宅配ボックスの基本的なメリット・デメリット
宅配ボックスには機械式・電気式の2タイプがあり、いつでも荷物を受け取れる利便性や、配達員と対面せずに済む防犯面の安心感が大きな魅力です。一方で家賃がやや上がりやすいことや、共同利用ならではのトラブルが起こりうることも事実。まずは▶ LIFULL HOME'Sで宅配ボックス付き物件を見てみるながら、両方の側面を確認していきましょう。
見落としがちな「落とし穴」
「宅配ボックスあり」と表示されていても、設置台数が住戸数に見合っていなかったり、築年数によって設置率が大きく変わったりすることは意外と知られていません。実際、築30年を超える物件では9割が未設置というデータもあります。表示だけで判断すると後悔しかねないポイントを、実際のデータとともに解説します。
後悔しないための判断基準
内見や物件比較の際に確認しておきたいチェックポイントを表にして紹介します。宅配ボックスの優先度が高い人・そうでない人の見分け方から、設置台数や築年数との関係、方式の確認ポイント、設置されていない場合の代替策まで、内見の場でそのまま使える判断軸として整理しました。

「荷物が届いているはずなのに、玄関に何もない」「また再配達を頼まなきゃ……」。ネットショッピングが暮らしの一部になった今、こうした小さなストレスに心当たりのある人は多いのではないでしょうか。その悩みを大きく左右するのが、物件に「宅配ボックス」があるかどうかです。ただし、宅配ボックスさえあれば安心、というわけでもありません。ここでは、メリット・デメリットの両面と、後悔しない物件選びのために知っておきたい判断基準を、データを交えながら整理していきます。
宅配ボックス付き物件を探すオートロック付き物件を探す管理人常駐の物件を探す

宅配ボックスとは、マンションやアパートの共用部などに設置され、不在時でも荷物を受け取れる設備のことです。1世帯につき1台ではなく、同じ建物の住人同士で共同利用するのが一般的で、方式によって使い勝手が大きく異なります。

現在流通している宅配ボックスは、大きく「機械式」と「電気式」の2種類に分けられます。両者の違いを整理すると、次のようになります。

項目機械式(ダイヤル式)電気式(電子式)
解錠方法配達員がその場で設定した暗証番号をダイヤル入力あらかじめ登録した暗証番号やカードキーで解錠。2段階認証の場合も
到着の通知基本的になし(不在票で確認するのみ)メールなどで到着通知を受け取れる機種が多い
セキュリティ不在票を第三者に見られると悪用されるリスクがある番号が外部に流出しにくく、比較的安心
設置・維持コスト比較的安価で、電気代もかからない配線工事や電気代、システム利用料がかかることがある
向いている物件小〜中規模の賃貸アパートなど大規模マンション・タワーマンションなど

一見すると些細な違いに見えますが、暗証番号の入力ミスや不在票の読み間違いといった宅配ボックストラブルの多くは、実はこの「機械式」に起因しています。内見の際にどちらの方式が採用されているかを確認しておくと、入居後のトラブルを未然に防ぎやすくなります。

宅配ボックスが注目される背景には、個人の好みだけでは片付けられない社会的な事情があります。経済産業省の調査によると、2024年の国内BtoC-EC市場規模は26兆1225億円(前年比5.1%増)に達し、うち物販系だけでも15兆2194億円に上ります(出典:経済産業省「令和6年度電子商取引に関する市場調査の結果」)。ネット通販の拡大は、そのまま荷物の受け取り機会の増加を意味します。

 

一方で、物流業界はドライバー不足という深刻な課題を抱えています。国土交通省によれば、宅配便の取扱個数は平成22年度の約32.2億個から令和5年度には約50.7億個へと急増しており、再配達は年間およそ6万人分のドライバー労働力に相当し、CO2排出量も年間約25.4万トンにのぼると試算されています(出典:国土交通省「宅配便の再配達削減に向けて」)。

 

