ウィークリーマンション(短期賃貸マンション)は、1週間単位の短期で借りられる賃貸物件です。
通常の賃貸物件とは異なり、短期での滞在に最適化されたサービス形態なので、「短期出張や旅行の拠点が必要」「住み替えで一時的な仮住まいを用意しなければならない」といった場合に便利です。
今回は、ウィークリーマンションの仕組みと特徴について詳しく見ていきましょう。
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ウィークリーマンションとは?

まずは、ウィークリーマンションの基本的な特徴やマンスリーマンションとの違いについて解説します。
ウィークリーマンションの仕組み
ウィークリーマンションは、2018年に施行された住宅宿泊事業法や旅館業法の改正により、30日未満でも賃貸物件を貸し出せるようになったことからスタートしたサービスです。
もっとも大きな特徴は、契約期間の短さにあります。“ウィークリー”と名付けられてはいますが、実際には1日からでも利用できる物件もあるので、さまざまな用途での活用が考えられます。
マンスリーマンションとの違い
ウィークリーマンションと類似したサービスに“マンスリーマンション”があります。どちらも「初めから生活に必要な家具・家電が備わっている」など、基本的な特徴や利便性に違いはありません。
契約や入金の流れ、鍵の受け渡し方法なども共通しており、明確に異なる点は最低契約期間のみといえます。そのため、基本的にはどちらも同じものとしてとらえ、利用期間に応じて適したほうを選択するといいでしょう。
賃料の課税に関するルールが異なる点に注意
ただ、マンスリーマンションとウィークリーマンションでは、賃料の課税に関するルールが異なります。
国税庁のホームページ(※)によれば、「住宅の貸し付け」は非課税となっており、基本的に一般的な賃貸物件の家賃や管理費・共益費には消費税がかかりません。
しかし、以下の2つのケースにおいては、住宅の貸し付けから除かれるとされています。
住宅の貸し付けから除かれるケース
- 貸付期間が1ヶ月未満
- 旅館業法第2条第1項に規定する旅館業に係る施設の貸し付けに該当する場合
まず注目しなければならないのは、2つ目のポイントである「旅館業法に規定する旅館業に係る施設」です。
これについては具体例として旅館やホテル、ウィークリーマンションなどが挙げられており、ウィークリーマンションは非課税の対象にはならないことが明記されています。
一方、マンスリーマンションの場合は住宅の貸し付けとみなされ、契約期間が1ヶ月を超えていれば、賃料に消費税がかかりません。ウィークリーマンションは1ヶ月以上借りても消費税がかかってしまうので、費用には差が生まれるケースに注意が必要です。
※ 国税庁「タックスアンサー(よくある税の質問)No.6226 住宅の貸付け」
ウィークリーマンションのメリット

ウィークリーマンションの特徴について、ここではまずメリットから掘り下げてみましょう。
一般的な賃貸物件と比較したときのウィークリーマンションのメリット
- 家具や家電が備え付けられている
- 電気やガス、水道などの契約手続きは不要
- 入居手続きが楽
- 引越しの手間がかからない
- 初期費用が安い
ウィークリーマンションと通常の賃貸物件を比較すると「家具や家電が備え付けられている」点や「入居手続きがシンプル」な点が大きなメリットです。
生活に必要なものはあらかじめ整えられているので、多くの荷物を運び入れることなく、すぐに新生活をスタートできるのです。
また、通常の賃貸物件のように、厳しい入居審査はありません。申し込みから入居手続きまでをインターネット上で完結できるので、気軽に利用しやすいのが特徴です。
なお、通常の賃貸物件では、入居するために「家賃4~6ヶ月分」の初期費用がかかります。それに対して、ウィークリーマンションでは敷金・礼金、仲介手数料などはかからず、契約期間に応じた清掃費のみで済むのが一般的です。
ホテルと比較したときのウィークリーマンションのメリット
- 炊事、洗濯が可能
- 自宅と大差ない生活ができる
- 自由に人を呼べる
- 一定期間以上滞在するなら利用料は割安
短期滞在ではホテルも有力な選択肢となりますが、ウィークリーマンションはより自宅に近い環境で利用できるのが特徴です。家具や家電が備え付けられているため、炊事や洗濯が可能であり、ホテルと違って来客時にフロントを通す必要もありません。
さらに、後ほど詳しく解説しますが、ホテルと比べて利用料が安く済むのもメリットです。
賃貸物件を探す マンスリーマンションを探すウィークリーマンションのデメリット

