不動産購入でかかる税金は4種類、課税のタイミングはバラバラ
家を買うと、売買契約時の「印紙税」、登記時の「登録免許税」、建物価格にかかる「消費税」、そして引き渡しから数ヶ月後に通知が届く「不動産取得税」の4つが順番に発生します。それぞれいつ・どの金額を基準に課税されるのかを時系列で整理し、資金計画に組み込めるようにします。
軽減措置を使えば税額は大きく下がる(ゼロになるケースも)
不動産取得税は新築住宅なら評価額から最大1,200万円(長期優良住宅は1,300万円)の控除があり、土地の減額も合わせると税額が0円になるケースも珍しくありません。印紙税・登録免許税にも期限付きの軽減税率があり、具体的な計算例とともに「軽減前後でいくら変わるか」を確認できます。
「戻ってくる税金」まで含めると数百万円規模の差になる
2026年の税制改正で住宅ローン控除は2030年末入居分まで延長され、省エネ性能によって借入限度額が大きく変わる仕組みになりました。親からの資金援助に使える贈与税の非課税制度(2026年12月末期限)と合わせて、知っているかどうかで手元に残るお金が変わるポイントを押さえられます。

物件価格と頭金のことばかり考えていたのに、見積書の「諸費用」の欄に並ぶ税金の項目を見て、思わず手が止まる。住宅購入を進めていると、多くの人がこの瞬間に出会います。しかも不動産購入の税金はやっかいなことに、支払うタイミングがバラバラです。契約のとき、登記のとき、そして引き渡しからしばらく経って忘れた頃に、納税通知書が郵便受けに届きます。

一方で、住宅の税金には手厚い軽減措置が用意されており、要件を満たせば税額が数十万円単位で下がったり、そもそもゼロになったりすることもあります。大切なのは「何の税金が・いつ・いくらかかるのか」をあらかじめ知っておき、軽減措置を漏れなく使うことです。ここでは2026年8月時点の制度をもとに、購入の流れに沿って一つずつ確認していきましょう。
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  1. 不動産購入でかかる税金は4種類。「いつ・何に」課税されるかを時系列で整理
    1. 契約のときにかかる「印紙税」
    2. 登記のときにかかる「登録免許税」
    3. 建物だけにかかる「消費税」
    4. 忘れた頃に届く「不動産取得税」
  2. 不動産取得税はいくらかかる? 計算式と軽減措置をシミュレーション
    1. 基本の計算式と税率
    2. 新築住宅の軽減措置:評価額から1,200万円を控除
    3. 中古住宅の軽減措置と、そもそも課税されないケース
  3. 印紙税・登録免許税はいくら? 早見表と軽減税率の「期限」
    1. 印紙税の早見表(軽減措置適用後)
    2. 登録免許税の税率と軽減の期限
  4. 意外と知られていない3つの落とし穴—「軽減措置は自動では適用されない」
    1. 落とし穴1:不動産取得税の軽減は「申告」が必要な場合がある
    2. 落とし穴2:納税通知書は「忘れた頃」に届く
    3. 落とし穴3:軽減措置には「期限」がある
  5. 「戻ってくる税金・非課税になる制度」まで使って初めて資金計画は完成する
    1. 住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)—2030年末入居分まで延長
    2. 住宅取得資金の贈与税非課税—2026年12月31日が期限
    3. 長期優良住宅・省エネ住宅の上乗せ優遇
    4. 【保存版】税金の払い漏れ・損を防ぐチェックリスト
  6. まとめと次のステップ:税金を「知ってから」物件を見ると、選び方が変わる
  7. よくある質問

住宅の購入では、大きく分けて4種類の税金がかかります。まずは購入手続きの流れに沿って、課税されるタイミングをつかんでおきましょう。

税金の種類課税されるタイミング何を基準に計算するか
印紙税売買契約・ローン契約のとき契約書に記載された金額
消費税建物代金の支払い時(価格に含まれる)建物の価格(土地は非課税)
登録免許税所有権や抵当権の登記のとき固定資産税評価額・借入額
不動産取得税取得後4〜6ヶ月ほどで納税通知書が届く固定資産税評価額

購入したい物件が決まり、重要事項説明を経て売買契約を結ぶ際、契約書の記載金額に応じて印紙税がかかります。売買契約書だけでなく、住宅ローンを組む場合の金銭消費貸借契約書にも印紙税が必要です(電子契約の場合は課税されません)。

