
生き物好きの人は多いと思いますが、そのなかでもトップクラスに人気なのが犬でしょう。昨今は「犬は家族の一員」という家庭は珍しくなく、都心部のほとんどの分譲マンションがペット可となっています。
ところが大型犬はまだまだ少数派。ドッグランに行っても小型犬の方が圧倒的に多いというのが実情です。その理由を周りに聞くと、「大型犬を飼いたいけれど、しつけられる自信がない」「賃貸物件に住んでいるから諦めている」といった声が少なくありません。
私が初めて飼った犬は、体重41kgのバーニーズマウンテンドッグでした。現在も32kgのゴールデンドゥードルと暮らしています。また、今までドッグランやドッグショーなどで約80犬種の飼い主さんとお話をし、ペット共生住宅管理士と宅地建物取引士の資格も取得しています。
そこで今回は、大型犬の飼い方と快適に暮らせる住まいの選び方をご紹介します。
もくじ
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大型犬の定義
一般的には25kg以上が大型犬
大型犬の定義は明確にはありません。一般的には10kg未満が小型犬、25kg未満が中型犬、25kg以上が大型犬とすることが多いようです。
大型犬のおもな魅力
存在感
一番の魅力は、大型犬好きなら聞くまでもないでしょう。なんといってもその存在感です。私は同じものなら、だいたいは大きい方が好きです。クルマなら大型SUV、山なら富士山や北アルプスが好みです。これらと同じ感覚で物心ついたときから大型犬が好きでした。そこに理屈はありません。
この気持ちは大型犬が家族の一員になってさらに強くなりました。大型犬は屋外で見るより家の中で見る方が大きく感じるからです。室内空間に占める身体の体積が人間並みなので、さらに存在感が増します。
テレビの前に立てば画面が見えなくなりますし、食事をしていればダイニングテーブルに顔を乗せて「ボクのは?」と視線を送ってきます。
また、ソファで寝転んで本などを読んでいると、近づいてきて私の胸にそっと顔を乗せて甘えてきます。そんなことができるのは、大型犬だからです。その瞬間、胸に清らかな水がす~っと流れ込んだような感覚を覚え、毎回じ~んとしてしまいます。
新聞を読んでいたらそっと顔をのせてきた。癒される~
あまり吠えない
私は今まで体重2kgのチワワから93kgのスパニッシュ・マスティフまで約80種類の犬を見てきました。その経験から大型犬は小型犬より圧倒的に吠えない子が多いと感じています。
理由は明確には分かりませんが、おそらく吠えると声も大きいため、吠えない親同士を交配させてきた歴史があるのではないかと思っています。もちろん犬種や個体差もあります。
左がバーニーズマウンテンドッグ(41kg)。右がスパニッシュ・マスティフ(93kg)
性格が穏やか
「大型犬は危険」。そう思っている人も多いはずです。でも、それは誤解です。確かに大型犬が本気で暴れたら、大人の男性でも大怪我をします。ですから、大型犬ブリーダーの多くは、性格の穏やかな親同士を交配させるようにしています。そのため、むしろ穏やか過ぎる子が多いくらいです。
先代犬のバーニーズマウンテンドッグは、知人の3歳児が1時間以上目潰し攻撃をしてもずっと我慢していました。また、周りにいる小型犬が怖くて下痢をするグレート・デンや、初対面の人が怖くて飼い主の後ろから出てこられないドーベルマンなどに会ったこともあります。ただし、このような繊細な子を刺激し続けると暴れ出すということはあり得ます。
先代犬はいつでもどこでもニコニコ。けっして怒ることはなかった(やんちゃでしたが……)
飼いやすい