続いて、ウィークリーマンションのデメリットも見ていきましょう。
一般的な賃貸物件と比較したときのウィークリーマンションのデメリット
- 滞在期間が長いとコストが高くつく
- 途中解約の場合は違約金が発生することもある
- 必ずしも延泊できるとは限らない
もっとも大きなデメリットは、賃料の高さです。賃貸物件と比較すれば初期費用は安くなりますが、その分、賃料は高めに設定されているので、長期滞在をするとコストが高くついてしまうこともあります。
また、ウィークリーマンションは契約期間を最初に決めて、その分の賃料を前払いする仕組みとなっています。途中で解約しても、支払った金額は返還されない場合もあるので注意しましょう。
さらに、普通借家契約を結ぶ通常の賃貸物件とは異なり、ウィークリーマンションは自由に契約更新ができるわけではありません。契約期間の満了後は、希望どおりに延泊できない可能性もあるので注意が必要です。
ホテルと比較したときのデメリット
- 清掃等のサービスは利用できないのが一般的
- ゴミ出しのルールは物件ごとに決められている
ホテルの場合は、部屋の清掃やルームサービスなどを行ってもらえますが、一般的なウィークリーマンションでは自分で清掃や消耗品の補充などを行う必要があります。
また、ゴミ出しなどで共用部分を利用する際には、一般的な賃貸物件と同じように、物件ごとのルールを守らなければなりません。
ホテルよりお得? ウィークリーマンションの費用の仕組み

これまで解説したように、ウィークリーマンションを上手に活用すると、ホテルよりお得に泊まれるケースもあります。ここでは、ウィークリーマンションの費用の仕組みについて解説します。
ホテルとウィークリーマンションの費用比較
一口にホテルといっても、エリアやサービス内容、タイミングによって宿泊費には大きな差が生まれます。
今回は、新宿区の大手ビジネスホテルの料金を参考に、朝食などのサービス費用を差し引いて、「一泊8,000円」と仮定しました。そして、広さや立地条件が類似した新宿区のウィークリーマンション(※)と料金を比較してみましょう。
| 入居期間 | |||
|---|---|---|---|---|
1日 | 3日 | 1週間 | 30日 | |
ホテル | 8,000円 | 24,000円 | 56,000円 | 240,000円 |
ウィークリーマンション | 23,400円 | 30,800円 | 45,600円 | 130,700円 |
※ 賃料と光熱費、清掃費、レンタル布団セット利用料込で計算
両者を比較すると、今回のシミュレーションでは、3日程度の滞在であれば、入居時の清掃費がかかってしまうウィークリーマンションのほうがホテルよりも高くついてしまうことが分かりました。
一方、ウィークリーマンションの1日当たりの賃料は、管理費や光熱費を含めてもホテルより安く、1週間以上泊まるのであればお得になるという結果に。
また、今回参考にしたウィークリーマンションでは「定員が2名」とされています。上記の料金は1名分を基に計算していますが、2名に増えたとしても、追加料金は光熱費として1日当たり数百円、クリーニング代として契約時に1万円程度のみです。
そのため、2人で利用するのであれば、ホテルよりも大幅にお得な選択肢といえるでしょう。
ウィークリーマンションの費用の仕組み
ウィークリーマンションでは、水道光熱費や管理費、インターネット使用料などは日割り計算をするのが一般的です。そして、契約時には利用日数分の家賃と合わせてまとめて前払いする必要があります。
前述のとおり、契約期間より前に退去しても残りの家賃は返金されないことがあるので、あらかじめ解約に関するルールを確認しておきましょう。
また、契約期間内に誰かを泊めたり、居住人数が増えたりすると、料金が加算されるケースもあります。トラブルを避けるためにも、契約書にはきちんと目を通しておくことが大切です。
賃貸物件を探す マンスリーマンションを探すウィークリーマンションを利用するまでの流れ

ウィークリーマンションを契約するまでの流れは以下のとおりです。
契約するまでの流れ
- 物件を探す
- 空室状況を確認する
- 申し込み手続きを行う
- 利用料金を支払う
- 鍵の受け渡し・入居
ウィークリーマンションの申し込み手続きは、インターネット上で手軽に行うことができます。インターネット上の物件情報には、立地や料金体系、細かな案内が記載されているので、希望の条件に合っているかを確認しましょう。
なお、通常の賃貸物件と違い、内見はできないケースがほとんどなので、掲載されている写真で室内をよくチェックすることが大切です。その後、空室確認を行い、空きがあれば専用の入力フォームやメールを通じて申し込み手続きを行います。
申込者の名前や住所・連絡先などを入力して、身分証明書のコピーを提出すると、そのまま簡易な審査が行われます。基本的には郵送やメールなどでやりとりが行われるため、管理会社に足を運ばなくても手続きが完了するのが便利なポイントです。
審査に通過した後は、契約書を取り交わし、利用料金を振り込みやクレジットカード決済などで支払います。問題なく手続きが完了すれば、鍵の受け渡し・入居となります。
鍵の受け取りについては、カードキーの郵送、暗証番号の通知など、物件によっても仕組みが異なります。管理会社へ訪れなくても受け取れるようになっているケースが多いので、事前に受け取り方を確認しておきましょう。
まとめ

- ウィークリーマンションは数日~1週間単位での短期利用が可能
- 家具や家電などが備え付けてあり、インフラの手続きも不要なのですぐに入居できる
- 1週間程度滞在するなら、ホテルよりお得な場合もある
- 費用は前払い制が基本であり、途中解約しても返還されないことが多い
- 必ずしも延泊できるとは限らないので、利用期間を明確にしておくことが大切
更新日: / 公開日:2022.02.28