実際、直近の再配達率は令和7年10月時点で約8.3%まで改善してきているものの、依然として国を挙げた対策が続けられています(出典:国土交通省「令和7年10月の宅配便の再配達率は約8.3%」)。国は2030年度までに置き配や宅配ボックスといった「多様な受取方法」の利用率を、令和7年2月時点の25.6%から50%程度まで引き上げる目標も掲げています(出典:国土交通省「宅配便の再配達率サンプル調査について」)。

 

つまり宅配ボックスは、個人の利便性だけでなく、物流という社会インフラを支える仕組みの一部でもあるのです。この視点を知っておくと、「なぜ人気設備なのに、まだ十分に普及していないのか」という次章以降の疑問もつながりやすくなります。

宅配ボックス付き物件を探す

社会的な背景を踏まえたうえで、実際に暮らしのなかで感じられるメリットを見ていきましょう。

もっとも大きなメリットは、受け取りのタイミングを自分でコントロールできることです。仕事や外出で在宅時間が読めない人でも、帰宅後の好きなタイミングで荷物を取り出せます。再配達の依頼手続きや、休日に「荷物が届くまで外出できない」という待機のストレスからも解放されるでしょう。特に、勤務時間が不規則なシフト勤務の人や、外出の多いリモートワーカーにとっては、日常のちょっとした負担が着実に減っていきます。

在宅していても、入浴中や来客対応中、オンライン会議中など、玄関に出づらいタイミングは意外と多いものです。宅配ボックスがあれば、そうした場面でも慌てて対応する必要がありません。

 

また、配達員を装って部屋に近づこうとする不審者がいないとは言い切れません。宅配ボックスへの投函を指定できれば、配達員と直接顔を合わせる機会そのものを減らせるため、一人暮らしの方、なかでも女性の入居者にとっては心強い防犯要素になります。セキュリティ面を重視するなら、オートロックなど他の防犯設備と組み合わせて探すのもおすすめです。

 

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意外と見落とされがちですが、宅配ボックスの利用は個人の利便性にとどまらない意味を持ちます。前述のとおり、再配達はドライバーの労働力換算で年間約6万人分、CO2排出量で年間約25.4万トンに相当すると試算されており(出典:国土交通省「宅配便の再配達削減に向けて」)、さらに再配達となった理由の約2割は「配達されることを知らなかった」という調査結果もあります(出典:同上)。

 

到着通知が届く電気式の宅配ボックスであれば、この「知らなかった」による再配達そのものを減らすことにもつながります。自分の荷物を一度で受け取ることが、回り回って物流全体の負担軽減に貢献しているというのは、日々の生活の中では意識しにくい、しかし知っておく価値のある視点です。

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便利な一方で、宅配ボックスにはあらかじめ知っておきたい注意点もあります。

宅配ボックスは人気設備であるがゆえに、設置されている物件は家賃や管理費がやや高めに設定される傾向があります。LIFULL HOME’Sが一都三県の賃貸物件(築40年以内・駅徒歩20分以内・専有面積15〜40平米未満)を対象に行った調査では、「設備条件なし」の家賃相場が月額7万円だったのに対し、「宅配ボックスあり」の物件は月額8万3,000円となり、月額で約1万3,000円、年間では約15万6,000円の差が生じていました(出典:株式会社LIFULL「『宅配ボックスあり』物件の市況調査」)。

 

同調査では「宅配ボックスあり」を検索条件で「必須」に設定する人が直近で6割近くにのぼる一方、実際に宅配ボックスが設置されている物件の掲載割合は4割程度にとどまるとも報告されており、需要に対して供給がまだ追いついていない状況がうかがえます。家賃の上乗せ分をどこまで許容できるか、他の希望条件とのバランスをあらかじめ考えておくと、内見時の判断がスムーズになります。相場感をつかみたい方は、▶ LIFULL HOME’Sで家賃相場を調べてみるのもおすすめです。

