住宅を購入したとき住宅ローン控除を受ける人は多いでしょう。住宅ローン控除は、年末のローン残高の1%相当額が所得税などから控除されるため家計にとってうれしい制度ですが、転勤により転居することになった際にも制度を利用できるのか不安に思う人もいるではないでしょうか。そこで今回は、単身赴任や家族で引越すことになった場合の住宅ローン控除の仕組みや注意点について解説します。

住宅ローン控除(減税)とは

まずは、住宅ローン控除がどんな制度なのかを簡単に説明します。

 

住宅ローン控除とは、一定の要件に当てはまり、10年以上の住宅ローンを利用した人を対象に、年末の住宅ローン残高の1%相当額を所得税や住民税から控除してくれる制度をいいます。年間控除額の上限は40万円(認定長期優良住宅等は50万円)で、控除期間は10年です。ただし、消費税10%で住宅取得した人に限り、増税の緩和措置として13年に設定されています(※)。

 

たとえば、消費税8%で住宅を取得し、3,000万円の住宅ローンを組んだ場合、仮に初年度のローン残高が3,000万円だとすると30万円控除され、2年目のローン残高が2,900万円だったら29万円控除されるという仕組みです。これが10年続きます。

 

住宅は大きな買い物ですが、住宅ローン控除を利用すれば大きな節税効果を得られるということですね。

 

※参照

住宅を新築又は新築住宅を取得した場合(住宅借入金等特別控除)」(国税庁ホームページ)

中古住宅を取得した場合(住宅借入金等特別控除)」(国税庁ホームページ)

住宅ローン減税制度の概要」(国土交通省)

住宅ローン控除の適用要件のひとつに、「住宅の所有者が、住宅を取得した日から6ヶ月以内にその住宅に居住し、同年の12月31日まで引き続き居住していること」が挙げられます。つまり、取得した住宅に住み続けていることが条件です。

 

では、住宅の所有者が転勤の辞令を受け、転居することになった場合はどうなるのでしょうか。以下で詳しく見ていきましょう。

 

住宅の所有者が単身赴任になった場合、家族が住み続けることで「所用者が居住しているもの」として扱われ、引き続き住宅ローン控除を受けることができます。住民票を転勤先に異動しても住宅ローン控除に影響はありません。

 

というのも住宅ローン控除は、「やむを得ない事情がある場合に限り、一定の要件を満たすことで例外的に適用を受けることができる」とされています。この場合、転勤=やむを得ない状況、家族が住み続ける=一定の要件となります。

 

ただし、赴任先が海外の場合、上記の例外が適用されるのは2016年4月1日以後に住宅を取得した人に限られます。もともと海外の単身赴任者は適用外となっていましたが、不公平な状況を解消するために、2016年度に税制改正が行われました。

家族全員で転勤先に引越す場合は、家族が住み続けているという要件を満たしていないため、転居中は住宅ローン控除の適用外となります。しかし、戻ってきたときに残存控除期間があれば、再適用の手続きをすることで残存控除期間のみ住宅ローン控除を利用することができます

 

この再適用の制度は、2016年3月31日以前に住宅を取得した人が海外に単身赴任になった場合にも該当します。海外赴任中は住宅ローン控除を受けられませんが、自宅に戻ってから再適用の手続きをすることで、残存控除期間に対して住宅ローン控除が適用されます。

残存控除期間における再適用について、具体的な例を挙げて説明していきます。

住宅ローン控除が10年の場合

  • 住宅ローン控除を3年受けた後に転勤が決まり、家族で引越しをした

  • 家族で転居した期間は4年間

  • その後戻り、再適用の手続きをした

この場合、住宅ローン控除を受けられるのは、最初の3年+再入居した3年の計6年となります。

住宅ローン控除を受けられるかどうか

 

再適用の際は、家族全員で戻ってきた場合はもちろん、家族のみ戻ってきた場合(所有者は単身赴任)も該当します。また、転居や再入居の回数に制限がないため、短期間の転勤が複数回あっても問題ありません。

 

また、再適用が認められる転居は、「給与等の支払いをする者からの転任の命令に伴う転居その他これに準ずるやむを得ない事由」とされています。つまり、会社の命令で転居せざるを得ない状況であることが条件です。自己都合による転居は基本的に認められないため注意しましょう。

再適用制度を利用して賢く節税対策しよう

住宅ローン控除は大きな優遇税制ですから、控除を見越したライフプランを立てている人は多いでしょう。急な転勤辞令が出ても制度の仕組みを理解していれば、あわてず対処できます。細かな要件や手続きに関しては、国税庁のホームページや最寄りの税務署などで確認できるため、制度利用の際には詳細をチェックし、賢く節税対策をしていきましょう。

  1. 単身赴任の場合は変わらず住宅ローン控除を受けられる
  2. 家族で引越す場合は、転居中は適用外。ただし、再入居の際に残存控除期間があれば再適用を受けられる
  3. 再適用が認められる転居は会社命令による転勤などで、自己都合による転居は認められない

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