住宅ローンの融資が実行され、残代金の決済が終わると、所有権の移転登記(新築建物の場合は保存登記)と、金融機関の抵当権設定登記を行います。この登記手続きの際に納めるのが登録免許税です。実務上は司法書士への報酬と合わせて決済時に精算するのが一般的です。

物件価格のうち、消費税がかかるのは建物部分のみで、土地は非課税です。また、売主が個人である中古住宅の売買(仲介取引)では、建物にも消費税はかかりません。新築や不動産会社が売主の物件では、表示価格に建物分の消費税(10%)が含まれています。なお、仲介手数料や司法書士報酬などのサービスには消費税がかかります。

引き渡しが終わって新生活が始まった頃。目安として取得から4〜6ヶ月後に、都道府県から不動産取得税の納税通知書が届きます。決済時にまとめて払う税金ではないため、資金計画から漏れやすい税金の代表格です。詳しい計算方法は次の章で確認します。

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不動産取得税は、土地や建物を取得したときに一度だけかかる都道府県税です。金額のインパクトが大きい一方、住宅には手厚い軽減措置があるため、「計算式」と「軽減の条件」をセットで理解することが大切です。

不動産取得税の計算式は次のとおりです。

 

不動産取得税 = 固定資産税評価額 × 税率

 

本則の税率は4%ですが、土地と住宅については特例により3%に引き下げられており、さらに宅地は評価額を2分の1にして計算できます。これらの特例は2027年3月31日までの取得に適用されます(出典:東京都主税局「不動産取得税」)。

 

ここでポイントになるのが、計算の基準が「購入価格」ではなく「固定資産税評価額」だという点です。評価額は一般に、建物で建築費の5〜6割程度、土地で時価の7割程度が目安とされており、購入価格に税率を掛けた金額よりもかなり小さくなります。

床面積が50㎡以上240㎡以下(戸建て以外の貸家住宅は40㎡以上)の新築住宅では、建物の固定資産税評価額から1,200万円が控除されます。認定長期優良住宅の場合は控除額が1,300万円に拡大されます。

 

さらに住宅用の土地についても、一定の要件を満たせば「45,000円」または「土地1㎡あたりの評価額×1/2×住宅の床面積の2倍(200㎡が上限)×3%」のいずれか大きい金額が税額から減額されます。

 

シミュレーション例(新築一戸建て:建物評価額1,200万円、土地評価額1,400万円・150㎡、床面積100㎡の場合)

  • 建物:(1,200万円 − 1,200万円)× 3% = 0円
  • 土地:1,400万円 × 1/2 × 3% = 21万円 → 減額額は「1,400万円÷150㎡×1/2×200㎡×3%=約28万円」>45,000円のため約28万円 → 税額0円

このように、一般的な規模の新築マイホームでは、軽減措置を適用すると不動産取得税がかからない、あるいはごく少額で済むケースが少なくありません。逆にいえば、軽減を使わなければ数十万円を納めることになる金額差です。

中古住宅でも、床面積50㎡以上240㎡以下の自己居住用で、1982年1月1日以降に新築されたもの(またはそれ以前でも新耐震基準への適合が証明されたもの)であれば、新築された時期に応じて建物評価額から100万〜1,200万円が控除されます。たとえば1997年4月1日以降に新築された住宅なら控除額は1,200万円です(出典:東京都主税局「不動産取得税」)。

 

また、不動産取得税は有償・無償や登記の有無を問わず課税されますが、相続によって取得した不動産には課税されません。一方、親からの贈与で取得した場合は原則として課税対象になる点に注意が必要です。

 

このあたりの税負担は物件の種別や築年数によって変わるため、検討中の物件がどの条件に当てはまるのかを、価格帯や築年数と合わせて眺めてみると資金計画の精度が上がります。

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不動産取得税に比べると1件あたりの金額は小さいものの、印紙税と登録免許税にも期限付きの軽減措置があります。決済前に必ず確認しておきましょう。

不動産売買契約書の印紙税は、2027年3月31日までに作成されるものについて軽減措置が適用されます(出典:国税庁「不動産売買契約書の印紙税の軽減措置」)。

契約金額本則税額軽減後の税額
500万円超1,000万円以下1万円5,000円
1,000万円超5,000万円以下2万円1万円
5,000万円超1億円以下6万円3万円

なお、住宅ローンの金銭消費貸借契約書はこの軽減の対象外で、たとえば借入額1,000万円超5,000万円以下なら2万円の印紙税がかかります(電子契約なら不要です)。