「あまり吠えない」「性格が穏やか」。つまり、大型犬は飼いやすいのです。大型犬と小型犬の両方を飼った経験がある人が、「大型犬の方が飼いやすい」と言うケースも珍しくはありません。
噛まない、リードを引っ張らない、「待て」ができる、といった基本的なしつけさえマスターしていれば、小型犬よりも飼いやすいと思います。
大型犬は「膝枕をされると重い」「食費と医療費が高い」に納得できれば飼いやすい
一緒にアウトドアスポーツを楽しめる
私は十代の頃からサーフィンをしていますが、マラソンのように息切れがするスポーツは大嫌いでした。ところが今は愛犬と一緒に一年中登山やカヌーによる川下りを楽しんでいます。なぜなら彼らが、息切れしても楽しいと思わせてくれたからです。
大型犬は3歳児の愛くるしさ・知能と15歳児の体力を併せ持っています。3歳児なのでかわいくて仕方なく、言うこともある程度理解してくれます。また、15歳児でもあるので急斜面を私以上のスピードでぐんぐん登っていきます。
そのため、大型犬と一緒なら思い切り全力を出し切れます。小型犬で同じことをしたら、流れの激しい川に落ちると危険ですし、登山で大きな段差があればその都度抱っこしなければなりません。
数時間ずっと行動を共にし、ヘトヘトになりながら一緒に達成感を味わう。そんな体験ができるのは大型犬ならではでしょう。一緒にアウトドアスポーツを楽しむことで、単なるかわいいペットから「息子・親友・伴侶・相棒・パートナー・右腕・仲間」といったワンランク上の存在になりました。
大型犬は人間がはいつくばって登るような斜面でもニコニコしながら登っていく
激流に落ちても笑って見ていられるのは大型犬だから(ライフジャケットを着用しています)
直径1m前後の岩が続く急斜面。大型犬なら自力で登れる
犬種の選び方
どの犬種もインターネットで性格を検索すると「しつけやすい」「温和」「忠実」などと、いいことばかり書いてあることが多いと思います。しかし、それを鵜呑みにしてはいけません。
ほとんどの犬種は、それぞれの目的によって生み出され、特徴や性格の傾向も異なります。たとえば、穴の中の獲物を追い出すことを目的に生み出され、活発な子が多いテリア系に穏やかさを求めるのは難しいでしょう。
犬種が決まっていない場合は、まずネットや犬種図鑑などでどのような種類があるのか一通り調べてみましょう。意外に多くの大型犬がいることに驚くはずです。それで「体格」「性格」「飼育上の注意点」「入手難易度」などから、ある程度の犬種を絞り込みます。
そのうえで分からないことや納得できないことがあれば、ブリーダーやペットショップに聞きに行きましょう。近くになければ、メールに対応しているブリーダーなどに質問し、さらに絞り込んでいきます。
なお、「しつけが簡単な犬種がいい」という人もいるかもしれませんが、残念ながらそのような犬種は存在しないと思います。確かに犬種によって物覚えのスピードに差はあります。しかし、勉強せずに東大へ入れる人がいないように、どんなに賢いといわれる犬種でもしつけについてはある程度根気強く続けなければ身に付きません。
小型犬の場合は、しつけがいい加減でも「抱っこすればいいや」で済むケースが多いですが、大型犬の場合はそれができないので犬種を問わず真面目に取り組む必要があると思います。
バーニーズマウンテンドッグは比較的賢い犬種といわれているが、それでも満足にしつけられるまで3年かかった
家族に迎える犬を見つける方法
飼う犬を見つけるおもな方法は、「ペットショップ」「ブリーダー」「保護犬」があると思います。この中で保護犬については、最近ではネットで容易に情報収集できて大型犬でも見つけやすくなりました。しかしながら、犬種にこだわる人には向かないのでここでは割愛します。
