人生、すべてが順風満帆、何も困ったことはないという方はいないと思います。長い人生、大なり小なり、何かしら問題は起こるものです。
本記事では、人生のリスクについて確認し、リスクへの備え方についてご説明致します。
この記事はこんな人向け
- 人生のリスクに備えたいと思っている方
- 保険への考え方について正しい理解をしたい方
火災になる確率、入院する確率、ご自身が死亡する確率は?
誰しも、病気やケガをしたり、火災にあったり、最悪の事態が起きてしまったり、と何かしらの問題が発生することがあり得ます。そういったリスクについて、実際にはどのくらいの確率で発生しているのか、少し具体的に確認してみましょう。
まず、火災について確認してみましょう。消防庁の火災統計によると、2020年の1年間で発生した住宅火災は10,564件でした。1件の火災で複数世帯へ影響が起きている可能性はありますが、ここでは単純に世帯数、5,738万世帯(総務省:住民基本台帳に基づく世帯数、令和2年1月1日現在)で割り算してみると0.0184%となります。
続いて入院する確率はどのくらいでしょうか。平成29年(2017)患者調査(厚生労働省)によると、人口10万人あたりの入院者数は50~54歳男性の場合、628人となっていますので0.628%ということになります。ちなみに高齢、例えば80~84歳男性の場合には3,818人ですから3.818%ということになります。80代前半では、高齢といっても入院する方は5%にも満たないようです。
また、人生で一度しか起こることのない死亡のリスクです。よく万が一と言われますが、実際にはどのくらいの確率で起こるのでしょうか。令和2年簡易生命表(厚生労働省)によると、50歳男性が51歳までの間に死亡する確率は0.245%となっています。万が一であれば、0.01%ですから、24倍くらい高いことになります。ちなみに、死亡する確率がちょうど万が一(0.01%)になるのは男性の場合12~13歳、女性の場合14~15歳です。
最後に、風邪をひく確率を考えてみたいと思います。最近はコロナ禍により、手洗い、うがい、マスクの徹底で風邪をひく方も減少しているのではないかと思いますが、例えば、2年に1回は風邪をひくという方の場合、これまで同様に1年あたりに発生する確率に換算すると50%ということになります。死亡リスクより高いのはもちろんですが、入院と比較しても明らかに発生する確率は高くなりますね。
リスクの種類とその対処方法
このようにリスクと一言で言っても、その種類は多岐にわたり、それが発生した場合に被る損害金額もピンキリです。
そこで、発生する頻度を横軸に、発生した場合の損害金額を縦軸にして、日常生活における主なリスクを分類してみると、次のようになります(筆者がイメージで作成していますので、厳密なものではありません)。

最初に、右下にある風邪を考えてみましょう。年に1度か、数年に一度であったとしても、他のリスクと比べると発生する頻度は高いリスクと分類できます。しかし、風邪をひいたとしても、通常は薬を飲んで安静にしていればすぐに回復することが多いでしょう。治療代としてはかかったとしても数千円といった金額だと思います。
このように発生する頻度が高めであったとしても、損害金額が小さいリスクについては、発生しないよう低減・予防するような行動を取ることが適切な対処方法となります。
次に、左上のグループを見てください。死亡、火災、自動車事故など、発生する確率は低いものの、発生してしまったときの損害金額が大きいリスクです。死亡してしまった場合、その方によって経済的に支えられていた家族がいた場合には、その後の生活が困ってしまいますので、損害金額は非常に大きくなります(逆に言えば、経済的に誰かを支えているのでなければ(一般的にはシングルの方)、損害金額はありません)。
このように滅多に発生することはないものの、発生してしまったときには損害金額が非常に大きくなるリスクについては、保険のような相互扶助の仕組みを利用することが適切な対処方法になります。加入者みんなで掛け金を出しあって、実際に被害を受けた人に渡しましょう、ということです。
3つ目のリスクとして、左下のグループ、つまり滅多に発生しないものの、発生したとしてもそれほど大きな損害金額にはならないものがあります。ここでは盗難を挙げています。例えば5,000円の万年筆が盗まれた場合、損害金額は5,000円です。わざわざ保険に加入しているという方はいないと思います。
このように滅多に発生することはない上に、発生したとしても損害金額が比較的小さい場合には、そのリスクをそのまま保有しておくというのが適切な対処方法になります(もちろん盗難に対してはできるだけ盗難防止の措置を講じておくに越したことはありません)。パソコンや貴金属など、ある程度高額なものであれば盗難保険に加入するという方法もありますが、一般的なモノに対しては特に何もしていないかと思います。
最後、右上のグループは発生する確率が高い上に、発生してしまったら損害金額も大きくなるリスクです。図中にも挙げていますが、退避勧告、渡航中止勧告が出ている国にわざわざ旅行した場合、命の危険が高まることは明らかです。
このようなリスクに対しては、そのリスクが起きないように、できるだけ回避するというのが適切な対処方法になります。そもそもそういった国へ旅行しなければ起きないわけですから、起きる確率を自ら高めてしまうような行動はしない、ということです。
死亡リスクに備えるために知っておきたい優先順位とは?
これまでさまざまなリスクとその対処方法について説明してきましたが、ここでは具体的に死亡リスクについてもう少し詳しく見ていきたいと思います。
上では、死亡のような滅多に発生しないものの、発生したときには大きな損害金額になるリスクについては、保険で備えるとご説明しました。それはそのとおりなのですが、日本は国民皆保険、国民皆年金ですから、みなさん公的保険に加入されています。
つまり、保険といっても、次のような順番でご自身の加入状況を確認しておくことが大切です。

まずは公的な保障ということで、死亡の場合には、公的年金保険から遺族年金が支給されます。自営業、会社員で給付金額がかなり異なってきますので、万が一の場合のご自身(正確にはご遺族)が受給できる金額を確認しておきましょう。
その上で、会社員・公務員の方は、正確には保険ではありませんが、職場から死亡退職金、死亡弔慰金、遺児育英年金などのお金を受け取れる方もいらっしゃると思います。制度によっては数百万円から1,000万円を超える金額が支払われる場合もあるようです。職場の福利厚生としてどのような制度があるのか、確認しておきましょう。
ここまでの公的な保障、職場の保障を確認した上で、それだけでは遺族が生活していくには足りなそうだ、という場合には民間の生命保険を利用するとよいでしょう。ほとんどの方は遺族年金や職場の福利厚生をきちんと確認することなく、そのまま民間の保険に加入しているのではないかと思いますが、そうすると必要以上に加入してしまい、保険料が高くなってしまう可能性がありますので注意しましょう。
ここまでの考え方について、もう少し詳細を含めてまとめると次の図のようになります。

最後に
人生のリスクといってもさまざまなリスクがあります。お金によって解決・復旧可能なリスクもあれば、お金では解決しようもないリスクもあるかと思います。
リスクというと保険! と思われがちですが、リスクの種類に応じて適切な対処方法があることをご理解いただければと思います。
そして、保険を利用する場合であっても、公的な保障、職場の保障を確認の上、必要な分だけ民間の保険に加入していくことが大切だと考えています。ぜひ上手にお金を使い、より幸せな人生を送っていただければと思います。
記事執筆・監修
横田 健一
ファイナンシャルプランナー / 株式会社ウェルスペント 代表取締役
大手証券会社にてデリバティブ商品の開発やトレーディング、フィンテックの企画・調査などを経験後、2018年1月にFPとして独立。
「フツーの人にフツーの資産形成を!」というコンセプトで情報サイト「資産形成ハンドブック」を運営。家計相談やライフプラン・シミュレーションの提供を行い、個人の資産形成をサポートしています。