フラット35とフラット35Sの違いがひと目でわかる
フラット35は最長35年・全期間固定金利の住宅ローン、フラット35Sは省エネ性や耐震性など質の高い住宅を取得したときに当初の金利が引き下げられる制度です。両者の関係と、保証人不要・繰上返済手数料無料といった共通のメリット、利用できる人・物件の条件を整理して解説します。
2026年最新の金利水準と「ポイント制」の引き下げ額がわかる
2026年8月のフラット35(借入期間21〜35年・融資率9割以下)の金利は年3.29%からです。フラット35S(ZEH・金利Aプラン・金利Bプラン)と子育てプラスなどを組み合わせるポイント制の仕組みを、借入3,000万円のシミュレーション付きで具体的に確認できます。
申し込み前に知っておきたい落とし穴と判断軸がわかる
金利引き下げは「当初5年間」など期間限定で、6年目以降は返済額が上がります。予算制による受付終了リスクや融資率9割超の金利上乗せなど、見落としがちな注意点と、変動金利と迷ったときに使える5つのチェックリストを紹介します。

住宅ローンのパンフレットやWebサイトを見比べていると、「フラット35」と「フラット35S」という似た名前が並んでいて、何がどう違うのか分からなくなってしまう——家探しを始めた方から、そんな声をよく耳にします。

しかも、金利がじわじわと上昇している今、「全期間固定で安心を取るべきか、それとも変動金利か」という迷いも重なりがちです。実は、フラット35Sは「フラット35とは別のローン」ではなく、条件を満たせばフラット35の金利を一定期間引き下げてもらえる"上乗せの優遇制度"です。この仕組みを知っているかどうかで、総返済額が100万円以上変わるケースもあります。

ここでは、フラット35とフラット35Sの仕組み・利用条件・2026年の最新金利を整理したうえで、実際にどれくらい返済額が変わるのかをシミュレーションで確認し、後悔しないための判断軸まで順を追って見ていきます。

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フラット35は、独立行政法人住宅金融支援機構が全国の銀行・信用金庫・モーゲージバンクなどの民間金融機関と提携して提供する、最長35年・全期間固定金利型の住宅ローンです(出典:住宅金融支援機構【フラット35】)。

 

「フラット(flat=平ら)」という名前のとおり、借入時に決まった金利が完済まで一切変わらないのが最大の特徴です。契約した瞬間に、35年先までの毎月返済額と総返済額が確定します。将来の教育費や老後資金を含めた長期のライフプランを立てやすいことが、変動金利型にはない価値です。

 

一方で、固定金利は変動金利よりも高めに設定されるのが一般的で、将来市場金利が下がってもフラット35の金利は下がりません。「安心を金利で買う」商品だと理解しておくと、あとで比較検討するときに判断がぶれにくくなります。

フラット35の金利は毎月見直され、取扱金融機関によって幅があります。2026年8月の適用金利は、借入期間21年以上35年以下・融資率9割以下の場合で年3.29%〜5.57%(最低金利は前月比0.15ポイント上昇)、借入期間20年以下では年2.97%〜となっています(出典:住宅金融支援機構「最新の金利情報」)。

 

日銀の金融政策変更を背景に、ここ数年は固定金利の上昇基調が続いています。だからこそ、次章以降で説明するフラット35Sなどの金利引き下げ制度を「使えるのに使わない」のは、非常にもったいない状況だといえます。

 

なお、借入額はこれまで100万円以上8,000万円以下とされてきましたが、住宅価格の上昇を受けて、2026年4月の融資分から上限が1億2,000万円に引き上げられています。都市部の物件価格帯でも利用しやすくなりました。

フラット35には、金利以外にも次のような特徴があります。

  • 保証人が不要で、保証料もかからない
  • 繰上返済(一部・全額)や返済方法変更の手数料が無料
  • 新機構団体信用生命保険(団信)に加入でき、加入者が死亡または所定の身体障害状態になった場合は以後の返済が不要になる(健康上の理由で団信に加入できない場合、団信なしでの利用も可能)