とはいえ、犬種だけで迎える犬を決めるのは早計です。「真面目で勤勉」といわれる日本人でもいい加減な人はいます。犬も同じ。最終的には、個別に見て判断するしかないでしょう。
そこでペットショップ、またはブリーダーへ見に行くことになりますが、残念ながら大型犬を扱うペットショップはあまり多くはありません。運よく好きな犬種がいたら、スタッフに健康状態やしつけ方などについて質問してみましょう。「問題ありません」といった内容の薄い回答ならその人の知識に期待はできないので、自分の目利きだけが頼りになります。
犬にくわしい知人は、ある日ホームセンターでバーニーズマウンテンドッグを見つけました。ずっと気になっていましたが、2~3ヶ月経っても売れません。顔だちは整っていますし、足も太いので大きくなりそうです。それなのになぜだろうとスタッフに聞いたところ、「先天的に股関節の異常がありそうです」と正直に答えてくれました。
「私が飼わなきゃ誰も飼わないかもしれない」。知人はその場で家族に迎えることを決めました。その子は6歳くらいからだんだんとよたよた歩きになり、8歳からは後ろ足が完全に立たなくなりました。10歳の今は、上半身は元気そのものですが、実質寝たきりの状態です。それでも知人は「最初から覚悟していたこと。だから今でもかわいくて仕方がない」と毎朝毎晩43kgの巨体を抱き上げてトイレへ連れて行っています。
ブリーダーから飼う犬を迎えるメリットは、複数の子犬から選べること、そして飼う前、飼っている間もずっと専門的なアドバイスをもらえることでしょう。ですから、なりやすい病気やしつけ方など分からないことはなんでも聞いてみましょう。これらに答えられないようなら、そのブリーダーは失格です。ほかのところへ相談するのが得策でしょう。
なお、以前はインターネットのみでブリーダーから犬を買うことも可能でした。しかし2019年に法改正され、ブリーダーの事務所で子犬を見て、対面で成犬時のサイズや飼育方法などの説明を受けなければならなくなりました。
したがって仮にメールのやりとりで条件面等は納得できても、子犬を引き取る際はどんなに離れていても現地まで行かなければなりません。
その背景には、ブリーダーと消費者のトラブル増加があります。独立行政法人 国民生活センターには次のような相談が寄せられています。
「健康状態の説明がなく、引き取った数日後に健康診断をしたら先天性の心臓病だった」
「子犬から悪臭がしたが顔がかわいかったので購入した。ところが翌朝に下痢をして死亡した」
このような悪質なブリーダーを避ける方法としては、前述のようにさまざまな質問をしてみることや第一種動物取扱業の登録を確認するなどがあります。登録の有無は、ブリーダーがある都道府県へ電話やメールで問合せをすれば教えてもらえます。
国民生活センターに寄せられるペット相談件数の推移。ブリーダー関連の相談割合が増加している(出典:国民生活センターHP)
子犬を迎える準備はどうすればいい?
しつけ本を読んでおく
しつけ本を1冊買い、とりあえず最後まで読んでおきましょう。どの本にするのかは、売れ筋の中から選べばいいと思います。しつけについては、ネット動画でも優良なものがありますが、ほとんどが「吠え癖」といったテーマごとなので網羅した内容の本がおすすめです。目の前に子犬がいないためピンと来ないこともあるはずですが、「そんなことがあるんだ」と心構えができます。
また、子犬は人によって言うことが違っていると迷ってしまいます。ですから、家族全員でその本の内容を基に方針を決めておくことも重要です。
