- 「楽器可」物件には防音設備がないケースがある
- 楽器可(相談)物件は、周辺の騒音が大きいなどの理由で大家さんが演奏を許可しているだけで、防音設備が整っているとは限りません。防音性が不十分な部屋で大きな音を出すと隣人トラブルに発展するリスクがあるため、自分の出したい音の大きさと物件の防音性能が釣り合っているかの見極めが重要です。
詳しくは、「「楽器可(相談)」物件は防音性が高いわけではない」をご覧ください。 - 防音室付き賃貸の家賃は一般物件の2〜3割高い
- 防音室付き賃貸は、高価な遮音材や特殊な換気設備を使用しているため、周辺の一般的な物件と比べて家賃が2〜3割ほど高く設定されます。また、特殊な壁紙や床材の原状回復費用を考慮し、敷金が家賃の2〜3ヶ月分など多めに設定されるケースもあるため、初期費用を含めた資金シミュレーションが必要です。
詳しくは、「防音室付き賃貸の家賃相場と初期費用の目安」をご覧ください。 - 後付けの防音室設置や工事には多額の費用と退去時リスクがある
- 普通の賃貸物件に組み立て式防音室を設置する場合、性能やサイズにより約10万〜100万円以上の費用がかかります。専門業者に防音工事を依頼する場合は大家さんの許可が必須であり、退去時には自費で元の状態に戻す原状回復義務が生じるため、最初から防音物件を選ぶ方がトータルで安く済むケースが多いです。
詳しくは、「普通の賃貸物件に防音室は後付けできる? 自作・工事の方法と費用」をご覧ください。
賃貸物件で「楽器の演奏を楽しみたい」「大きな音で映画や動画配信を楽しみたい」と考えたとき、真っ先に候補となるのが防音室付き賃貸です。
しかし、家賃の高さや物件数の少なさから、「楽器可物件との違いは?」「普通の部屋に防音室を後付けすることはできる?」と悩む方もいるでしょう。
この記事では、防音室付き賃貸の家賃相場や「楽器可(相談)」物件との違い、内見時のチェックポイントを詳しく解説します。
さらに、一般の賃貸物件に防音室を自作・工事する方法や費用目安についても紹介します。
防音室付き賃貸とは? 「楽器可(相談)」物件との違い
防音室付き賃貸は「音を遮断する特別な構造・設備を持った物件」であるのに対し、楽器可(相談)物件は「必ずしも防音設備があるわけではなく、大家さんが楽器の持ち込みや一定の演奏を許可しているだけの物件」という決定的な違いがあります。
防音室付き賃貸の特徴と防音性能の目安(D値)
防音室付き賃貸とは、建物の壁や床、天井、窓などに特殊な防音材や遮音材を使用し、室内の音が外部へ漏れにくく設計された物件のことです。
具体的には、壁の中に空気の層を設ける「中空二重構造」や、窓に二重サッシ・三重サッシを採用するといった工夫が施されています。
防音性能を比較する際、客観的な指標となるのが「D値(空気音遮断性能)」です。D値とは、日本建築学会などが用いる遮音等級のことで、数値が大きいほど遮音性能が高いことを示します。
たとえば、ピアノや金管楽器の演奏を目的とする場合、一般的に「D-50」から「D-55」程度の性能が推奨されます。
D-50の部屋でピアノ(約90デシベル)を弾いた場合、隣の部屋に聞こえる音は約40デシベル(図書館の静けさ程度)まで軽減される計算になります。
本格的な防音物件を探す際は、不動産会社にこのD値の目安を確認してみましょう。
「楽器可(相談)」物件は防音性が高いわけではない
一方、物件検索サイトでよく見かける「楽器可(相談)」物件は、防音設備が整っているとは限りません。
「近くに線路や幹線道路があり、もともと外の騒音が大きいため、楽器の音も気になりにくい」
「建物の入居率を上げるために、条件を緩和して楽器演奏を許可している」
といった理由で楽器可となっているケースも多く存在します。
そのため、防音対策がされていない楽器可物件で夜遅くに大きな音を出せば、隣人トラブルに発展するリスクが十分にあります。
「自分の出したい音の大きさ」と「物件の実際の防音性能」が釣り合っているかを、契約前にしっかりと見極めることが大切です。
防音室付き賃貸の家賃相場と初期費用の目安
防音室付き賃貸の家賃相場は、周辺にある同条件(広さ、築年数、駅徒歩など)の一般的な賃貸物件と比べて、およそ2〜3割ほど高く設定されているのが一般的です。
家賃が高くなる理由は、建設時に高価な遮音材や特殊な換気設備を使用しているため、建築コストがかかっているからです。
また、物件の絶対数が少なく希少価値が高いことも、家賃が下がりにくい要因となっています。
さらに、初期費用にも注意が必要です。一般的な賃貸物件の初期費用は「家賃の4〜6ヶ月分程度」が目安とされますが、防音物件の場合は敷金が多めに設定されている(家賃の2〜3ヶ月分など)ケースがあります。
