なぜ前もって用意できないの?

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一部の書類は平日に市区町村役場で取得したりしなければならないので、「半休取らないといけない・・・」となることもあります。「それなら早めに取っておけば良いじゃないか」と考えがちですが、中には有効期限もある書類があり、取得が早すぎるとまた取り直さなければなりません。無駄にならないようにするには不動産取引の手続きの流れを見ながら、取得するタイミングを計る必要があるのです。

また、必要書類はその方の売買方法や、諸条件によって変わってきます。そのため必要書類を理解するには
①どのようなタイミングで
②どの書類が使われるのか
③書類にはどのような意味があるのか

この3点を把握しておくが不可欠です。そうすることで、「どの書類をいつまで取得しておこう」と見通すことができるのです。

4つのタイミングで書類をそろえよう

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買主は不動産取引の4つのタイミングで書類をそろえることになります。

1つ目は購入相談や資金計画の段階
2つ目は売買契約の段階
3つ目は住宅ローンの本審査や金銭消費貸借契約(お金を借りる契約)の段階
4つ目は残金決済や融資実行、所有権移転登記(以下、残金決済等とする)の段階
この4つです。

不動産取引の流れとの相関性は以下のフローチャート(図表1)に示しましたのでご覧ください。

図表1:不動産取引の流れと必要書類の相関性


市区町村役場で住民票などの書類を取得するのは住宅ローン本審査や金銭消費貸借契約時の第3段階からとなります。第4段階でも住民票は必要なのですが、不動産会社や金融機関によっては皆さんが何度も市区町村役場へ足を運ぶ手間をかけないようにと、第3段階の時点でまとめて取得してくださいと案内してくれることがあります。そうなると市区町村役場へ行くのは実質、第3段階の時だけになります。

なお、第2段階である売買契約から第3段階の住宅ローン本審査申込みまでは手続きのスケジュール上、一般的に1~2週間ほどとタイトなことが多いため、かなり慌ただしくなります。この前後は書類を取得しやすいように、スケジュールに余裕を持っておきましょう。

住まいを購入する時に必要な書類リストとその理由

そもそもどのような書類がなぜ必要なのかを抑えておきましょう。住まいを購入する時に必要な書類をまとめてみました。その書類が必要とされる理由とあわせて、ご紹介します。

図表2:必要書類のその理由

必要書類(取得先) 書類名とその理由
①購入相談・資金計画時 購入相談や資金計画に必要な書類 ①検討物件のチラシ・パンフレット→購入相談でアドバイスをもらうため。 ②収入が分かる書類(源泉徴収票・確定申告書)→資金計画において、住宅ローンをいくら組めるか確認するため。 ③ 借入残高確認書(借り入れがある場合)→資金計画に使うため。住宅ローンを組む場合で、借入れがあると融資額が減額になることがあるため。
②売買契約時 実印・認印 ※実印がない場合は登録予定印 売買契約書や重要事項説明書等書類への押印に使うために必要。現金での購入では実印でなくとも認印でも構わない。また、実印がなければ登録予定印でも問題ない。
身分証明書 本人確認のために必要。運転免許証や健康保険証が身分証明書に該当する。一般的には顔写真付のものが必要。顔写真付でないものは2種類用意してもらうことが多い。
収入印紙 (郵便局など) 売買契約書に貼付するため。売買契約書の原本1通に対して税法で指定された額を貼る。なお、貼付する印紙額の軽減措置の期間に注意。
手付金 売買の手付金。売買契約と同時に交付するため現金か預金小切手とする。振込みで構わないときもある。
③住宅ローン審査・金銭消費貸借契約時 実印・認印 売買契約時と同じ。ただし、印鑑証明書を提出する場合は、実印登録が済ませているようにする。
通帳届出印と通帳預入金 融資審査をする金融機関に口座(通帳)を持っていない場合は、金銭消費貸借契約時に通帳を作成するために必要。実印等との兼印で構わない。
身分証明書 売買契約時と同じ。
収入がわかる書類 希望融資額が可能かどうかを計算するため。 一般的には源泉徴収票2~3年分もしくは確定申告書2~3期分が必要。なお、中小会社の会社役員や自営業者の方は会社の決算書も上記に追加して2~3年分用意することが多いです。
融資審査申込書等 融資審査をするため。他に個人情報の同意書、団体信用生命保険告知書の記入押印済が必要。
印鑑証明書(市区町村役場) 本人および実印の確認のため。残金決済予定日より3ヵ月以内のもの。一般的に金融機関や保証会社の保管用1~2枚に、登記に使う1枚の計2~3枚を用意。
住民票(市区町村役場) 住所の確認と所有権移転登記を行うために必要。本籍地、マイナンバーは機微情報のため省略し、一方で自身だけの妙本ではなく家族全員分記載で提出することが多い。住民票の住所氏名で登記されるため、必要によっては購入する物件に住所を移してから市町村区役場で取得する。おおむね金融機関用、登記用の計2枚が必要。
課税証明書(市区町村役場) 源泉徴収票や確定申告書記載の収入を確認するため。2~3年分用意をする。市区町村役場で取れる納税証明書とは異なる点に注意。
納税証明書(税務署) 会社役員や自営業者の場合、法人税等の滞納がないかを確認するため。給与所得者は必要とされないことが多い。なお、市区町村役場で取得できる納税証明書とは異なる点に注意する。
物件資料 融資審査に使うため必要。 主に以下の書類が必要とされることが多い。 ①購入物件の概要書(チラシ・パンフレット) ②登記事項証明書 ③公図 ④間取図・測量図 ⑤建築確認通知書 ⑥売買契約書や重要事項説明書の素案
④残金決済時 身分証明書 売買契約時と同じ。所有権移転登記等をする司法書士が確認をする。
印鑑証明書(市区町村役場 住宅ローン審査・金銭消費貸借契約時と同じ。司法書士が必要なため、すでに金融機関にその分を提出している場合は不要となる。
住民票(市区町村役場) 住宅ローン審査・金銭消費貸借契約時と同じ。司法書士が必要なため、すでに金融機関にその分を提出している場合は不要となる。
通帳と届出印・カード 売主に残代金や諸費用を支払うために必要。融資の場合は1度自分の口座に融資額が入るため不可欠。なお、届出印を間違えた場合はカードがあると便利。
残代金・精算金諸費用の金員 売主に支払うため。固定資産税等や管理費等などの精算があればその精算金も用意する。その場で通帳から払い戻しができるなら、現金で用意をせずとも構わない。
その他 マンションの場合、区分所有者変更届などが必要となる。