民間ローンでは保証料や繰上返済手数料がかかる商品もあるため、表面金利だけでなく諸費用込みの総コストで比べる視点が大切です。フラット35と銀行の住宅ローンの違いをより詳しく知りたい方は、「フラット35は銀行ローンと何が違う? 特徴とあわせて紹介」もあわせてお読みください。

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フラット35を利用できるのは、次の条件を満たす方です(出典:住宅金融支援機構【フラット35】)。

  • 申込時の年齢が満70歳未満(子や孫が返済を引き継ぐ「親子リレー返済」を利用する場合は70歳以上でも申込可能)
  • 日本国籍の方、永住許可を受けている方、または特別永住者の方
  • 年収に占めるすべての借入れ(フラット35のほか自動車ローン、カードローンなどを含む)の年間合計返済額の割合(総返済負担率)が、年収400万円未満なら30%以下、年収400万円以上なら35%以下

たとえば年収500万円なら、年間返済額の上限は175万円(月あたり約14.5万円)が審査上の目安になります。ただし、上限いっぱいまで借りると家計の余裕がなくなりやすいため、実際には手取り収入に対して無理のない返済額から逆算するのが現実的です。毎月の家計から見た「buyable(買える)な予算」を先に把握しておくと、物件選びもローン選びも迷いが減ります。

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フラット35は人だけでなく、住宅そのものにも条件があります。住宅金融支援機構が定める技術基準(接道、住宅の規格、断熱性能、耐久性など)を満たし、検査機関の物件検査を受けて「適合証明書」を取得することが必要です。床面積は一戸建てで70㎡以上、マンションで30㎡以上が基準となります。

 

新築の建売住宅や分譲マンションでは、売主側があらかじめフラット35対応(適合証明の取得を前提とした仕様)にしているケースが多く見られます。物件情報に「フラット35S適合」などと記載があれば、次章の金利引き下げを受けられる可能性が高い物件だと読み取れます。

フラット35では、物件価格(建設費または購入価額)に対する借入額の割合を「融資率」と呼び、融資率が9割を超えると9割以下の場合より金利が高く設定されます。頭金を1割以上用意できるかどうかが、適用金利を左右する分かれ目になるということです。

 

自己資金の準備計画とあわせて、頭金の設定によって毎月返済額がどう変わるのかも早めに確認しておくと、資金計画全体がぶれません。

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フラット35Sは、省エネルギー性・耐震性・バリアフリー性・耐久性などについて基準を満たす「質の高い住宅」を取得する場合に、フラット35の借入金利を当初一定期間引き下げる制度です。現在は住宅性能に応じて次の3プランに分かれ、それぞれに「ポイント」が設定されています(出典:住宅金融支援機構【フラット35】)。

プラン住宅性能の目安ポイント
フラット35S(ZEH)ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)水準の省エネ住宅3ポイント
フラット35S(金利Aプラン)長期優良住宅、認定低炭素住宅など2ポイント
フラット35S(金利Bプラン)断熱等性能等級5かつ一次エネルギー消費量等級6など1ポイント

かつてのフラット35S(〜2020年度)は「一律で年0.25%引き下げ」というシンプルな制度でしたが、現在はポイント制に変わり、引き下げ幅は大きく拡充されています。古い情報のまま「0.25%しか下がらないなら手間に見合わない」と判断してしまうのは早計です。

ポイント制では、フラット35S以外の金利引き下げメニューも組み合わせられます。原則として1ポイント=当初5年間・年0.25%の引き下げに相当し、合計4ポイント(当初5年間・年1.0%引き下げ)が上限です。ただし子育てプラスを利用する場合は上限が撤廃され、4ポイントを超えた分は6年目以降の引き下げに充てられます。

  • フラット35子育てプラス:子育て世帯(借入申込年度の4月1日時点で18歳未満の子がいる世帯)または若年夫婦世帯(同時点で夫婦のいずれかが40歳未満)が対象。子ども1人につき1ポイント(若年夫婦世帯は子どもがいなくても1ポイント)。2026年3月の融資実行分からは借り換えでも利用できるようになりました
  • フラット35維持保全型:長期優良住宅など、維持保全・維持管理に配慮した住宅で1ポイント
  • フラット35地域連携型:子育て支援や空き家対策などで自治体と機構が連携する場合に1〜2ポイント