宅配ボックスの多くは、コインロッカー程度のサイズを想定して作られています。そのため、大型の家具・家電といったサイズの大きい荷物や、冷蔵・冷凍が必要な生鮮食品、書留や代金引換・着払いなど対面での受け渡しが前提となる荷物は、そもそも預けることができません。ネットスーパーや家具のまとめ買いを頻繁に利用する人は、この制約を事前に理解しておく必要があります。

宅配ボックスは住人同士の共同利用が前提のため、数に限りがあります。お中元やお歳暮のシーズン、セール直後などはボックスが満杯になり、配達員が荷物を持ち帰ってしまうケースも珍しくありません。また、機械式の場合は配達員が記入する暗証番号の書き間違いや読み違いによって開錠できないトラブルも起こりえます。万が一こうしたトラブルに遭遇した際の対処法は、「賃貸の宅配ボックストラブルとは? 開かない・届かない場合の対処法」で詳しく解説しているので、あわせて確認しておくと安心です。

叶えたい条件で賃貸物件を探す

ここまでのメリット・デメリットは、多くの解説記事でも触れられている内容です。しかし、実際に物件を比較する段階になると、表記だけでは見えてこない落とし穴がいくつか存在します。

「宅配ボックスあり」という表記は、あくまで「設置されている」という事実を示すだけで、台数が十分かどうかまでは保証してくれません。総戸数の多い物件ほど、1世帯あたりが使えるボックスの割り当ては相対的に少なくなりがちです。内見の際は、扉の数と総戸数のバランスを目分量でもよいので確認しておくと、入居後に「いつも満杯で使えない」という事態を避けやすくなります。

LIFULL HOME’Sが2025年6月時点で自社サイトに掲載されていた賃貸マンションを対象に行った調査によると、宅配ボックスが未設置の物件は全国平均で66.3%にのぼります。これを築年数別に見ると、築11〜15年で48.4%、築16〜20年で49.9%、築21〜25年で58.5%が未設置となり、築30年を超える物件では実に90.0%が宅配ボックスを備えていないという結果でした(出典:株式会社LIFULL「賃貸マンションの宅配ボックス・オートロック設置率をLIFULL HOME’Sが調査」)。

 

「築年数はそこまで気にしていないけれど、宅配ボックスは欲しい」という人ほど、実は両者が密接に関係している点に注意が必要です。同調査では、宅配ボックス未設置かつオートロックが設置されている物件も19.5%存在し、こうした物件では配達員が玄関前まで行けないため、置き配による代替も難しくなる可能性が指摘されています。

前述のとおり、「宅配ボックスあり」を必須条件とする検索者が約6割にのぼる一方、実際の供給割合は約4割にとどまります(出典:株式会社LIFULL「『宅配ボックスあり』物件の市況調査」)。人気と供給のギャップが大きいということは、それだけ「妥協して契約してしまい、後から後悔する」可能性も高いということです。条件に優先順位をつけずに物件探しを始めると、この需給ギャップの影響を受けやすくなる点は覚えておきたいところです。

オートロック付き物件を探す

最後に、実際の物件選びで使える判断基準を整理します。

宅配ボックスの重要度は、ライフスタイルによって大きく変わります。次のような人は、優先度を高めに設定してよいでしょう。

  • フルタイム勤務や外出の多いリモートワークで、荷物の受け取り時間が読みにくい人
  • ネットショッピングや食品・日用品の宅配を頻繁に利用する人
  • 一人暮らしで、防犯面を重視したい人(特に女性)
  • 在宅時間が不規則で、再配達の依頼自体が負担に感じる人

反対に、日中ほぼ在宅している人や、ネット通販の利用頻度が低い人、近隣にコンビニ受け取りなど代替の受け取り拠点がある人であれば、多少家賃が下がる分、宅配ボックスの有無にこだわりすぎない選択も十分に合理的です。