登録免許税は「固定資産税評価額×税率」(抵当権設定は借入額×税率)で計算します。マイホーム取得に関わる主な軽減税率と適用期限は次のとおりです(出典:国税庁「登録免許税の税額表」)。

登記の種類本則税率軽減後の税率適用期限
土地の売買による所有権移転登記2.0%1.5%2029年3月31日
住宅用家屋の所有権移転登記2.0%0.3%2027年3月31日
住宅用家屋の所有権保存登記0.4%0.15%2027年3月31日
住宅ローンの抵当権設定登記0.4%0.1%2027年3月31日

住宅用家屋の軽減を受けるには、床面積50㎡以上・自己居住用などの要件を満たし、市区町村が発行する「住宅用家屋証明書」を登記時に添付する必要があります。先ほどのシミュレーション例(土地評価額1,400万円・建物評価額1,200万円・借入3,600万円)で計算すると、土地の移転登記21万円+建物の保存登記1.8万円+抵当権設定3.6万円=約26.4万円。軽減がなければ約48万円ですから、証明書1枚で20万円以上変わる計算です。

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税金の制度そのものよりも、実は「手続きとタイミング」でつまずく人が多いのが不動産購入の税金です。後悔しやすいポイントを3つに絞って紹介します。

不動産取得税の住宅・住宅用地の軽減は、都道府県が物件情報から把握して自動的に適用してくれるケースもありますが、原則は取得後に都道府県税事務所へ申告して適用を受ける制度です。特に「先に土地を買って後から家を建てる」場合や、納税通知書が軽減前の金額で届いた場合は、自分から申告・還付請求をしないと軽減が反映されないことがあります。通知書の金額を鵜呑みにせず、軽減後の試算額と見比べる習慣を持ちましょう。

不動産取得税の通知は取得から4〜6ヶ月後。引越しや家具の購入で出費がかさんだ後にやってくるため、貯蓄を使い切っていると納税資金に困ることになります。軽減を使っても税額が発生しそうな場合(土地の評価額が高い都市部や、床面積240㎡超の住宅など)は、あらかじめ試算額を予備費として取り分けておくのが安全です。

ここまで見てきたとおり、印紙税・登録免許税・不動産取得税の軽減措置にはそれぞれ適用期限があります。期限は税制改正のたびに延長されてきた経緯がありますが、延長されるかどうかは毎年12月の税制改正大綱を待たなければ分かりません。契約や引き渡しが期限前後にかかるスケジュールの場合は、「どの日付を基準に判定されるのか」(契約書の作成日、登記の申請日、取得日など税目ごとに異なります)を不動産会社や司法書士に必ず確認してください。

 

こうした確認事項を一人で抱えるのが不安な場合は、中立的な立場のアドバイザーに資金計画ごと相談できる窓口を使うのも一つの方法です。

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払う税金を抑えるだけでなく、購入後に税金が戻ってくる制度、そもそも課税されない制度まで含めて考えると、トータルの負担は大きく変わります。

住宅ローンを利用してマイホームを取得した場合、年末のローン残高の0.7%が最長13年間、所得税(引き切れない分は一部住民税)から控除されます。2026年度(令和8年度)の税制改正で適用期限が2030年12月31日入居分まで5年間延長され、床面積要件も一定の所得要件のもとで40㎡以上に緩和されました(出典:国土交通省「住宅ローン減税」)。

 

2026年以降の入居では、住宅の省エネ性能によって借入限度額が次のように変わります(新築・買取再販の場合)。

住宅の性能借入限度額(一般世帯)借入限度額(子育て・若者夫婦世帯)
認定長期優良住宅・認定低炭素住宅4,500万円5,000万円
ZEH水準省エネ住宅3,500万円4,500万円
省エネ基準適合住宅2,000万円3,000万円

※子育て世帯は19歳未満の子がいる世帯、若者夫婦世帯は夫婦のいずれかが40歳未満の世帯です。省エネ基準を満たさない新築住宅は原則として控除の対象外となっており、中古住宅についても省エネ性能の高い住宅への優遇が拡充されています。最新の要件は国土交通省の案内で確認してください。

 

初年度は確定申告が必要ですが(会社員は2年目以降年末調整で対応可能)、仮に年末残高3,500万円なら年間最大24.5万円、13年間で300万円を超える控除になり得る、住宅取得で最も影響の大きい制度です。