事前に用意しておくワンコグッズ
1.サークル
大型犬に限らず犬を迎える際、もっともおすすめするワンコグッズがサークルです。「犬を狭い場所に閉じ込めておくのはかわいそう」と思う人もいるかもしれません。しかしそれは犬の本能を知らないからです。犬の祖先であるオオカミは、傾斜地などに穴を掘って寝床にしています。風や外敵を防いで安心して眠れるからです。犬はこの習性を受け継いでいます。
わが家にもサークルはありますが、それでも自由にさせているとより暗く狭いダイニングテーブルの下に行きます。また、サークルに慣れさせておくことで、トイレトレーニングや誤飲防止、家具などの破損防止に役立ちます。
さらにサークルは分離不安の防止にも有用です。分離不安とは、飼い主の姿が見えなくなると不安を感じて吠え続けたり、さまざまなものを破壊したりする問題行動です。私の知る限りほとんどの犬にこの傾向があります。ですがサークルに慣れさせておけば、留守番中でもおとなしく眠っていてくれます。
サークルと似たものに床と天井が付いたケージがあります。こちらでも身体のサイズに合っていれば問題ないと思います。むしろ天井がある分、より安心してくれるかもしれません。ただし、それだけ掃除が大変になります。
わが家のサークル。新築時に外構フェンスを加工して造作してもらった。奥にあるのがスーパーワイドサイズのトイレトレー。先代犬も現在の愛犬も留守番中と就寝時はここにいるので、家のものを破壊したことは1度もない
2.スーパーワイドサイズのトイレトレー
大型犬はびっくりするくらい大量のおしっこをします。また、身体が大きいゆえに小さなトイレトレーだとはみ出して用を足してしまいます。なのでトイレトレーは最大のスーパーワイドサイズを用意しておきましょう。
トイレについては、成犬になると屋外でしかさせない飼い主もいますが、それだと台風時や災害で避難所へ行ったときなどに困るので、室内と屋外の両方でできるようにしつけるのがいいと思います。
3.首輪とリード
一般的には2回目のワクチンを打ったあとの生後3ヶ月前後が散歩デビューになります。首輪とリードは犬のファッションアイテムのひとつ。お気に入りのものを揃えましょう。
3歳くらいまでは引っ張り癖がある子も多いので、できるだけ丈夫なものがおすすめです。胴体に装着して首を圧迫しないハーネスでも構いません。
散歩デビューの様子。不安で歩けない……。この頃は力が弱いので首輪もリードも安価なものを使用していた
4.犬用食器・食器台
身体のサイズに合わせて犬用食器・食器台を選びましょう。基本的には子犬時に購入し、成長したら成犬時のサイズに合わせて再度購入することになると思います。
大型犬は体高が高いので、食器台の高さには注意が必要です。
5.犬用ブラシ
長毛種の場合、毛玉を放置してトリミングへ行くと、プラスで数万円請求されることもあり得ます。大型犬の毛玉取りは1日仕事になるからです。ですから、毛質に合わせたブラシで毎日ブラッシングして毛玉を防止しましょう。
6.犬用ブロワー
先代犬のバーニーズマウンテンドッグをシャンプーしたときは、人間用のドライヤーで乾かすのに2時間前後かかりました。しかも長時間の使用に耐えられず、すぐに壊れました。このようなことから大型犬の長毛種を飼うなら、風圧で水分を吹き飛ばす犬用ブロワーをおすすめします。
これに買い替えることで乾燥時間が2分の1以下になりました。価格は数万円しますが、10年以上使用すると考えれば安いものではないでしょうか。
ちょうど10年使用しているブロワー。もうこれ無しにはシャンプーする気になれない
大型犬が快適に暮らせる住まいとは?
賃貸物件でも「大型犬可」はある!
