を作成した。

33階の共用施設部分からは絶景の東京の夜景が見渡せる33階の共用施設部分からは絶景の東京の夜景が見渡せる

Credoに書かれたビジョンとガイドラインに基づく運営

ブリリアマーレ有明、理事長の星川さんブリリアマーレ有明、理事長の星川さん

Credoには、ビジョンである「非日常が日常であるために」をトップに掲げ、3つのコンセプト(豊かな心を育てる場所、自然と寄り添って暮らせる場所、デザインと快適な空間の維持)と続き、コンセプトに基づくガイドラインを設けている。何かを決めていくときに、核となる「私たちの約束」なのだ。

現マンション管理組合の理事長である星川さんと副理事長である池崎さんにお話を伺った。
「私たちが目指すのは、外からも内からも”住みたくなる””住み続けたくなる”マンションです。せっかくの素晴らしい共用施設をいかに維持し、ビジョンに沿った暮らしや楽しみができるのか、自分たちが住むマンションを誇れるのか、を考えました」

そのため、理事会ではCredoに基づく運営のために3つの維持が必要だと考えた。
1つ目は収入の維持、きちんと管理費と修繕積立金と駐車場の費用を払い続けられる住民の維持と誘致。
2つ目は共用施設を使ったブランドの維持、利用促進と維持管理、外へのアピールなど。
3つ目が居住者の意識の維持、Credoの周知とコミュニティの創設などがその活動である。

物件の価値が下がってしまうと、収入の維持が結果的にできなくなる。そこで1つ目の活動として理事会は、物件の仲介会社へアピールすることにした。「ジムやプールを体験してもらった後、スパで汗を流してもらい、更にバーで一杯やってもらう。お風呂に沈める作戦…と呼んでいます(笑)」実際に巨大で豪華な共用施設を体験してもらって、マンションの魅力を存分に仲介会社にも語ってもらおうという取り組みだ。

東京建物不動産販売と共同運営する「マンションの魅力発信サイト」

東京建物不動産販売の石崎さん(左)と金成さん(右)東京建物不動産販売の石崎さん(左)と金成さん(右)

2つ目のブランド維持への取り組みとして管理組合は、東京建物不動産販売と共同で2013年12月1日にブリリアマーレ有明公式サイトを立ち上げた。
「ブリリアマーレ有明…と検索すると、仲介会社の物件紹介のみが上位であがってくる。単なる物件紹介ページでは、ビジョンやコンセプトまでを含めたブランド価値としての訴求ができていない、と感じました。そこで東京建物不動産販売さんに声をかけて、管理組合からマンションの魅力を発信するサイトをオープンさせたのです」
そこには、先に述べたCredoが掲示されているほか、プロに撮影してもらった写真、更にブリリアマーレ有明の魅力や管理組合活動報告、有明地域の情報発信等も掲載されている。

仲介会社としては、管理組合と一緒にサイトを運営する目的はなんだったのだろうか。公式サイト共同運営パートナーである東京建物不動産販売の金成さん、石崎さんにもお話を伺った。
「私たちとしては物件の魅力を伝えることで、このマンションに住みたいという需要を増やしていくことと、なによりも居住者から必要とされるよう信頼関係を構築することで、管理組合とのサイトの共同運営は大きな意義があります」という。

サイトの立ち上げは、居住者同士のコミュニティを促進する意味と、外に向けたブランド価値の訴求と、仲介会社との信頼関係を構築する3つの意図があったのだ。

■Brillia Mare有明公式サイト
http://bma33.com/

マンションの価値訴求をする、ひいては有明地域の価値をあげていく

3つ目の居住者同士のコミュニティ・意識の維持だが、管理組合では積極的に共用施設の利用を促進し、結果的に価値向上に繋がる動きを促進している。具体的には居住者同士のニーズとスキルについてアンケートを取り、教え・学べる場をつくる教室マッチング活動や、ビアガーデンなどを開催。居住者が楽しみ、参加できるコミュニティづくりが主な取り組みだ。立派な共用施設をお飾りや将来の荷物にすることなく、活用して価値を上げていく取り組みをすすめている。実際に取材に伺ったのは平日の夜であったが、33階のバーラウンジでは居住者がパーティを開いていたり、夜景を楽しみながらお酒を飲んでいたり…とにぎやかであった。

また、有明地域の活性化に向けて、2人は有明マンション連合協議会の会長、事務局担当としても活動をしている。実際に行政に掛け合い、バスの本数を増やした実績もある。
「有明地域の魅力をあげていくことも大切だと感じています。近隣のマンションと有明マンション連合協議会をつくり連携するなど、オリンピックに向けてこの地域の魅力をもっと広げていきたいですね」

管理組合として、これだけの活動をするには仕事をしながらで大変ではないですか?と質問したところ、理事長の星川さん・副理事長の池崎さんとも「楽しいですよ」といった。2人とも理事には自ら立候補したのだとか。
「僕が理事会に立候補したのは第4期でした。3年前はピカピカだった共用施設が、少しくたびれた感じに思えて、なんだ?これは?と思いました。もっと魅力あるマンションだったはずなのに….と。変えたいなら自分で変えないと駄目ですよね(笑)もっとも、入ってみたら簡単には変えられず過去の理事の苦労がよくわかりました」と池崎さんは言う。
「マンションの管理組合は会社でもあり、街づくり・国づくりのような側面もある。理事をやるのは本当に貴重な経験だと思います。勉強になりますし、楽しいですよ」と星川さんは語った。

国内でも有数の共用施設のあるマンションを支えるのは、その魅力だけに頼るのではなく、魅力を引出し、街づくりまで変えたいと願う非常にアクティブな取り組みを行っている管理組合であった。

2014年 01月18日 10時43分