たとえば「子ども1人+ZEH+長期優良住宅(維持保全型)」なら1+3+1=5ポイントとなり、当初5年間は年1.0%、6〜10年目は年0.25%の引き下げが受けられます。

 

なお、これらの引き下げメニューには機構の予算枠があり、予算超過が見込まれると受付が終了します(終了の約3週間前に【フラット35】サイトで告知)。利用を考えているなら、受付状況はこまめに確認しておきたいところです。

言葉だけでは実感しづらいので、金額で確認してみます。借入額3,000万円・借入期間35年・元利均等返済・ボーナス返済なし・融資率9割以下、金利は2026年8月の最低金利水準(年3.29%)と仮定した編集部の概算試算です(実際の適用金利・返済額は金融機関や時期により異なります)。

条件当初5年の毎月返済額6年目以降の毎月返済額総返済額(概算)
フラット35のみ(年3.29%)約12.0万円約12.0万円約5,055万円
フラット35S(ZEH・3ポイント)当初5年 年2.54%→6年目以降 年3.29%約10.8万円約11.9万円約4,925万円

同じ物件価格・同じ借入額でも、フラット35S(ZEH)が適用されるだけで総返済額は約130万円軽くなり、当初5年間は毎月の負担が約1.2万円小さくなります。子育てプラスなどを併用してポイントが増えれば、差はさらに広がります。

 

ご自身の借入額・金利条件に置き換えて確かめたい方は、シミュレーションツールで数字を動かしてみると感覚がつかみやすくなります。

 

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フラット35Sの対象となる長期優良住宅について詳しく知りたい方は、「【フラット35S】の対象となる「長期優良住宅」とそのローン金利」もご覧ください。

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フラット35Sの引き下げは当初5年間(ポイントによっては10年間)の期間限定です。引き下げ期間が終わると本来のフラット35の金利に戻るため、毎月返済額は途中で増えます。先ほどの試算でも、6年目からは月約1.1万円上がります。

 

「当初の返済額」だけを見て資金計画を立てると、ちょうど教育費がかさみ始める時期に返済額アップが重なる、ということが起こりがちです。必ず引き下げ終了後の返済額を基準に無理がないかを確認してください。

フラット35Sや子育てプラスなどの引き下げメニューは国の予算にもとづく制度のため、年度途中でも受付終了になる可能性があります。また、頭金が1割未満(融資率9割超)だと適用金利自体が高くなるため、せっかくの引き下げ効果が目減りします。「制度がある前提」でぎりぎりの計画を組むのではなく、受付終了や金利上昇にも耐えられる余裕を持たせることが、長期ローンでは何よりの保険になります。

固定金利と変動金利のどちらが向いているかは、金利予想ではなく「家計の性質」で考えるほうが実践的です。次の5つのうち当てはまる項目が多いほど、フラット35(全期間固定)向きといえます。

  1. 返済額が完済まで確定していないと不安で、金利ニュースのたびに落ち着かなくなりそうだ
  2. 共働きの解消や教育費の増加など、今後の収入・支出の変動要因が大きい
  3. 手元の貯蓄が少なく、金利上昇時に繰上返済で対抗する余力がない
  4. 借入期間が30年以上と長く、金利変動リスクにさらされる期間が長い
  5. 取得予定の住宅がフラット35S(ZEH・金利Aプランなど)の基準を満たしており、固定でも当初金利を大きく下げられる

逆に、貯蓄が厚く繰上返済の余力がある家庭や借入期間が短い家庭は、変動金利のメリットを取りにいく選択肢もあります。すでにフラット35で借りていて見直しを考えている方は、「住宅ローン”フラット35″から”変動金利”への借り換え、考えるべきポイント」が参考になります。