これは、特殊な壁紙や床材を使用しているため、退去時の原状回復(クリーニングや修繕)に通常以上の費用がかかるリスクを大家さんが考慮しているためです。
家賃だけでなく、敷金や礼金を含めたトータルの初期費用を事前にシミュレーションし、無理のない資金計画を立てることが重要です。
楽器可(相談)物件 鉄筋コンクリート造の物件
失敗しない! 防音室付き賃貸の探し方と内見のポイント
防音物件を探す際は「鉄筋コンクリート造(RC造)」を大前提とし、内見では「実際の音の伝わり方」を自分の耳で物理的にチェックすることが重要です。
構造は鉄筋コンクリート造(RC造)を選ぶ
建物の構造は、大きく分けて木造、鉄骨造、鉄筋コンクリート造(RC造)の3つがありますが、最も防音性能に優れているのは鉄筋コンクリート造です。
コンクリートは質量が大きく密度が高いため、空気中を伝わる音を遮断する能力に長けています。
楽器演奏や本格的なオーディオ鑑賞を目的とするなら、木造や鉄骨造は避け、RC造(または鉄骨鉄筋コンクリート造:SRC造)に絞って物件を探しましょう。
内見での具体的な確認手順
図面上やD値のデータだけでなく、実際の部屋で音の響きや漏れを確認することがトラブル防止の鍵です。
内見の際は、不動産会社の担当者や友人などに同行してもらい、以下の手順でチェックを行いましょう。
室内で音を出して外で聞く
一人が室内でスマートフォンから大きめの音量で音楽を流すか、手を強く叩き、もう一人が共用廊下や窓の外に立って、どの程度音が漏れているかを確認します。
壁を叩いてみる
壁を軽くノックしてみて「コンコン」と軽く響く音がする場合は、壁が薄く音が抜けやすい可能性があります。「ペチペチ」と詰まった音がすれば、コンクリートがしっかり詰まっている証拠です。
開口部(窓・ドア)の隙間をチェック
音は隙間から漏れます。玄関ドアのパッキンに劣化がないか、窓が二重サッシになっていて隙間なく閉まるかを確認します。
LIFULL HOME’Sが取材した人気の「音楽マンション」の事例(※)では、一般的な防音構造に加え、屋外の騒音を入れず室内の音も漏らさない「特殊な遮音換気装置」が各戸に導入されているなど、細部まで音への配慮がなされています。
内見時は、壁や窓だけでなく換気口の形状にも注目してみるとよいでしょう。
※参考:LIFULL HOME’S PRESS「楽器演奏を楽しめる賃貸住宅。平均入居率99.3%、「音楽マンション」の人気の理由とは」(2019年公開)
普通の賃貸物件に防音室は後付けできる? 自作・工事の方法と費用
条件に合う防音室付き物件や楽器可物件が見つからない場合、通常の賃貸物件に「組み立て式防音室」を設置したり、専門業者に防音工事を依頼したりすることで後付けすることは可能です。
組み立て式防音室の設置と費用相場
現実的で手軽な方法は、部屋の中に独立した「組み立て式防音室(防音ブース)」を設置することです。
広さは0.5畳の電話ボックスサイズから、グランドピアノが入る2畳〜3畳以上のものまでさまざまです。
楽器メーカーなどが販売している組み立て式防音室の価格目安は、安価な段ボール・吸音材パネル製のもので約10万〜20万円、しっかりした防音性能を持つグラスウール・遮音パネル製のもので約30万〜100万円以上となります。
大がかりな工事が不要で、引越しの際に解体して持っていける点が大きなメリットですが、部屋の一部を占有するため生活スペースが狭くなることや、重量があるため床の耐荷重に注意する必要があります。
防音性能については素材や大きさによってバラつきがあり、期待していたほどの効果が得られないこともあります。
また、原状回復においては特に問題がなくても、許可なく利用していれば思いがけないトラブルになってしまうこともあります。
そのため、市販の防音室を導入する際にも、きちんと事前に大家さんの許可をとっておきましょう。
専門業者による防音工事のリスクと注意点
一般の賃貸物件の壁に吸音材を貼り付けたり、窓を二重サッシに変更したりする防音工事を専門業者に依頼することも可能です。
費用は施工範囲によりますが、部屋全体を本格的に防音化する場合は100万円を超えることも珍しくありません。
ここでもっとも注意しなければならないのが「大家さんの許可」と「原状回復義務」です。賃貸物件では勝手に建物の構造を変えることは契約違反となります。
また、大家さんの許可を得て工事をした場合でも、退去時には「借りたときの状態に戻す(原状回復)」義務があり、設置費用に加えて多額の解体・修繕費用がかかります。
