住宅の購入を検討している中で、“財形住宅融資”という住宅ローンを耳にしたことがある方もいるのではないでしょうか。

財形住宅融資とは、財形貯蓄を利用している方のみが利用できる、持ち家取得資金のための公的融資です。

ここでは、財形住宅融資とはどういった制度なのか、通常の銀行住宅ローンとの違いについても見ていきましょう。

 

財形住宅融資とは、財形貯蓄を1年以上行い、一定条件を満たした方のみが利用できる住宅ローンです。返済開始から終了までの全期間、5年ごとに適用金利を見直す5年間固定金利制です。

 

財形住宅融資は「勤労者財産形成促進法」に基づいて企業が導入している福利厚生の一種であり、個人での加入はできないため、会社を通して加入しなければいけません。

 

財形貯蓄には「一般財形貯蓄、財形年金貯蓄、財形住宅貯蓄」の3つの制度があり、いずれの財形貯蓄も企業が毎月の給与から一定の金額を天引きし、金融機関に送金します。そのため、半強制的ですが、着実に貯蓄できるというメリットがあります。

 

まずは、財形住宅融資を受けるための条件や申し込み方法について確認しましょう。

 

財形住宅融資を利用するためには、次の5つの条件すべてを満たさなければなりません。

 

  • 自分で所有、居住するための住宅を建設・購入、もしくはリフォームする方
  • 次のすべてに当てはまる方(2つ以上の財形貯蓄へ加入している方は、いずれか一方がクリアしていればOK)

 (1)一般財形貯蓄、財形年金貯蓄、財形住宅貯蓄のうち、1つでも1年以上継続している

 (2)申込日前2年以内に財形貯蓄の預け入れをしている

 (3)申込日における財形貯蓄残高が50万円以上ある

  • 勤務先から住宅についての負担軽減措置や住宅援助を受けられる方
  • 借入申込日時点で70歳未満の方
  • 年収に占めるすべての借り入れ()の年間合計返済額の割合(総返済負担率)が以下の基準を満たしている方

 

総返済負担率基準

年収

400万円未満

400万円以上

基準

30%以下

35%以下

(※)すべての借り入れとは、住宅ローンや自動車ローン、教育ローン、カードローン、クレジットカードなどの借り入れのことをいいます。

 

■総返済負担率の計算方法

 

すべての借り入れの年間返済額の1/12÷年収の1/12×100=総返済負担率(%)

 

【計算例】

すべての借り入れの年間返済額240万円、年収600万円の場合

(240÷12)÷(600÷12)×100=40(%)

 

融資を受けることができる住宅や土地の条件は、新築で住宅を建てるのか購入するのか、また中古なのかでも異なります。

住宅

  • 住宅部分の床面積が70m2以上280m2以下の住宅
  • 機構の定める技術基準に適合する住宅

 

土地

申込年度の2年前の年の4月1日以降に取得した土地または取得予定の土地

※土地面積の制限はありません。土地融資のみの利用はできません。

  • 申込日前2年以内に完成または工事中の住宅(未着工のものを含む)
  • 機構の定める技術基準に適合する住宅
  • 一戸当たりの住宅部分の床面積が次の面積である住宅

 共同建て(専有面積):40m2以上280m2以下

 一戸建て、連続建て、重ね建て:70m2以上280m2以下

  • 申込日前に売主から申し込み本人または第三者に所有権の登記がされていないもので、申し込み後に申し込み本人の所有になる住宅(土地を含む)
  • これまでに人が住んだことのない住宅
  • 敷地の権利が所有権または借地権(地上権で登記されているものまたは賃借権)である住宅
  • 次のいずれかに当てはまる住宅(新築後の経過年数は問わない)

 (1)「適合証明書」により財形住宅のリ・ユース(中古)住宅のタイプのいずれかに適合すると証明されている住宅

 (2)フラット35サイト「中古マンションらくらくフラット35」に掲載されている「適合証明書が省略できる中古マンション」であることが「適合証明省略に関する申出書」により確認された住宅

 (3)「リ・ユースマンション適合確認書」により要件に適合すると確認された住宅

  • 2つ以上の居住室(食事室を含む)ならびに台所、トイレおよび浴室がある住宅で、店舗などとの併用でないもの
  • 建築後2年を超えた住宅(建築後2年以内の場合は、これまでに人が住んだことのある住宅)
  • 申込日前に売主から申し込み本人に所有権の登記がなされていない住宅で、申し込み後、申し込み本人の所有になるもの(土地を含む)
  • 敷地の権利が所有権または借地権(地上権で登記されているものまたは賃借権)である住宅

 

財形住宅融資を受けるためには、必要書類を準備して住宅金融支援機構へ郵送にて申し込みを行います。必要書類は、融資種別や各個人によって異なります。どのような書類が必要なのかは、住宅金融支援機構に問合せてみてください。

 

すべての方が準備しなければいけない書類は、下記のとおりです。

  • 財形住宅資金借入申込書
  • 負担軽減措置などの証明書(勤務先からの証明)
  • 財形貯蓄残高計算依頼書(発行日から7ヶ月以内)
  • 財形住宅融資の融資金利に関する確認書
  • 82円切手を貼った封筒
  • 住宅金融支援機構 財形住宅融資商品概要説明書

 

上記の申込書類は、お客さまコールセンター(0120-0860-35)にて請求し、郵送で受け取ることができます。

 

銀行の住宅ローンと財形住宅融資を比較すると、大きく金利と手数料といった部分で違いがあります。いずれも財形住宅融資ならではのメリットとなりうるため、しっかりと把握しておきましょう。

 

財形住宅融資の金利は、条件によっても異なりますが、0.7%前後()と低金利であることが魅力です。ただし財形住宅融資は、5年固定金利制です。

 

この5年ごとの適用金利見直しには上限・下限がないため、5年後には金利が1%を超えていることもあるかもしれません。結果的には“通常の銀行住宅ローンのほうが安かった”となる可能性もあるので、よく検討してから決めましょう。

 

(※)2019年10月1日~12月31日までは融資金利0.65%。必ず、住宅金融支援機構のHPにて、最近の金利情報をご確認ください。

 

銀行住宅ローンでは、融資事務手数料が数十万円かかることもあります。しかし、財形住宅融資では、融資事務手数料に加え、保証料も必要ありません。

 

財形住宅融資を利用するためには、さまざまな条件をクリアしなければいけません。財形貯蓄を1年以上継続しているといった条件もあるため、事前に計画を立てて進めておかなければならない部分もあるでしょう。

 

しかし、財形住宅融資は、金利や手数料などの部分でメリットを受けられることがあります。住宅の購入を検討している方の中で、勤めている会社で財形貯蓄制度を導入している場合は加入とともに、財形住宅融資を考えてみてはいかがででしょう。

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