一人暮らしの高齢者が元気に生活を送るには、日常生活の小さな不便さを解消して、なるべくストレスが溜まらないようにすることが大切です。今回は、高齢者の一人暮らしで感じやすい不便さを解消してくれる便利グッズを紹介します。上手に取り入れて生活の質を高めましょう。
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一人暮らしの高齢者にとって、日常生活にはたくさんの小さな不便が存在しています。日常的に不便さを感じ続けていると、少しずつストレスが溜まっていくでしょう。以下で紹介する便利グッズを使えば、不便さが解消されてストレス軽減につながることが期待できます。

食べることは生活の基本であるものの、握力や手指の巧緻性(こうちせい)など身体能力が低下している高齢者にとって調理・食事は不便さを感じやすい時間でもあります。

ここでは、食にまつわる日常動作を快適にするグッズを紹介します。

 

なお、食器洗い乾燥機(食洗機)がある場合、紹介するグッズの中でも食洗機対応のものを選ぶと片付けが楽になるためおすすめです。

持ち手の向きを変えられる包丁

持ち手が可動式のハンドルになっており、上下に向きを変えられるのが特徴です。ハンドルの角度も自由に調節できるので、キッチンカウンターで立って使うのはもちろん、座って調理したい場合や包丁を持って調理するのが困難な人でも快適に使用できます。

取っ手付き食器

握力が低下していたり、手指が思うように動かせなくなっていたりする一人暮らしの高齢者にとって、食器を手に持ちながら食事をするのも難しく感じる場合があります。取っ手が付いた食器であれば、比較的小さな力で持ち上げられるため口に運びやすくなるだけでなく、食べ物をこぼしにくくなるため、掃除の手間もかからずストレスが軽減されます。

つかみやすい箸

握力や手指の巧緻性が低下すると、箸やスプーンなど細いカトラリーにストレスを感じることがあるでしょう。持ち手の形状が太いタイプや、ピンセットのように一膳が対になっているタイプなどであれば、楽に使えるためおすすめです。

キャップオープナー

飲み物を飲むとき、ペットボトルや缶、パウチなどの蓋がうまく開けられずにストレスを感じることもあるかもしれません。キャップオープナーを使うと軽い力でキャップを開けられて便利なうえに、ストラップ用の穴が開いているものを選べば、外出時にも持ち歩きがしやすく利便性が上がります。

入浴は毎日行いたい、という人も少なくないのではないでしょうか。特に冬の寒い時期は、体を温めるためにも湯船に浸かるのを習慣にしている人もいるかもしれません。

 

しかし、高齢の場合、入浴中は事故のリスクが高まります。便利グッズで入浴を快適にすることは事故の防止にもつながるでしょう。

滑り止めマット

浴室内での転倒防止に効果的とされるのが滑り止めマットです。浴槽の中に敷いておけば立ち上がるときに滑るのを防いだり、浴槽内での体勢を安定させたりできる効果があります。

 

洗い場に設置すれば、万が一転倒したときの衝撃を和らげられるかもしれません。

浴槽手すり

浴槽をまたぐ際や立ち上がる際はバランスを崩しやすいため、特に転倒に注意が必要です。

 

浴槽内での転倒を防止するには、ふちに手すりを設置することをおすすめします。浴槽の厚さに合わせて設置できるものや吸盤で浴槽に取りつけるものが主流で、簡単に設置できます。

浴槽内椅子・シャワーチェア

浴室内でも座って快適に過ごせるよう、椅子を置く方法もあります。

 

椅子には「浴槽で使用するもの」と「浴室で使うもの」の2種類があり、浴槽で使うものは吸盤で浴槽の底から動かないように設置できます。お湯に浸かる際に座るためだけでなく、浴槽を出入りするときの踏み台としても使用可能です。

 

一方、浴室で使う椅子は、背もたれや肘かけの有無などが商品によって異なるため、本人の姿勢を維持する力に合わせて適切なタイプを選びましょう。

起床時、寝床から立ち上がる動作は体に大きな負担がかかります。起き上がるたびにストレスを感じる人も多いのではないでしょうか。

手すり、センサーライト

一般的な市販のベッドにも対応した手すりを設置すれば、就寝時・起床時に体を支えられるため、起き上がる動作や寝転がる動作の負担が減って快適になります。

 

また、夜中にトイレへ行きたくなったときなど、ベッドの足元が暗いと転倒してケガをするリスクがあります。人の動きに反応して足元を照らすセンサーライトを設置すれば、寝ているときの暗さを保ちつつ、必要なときに足元のみを照らしてくれて安心です。

身体能力や体力が低下すると外出が億劫になりがちですが、部屋にこもっているとますます体が衰えていってしまいます。体力を維持するためにも、便利グッズを活用して適度な外出を心がけましょう。

 

外出時にこだわりたいのが靴です。着脱が楽な靴なら、しゃがんで靴を脱ぎ履きするという小さな手間が解消され、ストレスなく出かけられます。デザイン性を兼ね備えたものを選べば、外に出るのが楽しくなるかもしれません。

 

また、天候に左右されずに外出を楽しめるよう、杖にも傘にもなるステッキなどもおすすめです。杖と傘が一体化しており、雨が降り出したら分離して使用できるため荷物がかさばりません。雨予報の日でもわざわざ傘を別に持ち歩く必要がなく、雨の日の外出ストレスが軽減されるでしょう。