結果として、自分で工事費用と修繕費用を負担するよりも、最初から家賃が少し高くても「防音室付き賃貸」を借りた方が、トータルの出費や手間を抑えられるケースが多いのです。
楽器可(相談)物件 カスタマイズ可の物件
防音室付き賃貸を利用する際の注意点・ルール
防音室付きの物件であっても、完全に音が消える魔法の部屋ではありません。入居後の騒音トラブルを防ぎ、快適に過ごすための注意点を解説します。
完全な無音にはならない! 防音性能を過信しない
どれほど優れた防音設備であっても、すべての音を完全にゼロにできるわけではありません。
たとえば、高い防音性を誇る「音楽マンション」の事例(※)では、ピアノの演奏音(約90デシベル)に対して60デシベルの遮音性能を備えることで、隣の部屋に聞こえる音を約30デシベル以下(深夜の住宅地と同等の静けさ)まで抑え込む構造が紹介されています。
しかし、これは「完全な無音」を意味するわけではありません。重低音が響くドラムやアンプを通したベースなど、楽器の種類によっては遮音しきれないケースもあります。
また、深夜や早朝など周囲が静まり返った時間帯には、わずかに漏れる音が響いて聞こえるリスクもあるため、防音性能を過信せず、夜間の演奏を控える、床に防振マットを敷くといった自主的な配慮を組み合わせることが大切です。
※ 参考:LIFULL HOME’S PRESS「楽器演奏を楽しめる賃貸住宅。平均入居率99.3%、「音楽マンション」の人気の理由とは」(2019年公開)
演奏時間のルールや搬入経路の制限を確認する
防音物件や楽器可物件では、「楽器の演奏は午前9時から午後10時まで」といった明確な利用ルールが規約で定められていることがほとんどです。
また、演奏できる楽器の種類が制限されている場合もあります。
金管楽器や打楽器は禁止されていたり、グランドピアノのように重量があり搬入経路(エレベーターのサイズや階段の幅)の確保が難しい楽器は持ち込みを断られたりすることがあります。
内見の段階で、自分が使いたい楽器や機材が持ち込み・使用可能かを必ず管理会社に確認しましょう。
気密性が高いため、こまめな換気・湿気対策が必要
防音性能を高めるために窓やドアの隙間をなくしている防音室は、一般的な部屋に比べて気密性が高く、空気が滞留しやすいという特徴があります。
これにより室内の湿度が上がりやすくなり、大切な楽器や音響機材、壁紙などにカビが発生する原因となります。
24時間換気システムを常に稼働させる、定期的にドアを開けて空気を入れ替える、除湿機を設置するなど、こまめな湿度管理を心がけてください。
まずは実際の募集物件を見て、自分の予算内でどのような部屋が借りられるのか相場感をチェックしてみましょう。
楽器可(相談)物件 鉄筋コンクリート造の物件
よくある質問
Q.1 防音室付き賃貸と「楽器可」物件の違いは何ですか?
A.1 防音室付き賃貸は、音を遮断するための特殊な壁や二重サッシなどの設備が整った物件です。一方、「楽器可」物件は大家さんが楽器の持ち込みを許可していますが、防音設備が施されているとは限りません。そのため、楽器可物件で大きな音を出すと騒音トラブルになるリスクがあります。
Q.2 防音室付き賃貸の家賃はどれくらい高いですか?
A.2 防音室付き賃貸の家賃は、周辺にある同じような条件(広さ・築年数など)の一般的な賃貸物件と比べて、およそ2〜3割ほど高く設定されているのが一般的です。また、退去時の原状回復リスクに備えて敷金が多めに設定されるケースもあります。
Q.3 賃貸物件の内見で防音性能を確かめる方法はありますか?
A.3 室内でスマートフォンから大きめの音を出したり、手を強く叩いたりして、同行者に共用廊下や窓の外で音漏れ具合を聞いてもらう方法が有効です。また、壁を軽く叩いてコンクリートが詰まった音がするかどうかや、窓やドアに隙間がないかもチェックしましょう。
Q.4 普通の賃貸物件に防音室を自作・後付けできますか?
A.4 部屋の中に「組み立て式防音室」を設置することで後付けは可能です。費用は素材やサイズにより約10万〜100万円以上かかります。ただし、床の耐荷重に注意が必要なほか、壁や窓の防音工事を行う場合は大家さんの許可と退去時の原状回復(修繕)が必須となります。
Q.5 防音室付きの物件なら、24時間いつでも楽器を演奏していいですか?
A.5 防音室付きであっても、完全に音が漏れないわけではないため「楽器の演奏は午後10時まで」などのルールが規約で定められていることがほとんどです。また、持ち込める楽器の種類や重量に制限があるケースも多いため、事前に確認が必要です。
楽器可(相談)物件 カスタマイズ可の物件 鉄筋コンクリート造の物件
更新日: / 公開日:2020.11.18










