地震の被害は地震そのもの、建物、地盤の3要素で決まる
一般に地震の被害は地震の規模や震源地までの距離などといった地震そのものの力、それに抗する建物の状況、そして地震のパワーを受け止める地盤の強さ、この3つの要素で決まる。このうち、地震そのものについては今の段階で予知はできていない。とすると、残り2つの要素から備えていくのが現時点での最良の地震対策と言える。
そのうちの、地盤の状況について教えてくれるのが「G-SpaceⅡ」(アサヒ地水探査)である。アサヒ地水探査は地質・地下水調査を行う会社で、住宅地盤調査や構造設計、不動産の専門家が利用する日本全国の地質地盤情報サービスを有料で提供しており、そのうちの最重要情報を2010年11月以降、無料で提供しているのが前述のもの。自分が調べたい場所の住所を入力あるいは地図上でクリックするだけで、標高値、住宅地盤診断、災害リスク評価が出てくるという優れものである。しかも、このレポート、1枚にまとめて出力することもできる。以下、使い方も含め、どのようなことが分かるかを見ていこう。
まず、調べたい場所をクリックすると、すぐ下に表示されるのが標高。海からの高さで、当然ながら低いほうが浸水、津波などの影響を受けやすい。首都圏の場合、20m以上あれば台地と考えられ、低地の多い名古屋、大阪の都心部であれば、10から15m以上で比較的高めの場所と考えられる。
「やや不良」以下の住宅地盤にはなんらかの危険が潜んでいる
次に表示されれるのが住宅地盤の診断結果。これは国土地理院の土地条件図、同治水地形分類図の地形区分から、宅地としての適性を地質地盤の専門家が評価したもので、良、やや良、普通、やや不良、不良、対象外の6段階で表示される。
また、段階表示の下にはその土地が住宅地盤としてどのようなものかが表示される。普通までの段階ではさほど記載がないことが多いが、やや不良以下のものについてはかなり、詳細な表示となっている。以下は埼玉県越谷市内のある場所のもので、やや不良という状態でも、注意すべき点がかなり多いことが分かる。
「砂、粘土などからなり、地盤が軟弱なため、長期的な沈下の可能性があります。腐植土層が堆積している場合には特別の注意が必要です。また標高が低く、排水性が悪いため、水害の危険性があります。基礎底面下3m以内に緩い砂がある場合には、強い地震時に液状化による建物への被害が起こる可能性が高くなります。」
もし、これから買うために調べているのであれば、充分な対策を講じた家を買う、建てる必要があるし、他の場所でも良いと思っているなら、もう少し広い地域で探すことにしたほうが良いかもしれない。また、すでにこの場所に住んでいるのなら、今後、住み方で災害時に備えるなどの工夫も必要だろう。
住宅診断の結果についてはA4サイズ1枚で打ち出すこともでき、そこには昭和20~40年(人工改変前)の旧版地図、位置図、航空写真、土地条件・治水地形分類図などと共に診断結果が示される。これから土地を買う人なら、これを出力、比較検討すれば良いだろう。もちろん、家を建てるのであれば、最終的には地盤調査は必要だが、これで選んでおけば、高額な地盤改良の可能性は低くできるはずだ。
要注意エリアは宅地としては利用しないほうが良い場所
ところで、住宅地盤の診断結果のうち、一番ランクが低いのは「対象外」となっている場所。ここは川や沼周辺の低地や埋立地及び土地造成で危険度が高いと言われている盛土などを意味しており、宅地としては利用しないほうが良い。地図画面の上部に「重ね合わせ情報」という項目があるが、ここの要注意エリアボックスにチェックを入れると、地図上に赤く対象外エリアが表示される。全体が低地でも、そこにはより危ない場所があるし、台地で危険が少ないとされる場所にもそれでも危険な場所はある。この2つは必見だ。
重ね合わせ情報にはもうひとつ、「海抜マップ」がある。このボックスにチェックを入れ、さらに右側で海水面標高を選ぶことで、津波や浸水などの危険性が分かる。たとえば、海水面標高0m以下はいわゆるゼロメートル地帯のことで、水害の危険が高い場所。首都圏では江戸川から荒川、隅田川にかけての下町エリアの一部だけだが、名古屋、大阪になるとかなり広範に及ぶなど、土地の高さが違うことが分かる。
海に面したエリアであれば、津波の危険性もここから読み取れる。東京都の新しい被害想定では大規模海溝型、マグニチュード8.2の元禄型関東地震が起きた場合の東京湾沿岸、満潮時の津波高は2.61mとしているが、仮に3mとして表示するとどこまで浸水するかが分かるわけだ(実際には防潮堤などで防がれるはずで被害はさほどにはならないと想定はされている)。
ハザードマップには意外な落とし穴も
住宅地盤の診断結果の下には災害リスク評価が示される。これは浸水の可能性、地震による揺れやすさ、液状化の可能性の3種類からなり、いずれも軟弱地盤を示唆する。内陸の丘陵部などであれば、浸水しない、液状化の可能性なしなどとはっきりした答えが出るので、非常に分かりやすい。住宅地盤の診断結果に加え、ここを見ておけば、その場所にどのような危険があるかは一目瞭然だろう。
また、首都圏の太平洋側から東北にかけてのエリアで役立つのは東日本大震災津波浸水マップ。あまり報道されていないが、実は被害があった場所などもあり、チェックしておきたいところ。リンク集も作られており、国土交通省のハザードマップポータルステーション、宅地防災、内閣府によると都道府県による地震被害想定結果のうちの液状化マップ、表層地盤の揺れやすさマップなどを見ることもできる。ただ、注意したいのはハザードマップは意外に誤差があるという点。
「東日本大震災ではハザードマップで安全とされた場所での液状化も多数起こっています。ハザードマップでは100m四方など、広い範囲を平均してひとつの評価とするため、どうしても誤差が生じやすい。同じ造成地内でも盛土、切土が隣り合わせになっている場合などもあり、ウチは平気でも隣は崩落などというケースも。災害に関しては複数の類推情報を重ね合わせて精度を高めて行くのが現実的。そのためにもG-SpaceⅡを活用していただきたいものです」(アサヒ地水探査 G-Space事業部 平野あやさん)。
■無料で利用できる地盤診断サイトは下記から■
G-SpaceⅡ 住宅地盤診断サイト(アサヒ地水探査)