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フラット35Sは、契約後に後付けできる制度ではありません。住宅そのものの性能で決まるため、物件選び(注文住宅なら仕様決め)の段階で対応可否がほぼ決まります。新築物件の広告や物件詳細ページで「ZEH」「長期優良住宅」「フラット35S適合」といった表記をチェックする習慣をつけるだけで、候補の絞り込みが格段に効率的になります。

 

たとえば長期優良住宅の認定を受けた新築一戸建てなら、フラット35S(金利Aプラン)+維持保全型で3ポイント以上が視野に入ります。どんな物件がどれくらいあるのか、まずは眺めてみるところから始めてみてください。

 

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中古住宅でも、基準を満たせばフラット35・フラット35Sは利用可能です。中古での活用を検討している方は「中古住宅購入と「フラット35」」もあわせてどうぞ。

フラット35は同じ商品名でも、取扱金融機関ごとに適用金利と融資手数料(定額型・定率型)が異なります。2026年8月の金利幅が年3.29%〜5.57%と大きく開いていることからも分かるとおり、どの金融機関で申し込むかで総コストは大きく変わります。物件の候補が見えてきたら、複数の金融機関で事前審査を受け、金利+手数料の総額で比較するのが鉄則です。

 

住宅ローンは「物件が決まってから考えるもの」と思われがちですが、実際には物件と資金計画を並行して進めた人ほど、制度の受付終了や金利上昇に慌てずに済んでいます。

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フラット35は完済までの返済額が確定する全期間固定型の住宅ローンであり、フラット35Sはその金利を当初期間引き下げてくれる優遇制度です。ポイント制の現在は、ZEHや長期優良住宅、子育てプラスなどの組み合わせで最大年1.0%(子育てプラス併用時はさらに拡大)の引き下げが可能で、借入3,000万円なら総返済額が約130万円変わる試算になりました。

 

一方で、引き下げメニューは予算制でいつ受付終了になるか分からず、金利自体も上昇基調が続いています。「もう少し情報が集まってから」と判断を先送りしている間に、利用できたはずの引き下げ枠や、手が届いたはずの金利水準を逃してしまうのは避けたいところです。

 

次のステップとしては、①気になるエリアでフラット35S対応(ZEH・長期優良住宅など)の物件を確認する、②頭金1割を確保できる資金計画を組む、③複数の金融機関で金利・手数料を比較する。この3つから始めるのが着実です。資金計画に不安が残る方は、中立的な立場のアドバイザーに整理を手伝ってもらうのも一つの方法です。

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フラット35の基礎からじっくり確認したい方は、以下の記事もあわせてお読みください。

Q1. フラット35とフラット35Sは、どちらか一方を選ぶものですか?

いいえ。フラット35Sは独立したローンではなく、フラット35に申し込んだうえで、住宅が省エネ性や耐震性などの基準を満たす場合に金利引き下げが上乗せされる制度です。基準を満たす住宅なら、フラット35Sを使わない理由は基本的にありません。

 

Q2. フラット35Sを利用するには何が必要ですか?

フラット35の要件に加え、検査機関による物件検査を受けて、フラット35Sの技術基準に適合していることを示す適合証明書を取得する必要があります。新築分譲物件では売主側が対応済みのケースも多いため、物件検討時に不動産会社へ確認しておくとスムーズです。

 

Q3. 金利の引き下げ期間が終わったあとの返済額はどうなりますか?

引き下げ期間(当初5年間または10年間)が終わると、本来のフラット35の借入金利に戻り、毎月返済額は増えます。契約前に金融機関やシミュレーションツールで「引き下げ終了後の返済額」を必ず確認し、その金額でも家計が回るかを基準に借入額を決めることをおすすめします。

Q4. 転職したばかり・自営業でもフラット35は利用できますか?

フラット35の審査は勤続年数の要件を設けておらず、総返済負担率(年収400万円未満は30%以下、400万円以上は35%以下)などの基準を満たせば、転職直後の方や自営業の方も申し込めます。民間ローンの審査に不安がある方の選択肢としても検討する価値があります。

更新日: / 公開日:2019.07.18