人に応じて必要書類が違うことがある

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必要書類は誰でも同じというわけではなく、人によって異なることがあります。どのようなケースで異なるのかというと、以下の2パターンが挙げられます。

①給与所得者か会社経営者(会社役員や自営業者)の違い
②現金か住宅ローンを利用して購入するかの違い

どちらも前者の方が必要書類は少なく簡易になります。給与所得者で現金で購入するなら書類は少なく、会社経営者で住宅ローン利用者なら書類は多くなるのです。

必要書類の注意点

必要書類で注意をする点は大きく次の3つです。
1つ目は実印と印鑑証明書は現金で購入する場合には、不要であること。その理由はこの2つは本人であることを確認するために必要なのですが、買主の場合、お金を払う立場なので例え本人でなくとも売主は損をしません。そのため不要になるのです。ただし、住宅ローンを利用する場合は、金融機関はお金を貸す相手である買主が本人であることを確認しなければなりませんので、実印と印鑑証明書はセットで要求をしてきます。

2つ目は住民票の住所は住宅ローンを利用する場合、金融機関から購入物件の住所とすることを求められやすいこと。その理由は住民票上の住所で所有権移転登記をするため、管理上、所有者の住所を物件住所と一致させたいからです。その場合は、今住んでいる市区町村役場に転出届をして、購入物件への市区町村役場へ転入届が必要となりますが、実際に引越しをして住んでいないのに転入届を受理することに抵抗がある市区町村役場もあります。そうなると受け付けてもらえずどうしよう・・と戸惑ってしまうこともあるでしょう。そうならないように、事前に金融機関や市区町村役場と相談をしておきましょう。なお、所有権移転登記自体は旧住所―つまり今住んでいる住所でも行えます。現金の場合はこのような問題はありません。

3つ目は「課税証明書」と「納税証明書」を間違えないこと。ともに市区町村役場で取得でき、名称が似ているので間違えやすいのですが、内容がまったく異なります。「課税証明書」は年収を証明する書類である一方で、「納税証明書」は税金を納めていることを証明する書類となります。給与所得者の場合は原則、年収の裏付けを取る課税証明書は求められても、税金をきちんと納めているかを確認する納税証明書を求められることはあまりありません。似たような名前ですので間違えて取得しないように注意しておきましょう。

以上、必要書類とその取得するタイミングやその理由について紹介しました。

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書類の用意に急に対応したり、間違えて後から何度も市区町村役場へ行かなければならなかったりすると手間や苦労が増え、せっかく不動産の売買が決まったのに「とても大変だった・・」と喜びも半減をしてしまいます。楽しくストレスがない不動産取引を実現するためにぜひ参照してみてください。
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(2018/09/03)