「あり」という表記だけで判断せず、実際に現地で確認しておきたいポイントを一覧にまとめました。

チェック項目確認のポイント
設置台数と総戸数のバランス総戸数に対して扉の数が極端に少なくないか、目視や管理会社への質問で確認する
方式(機械式/電気式)電気式は到着通知やセキュリティで有利、機械式はシンプルだが暗証番号トラブルに注意
収まるサイズの目安普段よく注文するサイズの荷物が収まるか。大型の家具・家電は原則対象外と考えておく
保管期間・持ち帰りルール一定時間を過ぎると持ち帰られる規定がないか、契約書や管理規約であわせて確認する
建物の築年数築20年を超えると設置率が下がる傾向があるため、「あり」と聞いても現地での実物確認を怠らない

希望エリアや家賃の兼ね合いで、宅配ボックス付きの物件が見つからないこともあるはずです。その場合は、宅配業者の会員サービスで受け取り日時や場所を柔軟に指定する、置き配バッグを併用する、近隣のコンビニや宅配ロッカーを受け取り拠点として活用するといった方法で、ある程度は代替が可能です。

 

一人暮らしならではの工夫や、設置されていない場合の具体的な対処法は、「一人暮らしなら宅配ボックスがあると便利! メリットや注意点、ない場合の対処法」でも詳しく紹介しています。また、入居後に正しい使い方を押さえておきたい方は、「宅配ボックスの正しい使い方って? マンションライフが快適になる活用術と注意点とは」もあわせてご覧ください。

モニター付きインターホンのある物件を探す

宅配ボックスは、荷物をいつでも受け取れる利便性と、対面を避けられる防犯面の安心感を兼ね備えた、今のライフスタイルに寄り添う設備です。一方で、家賃がやや上がりやすいことや、設置台数・築年数によって使い勝手に差が出ることも、この記事で見てきたとおりです。「あり」という表記だけを頼りに決めてしまうと、住み始めてから「思っていたのと違う」と感じる可能性も否定できません。

 

今の家探しを後回しにしたままでは、こうした情報を知らないまま物件を選ぶことになり、せっかくの選択肢を狭めてしまうことにもなりかねません。まずは気負わず、希望条件を整理しながら、実際にどんな物件があるのか眺めてみることから始めてみてはいかがでしょうか。

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Q1. 宅配ボックスと「置き配」は同じものですか?

A. 異なるものです。宅配ボックスは施錠できる専用設備に荷物を預ける方式であるのに対し、置き配は玄関前や車庫などあらかじめ指定した場所に荷物を直接置いてもらう受け取り方法を指します。置き配はオートロック物件では配達員が玄関前まで到達できない場合があり、宅配ボックスであればその制約を受けにくいという違いがあります。

 

Q2. 宅配ボックスに入らない荷物が届いたら、どうすればいいですか?

A. 配達員が持ち帰り、不在票を残すのが一般的です。不在票に記載された連絡先から、再配達の日時指定や、配送会社の営業所・近隣の受け取りスポットでの直接受け取りに切り替えられます。大型の家具・家電を注文する際は、あらかじめ配送日時を在宅できる時間に指定しておくとスムーズです。

 

Q3. 宅配ボックス付き物件は、家賃がどのくらい高くなりますか?

A. LIFULL HOME’Sの調査では、一都三県において「宅配ボックスあり」の物件は「設備条件なし」の物件に比べて、月額で約1万3,000円高い結果となりました(出典:株式会社LIFULL「『宅配ボックスあり』物件の市況調査」)。エリアや物件の条件によって差はあるため、あくまで目安として捉え、実際の家賃相場もあわせて確認するとよいでしょう。

 

Q4. 一人暮らしでも宅配ボックスは重要ですか?

A. 重要度は高いと言えます。特に、在宅時間が不規則な人や、防犯面を重視したい人にとっては、対面せずに荷物を受け取れる安心感は大きなメリットです。一人暮らしならではの活用法や注意点については、「一人暮らしなら宅配ボックスがあると便利! メリットや注意点、ない場合の対処法」でも詳しく紹介しています。

 

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更新日: / 公開日:2020.07.06