「大型犬=持家の一戸建て」というイメージが強いと思います。しかしそんなことはありません。ホームズで大型犬を飼える賃貸物件を探してみます。「大型犬相談可」とキーワード検索をすると3,000件弱の物件が見つかりました。
ただし、そのすべてがどんな大型犬でも飼育可能というわけではないので、詳しくは各物件の備考欄で確認するか、掲載している不動産会社に問合せてみましょう。
大型犬可であることが記載されている備考欄の例
また、「小型犬可」の物件がどうしても気に入ってしまった場合は、交渉することで「大型犬可」になる可能性もあります。これは「中型犬」のケースですが、知人の体験談をご紹介します。
知人は地方の賃貸一戸建てに住む転勤族で、中型犬であるボーダーコリーを2頭飼っていました。そんな数年前のこと、辞令が出て首都圏勤務となりました。慌てて賃貸物件を探しましたが、どこも「小型犬可」で門前払い。
そこで「ダメで元々」と気に入った物件のオーナーに、自分の犬がいかにしつけできているのか、ボーダーコリーがどれだけ賢いかをアピールしました。確かにボーダーコリーはある調査で、もっとも知能が高い犬種とされています。そして交渉の結果、無事に入居の許可が出ました。
知人がその理由をオーナーに尋ねたところ、たまたま犬好きでボーダーコリーのことをよく知っており、さらにその当時、ほかの入居者が飼っていた小型犬の鳴き声が酷くてうんざりしていたそうです。今でも知人はその物件に住んでいます。ただし、アピールした手前、今まで以上に鳴き声やしつけに注意していると言っていました。
分譲マンションでも可能性ゼロではない
分譲マンションも「大型犬可」で検索すると数十件の物件が見つかります。数はかなり少ないですが、検索するだけなら簡単なのでやってみる価値はあると思います。
なお、こちらで交渉する場合、相手は管理組合となるので成功の可能性は非常に低いと思います。
確実なのはやはり持家の一戸建て
大型犬を確実に飼えるのは、やはり持家の一戸建てです。注文住宅なら大型犬専用の仕様にすることも可能です。中古物件でも大型犬が快適に暮らせるようにリフォームできます。
特に注目したいのは床です。大型犬の場合は、骨盤と後肢の骨が正常に噛み合わなくなる股関節形成不全という遺伝性疾患を持っている場合が多く、知人のバーニーズマウンテンドッグのように歩けなくなるケースもあります。この症状を悪化させる原因のひとつが滑りやすい床です。
わが家のバーニーズマウンテンドッグの場合は、ほとんど最期まで歩くことができましたが、それでも11歳を過ぎてからは足腰が弱くなって滑りやすい床では立ち上がれなくなりました。このようなことから大型犬を飼うなら、床は無垢材フローリングやタイルといった滑らない素材にした方がいいと思います。
予算の都合で難しいなら既存の床の上に貼れるカーペットやコルクタイルがおすすめです。
わが家のリビングの床は耐傷仕様のフローリングだったが、先代犬を迎えて数ヶ月で傷だらけになった。しかも滑るので現在の愛犬を迎える前にタイル床にリフォームした。6年経ったが、ほとんど傷はついていない
しつけはどうする?
しつけとは「他人に迷惑をかけず、不快にも思われないように教え込むこと」
力が強い。鳴き声が大きい。大型犬は、基本的なしつけができていないと大変なことになります。とはいえ、ほとんどの大型犬は、性格がおとなしいのでこちらから攻撃しない限り牙を剥くことはありません。
ですが、毎朝の散歩時にリードを引っ張って、飼い主が凧のようにすっ飛んでヘトヘトになっている姿や、観光地などで人の食べているものを横取りしているシーンなどは何度も見たことがあります。なかにはダイニングテーブルの脚をかじってちゃぶ台のように短い脚にする、車中の留守番時に助手席をかじって骨組みだけにする大型犬もいました。
辞書で「しつけ」を引くと「礼儀作法をその人の身につくように教え込むこと」とあります。「礼儀作法」を引くと「人と人との関わりで当然その場面でしかるべきとされる行儀・作法のこと」とあります。そこで私は犬のしつけとは、「他人に迷惑をかけず、不快にも思われないように教え込むこと」だと考えています。
そういった意味では、手前味噌で本当に恥ずかしいのですが、先代犬も現在の愛犬もしつけはうまくできたと思っています。ここでは、その体験談をご紹介しましょう。
しつけにおいては次の5つを徹底してきました。
- リードを引っ張らない
- 無駄吠えをしない