ほかにも、日常生活を送りやすくする便利グッズはたくさんあります。

 

背中に痛みやできものがあって軟膏薬・湿布を貼りたいものの、手が届かず上手に貼れない場合は、軟膏薬を表面に塗ったりクリップで湿布を挟んだりできる器具を使えば、一人で手の届かない箇所への薬の塗布や湿布の貼付ができます。

 

また、着脱時のストレスを軽減する靴下もあります。履きやすい靴下にすれば長時間足腰を曲げた姿勢を保つ必要がなく、体への負担を和らげられます。窮屈すぎない靴下は脱ぎ履きしやすいことに加え、高齢者にとって危険な足のむくみを予防する効果も期待できます。

 

ほかには、ボタンの文字が見やすいテレビリモコンもあります。一人暮らしの高齢者にとって、気軽に楽しめる娯楽の一つがテレビですが、視力低下や視野が狭まることによってリモコンの表示が見づらく、チャンネルや音量を変える際に不便さを感じるケースもあります。快適な生活を送れるように導入を検討してみましょう。

 

便利グッズがもたらす変化はいずれも小さなものですが、小さなストレスを無くすことの積み重ねが充実した生活につながります。

 

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紹介した便利グッズの中には、介護保険制度を利用してレンタルしたり購入したりできるものもあります。保険給付対象となるのは、介護や介助が必要な人が日常生活を送る、またはリハビリする際のサポートとなる特定の「福祉用具」です。レンタル・購入それぞれの主な対象種目は次のようになっています。

 

レンタル対象用品

  • 車椅子(付属品を含む)
  • 介護ベッド(付属品を含む)
  • 手すり
  • スロープ
  • 歩行器
  • 歩行補助杖 など

販売対象用品

  • 入浴補助用具(浴槽用椅子、浴室用椅子、浴槽用手すりなど)
  • 腰掛便座
  • 簡易浴槽 など

※参照:厚生労働省|介護保険における福祉用具

 

なお、福祉用具のレンタルは要介護度に応じて月ごとの給付限度額が決まっています。この給付限度額は、ほかの介護サービスに対する給付額と合算されるため、給付額の範囲内でどのメニューを利用するのかを検討する必要があります。

 

当制度に関しては、市町村が各地域に設置している地域包括支援センターで相談可能です。疑問点や不明点がある場合は自分たちだけで悩まず相談しましょう。

 

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日常の不満からくる小さなストレスを解消することは、生活の質の向上につながるでしょう。高齢者の一人暮らしでは生活の質を下げないことが重要です。

私たちが充実した生活を送るためには、「QOL(Quality Of Life:クオリティ・オブ・ライフ)」を高めることが大切です。QOLは日本語で「生活の質」を指します。ただ長く生きるのではなく、長い人生を健康的によりよく生きられるように、生活の質を高めていきましょう。

 

ケガや病気などによってできないことが増えると生活意欲が低下し、QOLが低下する要因になるでしょう。

生活の質は私たち全員が意識したいことですが、とりわけ高齢者こそ生活の質を高めることで、日常生活に喜びを感じられるため幸福度が増します。幸せに感じられるからこそ、明日も明後日も楽しく暮らしていきたいという意欲も増すでしょう。

 

高齢者は自分でできないことが増えると生活意欲の低下につながり、ますます身体能力や体力が低下し、それによってさらにできないことが増えるという悪循環が生まれかねません。そうなると介助・介護が必要な場面が増え、周囲の人の負担も重くなってしまうでしょう。

 

高齢者の生活の質を高めれば本人の生活意欲が増すだけでなく、周囲の人の負担軽減にもつながるのです。

高齢者の生活の質(QOL)を高めるには?

一人暮らしの高齢者の生活の質を高めるには、心身ともによりよい状態を維持することが重要です。そのためには、まず地域のコミュニティと積極的に関わることをおすすめします。地域ボランティアや自治会活動に関わることで、社会的な役割を得られます。すると「自分が生きている意義」を感じられるでしょう。

 

また、熱中できる趣味を見つけたり、日頃から適度な運動を行ったりすることも心身によい影響を与えます。バランスのとれた食事をして、体調を整えておくことも大切です。

ここまで紹介したように、便利グッズを取り入れたり地域のコミュニティに参加したりすることで生活の質を高めることはできますが、日々暮らす住まいが自分にとって不便であれば、そのことによってストレスを感じてしまうこともあるでしょう。

また、高齢者の場合は住宅のバリアフリー対応や設備など、特に気にしておきたいポイントもあります。

 

高齢になってからの住まい探しには難しい部分もありますので、高齢者歓迎の不動産会社や物件を中心に比較・検討していくとよいでしょう。詳しくはこちらの記事もご覧ください。

 

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LIFULL HOME’Sには高齢者が暮らしやすい物件や、高齢者が相談しやすい不動産会社を探せるページがありますので、活用してみてください。

 

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高齢者の一人暮らしではQOL(生活の質)を高めることが重要です。介助・介護の必要度や本人の得意・不得意に応じて、今回紹介した便利グッズを生活の中で上手に取り入れるようにしましょう。便利グッズで日常の小さなストレスを取り除けば、「自分でやりたい」と感じられるようになり、生活意欲の向上につながります。

 

便利グッズの力を借りながら「自分でできる」を増やしていくことで、一人暮らしの高齢者の生活の質を高めてくれるでしょう。

 

 

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