親や祖父母から住宅取得資金の援助を受ける場合、省エネ等住宅なら1,000万円まで、それ以外の住宅なら500万円までの贈与が非課税になる特例があります。適用期限は2026年12月31日までの贈与です(出典:国税庁「No.4508 直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税」)。非課税の適用を受けるには、贈与を受けた年の翌年に贈与税の申告が必須です(納税額が0円でも申告しないと特例を受けられません)。

認定長期優良住宅は、不動産取得税の控除額拡大(1,300万円)、登録免許税の税率優遇、新築住宅の固定資産税減額期間の延長など、複数の税目で優遇が上乗せされます。

 

ここまで見てきたとおり、住宅ローン控除や贈与税非課税でも省エネ性能の高い住宅ほど枠が大きい設計になっており、「性能の高い家を選ぶこと」自体が税負担を下げる時代になっています。物件選びの段階から、省エネ性能や認定の有無を条件に加えて比較してみる価値は十分にあります。

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  • □ 売買契約書・ローン契約書の印紙税額を見積書で確認した(電子契約なら不要)
  • □ 登記の登録免許税に軽減税率が適用されているか、住宅用家屋証明書の取得を司法書士に確認した
  • □ 建物価格に含まれる消費税額を把握した(個人売主の中古は非課税)
  • □ 不動産取得税の試算額を軽減適用後で計算し、予備費として確保した
  • □ 納税通知書が届いたら、軽減が反映されているか試算額と照合する予定を入れた
  • □ 住宅ローン控除の対象になる省エネ性能か、証明書類(性能証明書等)の有無を確認した
  • □ 親からの資金援助がある場合、贈与のタイミングと翌年の贈与税申告を計画に入れた
  • □ 各軽減措置の適用期限と、自分の契約・登記・入居スケジュールの前後関係を確認した

 

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不動産購入でかかる税金は、印紙税・消費税・登録免許税・不動産取得税の4つ。いずれも軽減措置があり、要件を満たせば負担は大きく圧縮できます。さらに住宅ローン控除や贈与税の非課税まで含めれば、制度を知っているかどうかで手元に残る金額が数十万〜数百万円単位で変わるのが住宅の税金です。

 

逆にいえば、「まだ物件も決まっていないから」と税金の勉強を後回しにしたまま検討を進めると、省エネ性能で控除枠が変わることを知らずに物件を絞り込んでしまったり、贈与の非課税期限(2026年12月31日)を逃してしまったりと、気づかないうちに選択肢とお金を失っていることがあります。

 

難しく考える必要はありません。まずは今日学んだ「4つの税金」と「性能で変わる控除枠」を頭の片隅に置いて、気になる価格帯の物件を眺めてみる。その小さな一歩だけで、物件情報の見え方が変わるはずです。

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予算感から固めたい方は、家計をもとにした購入予算の試算から始めるのもおすすめです。

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Q1. 不動産を購入すると、どんな税金がいつかかりますか?

A1. 売買契約時に「印紙税」、建物代金の支払い時に「消費税」(建物のみ)、登記時に「登録免許税」、そして取得から4〜6ヶ月後に「不動産取得税」の納税通知書が届きます。決済時にまとめて払うわけではないため、特に不動産取得税は資金を残しておくことが大切です。

 

Q2. 不動産取得税が0円になることはありますか?

A2. あります。新築住宅では建物評価額から1,200万円(長期優良住宅は1,300万円)が控除され、住宅用地にも税額の減額措置があるため、一般的な規模のマイホームでは軽減適用後の税額が0円になるケースも珍しくありません。ただし軽減は申告が必要な場合があるため、通知書の金額は必ず試算額と照合しましょう。

 

Q3. 中古住宅でも税金の軽減措置は使えますか?

A3. 使えます。床面積50㎡以上240㎡以下の自己居住用で、1982年以降に新築された住宅(またはそれ以前でも新耐震基準適合が証明された住宅)なら、新築時期に応じて建物評価額から最大1,200万円が控除されます。登録免許税の軽減税率や、省エネ性能を満たす中古住宅への住宅ローン控除の拡充も利用できます。

 

Q4. 住宅ローン控除は2026年以降も使えますか?

A4. 使えます。2026年度の税制改正で2030年12月31日入居分まで延長されました。控除率は年末ローン残高の0.7%で、借入限度額は住宅の省エネ性能と世帯の属性(子育て・若者夫婦世帯かどうか)によって2,000万〜5,000万円と幅があります。省エネ基準を満たさない新築住宅は原則対象外のため、物件選びの段階で性能の確認が重要です。

 

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更新日: / 公開日:2020.08.27