- 勝手に食べない(拾い食いしない)
- 噛まない
- 留守番できる
これらを実現するために最初に行ったのは、本を読むことです。当時はアメリカのドッグトレーナー、シーザー・ミランの本が売れており、彼の教えを徹底的に実践しました。その結果、先代犬は2年程度でほとんどマスターしました。
しかし「リードを引っ張らない」だけは、どうにもなりません。こちらがいくら立ち止まろうが、方向転換しようが、ブレーキの壊れたダンプカーのように引っ張って引っ張って引っ張りまくります。「この子はきっとバカなんだ」「だから一生治らないかも」と何度くじけそうになったことか――。
若い頃の先代犬は、「リードを引っ張る」「妻に甘噛みをする」「友人に体当たりをしてダウンジャケットを破る」とかなりやんちゃだった
ところが、3歳を過ぎた辺りから状況が変化してきました。徐々にですがリードを引っ張らなくなり、サーフィンの合間に砂浜でノーリードにしても10m以上は離れなくなりました(周囲に誰も居ません)。
離れないので声が届く。すると呼び戻しもできるようになりました。そして、その頃から先代犬が私の目をよく見ていることに気がつきました。
散歩をしているときに私より前に出ると振り返る。ノーリードにすると一瞬ダッシュするがすぐに振り返る。その様子は彼が、「お父さん、ここまではいい?」と許可を求めているようにも、「どうせ自分の思う通りにはならないんでしょ」と諦めているようにも見えました。
3歳という年齢は、ちょうど落ち着く時期といわれています。だからといって何もしなくても自動的にいい子になるはずはありません。したがって、3歳はそれまで積み重ねてきたしつけの結果が表れる時期だと思います。
そして5歳になる頃には、散歩のときはこちらと頻繁に目を合わせて歩調を合わせるようになり、排泄や苦痛といった緊急事態以外は、ほとんど自己主張せずにこちらの生活のリズムに合わせるようになりました。印象としては、ずっと親子喧嘩ばかりしてきたのに突然「おやじ、初任給が出たから飲みに行こう。おごるよ」と言い出したくらいの感動です。
それから天国へ旅立つ12歳までの7年間は、毎日がぽかぽかの春の日差しの中で暮らしているような心地よい関係を続けることができました。
3歳で落ち着き始め、5歳でなにも言わなくてもこちらの気持ちが分かる、まさに「相棒」といえる存在になった。
継続は力なり。しつけを投げ出さないで本当に良かったと思っています。現在の愛犬は、この経験もあって2歳になる頃には同じように落ち着いた関係を築くことができました。
現在の愛犬は、そもそもおとなしいので苦労知らず(本当はもう少しはしゃいでほしい……)
しつけがうまくいった理由をまとめると、以下の3つになると考えています。
- やり切る
- 無視する
- 愛する
1年でも2年でも3年でもリードを引っ張られたら方向転換をやり切る。「遊んで」「さびしい」と吠えても根負けしないで無視をする。だからといって雑に扱うのではなく、毎日遊んであげ、定期的に健康診断にも行くといったように愛する、ということです。
専門書等を読むと、犬が吠える理由のほとんどは「要求を通したいとき」か「恐怖を感じているとき」。先代犬はリビングで仕事をしていると私の太ももにパンチを繰り出し、遊びを要求して耳をつんざくほど吠えた。それでも徹底的に無視。2週間ぐらい経つと「そろそろ休憩して一緒に遊びませんか?」と吠えずに目で訴えるようになった
大型犬と「飼い主とペット」以上の関係になろう!
大型犬に限らず犬は接し方によってペット以上の存在になります。きちんと意志疎通ができるようになれば、「子ども・親友・伴侶・相棒・パートナー・右腕・仲間」になり得るのです。
さらに自宅内にいる大型犬の存在感は、体験してみないと理解できないと思います。普段はおとなしく、いることさえ忘れてしまいますが、立ち上がって「のっし、のっし」と歩きはじめると、どうしても目がそちらに向いてしまいます。
たまに大きな身体を枕代わりにして昼寝をすることもありますが、その間ずっとじっとしています。この大きさとやさしさがたまりません!
大型犬に興味がある人は「自分には無理」「賃貸だから」とは考えず、一度本気で検討してみてはいかがでしょうか。
もう大型犬無しの生活には戻れない――
記事執筆
椎名前太
フリーライター、宅地建物取引士、ペット共生住宅管理士。 平日は住宅・不動産を得意とするフリーライター。ブックライティングの実績は50冊以上。